ソニー「VAIO W」
〜VAIOブランド初のネットブック



ソニー「VAIO W」

8月8日より順次発売

価格:オープンプライス(直販59,800円)



 ソニーは、VAIOシリーズ初のネットブック「VAIO W」を発表した。VAIOブランドのAtom搭載ノートとしては「VAIO type P」が発売済みで、高解像度液晶搭載や超薄型・軽量ボディなど、一般的なネットブックと大きく異なる仕様で人気となっている。それに対し、VAIO Wは純然たるネットブックに分類されており、直販で59,800円と、非常に安価に設定されている。今回、VAIO Wをいち早く試用する機会を得たので、VAIOブランドを冠するネットブックがどのような完成度を誇っているのか見ていきたいと思う。ちなみに、今回利用した試用機は試作機のため、仕様面で製品版と異なる可能性がある点は、あらかじめご了承願いたい。

●デザインは一般的なネットブックに近い

 VAIO type Pは、特異なデザインや仕様面など、それまでにないAtom搭載ノートの新しい形を提示するという、ソニーの意気込みが伝わってくる製品だった。それに対し、今回発表されたVAIO Wは、本体デザインや仕様面など、まさにネットブックそのものとなっている。

 今回の試用機は、ボディカラーがホワイトのものだったが、天板部分のVAIOロゴ以外には特に目立つ装飾は施されておらず、非常にシンプルで清潔感のある印象が強い。また、底面も天板と同じカラーとなっており、統一感もある。ただ、天板素材はマグネシウム合金ではなくプラスチックで、それも一目でプラスチックとわかってしまうため、type Pと比較するとかなり安っぽさが感じられる。このあたりは、価格面での制約が発生するネットブックでは仕方のない部分かもしれないが、少々残念でもある。

 本体デザインは、コーナーなどに曲面が多く取り入れられ、全体的に丸みを帯びたものとなっており、かわいいといった印象を受ける。また、キーボード面およびタッチパッドには細かなテクスチャが施され、液晶パネルを開いた時にはシャープなイメージへと変化する。このように、液晶を閉じた状態ではシンプルかつかわいさを感じ、液晶を開いた状態ではシャープさが感じられるデザインは、男性だけでなく女性にも受け入れられるはずだ。

 本体サイズは、約267.8×179.6mm×27.5〜32.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.19kg(実測値では1,140g)と、10.1型液晶を搭載する一般的なネットブックとほぼ同じ。携帯性をtype Pと比較するのは酷だが、ネットブックとしての携帯性は十分確保されており、特に問題はないだろう。

本体天板。コーナーは丸みを帯び、かわいいという印象が強い。また、中央のVAIOロゴ以外に目立った装飾は施されていない フットプリントは、267.8×179.6mm(幅×奥行き)。10.1型液晶を搭載するネットブックとして標準的なサイズだ 本体正面。ボディはプラスチック感が強く安っぽさを感じさせる部分もあるが、細かな部分の作り込みはしっかりとしており、さすがVAIOといった印象だ
左側面。手前が27.5mm、奥が32.4mmと、奥の方がやや厚くなっている 背面。中央下部にバッテリが搭載されている 右側面。全体的に非常にシンプルなデザインとなっている
重量は実測値で1,140g。ネットブックとして一般的な携帯性を実現している 底面。天板と同じカラーで統一されている

●10.1型のWXGA液晶を搭載

 VAIO Wでは、サイズこそ10.1型ではあるが、1,366×768ドットと、一般的なネットブックよりも高解像度の液晶パネルが搭載されている。もちろん、既に1,366×768ドット表示対応のネットブックも登場しているが、その多くが入手性が悪く、まだ1,024×600ドットのWSVGA液晶を搭載する製品が大半を占めている。そういった中で、一般的なネットブックと同じ価格帯でありながら、WXGA液晶を搭載している点は、かなりの魅力がある。実際に使ってみても、縦横の解像度の余裕から、Webアクセスもかなり快適だ。

 表示品質は、他のVAIOシリーズに搭載されるクリアソリッド液晶と比較すると劣るものの、ネットブックとしては優れている部類に入るように感じた。発色は十分鮮やかで、LEDバックライトを採用していることもあり輝度も高い。また、表面は光沢感はあるものの反射は少なく、周囲の映り込みもほぼ気にならないレベルに抑えられている。

