ゲーミングPC Lab.

デル「ALIENWARE 17」/「ALIENWARE 15」

~使用感までハイエンドなゲーミングノート

ALIENWARE 17

 デル株式会社は、17.3型の「ALIENWARE 17」、および15.6型の「ALIENWARE 15」の2機種のゲーミングノートPCを1月に発売した。今回はこの2機種を試用する機会が得られたので、合わせてレビューをお届けする。

最高スペックを詰め込める15型/17型ゲーミングノート

ALIENWARE 15

 「ALIENWARE」はデルが展開するゲーミングPCブランドで、ノートPCでは「ALIENWARE 17」と「ALIENWARE 15」、さらに一回り小型となる13.3型の「ALIENWARE 13」の3機種がラインナップされている。それぞれ標準構成で4つのタイプが用意されており、今回試用したのは上から3番目の「ALIENWARE 17 プレミアム」と「ALIENWARE 15 プレミアム」となる。

 「ALIENWARE 13」、および外付けビデオカードを追加する「Graphics Amplifier」のレビューはこちらをご覧いただきたい。「Graphics Amplifier」は「ALIENWARE 17」と「ALIENWARE 15」でも使用できるが、今回のレビューからは外させていただく。

【ALIENWARE 17】
17.3型のフルHD(1,920×1,080ドット)IPS液晶を搭載
キーボードとタッチパッドはバックライト付き。9つのマクロキーを搭載する
キーボード上部にある「ALIENWARE」のマークが電源ボタン
本体前面はスピーカーのみ。電源を入れると光のラインも見える
本体左面には電源とUSB、ヘッドフォン端子などを装備
本体右面にはSDカードスロットとUSB、有線LANポート
本体背面はHDMIとMini DisplayPort、Graphics Amplifier接続ポートがある
本体裏面は広く排熱のためのスペースが取られている
本体上面(液晶裏)は光る「ALIENWARE」のロゴとライン。形状はフラット
ACアダプタは出力180Wでかなり大きめ
【ALIENWARE 15】
15.6型のフルHD(1,920×1,080ドット)IPS液晶を搭載
キーボードはテンキーレス。マクロキーは左の5個のみ
外装は「ALIENWARE 17」と酷似している。本体前面はスピーカーのみ
本体左面には電源とUSB、ヘッドフォン端子など
本体右面にはSDカードスロットとUSB、有線LANポート
本体背面はHDMIとMini DisplayPort、Graphics Amplifier接続ポート
本体裏面はやはり広めの排熱スペース
本体上面(液晶裏)も共通の「ALIENWARE」のロゴとライン
ACアダプタも「ALIENWARE 17」と同じ出力180W品
キーボードのバックライトの色は好みに応じてカスタマイズできる。動的に変化するものも選べる
タッチパッドのバックライト色も変更できる
【表1】ALIENWARE 17(2015年春モデル)
スタンダードプレミアムプラチナスプレマシー
CPUCore i7-4710HQCore i7-4980HQ
GPUGeForce GTX 970M(3GB)GeForce GTX 980M(4GB)
メモリ8GB DDR3L-1600(4GB×2 デュアルチャンネル)
SSD非搭載128GB(M.2 2280 NGFF TLC)
HDD1TB
ディスプレイ17.3型非光沢液晶 (フルHD/IPS)17.3型光沢液晶 (フルHD/IPS/タッチ対応)
Graphics Amplifierオプション付属オプション
販売価格(税別/配送料込み)209,800円259,800円284,800円329,800円
【表2】ALIENWARE 15(2015年春モデル)
スタンダードプレミアムプラチナスプレマシー
CPUCore i5-4210HCore i7-4710HQ
GPUGeForce GTX 965M(2GB)GeForce GTX 970M(3GB)GeForce GTX 980M(4GB)
メモリ8GB DDR3L-1600(4GB×2 デュアルチャンネル)
SSD非搭載128GB(M.2 2280 NGFF TLC)
HDD1TB
ディスプレイ15.6型非光沢液晶(フルHD/IPSパネル)
Graphics Amplifierオプション付属
販売価格(税別/配送料込み)179,800円199,800円249,800円274,800円

 標準構成からのカスタマイズ(パーツ単位のアップグレード)にも対応する。SSDは最大512GBに変更できるほか、「ALIENWARE 15」においては、ディスプレイのカスタマイズオプションとして、タッチ対応の4K(3,840×2,160ドット)パネルも選択できる。

