大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

2009年はAppleにとって予想を上回る1年だった
米Apple フィル・シラー上席副社長インタビュー



フィル・シラー上席副社長(2008年撮影)

 「年初に想定していたものに比べて、遙かにすばらしい製品を数多く投入することができた。2009年は、Appleにとって、まさにブレイクスルーの1年となった」。米Appleのワールドワイドプロダクトマーケティングシニアバイスプレジデントのフィル・シラー氏は、今年のAppleが投入した製品の数々を振り返り、こう切り出した。

 iPhone 3GS、iPod nanoやiPod touch、iMacやMacBook、そしてSnow Leopardといった大型製品を相次ぎ投入。Macは過去最高の出荷台数を記録するとともに、Windows 7が発売された週も、Macはシェアを引き上げてみせた。Appleの強みはどこにあるのか。フィル・シラー氏に話を聞いた。

−−少し早いタイミングですが、2009年は、Appleにとってどんな1年でしたか。

シラー 2009年は、「ブレイクスルー」の1年だったといえます。Macは過去最高の出荷台数となりましたし、iPodのマーケットシェアも過去最高のレベルになった。iPhoneも、いままでの携帯電話の先を行く技術を搭載し、未来の世界を引き寄せたといえます。毎年、とにかくすばらしい製品を提供できればいいな、ということを考えながら新年を迎えますが、今年は、年初に思った以上にすばらしい製品を投入できることができたと思っています。どの製品をとって見ても、胸を張ってすばらしい製品だということができる。iPhoneはいまだに品薄だから、早く製品を寄こしてほしいと、各国からいわれていますよ(笑)。

−−製品力が高まったということですか。

MacBook Pro

シラー Appleが、これまでにこんなに強い製品ラインアップを持ったことがありません。今年夏に発表したMacBook Proは、ユニボディの採用、LEDディスプレイの採用、長時間のバッテリ駆動時間などを実現し、高い顧客満足度を得ていますし、いまでも好調な売れ行きを見せています。

 先頃発表した新たなMacBookも、ユニボディを採用し、MacBook Pro同様にLEDのディスプレイ、マルチタッチが可能なタッチパッドを採用しています。また、軽量で、ラウンドフォルムのデザインも高い評価を得ています。白いカラーは、筐体の見える部分だけでなく、USBコネクタの奥の部分まで塗装しています。ここまでデザインにこだわるパソコンメーカーはないと自負しています。

 さらに、iMacも大きな進化を遂げた。Wireless KeyboardとMagic Mouseが標準で搭載され、ケーブル1つでMacが動作する形としています。Magic Mouseの操作性の高さは、すでに多くのユーザーから高い評価を得ています。

新型のiMac

 LEDディスプレイによって、写真や映像がすばらしい画質で再現できますし、IPSパネルの採用によって斜めから見てもきれいに見える。音に関してもすばらしい再現性を実現しています。

 しかも、こうした製品が購入しやすい価格で提供されている。また、これらの製品は、すべてSnow Leopardが動作します。このOSによって、さらに使いやすい環境が整った。Snow Leopardのこれまでの売れ行きは、Leopardの約2倍となっています。まさに、これ以上のラインアップはありません。そして、iPod nanoやiPod touchも高い評価を得ています。

−−日本での手応えはどうですか。

シラー iPhone 3GSについては、日本で最も売れている「ナンバーワン携帯電話」となっていますし、顧客からの反応は極めて好調であり、我々にとっても喜ばしいことです。また、新たなiMacが8〜12%のシェアを獲得していますし、ノートPCも順調です。さらに、iPodは70%以上のシェアを獲得しています。GfKジャパンの調べによると、日本における製品購入後の顧客満足度調査で、Appleの4つの製品が首位となっています。

−−多くのPCメーカーが前年割れ、あるいは年間計画を下方修正するなどの動きが見られています。ところが、2009年度の実績では、Appleは過去最高の出荷台数を更新した。この理由はどこにあると自己分析していますか。

シラー 他のPCメーカーが歩む道と、Appleが歩んでいる道とが大きく異なるのが理由ではないでしょうか。Appleの方針は、常に革新的な製品を提供するということ、使いやすさに重点を置くこと、デザインや品質にもこだわりをもっているという点です。そして価格についても、最も適正な水準で提供できる。また、最大の違いは、Appleは、ハードとソフトを一緒に提供できるメーカーであるということです。これにより、より良いコンピュータエクスペリエンスを提供することができる。

 他社は、残念ながら、ハードはハード、ソフトはソフトというように分かれ、一貫性がない部分がある。また、PCメーカーのハードに革新的な技術が搭載されたという例を、最近は聞きません。そうなると、どうしても価格競争に陥ってしまう。価格競争の結果生まれるのは、クオリティの低下ということになる。価格を優先するあまり、妥協した製品しか投入できないからです。

 重要なのは、Appleの製品と、他社が投入するPCの差を、顧客自身が理解しはじめたことであり、その結果、Macへシフトする人たちが増えているということです。Appleの高成長の理由はここにあるのではないでしようか。さらに、Appleはコンピュータだけのメーカーから、ここ数年の間に、iPod、iPhoneといった新たな事業を開始入し、そこでも高い成果をあげている。しかもiPod、iPhoneがMacにつながることで、さらにMacの売れ行きがよくなっている。こうした相乗効果も大きいといえます。

−−2010年はAppleにとって、どんな1年になるでしょうか。

シラー 非常にすばらしいものがやってきます。ただ、それ以上はお答えできません(笑)。

−−タブレット機能搭載のMacとか(笑)。

シラー ノーコメントです。

−−iPhoneやiPodも進化を遂げますか。

シラー iPhoneとiPodは、現時点で見ても次世代の技術だと思います。ただし、これは完成された技術ではなくて、まだまだ入口です。進化の伸びしろは大きく、いろいろなことができる。メールやネットサーフィン、さらに多くのアプリケーションのダウンロードができるように進化するはずです。現時点でも、モバイルデバイスとして、PCと比べても遜色がない機能が提供できていること自体、大変エキサティングなことですし、今後、これがどれくらいの技術革新することができるのかという観点でも、私自身、楽しみな製品です。

 2009年はたくさんのすばらしい製品を出したので、いまはこの喜びを感じています。Appleは、素晴らしいアイデアを、常に、たくさん持っていますし、それが形になって表れる時期が必ずやってくる。2010年にも、形になる技術や製品がありますから、ぜひ楽しみにしていてください。

−−最後に、これからのホリデーシーズンに向けて、日本のユーザーに向けてなにかメッセージはありますか。

シラー 2つあります。1つは、Appleは革新的な製品、革新的な技術を、手の届く価格で提供するメーカーです。ぜひ、それを実体験してほしい。今、多くの人が、Macにシフトしています。この波に乗ってMacのすばらしさ、楽しさを体験してください。

 そして、もう1つは、未来の技術、次世代の技術に触れてみたいと思ったら、ぜひiPhoneに触れてほしい。これこそが、未来のデバイスだといえます。ただ、iPhoneを使ってみたいが、いま使っている携帯電話からの乗り換えが難しいという人もいるでしょう。そうした場合には、iPod touchを使っていただきたい。小さな未来のコンピュータの機能を体験することができます。ぜひ、Apple Storeなどで、この価値を体験し、購入を検討してください。

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