1,366×768ドット表示対応の10.1型ワイド液晶を搭載。一般的なネットブックより表示領域に余裕があり、Webアクセスも快適だ 液晶中央上部には、有効画素数31万画素のWebカメラ「MOTION EYE」を搭載する

●type Pと同等のアイソレーションキーボードを搭載

 キーボードは、VAIOシリーズでおなじみの、キーが独立したアイソレーションキーボードを搭載している。キーピッチは約16.5mm。この数字を見てピンと来る人もいるかもしれないが、このキーボードは、スティックタイプのポインティングデバイスこそ搭載されないものの、キーピッチや配列など、type Pに搭載されているキーボードとほぼ同等だ。実際に横に並べての比較はできなかったが、キータッチもほぼ同等という印象だった。大型のノートPCと比較すると、若干窮屈な印象もあるが、キーが離れていることもあって、タッチタイプも余裕だ。

 また、ポインティングデバイスはパッド式のインテリジェントタッチパッドを搭載。パームレスト部がかなり広く確保されていることもあって、パッドの面積は広く、かなり扱いやすい。また、先ほども紹介したように、タッチパッド面には細かなテクスチャが施されている。ちなみに、今回使用したホワイトでは、キーボード面やタッチパッドはシルバーで統一されていたが、他のカラーでは本体カラーに合わせた配色となる。

キーボードは、VAIOシリーズでおなじみのアイソレーションキーボードを採用。形状や配列は、VAIO type Pに搭載されるキーボードとほぼ同等だ キーピッチは約16.5mmと、VAIO type Pのキーボードと同じだ ポインティングデバイスのインテリジェントタッチパッド。パッド面の面積が広く扱いやすい。また、パッド面には細かなテクスチャが施されている

●液晶以外の仕様はまさにネットブックそのもの

 液晶以外の基本スペックは、まさにネットブックそのもの。CPUはAtom N280(1.66GHz)、チップセットはIntel 945GSE Expressを採用。メインメモリは標準で1GB(最大1GB)搭載し、ストレージには160GBのHDDを搭載。ネットワーク機能は、100BASE-TX対応の有線LANと、IEEE 802.11b/g/n対応(Wi-Fi規格は11b/g適合)の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRを標準搭載。OSはWindows XP Home Edition SP3となる。

 また、type Pと異なり、VAIO Wはネットブックとして位置付けられているため、Web直販モデルでも基本スペックのカスタマイズは行なえない。Web直販モデルでカスタマイズが行なえるのは、本体カラー(Web直販限定のブラウンも選択可能)、バッテリ容量、Office 2007の有無などとなる。

 ところで、VAIO Wには、他のVAIOシリーズと同様に、DLNA対応のホームネットワークソフト「VAIO media plus」が標準でインストールされており、家庭内の他のPCやDLNA対応のAV機器と連携し、ネットワーク経由で動画や音楽ファイルの共有、再生が可能となっている。ただし、VAIO WではDTCP-IP非対応のため、DLNA対応レコーダーで録画したテレビ番組の再生などは行なえない。また、動画再生支援機能も搭載されないため、HD解像度動画のスムーズな再生はほぼ不可能に近い。それでも、SD解像度の動画や静止画、音楽の共有、ネットワーク経由での再生はほぼ問題なく行なえるため、十分便利に活用できるはずだ。

本体正面左には、無線機能のON/OFFスイッチと、メモリースティック Duoスロット、SDカードスロットがある 正面右には電源スイッチがある
左側面には、奥から電源コネクタ、アナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)、マイク/ヘッドフォン端子が並ぶ。電源コネクタ右のスリットは、空冷ファンの排気口だ 右側面には、手前からUSB 2.0×2と、100BASE-TX対応LANコネクタが並ぶ
付属のバッテリは、容量24Whの3セルタイプ。オプションで大容量バッテリも用意される予定だ ACアダプタは、非常にコンパクトなものが付属する ACアダプタの重量は、電源ケーブル込みで195g(実測値)。本体と同時に持ち歩いても苦にならないはずだ
本体底面のフタを開けると、内蔵HDDにアクセスできる。HDDは、厚さ9.5mmの160GB SATAドライブを採用 DLNA対応のホームネットワークソフト「VAIO media plus」を標準搭載。スペック的にHD動画の再生や録画テレビ番組のネットワーク経由での再生は行なえないが、家庭内で手軽にメディア共有が行なえ、便利に活用できるはずだ 充電量を抑えてバッテリ寿命を延ばす「バッテリいたわり充電モード」も搭載

