4K修行僧

27型4K液晶とはどんな環境なのか。ひとまずスケーリング100%で使ってみる

 こんにちは。15.6型2kgの4Kノートを買って間もない中、IFAで東芝から12.5型1.32kgの4Kノートが発表され、以降血圧と心拍数が高めの若杉です。もう1台4Kノート買えるだなんて、なんて幸せなんだろうか。

 と言うわけで、検証の第1回目としてLGの27型4K液晶「27MU67-B」について見ていく。4Kほどの高解像度ディスプレイとなると、ドットバイドットの表示では文字が小さくなりすぎ、画面のスケーリング設定を調節することも十分にあり得る。これについては、回を改めて15.6型ノートPCの状況も踏まえてレポートする予定で、今回は基本的にスケーリングなしの状態での27型4Kの使い勝手などについて見ていく。

全部入り4K液晶の27MU67-B

LGの「27MU67-B」

 まず、いくつか存在する4K液晶ディスプレイの中で、LGの27MU67-Bを選んだ理由から説明しよう。一口に4K液晶と言っても、コンシューマ向けのものとプロ向けのものがある。予算の都合上プロ向けのものは最初から除外した。

 現在、コンシューマ向けのものは6万円前後にまで価格が下がってきている。基本的に電気製品は価格が安いものは、何かしら妥協点があるものだが、27MU67-Bは、購入金額59,800円と最安の部類に入りながらも、仕様上はかなりハイエンドになっている。具体的には、IPSパネル採用、10bit表示対応、sRGBカバー率99%、HDMI 2.0対応、FreeSync対応、ピボット対応などで、ある意味“全部入り”と言ってもいい。

 普段の業務で高度な画像/動画編集やゲームなどはしないので、10bit表示や広色域、FreeSync対応などは必須要件ではないものの、何かの機会に評価する可能性もある。そういう意味で、なるべく多くの機能に対応しているに越したことはない。と言うことで、液晶選びはかなりスムーズに終わった。

 仕様を紹介しよう。解像度はもちろん3,840×2,160ドットの4K。表示色数は約10億7千万色、輝度は300cd/平方m、応答速度は5ms(中間色)、コントラスト比は1,000:1(最大500万:1)、視野角は上下/左右とも178度。前述の通りIPSパネルなので、視野角は広い。デスクトップに27型を置くと、両端はそこそこ角度がつくので、視野角が狭いと見えにくくなってしまうが、27MU67-Bではそういった心配はない。

 インターフェイスは、HDMI 2.0×2、Mini DisplayPort、DisplayPortの4系統。現行のコンシューマ向け4K液晶のほとんどは、HDMIのバージョンが帯域が狭い1.4となっている。この場合、4K出力するとリフレッシュレートが30Hzになってしまう。HDMI 2.0であれば、出力側も対応している必要があるが、フルの4K/60Hzでの表示ができる。

HDMI 2.0×2、Mini DisplayPort、DisplayPortの4系統を装備

 本体サイズは643×250×439〜569mm(幅×奥行き×高さ)。台座の部分が液晶面から70mmほど手前にせり出しているが、特に設置に困ることはないだろう。高さは130mm、左右90度、下5度/上35度の角度調節ができるので、目線に合わせて、ぴったりの位置に画面を持ってこられるはずだ。筆者の場合、高さ95mm程度の台の上にディスプレイを載せているが、この状態だと、最も低い高さにした状態で、ちょうど良くなる感じだ。ピボットによる縦位置にも対応しているので一応試してみたが、てっぺんが大分高い位置に来るため、かなり見上げる格好になり、デスクトップではちょっと使う場面はなさそうだ。

ピボットにも対応

広大な解像度は、複数ウインドウで使うのが効果的

 筆者が普段業務で利用するアプリは、ブラウザ(Web閲覧やメール、CMSへの記事登録など)、秀丸(原稿執筆)、Paint Shop Pro X6(写真編集)、OneNote(取材・会議メモ)、Janetter(Twitter)など。簡単に想像が付くと思うが、これらのどれもフルスクリーンにすると解像度をもてあます。

 例えばPC Watchのトップページは横幅が960ドットとなっている。これをフルスクリーン表示すると、縦の情報量はフルHDに比べ約2倍になるが、横の情報量は全く増えない。横3千ドット近くが余白になってしまう。一方、記事ページは解像度があるだけ横に広がる仕様なので、3,840ドットをめいっぱい使うのだが、目を動かす量が非常に増え、行末から次の行頭に視線を移動する際には場所を見失うなど、むしろ読みにくくなってしまう。

