メーカーさん、こんなPC作ってください!

改造バカ、ラノベ向けPCを考える。ついでに1本ラノベを書き起こす(後編)

物書きはPCの夢を見るか?

 モノを書くという作業は、基本的にどんな状況でも発生する。勉強をしても、仕事をしても、はたまた遊びであったとしても「書く」という行為はつきまとう。友人にメールを「書く」、スケジュールを「書く」、始末書を「書く」。その作業自体は、決して珍しかったり特殊なことではないのだ。

 だが、ライターや作家、脚本家となると話は違ってくる。そう、書く量が圧倒的に多くなってくるのだ。書くことそのものが仕事であり、あるいはそれを「仕事にしたい」がために書くのである。逆に言えば量を書けなければ、仕事として成立しないのである。

 前編では私が物書きの師匠に「高橋君、物書きになりたいんだったら、とりあえず原稿用紙300枚分書いてみようか」と言われたと紹介した。その時、私はすでにライターを生業していたのだが、師匠に教わっていたのは小説を書くということ。同じ「書く」という作業であっても、記事を書くことと小説を書くことは似て非なるものである。例えライターとして書籍で原稿用紙300分を書けたとしても、小説で原稿用紙300枚を書けるかというと、これはまったく話が違うのだ。ライターとしてはやっていけても、作家としてはどうか? その答えを原稿用紙300枚で証明しなくてはならなかったわけだ。

 話は変わって「書くツール」に関して。私の師匠はかなりの高齢だった。長年、過酷にモノを書いてきたため、手書きの物書きにとっての職業病である「書痙(モノを書こうとすると手に痛みなどが生じる)」を患ってしまった。あまりにひどい書痙のため、筆を擱く、すなわち書くことを辞めようと思っていたそうだ。そしてそんな時に出会ったのが「ワープロ専用機」だったのである。ワープロ専用機のキーボードに出会い、書痙から開放された師匠は、再び小説の執筆や海外小説の翻訳を再開したのだという。

 やがて師匠のワープロ専用機はパソコン、すなわちPCへと進化を遂げた。実は私が師匠と出会えたのも、PCを通してなのである。パソコン通信のやり取りはインターネットでのやり取りへと進化した。NECのPC-9800シリーズはDOS/Vマシンへ、ブラウン管は液晶へと移り変わった。だが、PCというプラットフォームに変りは無かった。書痙から開放された師匠はPCで小説を、そして翻訳文を生涯書き続けたのである。

 では、モノを書くツールとしてのPCに、物書きは何を求めるのか? 前編での話し合いを元に、パソコン工房さんに用意してもらったのが今回のマシン、ラノベPCである。

ラノベを書くためのPCとは?

 ラノベ、ライトノベルをテーマにした理由は単純だ。巷ではラノベが流行っており、ラノベを書きたいという人が多いから、ただそれだけの理由である。なのでタイトルこそ「ラノベPC」だが、ここで用意したPCはラノベだけでなく、脚本、小説、エッセイ、ライター原稿、あらゆる執筆活動に対応しているものと考えて欲しい。

 さらに仕事でモノを書く、オフィスワークにも対応している点にも注目して欲しい。先ほども書いたが「モノを書く」という作業は、日々の生活、仕事やプライベートでも常に発生することだ。このため「ラノベPC」はオフィスワークなどのニーズにも対応している点が、面白いところである。

 さて、パソコン工房さんとの話し合いは前編を参照して欲しいが、私の要望をまとめると以下のようになる。

・小さいこと
・静かであること
・マルチディスプレイに対応していること
・安心、快適であること

 小さいというのは設置場所を選ばないため、静かであることは書くという作業で生じる思考を妨げないためだ。マルチディスプレイ対応というのは、ちょっと説明が必要かも知れない。モノを書く上で資料を参照することは、ごく自然なことなのだが、そんな時はディスプレイ1台よりも、絶対にマルチの方が便利である。単純な話、デュアルディスプレイで1台は資料の表示に使い、もう1台にワープロソフトやエディタを表示するのだ。ことモノを書くという意味では、トリプルディスプレイは必要無いと思う。トリプルまで表示面積が広がると、視点の動きが煩雑になってしまうからである。

 安心、快適というのはそのものズバリである。原稿、すなわちデータをロストする可能性を極力減らすことが「安心」、サクサク原稿が書けるというのが「快適」。もちろんゲームをするわけでは無いので、過大な処理能力は不要である。従ってスペック的には、過度な要求をすることはないし、ビデオカードも不要だろう。その分、コンパクトで省電力、静かな方が物書きにはメリットが多いと思う。

