メモリ屋社長のちょっとタメになるメモリ話

ちょっと特殊なメモリ価格のお話

 みなさま、こんにちは。センチュリーマイクロ株式会社代表の嶋野です。最近は若杉編集長に強引に勧められ、ストリートファイターVを練習中です。昔ストリートファイター2などで結構遊んでいたつもりですが、なかなか難しいですね。

 さて、本連載もついに5回目となりました。もし1回目でコケて、編集長から「もう書かなくていいです」と言われたら辛いなぁ……と思っていた時期もあったので、読んでくださっている皆様には本当に感謝しております。ありがとうございます。

 今回はそんな感謝の気持ちを込めて、皆様がメモリを買う時に気にされるであろう、価格のお話です。

ちょっと特殊なメモリの価格

 一般的にとある製品があった場合、その価格は多少の上がり下がりはあれど、型落ちなどしない限りは一定の価格で取引されますよね。

 ところがメモリ(DRAMやフラッシュ)はかなりの水物で、その時の供給状況・DRAMメーカーの事情といった時節的な要素によって週単位、時には日によってコロコロと目まぐるしく価格が変わります。日本ではさらに為替も絡んできますから、もう大変です。

 もちろん、われわれモジュールメーカーもなるべく提供価格を変えずに済むように、可能な限りDRAMの在庫を持っておくなどの対策はしているのですが、それでもやはり価格を変えざるを得ない時は来てしまいます。

 ですので、いち早くメモリの価格動向を掴み、上昇前に買うのが上手なメモリの買い方になります。

そうは言ってもどうやって?

 オーソドックスなメモリ動向の掴み方としては、やはりDRAMを搭載する製品やDRAMメーカー関連の記事をチェックして予想ですね。スマートフォンが好調であればそこに沢山DRAMが使われるので供給が不足しますし、工場の事故などがあっても同じく供給が不足するので値上がります。

 ただし不定期なので、今現在の情報が知りたいんだ!という場合にはモヤモヤすることもあるかと思います。そこで、そんな方にDRAMeXchangeというサイトをご紹介します。

画像は記事原稿執筆時(10月4日)のスクリーンショット

 英語のサイトですが、表が読めればとりあえずは問題ありません。ここではDRAMやFlashの、おおよその取引相場のHighとLowが掲載されています。何%の変動があったかも載っているので、ひじょうに動向が掴みやすいです。

 ちなみに現在、DRAM価格はもの凄く高くなっています。原稿執筆時のDRAMeXchangeのDDR4 8Gbは9ドルでした。仮に為替を112円で計算すると、DRAM 1個で約1,000円。これがメモリモジュール1枚に8個や16個必要で、それに加えてCRや基板、組み立てコスト、パッケージや検査コストなどが乗るので完成品の原価がいくらになるかはお察しください。

ここ最近の推移は?

 じゃあその9ドルというのは今までと比べてどれくらい高いのか、という疑問を持たれる方もいるかと思います。下の表をご覧ください。

 これは価格の上がり始めた秋頃からの、約1年間のDRAMeXchangeの推移です。

 月の平均価格でグラフにしています。なんと去年(2017年)の秋と比べて倍の価格になっていますね。2月あたりで一時安定し、5月までにかけて戻るかな……と思わせておきながらさらに急激なペーズで再度高騰しています。恐ろしい世界です。

 そして、今のDRAM価格が高いのは確かなのですが、「じゃあ値下がるまで待とう」と考えたときに、いつになったら値下がるのか、確実な予想ができないのも確かです。もしかしたらさらに価格が上がってしまうかもしれません。

 「これ以上上がる前に買おう」にするか、「値下がるまでじっくり待とう」とするか「欲しい時が1番の買い時なんだ」とするかは貴方次第。DRAM価格の推移をチェックしながらそこを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。

最後に

 以上が5回目のコラムとなります。

 今回は普段あまり触れることのない価格関連のお話をしてみました(業界関係者から怒られるかも)。

 ちなみに前回のネタだったSPD関連で、近々弊社Twitterで何かお知らせがあるかもしれません。コラムネタも引き続き募集しておりますので、リクエストをお願いいたします。

 それではまた。

嶋野 康生

センチュリーマイクロ株式会社代表取締役社長。PCパーツショップのサポート、台湾系マザーボードメーカーを経て、2005年7月にセンチュリーマイクロに入社。マーケティング担当として入社したが、Webマスター・営業などさまざまな業務を担当後、現職に至る。PC、スマホはもちろん、カメラやクルマ、バイクなど多趣味かつ新しいモノ好き。たまにものすごく脱線します。