 本体サイズは、「ALIENWARE 15」が385.8×270.2×34.0mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.207kg。「ALIENWARE 17」は430×291.9×34.4mm(同)で、重量は3.78kg。

4Kゲーミングにも対応できるハイスペック

 まずは各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「3DMark v1.4.828」、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」。

 今回試用した「ALIENWARE 17 プレミアム」と「ALIENWARE 15 プレミアム」は、仕様的にはGPUとSSDの有無が異なる。ただ今回テストした際、「ALIENWARE 17 プレミアム」側でベンチマークテスト中にGPUをフルに使いきらないという問題が見られ、スコアがやや低めに出ているものが多くなっている。本来ならばもう少し高いスコアが出るはずなので、参考程度にご覧いただきたい。

 ゲーム系ベンチマークテストの結果を見ると、いずれもこれらのゲームプレイには十分すぎる最高評価が得られている。もし「ALIENWARE 15 プレミアム」で4K液晶を選んだとすると、スコアは4分の1近くまで下がるはずだが、それでも「ファンタシースターオンライン2」であれば何とかなりそうだし、「ファイナルファンタジー XIV: 新生エオルゼア」でもグラフィックスの品質を下げればプレイ可能な程度にはできそうだ。

【表3】ベンチマークスコア比較
ALIENWARE 17ALIENWARE 15
「3DMark v1.4.828 - Fire Strike」
Score82216339
Graphics score98747397
Physics score92317769
Combined score33992699
「3DMark v1.4.828 - Sky Diver」
Score1934717359
Graphics score2927424080
Physics score82947480
Combined score1253215609
「3DMark v1.4.828 - Cloud Gate」
Score2107517497
Graphics score5785445823
Physics score65355531
「3DMark v1.4.828 - Ice Storm Extreme」
Score7353874634
Graphics score92989101926
Physics score4245738528
「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(1,920×1,080ドット/最高品質)
9,8299,915
「バイオハザード6 ベンチマーク」(1,920×1,080ドット)
9,65810,917
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」(1,920×1,080ドット/簡易設定5)
19,40419,689
「CINEBENCH R15」
OpenGL98.48fps97.67fps
CPU658cb653cb

 「ALIENWARE 17 プレミアム」ではSSDも搭載している。接続方法がM.2とされており期待できる反面、TLCというところに性能に不安を覚える人もいるだろう。「CrystalDiskMark 3.0.3」で測定してみたところ、シーケンシャルリードで500MB/sec超えの値が出た。ライトやランダムアクセスも十分な数値で、OSやソフトの起動が非常にスピーディで快適に利用できる。

【CrystalDiskMark】
「ALIENWARE 17」SSD
「ALIENWARE 17」HDD
「ALIENWARE 15」HDD

 バッテリは8セル92W/hのものが使われているが、駆動時間は書かれていない。そこで「BBench」を使って持続時間をテストしてみたところ、キーストロークとWeb巡回あり(Wi-Fi接続)、ディスプレイの明るさ40%の設定で、ALIENWARE 17、ALIENWARE 15とも約6.3時間でバッテリ切れとなった。両機種の搭載するバッテリ量が同じなので、さほど違いは出ないようだ。

 ただゲームプレイではGPUも使い、負荷が上がる、時間はもっと短くなる。3Dゲームの負荷としてはさほど大きくない「Diablo III」をプレイしてみたところ、NVIDIA Battery Boostがオン(30fps制限)の状態で、バッテリ切れまで約2.1時間。NVIDIA Battery Boostをオフにすると約1.5時間でバッテリ切れとなった。本格的な3Dゲームは、気分転換のゲーム程度ならバッテリでも何とかなるか、という程度だ。

スペックだけでなく使用感もハイエンド

 ゲーミングPCとしての使用感についても触れておこう。まずはゲーミングノートPCで気になる排熱処理だ。ファンは両機種とも本体背面にあり、PC利用時には液晶の裏側になる。アイドル状態ではほぼ無音。ベンチマークテスト中など高負荷時は回転音がするが、音質は低めで、音量もそれほど大きくはならない。ただ後方に回るとそれなりに音と熱が気になるので、向かいに誰かいる時などには注意が必要だ。

 キートップへの熱伝導は、「ALIENWARE 17」ではかなり抑えられており、キーボード中央辺りがやや温かみを帯びる程度。リストレスト部分は全くと言っていいほど熱が伝わってこないので、長時間のゲームプレイでも熱によるストレスを感じることはまずないだろう。「ALIENWARE 15」ではゲームプレイ時、キートップやリストレスト部にやや温かさを感じる。熱くなるほどではないが、夏場なら気になる人もいるかもしれない。