 さて、出来上がったラノベPCのスペックを見てみよう。

基本構成(梅モデル)
CPU Core i5-4590T(2GHz、ビデオ機能内蔵)
CPUクーラー 薄型静音CPUクーラー(Scyth KODATI)
メインメモリ DDR3 4GB×2
チップセット Intel H81(ASUS H81I-PLUS)
SSD 240GB SanDisk ExtremePro
GPU CPU内蔵グラフィック
光学ドライブ オプション(外付け)
ケース Antec ISK-110 VESA
電源 ケース内蔵ACアダプター電源 90W
OS Windows 8.1 Update 64bit
ディスプレイ オプション
キーボード オプション
マウス オプション
マウスパッド オプション
UPS オプション
価格 98,259円
AntecのISK-110 VESAを採用した本製品は机上に置いても邪魔にならないぐらいにコンパクト

 まずそのサイズだが、充分に小さい。採用された本体ケース、Antecの「ISK-110 VESA」はその名の通り、VESAマウントを使ってディスプレイの背面に設置することができるほどコンパクトだ。机上で縦置きにすれば、全く邪魔にならない。見た目の格好良さもポイントの1つだろう。

 静かであることに関しては、かなり気を使ってもらったように思う。というのも単純な話、このラノベPCにはCPU以外、ファンが無く、基本的にほとんど音がしないのだ(コンデンサ鳴りとか言わないように。しかもそれも無かった)。電源ユニットはACアダプタと基板を組み合わせた90W品で電動ファンを使わない。CPUクーラーにはファンがあるが、低回転でほとんど動作音が聞こえないレベルに抑えられているのだ。

 CPUとして採用されているCore i5-4590Tは4コアCPUだが、TDPが35Wと極めて低い。本体ケースであるISK-110 VESAが全面メッシュ仕様で内部放熱性が高いこともあって、低騒音ファンでCPUの放熱が可能になった。サンプルマシンの電源を入れたまま、5日以上あれこれ使っていたのだが、トラブルは全く無かった。

 ストレージはがSSD 1基を搭載するのみという潔さ。HDDや光学ドライブを搭載しておらず、完全なスピンドルレス仕様なのだ。これで動作音がしたら、逆にこっちが驚いてしまう。

【お詫びと訂正】初出時に本製品がファンレスであるとの記述が一部ありましたが、実際にはCPUファンを搭載しております。お詫びして訂正させて頂きます。

 グラフィックに関しては、ゲームをするわけではないので、CPU内蔵のものを使用する。Core i5-4590TなのでグラフィックとしてはIntel HD Graphics 4600となり、スペック的にはディスプレイ最大3台まで出力可能だ。マザーボードであるASUSTeKのH81I-PLUSはミニD-Sub15ピン、DVI、そしてHDMIを装備している。ディスプレイ2台なら、DVIとHDMIを使うのが今風の仕様だろう。実際、そのように使ってみたが、特別な設定などは不要。ただ繋げば、それだけでデュアルディスプレイを使用できる。

 ちなみにこの本体ケースは2.5インチSSDかHDDを、最大2基搭載できる。私としては2基搭載してRAID 1とも思ったのだが、後述する理由からSSD 1基となっている。だが、SSDにはSanDiskの「Extreme Pro」240Gバイトを採用してもらった。このExtreme Pro、性能と安全性が高い上に、長期間使い続けてもスピード低下が無いという特長を持っている。容量的に大きくは無いが、扱うのが基本的にテキストデータなので、充分以上と言っていいだろう。

 小さく静か、快適。そこに省電力が加わり、バランスの良いPCに仕上がっている。モノを書く快適さは充分に確保されており、ストレスは全く感じない。

 だが、PCでモノを書くということは、インターフェイスとしてキーボード、そしてマウスを使うということ。このあたりがしっかりしていないと、物書きツールとしては残念なことになってしまう。というわけでラノベPCのオプションは、バラエティに富んだものを用意してもらった。

充実したUSBポート構成。注目して欲しいのはビデオ出力端子。ミニD-Sub15ピン、HDMI、そしてDVIの3つが用意されている
薄型の静音CPUクーラー、ScythのKODATIを採用。非常に低騒音だ
ISK-110 VESAに付属のホルダーを、ディスプレイ背面のVESAマウントに取り付けたところ
ホルダーにISK-110 VESAを取り付ければ、さらに省スペースで運用できる
奥行きにもほとんど影響しないので、この状態で使ってもいいが、電源スイッチや各種ポートへのアクセスは難しくなる
電源ユニットはISK-110 VESAに組み込まれている基板タイプの90W。ACアダプタを接続して使用する

