~13.3型ワイド液晶搭載のCULVノート |
NECから登場した「LaVie M」は、CULV CPUを搭載したスリムモバイルノートPCだ。CULVノートPCは、日本エイサーやレノボなどからすでに発売されているが、Windows 7の登場に合わせ、東芝やNEC、富士通など、国内大手メーカーも足並みを揃えてCULVノートPCを発表した。CULVノートPCは、ネットブックと通常のモバイルノートPCの間に位置し、ネットブックではスペック的に不満があるが、20万円近いモバイルノートPCは高すぎるというニーズにぴったりの製品である。
今回は、LaVie Mを試用する機会を得たので、早速レビューする。なお、今回試用したのは試作機であり、細部の仕上げやパフォーマンスなどは製品版と異なる可能性がある。
●上位モデルは4GBメモリを搭載LaVie Mは、搭載メモリ容量やOfficeの有無、バッテリ容量などが異なる上位機種の「LM350/VG」と下位機種の「LM330/VH」の2モデルがラインナップされており、LM350/VG、LM330/VHともにボディカラーは、グロスレッド、グロスホワイト、グロスブラックの3色が用意されている。今回試用したのは、上位機種のLM350/VGのグロスホワイトモデルだ。
LM350/VGのボディのサイズは330×220×27~30.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.77kgであり、ネットブックや軽量モバイルノートに比べると重いが、持ち運ぼうと思えば十分可能であろう。なお、標準バッテリとしてMバッテリが付属するLM330/VHでは、重量が約1.59kgと軽くなる。ボディデザインはオーソドックスで万人受けしそうであり、光沢仕上げの表面の質感も良好だ。
LaVie Mは、CPUとして超低電圧版Celeron SU2300(1.20GHz)を搭載している。Celeron SU2300は、CeleronブランドながらデュアルコアのCPUであり、ネットブックに搭載されているAtomなどに比べると、パフォーマンスは格段に高い。標準実装メモリは、上位モデルのLM350/VGは4GB、下位モデルのLM330/VHでは2GBとなっている。プリインストールOSは、Windows 7 Home Premiumであり、ネットブックで採用されているWindows 7 Starterとは、機能的にも一線を画す。チップセットは、グラフィックス統合型のIntel GS45 Expressであり、下位モデルでもWindows 7 Home Premiumを快適に動かせるパフォーマンスを実現している。HDD容量は両モデル共通で320GBであり、こちらも余裕がある。ネットブックの主流は160GBなので、ちょうど2倍ということになる。一般的な使い方なら十分であろう。
LaVie Mの上面。ボディカラーはグロスホワイトである | 「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。奥行きはほぼ同じだが、横幅はLaVie Mのほうがかなり長い |
LaVie Mの底面。中央にメモリスロットカバーが設けられている | SO-DIMMスロットが2基用意されており、上位モデルでは2GBのSO-DIMMが2枚装着されている |
●1,366×768ドット表示の低反射液晶を搭載
LaVie Mの液晶のサイズは13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットである。ネットブックでは、1,024×600ドット液晶が主流であり、画面が狭いと感じることがあるが、LaVie Mなら、解像度については一般的なノートPCと比べても遜色はない。スーパーシャインビュー液晶と名付けられた低反射タイプの光沢液晶を採用しており、発色は鮮やかだ。ただし、低反射タイプとはいえ、光沢液晶なので、外光の映り込みが気になることがある。また、バックライトにはLEDバックライトが使われており、省電力化に貢献している。
キーボードは全87キーで、キーピッチは19mm、キーストロークは3mmと余裕がある。特にキーストロークはかなり深めだ。キー配置も標準的で、不等キーピッチもなく、快適にタイピングが行なえる。BIOSメニューの設定で、Fnキーと左側のCtrlキーを入れ替えることも可能だ。ポインティングデバイスとして、タッチパッドタイプのNXパッドを採用。パッドとパームレスト部分に段差をつけることで、パッドを操作しようとして誤ってスペースキーを打鍵してしまうことを防いでいる。また、手書き入力やマルチタッチ機能、ジェスチャー機能もサポートするなど高機能かつ使いやすいことが魅力だ。