 リストレスト部分を含むキーボードの周辺は薄くラバーコーティングされており、ほどよい滑り止め感がありつつもサラサラした手触り。冬場は金属やプラスチックのひんやりした感覚も大幅に緩和され、長時間の利用でも不快な感覚なしに使い続けられる。

 キーボードのタッチはノートPCとしてはやや重めで、ストロークも深め。しっかり底打ちしたい人には好まれそうな感触だ。

 キーボードと言えば、両機種ともキーボードのバックライトがある。配色を任意に変更したり、色が変化するような設定もできる。またキーボード部以外にも、タッチパッドや液晶裏面の「ALIENWARE」のマーク、本体各部に入ったラインがカラフルに光るようになっている。中でもタッチパッドは、触れるとしばらく光るが、タッチパッドに触れずマウス操作をしていると光らない。暗所でのゲームプレイ時に余計な光が出ないよう配慮されているのも嬉しい。

 色の変化はプレイするゲームによって自動で変更させることも可能。なおキーボード上部にある「ALIENWARE」のマークは電源ボタンで、ここの色によってバッテリ残量が大まかに分かるようになっている。

 キーボードにはマクロ機能も用意されている。「ALIENWARE 17」では、キーボード左側に縦並びに5個と、右側上部に横並び4個の計9個。「ALIENWARE 15」は左側の5個が使用できる。任意のキーを割り当てられるほか、複数の連続したキー入力を覚えさせることも可能。またマクロキーの機能を一括切り替えするキーもあり、3つパターンを保存できる。数だけで言えば、「ALIENWARE 17」なら9×3=27個、「ALIENWARE 15」なら5×3=15個のマクロを保存しておける。

 サウンドはKlipschとCreative SoundBlaster X-Fiテクノロジーを採用しているのがウリ。音質はとにかく自然な聞き心地で、低音から高音までバランスよくミックスされて出ている印象だ。長時間聞いていても聞き疲れる感じがなく、ゲーム向けに調整された音質になっている。周囲に問題がないなら、ヘッドフォンなしでも十分快適にゲームプレイを楽しめる。

 持ち運びの点では、どちらも3kg以上あり決して軽くはないのだが、本体の厚みはさほどではない。特にディスプレイを閉じると、凹凸の少ないフラットなフォルムになるため、サイズの割には取り回しがいいと感じる。見た目には光る部分も多く派手だが、形は意外なほどシンプルなのが面白い。

【カスタマイズツール】
各部のライティングをカスタマイズできる「AlienFX」
電源プランを細かく調整できる「AlienFusion」
マクロキーを設定する「Alienware TaxtX」
複数のキー入力を記録して、ワンタッチで再生できるマクロ機能
PCの各種パフォーマンスを監視・記録できる「AlienAdrenaline」
奇しくもこの機能でベンチマークテスト中のGPUのサボタージュを発見してしまった

快適さなら「ALIENWARE 17」、4Kなら「ALIENWARE 15」

 「ALIENWARE 15」と「ALIENWARE 17」は、モバイル向けとしては最高級のCPUとGPUを搭載し、さらにM.2 SSDなど妥協のないスペックを盛り込める。さすがは「ALIENWARE」ブランドを冠するだけあるハイエンドPCだ。

 「ALIENWARE」と言えば、LEDを多用した派手な装飾も特徴の1つ。本機もその路線に変化はないのだが、派手なのはライティングだけで、本体形状は実はかなり武骨なものだ。どの面から見てもほぼ均一な厚さで、がっちりした筐体にはこだわりが感じられる。ショールームなどで触れる機会があれば、敢えて目を瞑って筐体を撫でまわしていただければ、印象ががらっと変わりそうだ(周囲の目には気をつけていただきたいが)。

 価格は決して安くはないが、ハイエンドノートPCとして考えれば特別おかしな値段ということもない。手触りや排熱処理、騒音対応など、幅広い面でゲーマーに向けたチューニングがなされているのが、本機でゲームを遊ぶほどに分かってくる。

 本気でゲームをプレイしたいが、大きなデスクトップPCは置きにくいとか、友人宅に持ち込んで遊びたいといったニーズがあるゲーマーには、性能だけでなく使用感においても隙の無い、ハイレベルな製品と言える。特に長時間のゲームプレイが想定されるなら、排熱処理もばっちりな「ALIENWARE 17」を強くオススメしておきたい。「どうしても4K液晶」という場合は「ALIENWARE 15」という選択になるだろう。

(石田 賀津男)