こだわりのオプション

 ラノベPCではキーボードとマウスがオプションとなっている。ほかにもディスプレイ、マウスパッド、光学ドライブ、UPS、ソフトウェアがオプションなのだが、執筆作業に直結するのはやはりキーボードだろう。私としてはキーボードで、東プレの製品は外せない存在だ。

 「キーボードを買おうと思うんだけど何がいい?」と聞かれたら、私は迷わず「東プレ」と答える。価格的には高価な部類に入る東プレのキーボードだが、私にとっては絶対に外せないツールなのだ。何しろ使い心地がいい。使い心地がいいということは、執筆がスムーズに進むということだ。この心地よさを是非とも、ラノベ作家になりたい人々に味わってもらいたい。

 が、しかし。キーボードとマウスの好みは「人それぞれ」なのである。たまたまワゴンセールで買った980円のキーボードが気に入ってしまい、それを使い続けている人もいる。こればかりは値段、メーカーに関わらず「使ってみてどうか」が最重要ポイントになる。従ってキーボードに関しては「実際に叩いてみる」ことが大切だ。リアルに叩いてピンと来たらしばらく使ってみる。キーが指先の一部になるようなら、そのキーボードはあなたに合っているということだ。なのでラノベPCでは、現時点で6種類のキーボードをオプションとして用意してもらっている。このオプションから選んでもいいし、パソコン工房の店頭で自分好みのものを探してもいいだろう。

 マウスに関しては個人的な意見を言わせてもらうと、ゲーミングマウスがいい。「感度が高すぎる」と思う人もいるだろうが、感度は調整すればいいだけの話。素早く正確に動かすことを前提として開発されたゲーミングマウスは広いデスクトップ、例えばデュアルディスプレイなどで力を発揮する。資料表示ディスプレイと執筆表示ディスプレイの間を頻繁に行き来するようなら、是非ゲーミングマウスを試してみて欲しい。たぶん気に入ると思う。

東プレのSA0100。普段、東プレのキーボードを愛用している私にとってはお馴染みさん。是非、そのタッチを体験してみて欲しい
アーキサイトのAS-KB91。テンキーレスで、メカニカルキースイッチはCHERRY製MXシリーズを採用している。青軸を採用したAS-KB91Cを使ってみたが、軽快なキータッチとクリックが快感。基本的にカチャカチャしているので、その音が気にならなければ「書いている」感をたっぷり味わえる
ロジクールのK120。良い意味で「普通」なキーボード。軽くスムース、ストロークは浅め。優れた耐久性、耐水性があるので、ラフに扱うのには最適だ。慣れると手放せない感が強い
ロジクールのG510s Gaming Keyboard。典型的なゲーミングキーボード。バックライト付きなので、暗い部屋での執筆には便利。メンブレンスイッチだがタッチは良く、執筆にも向いていると感じた。やや強めの反発もクセになる
これぞ低価格キーボードの決定版、LITEONのUCL111UBK1/USB。キーストロークは浅く、タッチは軽い。キーボード選びで迷ったらこれを選んでおき、じっくり自分好みを探すという手もある
ロジクールのM560BKをワイヤレスで使ってみたが、実に快適。ちなみにマウスパッドは私物、私の愛用品
ロジクールのG700s。どこへ出しても恥ずかしくないゲーミングマウス。無線、有線を状況に応じて選べるのがポイント。やや大ぶりなので、そこが気にならなければお薦めである。私も1つ持っていて、ほかのマウスと使い分けている
ノーブランドのちょっと面白いマウス。なんと筐体部分がシリコン製で、指で押すと「プニッ」としている。原稿がうまく書けなくてイライラした時など、プニッとすれば落ち着けるかも。マウスとしては小ぶりで普通

 UPSに関しては、積極的に導入して欲しいオプションだ。UPS、いわゆる無停電電源装置は、急な停電からだけでなく瞬断、サージ電流、過大なノイズからもPCやデータを守ってくれる。極端な話をすると足を電源ケーブルに引っかけてしまい、コンセントから抜けたとしてもUPSがあればなんとかなる(ただし、UPSとPCを接続している電源ケーブルでそれをやってしまったら、おしまい)。ラノベPCは省電力PCなので、大きなUPSでなくてもいい。言うなればお守りのようなものなので、是非導入を検討してみて欲しい。

APCのリチウムイオンバッテリを使用した、新世代タイプの無停電源装置GS Pro 500。やや高価だがコンパクトで邪魔にならない。ラノベPCはかなりの省電力なので、このUPSがあれば緊急時でも長時間、稼働状態を保持できる
GS Pro 500の電源ソケットは4つ。ラノベPC 1台とディスプレイ2台、計3台分のソケットがあればいいので、これで充分である