●現時点で最もおすすめできるネットブック

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類を利用した。また、比較用として、同じAtom N280を搭載する、Aspire One D250およびdynabook UXの結果も加えてある。

 結果を見ると、多少の誤差はあるものの、比較対象の製品とほとんど同じとなっている。液晶解像度を除き基本スペックがほぼ同じということもあり、これは当然の結果だろう。とにかく、ネットブックとして安心して利用できるパフォーマンスが発揮されていると考えていい。

  VAIO W Aspire One D250 dynabook UX
CPU Atom N280(1.66GHz動作) Atom N280(1.66GHz動作) Atom N280(1.66GHz動作)
ビデオチップ Intel 945 GSE Express Intel 945 GSE Express Intel 945 GSE Express
メモリ 1GB 1GB 1GB
OS Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score 1534 1496 1561
CPU Score 1540 1551 1538
Memory Score 2444 2494 2490
Graphics Score 570 590 621
HDD Score 3967 3731 4246
HDBENCH Ver3.40beta6
All 37160 38979 37149
CPU:Integer 97445 97379 97458
CPU:Float 67312 67361 67445
MEMORY:Read 50140 50018 50151
MEMORY:Write 50575 50243 50421
MEMORY:Read&Write 89087 88677 89091
VIDEO:Recitangle 17702 17744 17517
VIDEO:Text 9754 9800 20800
VIDEO:Ellipse 4692 4720 4692
VIDEO:BitBlt 141 200 258
VIDEO:DirectDraw 29 29 29
DRIVE:Read 45796 58480 55501
DRIVE:Write 53250 54122 38994
DRIVE:RandomRead 18994 18050 16715
DRIVE:RandomWrite 20670 22831 22990
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
LOW 1430 1508 1514

 次にバッテリ駆動時間のチェックだ。テスト方法は、省電力機能を切るとともに、液晶輝度を最大に設定し、無線LANを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させるというものだ。結果は約1時間38分と、他よりもかなり短くなっている。省電力機能を有効にしたり、液晶輝度を下げれば、2時間半程度は余裕で利用できるものと思われるが、それでも少々物足りなさを感じる。ちなみに、標準では容量24Whの3セルバッテリが付属するが、オプションで大容量バッテリ(9月中旬発売予定)も用意されているため、バッテリ駆動時間を優先したい場合には、そちらの選択を視野に入れたほうがいいだろう。

バッテリ駆動時間
VAIO W 1時間38分
Aspire One D250 1時間49分
dynabook UX 1時間53分

 他の国内大手メーカーが続々ネットブックを投入してきた中で、同じAtom採用ながら特異な仕様を実現したVAIO type Pを投入するなど、他とは一線を画す戦略を取ってきたソニー。機能面で差が付けにくく、安価なために利幅も小さいこともあって、ネットブックから距離を置いていたものと思われるが、ついに投入に至ったのは、やはりネットブック市場の拡大を無視できなくなったからだろう。それでも、国内大手メーカーとして初となるWXGA液晶の採用や、VAIO media plusなどVAIOシリーズで培ってきたアプリケーションを付属して、他にはない活用方法を提案するなど、投入するからにはVAIOブランドに恥じない差別化を実現するというソニーの意気込みも感じられる。

 価格は、直販価格で59,800円。おそらく市販モデルは、一般的なネットブックと同じ5万円前後で販売される例も多くなるはずで、WXGA液晶を搭載していることも合わせて価格的にも十分な魅力がある。発売は8月8日と1カ月ほど先だが、これからネットブックを購入しようと考えている人にとって、現時点で最有力の選択肢になることは間違いなく、広くおすすめしたい。

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(2009年 7月 8日)

[Text by 平澤 寿康]

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