●HDMI端子を搭載、パワーオフUSB充電機能も対応
LaVie Mでは、インターフェイスとして、USB 2.0×3とミニD-Sub15ピン、HDMI出力、マイク入力、ヘッドフォン出力を搭載している。左側面に用意されているUSB 2.0ポートは、スタンバイ状態やシャットダウン状態などでも電力が供給される「パワーオフUSB充電機能」に対応しているので、iPodなどのUSB給電で充電可能な機器を使う際に便利だ。ミニD-Sub15ピンのアナログRGB出力だけでなく、HDMI出力もサポートしているので、HDMI端子を備えた液晶TVなどに出力できるのも嬉しい。
また、メモリカードスロットとして、SDメモリーカードスロットを装備。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LAN機能とBluetooth Ver2.1+EDRをサポートしている。ただし、独立したワイヤレススイッチは装備しておらず、Fnキーとのコンビネーション操作で、ワイヤレス機能のON/OFFを行なう。
左側面には、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、USB 2.0が用意されている。こちら側のUSB 2.0ポートは、パワーオフUSB充電機能に対応している | 右側面には、USB 2.0×2とLANが用意されている | パームレスト右側に、各種インジケータ類が用意されている |
●大容量バッテリ装着で公称約8.5時間の駆動が可能
バッテリ駆動時間が長いこともLaVie Mの魅力だ。上位モデルのLM350/VGでは、標準で8セル仕様のバッテリパックLが付属しており、公称約8.5時間の長時間駆動を実現。なお、下位モデルのLM330/VHでは、4セル仕様のバッテリパックMが付属しており、公称駆動時間は約4.1時間である(LM330/VHに、バッテリパックLを装着した場合の公称駆動時間は約8.8時間となる)。バッテリ駆動時間についても、一般的なネットブックの2倍以上であり、満足できる。ACアダプタのサイズや重量は、このクラスの製品としては標準的といえる。
ACアダプタのサイズはこのクラスの製品としては標準的だ | CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較 |
●Core 2 Duo搭載機に迫るパフォーマンスを実現
参考のためにベンチマークを計測してみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較対照用に日本エイサー「Aspire Timeline AS3810T」、ソニー「VAIO X」、NEC「LaVie Light BL350/TA」、日本HP「HP Mini 2140 Notebook PC」の値も掲載した。
PCMark05のCPU Scoreの値は2966で、Atom搭載ネットブックと比べると2倍程度であり、超低電圧版Core 2 Duo SU9400(1.40GHz)を搭載したAspire Timeline AS3810Tの3629に迫っている。チップセットの世代もAtom搭載ネットブックに比べて新しいため、3D系ベンチマークのスコアも高くなっている。もちろん、最新ゲームを遊ぶには力不足だが、Windows 7のAeroも、Atom搭載ネットブックに比べて軽々に動作する。セカンドマシン的に使うモバイルノートとしては、十分な性能であろう。バッテリ駆動時間のベンチマーク結果も7時間26分と長く(LM350/VG標準付属のバッテリパックLの場合)、1日持ち歩いて使う場合でも安心だ。
LaVie M | Aspire Timeline AS3810T | VAIO X | LaVie Light BL350/TA | HP Mini 2140 Notebook PC (1,366×768ドット液晶) | |
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CPU | Celeron SU2300(1.2GHz) | Core 2 Duo SU9400(1.4GHz) | Atom Z540(1.86GHz) | Atom N280(1.66GHz) | Atom N270(1.6GHz) |
ビデオチップ | Intel GS45内蔵コア | Intel GS45内蔵コア | US15W内蔵コア | Intel 945GSE内蔵コア | Intel 945GSE内蔵コア |
PCMark05 | |||||
PCMarks | 2826 | 計測不可(エラーが出る) | 1248 | N/A | 1566 |