 ソフトウェアに関しては、モノを本格的に書くならジャストシステムの「ATOK」シリーズは個人的に必須だと思っている。Microsoft IMEも良い日本語入力ソフトだが、変換効率、機能などでATOKシリーズの優位性は圧倒的だからだ。

 光学ドライブに関しては「用途があれば」といった程度、ラノベPCではやり取りするデータは基本的にテキストデータと想定している。なので光学ドライブの出番はほとんどないはずだ。テキストデータならメールでやり取り出来る上に、クラウドストレージサービスを活用してもいいし、USBメモリなども役立ってくれる。Microsoft Officeに関しては、このラノベPCをオフィスワークにも使用する場合のオプションと考えて欲しい。

 ディスプレイに関してはデュアルディスプレイを想定してオプション化している。しかし、予算の都合があるのであれば、最初は1台で利用するという手もある。目に優しいという点に注目して、iiyamaとEIZOのディスプレイを選んでみた。コスト性能に優れたiiyama、信頼のブランドEIZO。両者を実際に見比べてみたが、シャープさと明るさでiiyama、ソフトで優しく精細度の高いEIZOという印象だった。このあたりも好みがあると思うので、可能ならパソコン工房にて実物を自分の目で見比べて欲しい。

EIZOのEV2450-BKを2台使ってセットアップしてみた。1つは資料表示用なので、身体の軸線からずらして配置している
資料を見ながらの執筆だと、こういった雰囲気になる。EV2450-BKの優しく精細な表示は、さすがEIZOだと思う
テキストエディタ、秀丸を使っての執筆。ワープロ、テキストエディタに関わらず、自分の感性に合ったツールを探し出そう
あれこれ資料を見ながらの執筆となると、専用のディスプレイがあっても足りないぐらい。効率よくウィンドウを使いたい
EV2450-BKのスタンドは、このような角度でも使用できる。ラノベを書いていけば、自然とディスプレイに向き合う時間が長くなる。楽なポジションを探しだそう
iiyamaのX2380HS-B2を2台使ってセットアップしてみた。シャープで美しい表示だが、初期状態ではやや明るすぎかも。目に優しい、自分だけのセッティングを探ってみよう
オプション一覧
カテゴリ メーカー 型番 価格
ディスプレイ iiyama X2380HS-B2×2台 39,485円
EIZO EV2450-BK×2台 80,037円
キーボード LITEON UCL111UBK1/USB 500円
ロジクール K120 1,275円
ロジクール Gaming Keyboard G105 5,379円
ロジクール G510s Gaming Keyboard 11,859円
東プレ SA0100 17,980円
アーキサイト AS-KB91 7,980円
マウス C252-1 M-088 BLACK 840円
ロジクール M560BK 2,679円
ロジクール G700s 8,619円
光学ドライブ LG GP60NB50 BOX 4,094円
マウスパッド C255 PD-424 500円
ELECOM MP-114BK 972円
ELECOM MP-115BK 3,066円
UPS APC BR550G-JP 17,259円
APC GS Pro 500 52,899円
ソフト ジャストシステム ATOK 2014 4,104円
Office Microsoft Office Premium Personal 20,520円
Microsoft Office Premium Home & Business 27,000円

データの冗長化は利用者の工夫が前提

 「原稿がロストすることだけは絶対に避けたい」。これを前提として私が当初主張したのはRAID 1、すなわちミラーリングの導入である。データの保存先となるドライブを2台用意し、それでRAID 1を組むのである。こうしておけば1台が故障しても、それを交換すればデータを失うことなく、作業を続けることができる。だが、パソコン工房の異なる意見には納得せざるを得なかった。

 「ミラーリングでPCを提供することは出来るが、トラブルが発生した際に対応できるスキルをユーザーに求めるのはハードルが高いかも知れない」。確かにその通り。私はたまたまテクニカルライターがメインの物書きなので、ミラーリングで発生したトラブルに対応するスキルを持っている(トラブルの発生したストレージを交換するという単純なものだが)。だが、PCを使ってモノを書くことは出来るが、PC自体に詳しいわけではないという人に、それを求めるのには無理がある。

 SSD 2台にするとコスト的なハードルも高まる。幸いなことにラノベPCで採用したSanDiskのSSDは性能の高さだけでなく、信頼性でも高い評価を得ている。それでも不安があるなら、各自の工夫でデータの冗長化を図ってみよう。具体的には以下のような方法だ。

