山田祥平のRe:config.sys

ワリにあえるかドコモのパケあえる

 NTTドコモが新料金プランと、その割引サービスを発表した。極めて複雑に見えて、実はシンプルな新プランではあるが、家族構成や使い方のスタイルによって明暗が分かれそうでもある。今回は、そのプランの内容について考えてみる。

通話しなくちゃソン?

 ドコモの新料金は「基本プラン」+「ISP利用料300円」+「パケットパック料金」の合計額となる。その合計額から、契約年数と年齢(25歳以下)という2つの用件に応じた割り引きが適用される。それが「ずっとドコモ割」と「U25応援割」だ。

 例えば、25歳超で、タイプXiにねん、現在3GB/月のXiパケ・ホーダイ ライトを使っていて、契約5年以内という典型的なユーザーは、現在、

基本使用料 743円
ISP利用料 300円
Xiパケ・ホーダイライト(3GB/月) 4,700円
---- 合計5,743円

を支払っている(税別価格、以下同)わけだが、それを、新プランに当てはめると、

基本使用料 2,700円
ISP利用料 300円
データSパック(2GB/月) 3,500円
---- 合計6,500円

と、かえって高くなる。

 しかも、定額で使えるパケット量は1GB分少なくなってしまう。その代償として通話代金がゼロになるわけだ。つまり、1カ月の通話料金が(差額の)757円ある場合でこれまでと同じ支払いで済み、それより通話が多ければ、ちょっとずつトクをすることになる。1GB少なくなったパケット料は1,000円で追加できるので、条件を全く同じにするためには、現在、1,757円の通話料を支払っているユーザーでないと、かえって値上げになってしまう。30秒あたり20円で換算すれば約44分間だ。

通話は家族ならもともと無料だし

 その一方で、1人で複数台の端末を持っていたり、家族が多い場合は状況が変わってくる。

 ドコモに確認したところ、データMパックやSパックのシェアは、2台目が同一名義のデータプラン(音声なし)の場合に限られる。夫婦や兄弟姉妹などの2名では、同一名義でも2台持ちで両方を音声つきのカケホーダイプランにすると、データMやSパックを共有できない。あくまでも1人向けのプランだということだ。2人で共有するためには、シェアパック10以上(10GB、9,500円/月)が必要になる。

 つまり、2名での費用合計は、

基本使用料 2,700円×2
ISP使用料 300円×2
シェアパック10(10GB/月) 9,500円×1
データシェアパック 500円/月 ×1
----合計16,000円

で、この金額は個別にデータMプランを契約している場合と同額となる。

【お詫びと訂正】初出時、同一名義の音声2回線でのパケット定額のシェア例を示しておりましたが、その場合はデータSプラン、データMプランではシェアできません。そのため、適用できるプラン内容に差し替えました。お詫びして訂正いたします。

5GBじゃタブレットは不安だし

 もっと試算してみよう。スマートフォンに加えてタブレットをデータ専用に持っているユーザーの場合だ。

 スマートフォンは一般的なものと同様に、5,743円として、現状ではタブレットに対して、

基本使用料 2839円(Xiデータプラン フラット にねん 7GB/月)
ISP使用料 300円
---- 合計3,139円

を支払っている。スマートフォン+タブレットでは合計8,882円だ、これが新プランでは、

基本使用料 1,700円(スマートフォン/タブ 音声なし)
パケあえる 500円/月
---- 合計2,200円

となるが、スマートフォンとタブレットで使えるパケット量はデータSパックの2GBを共有しなければならなくなる。それで足りないなら、1,500円を追加して5GBを共有できるデータMパックにするわけだが、そうすると、総額は10,382円となり、これまた高くなってしまう。タブレットやPCなどが単独で通信できれば便利だというユーザーにもつらい新プランだ。

ヘビーユーザーはちょっと値上げ?

 今回発表された新プランの中に、気になる要素が2つある。1つは、データプラン(スマートフォン/タブ)と区別されるデータプラン(ルーター)で、こちらは基本料金が1,200円と音声無し基本使用料より500円安い。だが、この料金が適用されるのは、ドコモの指定ルーターで使うときのみであり、そのSIMを他の端末に装着して使うと、その月だけ1,700円になるという。

 もう1つはデバイスプラス(M2M専用)というもので、500円/月と300円/月のプランが用意されている。これは、フォトフレームや、スマートウォッチなどの端末に使うもので、どちらのプランが適用されるかはドコモが端末ごとに決める。詳細はまだ決まっていなそうだが、契約時にSIMとデバイスがひも付けされ、SIMを他の端末に装着しても通信はできないのだそうだ。ちょっと期待はしたのだが空振りだった。

 それなら、スマートフォン1台しか使わないものの、7GB/月はアッという間で、月末近くになるといつも速度制限を受けているようなユーザーはどうか。現状では、

基本使用料 743円
ISP利用料 300円
Xiパケ・ホーダイ フラット(7GB/月) 5,700円
---- 合計6,743円

を支払っているわけだが、これに新プランを適用すると、

基本使用料 2,700円
ISP利用料 300円
データMパック(5GB/月) 5,000円
---- 合計8,000円

ずいぶん高くなる。さらに7GB/月の条件を揃えるために、追加1GB×2の2,000円を考慮すると合計1万円だ。電話代が含まれていても躊躇してしまうかもしれない。

 なお、データSパック、データMパックは、11年以上ドコモを利用しているユーザーは600〜800円の割引が適用される。

10人家族でも同じ?

 じゃあ、どんな人がトクになるのかを試算してみた。シェアパックは10回線までで共有できるので、30GBのシェアパックを購入して10人で共有すると、

基本料金×10 27,000円
ISP利用料×10 3,000円
シェアパック30 22,500円
パケあえる×9 4,500円
---- 合計57,000円

となり、1人あたり、5,700円となる。つまり、現行より43円安くなる。

 もちろんこれらの金額から、「ずっとドコモ割」、25歳以下の「U25応援割」が適用されるので、共有状況によってもう少し安くはなるが、どうにも不自由になった感は否めない。

 つまり、今回の新プランは、通話定額を名目として基本料金を値上げし、さらにパケット料金を従量制に近いものにしたものだと考えられる。

 パケット料金の従量制は、公平感ということを考えれば必ずしも悪いことだとは思わないし、1GB 1,000円というのも、そんなにひどい価格ではないとは思う。だが、通話をあまりしないユーザにとっては値上げそのものだ。特に昨今は、LINEやFacebookなどの無料通話、各種IP電話を使うユーザーも増えてきていて、キャリアの正規通話料金がタダになっても、あまり嬉しくないというケースが多いかもしれない。また、データ通信専門だったMVNOも、通話付きのプランを用意するところが出てきている。そもそも、この時代に通話料金を重視しているという点が間違っているように思う。

 今回の新プランによって、品質の悪い無料通話やIP電話は淘汰され、増える一方のパケットトラフィックにはブレーキがかかり、電話をあまりかけないユーザーや少しでも安いデータ通信を楽しみたいユーザーはMVNOに逃げるという結果を生みそうだ。

 ドコモはスマートライフのパートナーとして、サービスの多様化と移動体通信の利用形態の変化に対応していくのだそうだ。でも、今回の新料金プランはトレンドとはちょっと逆行していないかとも思う。もっとも、2GB/月も使わないライトユーザーは、今とほぼ同じ月額で通話が完全に無料になるという恩恵を得られる。世の中の大多数はそうなのかもしれない。ちなみに、現行のXiプランは8月末で新規受付を終了するそうだ。

(山田 祥平)