CPU Score | 2966 | 3629 | 1583 | 1521 | 1482 |
Memory Score | 3066 | 3576 | 2421 | 2453 | 2350 |
Graphics Score | 1397 | 1495 | 245 | N/A | 546 |
HDD Score | 4948 | 5200 | 3526 | 8939 | 5713 |
3DMark03 | |||||
1,024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks) | 2048 | 1615 | 365 | N/A(1,024×600ドットでは638) | 718 |
CPU Score | 495 | 561 | 207 | N/A(1,024×600ドットでは240) | 242 |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 | |||||
HIGH | 1995 | 1476 | 436 | N/A | 1010 |
LOW | 1367 | 2172 | 766 | 1459 | 1386 |
ストリーム出力テスト for 地デジ | |||||
DP | 76.43 | 79.33 | 36.17 | 31.97 | 36.9 |
HP | 99.97 | 99.93 | 85.5 | 88.2 | 75.97 |
SP/LP | 99.97 | 100 | 100 | 99.37 | 99.97 |
LLP | 99.97 | 99.97 | 100 | 99.93 | 99.97 |
DP(CPU負荷) | 68 | 65 | 78 | 81 | 68 |
HP(CPU負荷) | 42 | 36 | 78 | 80 | 68 |
SP/LP(CPU負荷) | 28 | 24 | 59 | 64 | 42 |
LLP(CPU負荷) | 22 | 18 | 39 | 38 | 32 |
CrystalDiskMark 2.2 | |||||
シーケンシャルリード | 60.31MB/s | 66.58MB/s | 65.90MB/s | 83.31MB/s(Cドライブ)、56.50MB/s(Dドライブ) | 未計測 |
シーケンシャルライト | 66.25MB/s | 57.82MB/s | 38.42MB/s | 40.39MB/s(Cドライブ)、54.63MB/s(Dドライブ) | 未計測 |
512Kランダムリード | 27.50MB/s | 30.32MB/s | 63.23MB/s | 79.24MB/s(Cドライブ)、31.25MB/s(Dドライブ) | 未計測 |
512Kランダムライト | 31.19MB/s | 32.58MB/s | 3.108MB/s | 29.44MB/s(Cドライブ)、31.23MB/s(Dドライブ) | 未計測 |
4Kランダムリード | 0.369MB/s | 0.452MB/s | 4.135MB/s | 12.43MB/s(Cドライブ)、0.560MB/s(Dドライブ) | 未計測 |
4Kランダムライト | 0.984MB/s | 1.147MB/s | 1.523MB/s | 1.928MB/s(Cドライブ)、1.551MB/s(Dドライブ) | 未計測 |
BBench | |||||
Sバッテリ | 3時間39分(バッテリパックM) | なし | 2時間57分 | なし | 未計測 |
Lバッテリ(標準バッテリ) | 7時間26分(バッテリパックL) | 6時間17分 | 6時間2分 | 7時間8分 | |
Xバッテリ | なし | なし | 12時間56分 | なし |
●マシンをときどき持ち歩くという人にお勧め
LaVie Mには、「デ辞蔵PC」や「家庭の医学」、「血液サラサラ健康事典」などのソフトがプリインストールされているほか、上位モデルのLM350/VGでは、Microsoft Office Personal 2007もプリインストールされている。LM350/VGの店頭予想価格は125,000円前後、LM330/VHの店頭予想価格は95,000円前後とされており、ネットブックに比べると高価だが、パフォーマンスは高く、ネットブックではやや重いと感じる作業も快適に行なえる。やはりデュアルコアCPUのメリットは大きい。常に携帯するのなら、より軽くて薄いVAIO Xがお勧めだが、普段は自宅で使うが、ときどき持ち歩くことがあるという人には、本製品は有力な選択肢となるだろう。
(2009年 11月 6日)
[Text by 石井 英男]