・複数ドライブへの保存
・USBメモリへの保存
・NASへの保存
・クラウドストレージの保存
・定期的なバックアップ

 パーソナルデータ、重要なデータに関しては、最低でも異なる3カ所に保存、バックアップする。具体的には、ラノベPCにオリジナルデータが保存されているとしたら、そのほかUSBメモリ、クラウドストレージへバックアップするということだ。さらにNASへ保存すれば、バックアップ体制としては万全だろう(クラウドストレージの利用に関しては、自費出版編で詳細を紹介したい)。

 また、可能であれば起動ドライブ、ラノベPCであれば内蔵されているSanDiskのSSDを丸ごと、定期的にフルバックアップして欲しい。こうすることで仮に起動不能といったトラブルが発生しても、速やかに復旧することができる。原稿を守ることは最重要課題だが、トラブルがあっても火球かつ速やかに復旧し「書き続ける」ことも重要なのである。

クラウドストレージにバックアップするだけでなく、物理的なバックアップも絶対に確保したい。USBメモリはそんな時に便利

(閑話休題:その昔、私のようなテクニカルライターはよく、原稿が遅れた際に「急な停電でデータが壊れて」とか、「PCが急に起動しなくなって」などと言い訳をしていた。しかし最近は「UPS導入していないんですか?」とか、「リカバリすればいいじゃないですか(バックアップ前提)」と言われて窮するようになった。面倒な時代になったものだ)

理想的な物書きPCに仕上がった「ラノベPC」

 ここ1週間ほど、パソコン工房が用意してくれたラノベPCの試作機を使って原稿を書いてみた。オプションに関してはキーボードは東プレの「Realforce 108UH(SA0100)」、マウスにロジクールの「M560BK」、ディスプレイはiiyamaのX2380HS-B×2台用意してもらった。UPSもAPCのGS Pro 500を接続していたのだが、停電のようなトラブルも無かったので、それが活躍する場面はなかった。

 そんなラノベPCに普段から使っているATOK 2014とテキストエディタである「秀丸」をインストールし、実際に原稿を書いてみたわけだ。ちなみに私が普段使っている原稿書き用のメインマシンは東プレのキーボードとロジクールのゲーミングマウスが接続されている、ゲームもサクサク走るハイエンド系のPCである。ディスプレイはフルHDで3台のトリプルディスプレイとなっている。

 まずラノベPC単体の使い心地だが、これが極めて快適。原稿を書いている間、聞こえてくるのはキーボードの打鍵音、そしてパッド上を走るマウスの摩擦音のみ。というかラノベPCからは音がせず、むしろ近くにあった加湿器の動作音がうるさいと思ってしまった。エディタのスクロールなどでストレスが発生することはなく、デュアルディスプレイで資料を表示しつつ、極めてスムーズに原稿を書くことができた。

 ではラノベPCを、私が普段から使っているハイエンドメインマシンと比較してどうか? これが面白いことに「原稿を書く」という点では、全く同等と言っていいものだった。私のメインマシンは「原稿書きを含めて何でもできる」ことを前提に組んだ自作PCである。ゲームもすればムービー編集もするし、BDを観たり、音楽を再生したりもする。そこから「原稿を書く」という作業の生産性を切り出すと、ハイエンドPCもラノベPCも同じということだ。

 実はこのラノベPC企画の前編を見た、やはりプロの物書き(脚本がメイン)の友人と電話で話をしていて「ノートPCか、君が最近使っているSurface Pro 3でいいんじゃないの?」と言われた。彼はラノベ作家の事情にも詳しく「ラノベ書き主戦場は最近、ファミレスらしい」とも言っていたので、モビリティに注目したのだろう。最近のラノベ作家たちは、ファミリーレストランで原稿を書く機会が多いらしいのだ。だが、かくいうプロの彼も脚本や小説を書く時は、オフィスのデスクトップPCを使い、お気に入りのキーボードを叩いているのである。もちろん異論は認めるが、やはり、長文をじっくり書く時は、やはりデスクトップPCに、フルキーボードが一番、というのが私の意見だ。

 いずれにしても今回のラノベPCは、物書きにとって理想的なPCに仕上がっていると思う。いや、思うだけでは説得力が無いので、このラノベPCを駆使してラノベを書いてみようと思う。このあたりは前編でも触れたが、それをKindle出版してみたいと思う。まあ、今風のラノベは書いたことがないし恐らく私には難しいと思うので、普通の小説になってしまうと思うが(それも売れない小説(涙))。

 このKindle出版の流れは、後日談としてお届けする。現在のスケジュールでは2015年1月後半を予定しているのだが、果たしてどうなることやら……我ながら不安である。

(高橋 敏也)