多くのPCサイトは横幅が1,000ドット程度なので、4Kではほとんどが余白になってしまう
PC Watchの記事ページは横幅一杯に表示されるが、これだけ長いと折り返しで目線の移動が大きく、読みにくくなってしまう

 ここは、1つのアプリで4Kの解像度をめいっぱい使うのではなく、複数のアプリウインドウを同時に表示させることで活用すべきだ。原稿執筆作業の場合、OneNoteのメモやデジカメで撮影した写真、メーカーの製品情報ページなどを参照しながら、テキスト入力をしていくことが多い。その都合上、なるべく多くのウインドウを開いたままにしておきたい。原稿でなくても、業務書類を作成する際は、何らかの資料やサイトを参照しつつ書くことは多いだろう。そういう際は、Windowsのマルチウインドウ表示が役に立つ。

 筆者はWindows 8くらいの時代から、基本的にアプリをフルスクリーンで使うようになった。例えばメールなど、縦にも横にも情報量が多いPCのアプリだと、フルHD(1,920×1,080ドット)のフルスクリーンくらいでちょうどいい量の情報を一望できる(実際にはもう少し狭くてもいいのだが)というのもあるが、今後普及していきそうだった(実際にはそうはならなかったが)ストアアプリを見越して、敢えてフルスクリーンでの作業を常用し始めたのだ。ただし、秀丸とOneNoteは例外で、原稿執筆時はセットで使うことが多いので、2等分した画面にそれぞれを表示させながら原稿を書いていた。

 前回書いたとおり、それまでの環境は、13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)のVAIO Pro 13に、24型WUXGA(1,920×1,200ドット)の液晶を繋いだデュアルディスプレイだ。作業は24型の方で全て行ない、VAIO Pro 13は脇に置き、Twitterのタイムライン確認など時折目視するアプリ用として使っていた。昨今は、Twitterでメーカーの担当者がしれっと何らかの発表をしたりすることも多いので、原稿執筆作業中も各SNSのタイムラインは常時チェックしている。つまり、原稿執筆中は、24型の方に秀丸とOneNote、VAIOの方にJanetterで、最低3アプリが立ち上がり2つのディスプレイを占有する形になる。

 原稿が文字だけならこれでもいいが、作業終盤になると、本文を読み返しながら、どこにどの写真を入れるかを選定しつつ、写真を修正する作業がある。また、メーカーのサイトなどをブラウザで確認することもしばしば。Paint Shop Pro X6やブラウザはフルスクリーンで使っているので、秀丸などと行ったり来たりしながらの作業となる。つまり、WUXGA+フルHDでは窮屈で、解像度不足を感じていたのだ。

 できれば4つのウインドウをフルHDクラスの解像度で同時表示させたい。

 「Give me four」

 2つで十分ですよって?

 「No. Four. Two, two, four」なのだ。

Windows 10には4K向けの機能が標準装備

 さぁ、と言うわけで、4K液晶を手に入れたことで、1画面にフルHDのウインドウを4枚並べるという念願が叶うようになった。

 こういったマルチウインドウを活用して作業する場合、27MU67-Bには1つのメリットがある。それは、同梱の独自ソフト「Screen Split」の存在だ。このソフトをインストールすると、通知領域に常駐するようになり、このアイコンから、画面をきれいに分割できるようになる。2つについては、Windows 8からの標準機能になっており、Win+左右のカーソルキーでアクティブなアプリを画面半分のサイズにできるが、Screen Splitなら最大4つまでの画面分割ができる。

 例えば、4画面を選択すると、任意のウインドウをドラッグする際に、画面を4等分した枠線が表示されるので、ウインドウを4隅のどこかに寄せれば、自動的に4分の1のサイズでぴたっと嵌まるので、4つのウインドウを整然と並べられる。3画面の場合は、均等サイズでも、1つだけを大きくするレイアウトも選べる。また、配置後にどれか1つのウインドウの端をドラッグしてサイズを変更すると、併せて、ほかのウインドウも大きくなったり小さくなったりする。

Screen Splitは起動すると通知領域に常駐。クリックして画面分割の種類を選択できる
Screen Splitで4画面に整列させたところ
ウインドウを動かすと、4つのエリアのどれかの枠が緑色になるので、そこにドロップするとぴたっと嵌まる
均等3画面にしたところ。
整列後にウインドウのサイズを変えると、他のウインドウのサイズもそれに合わせてリサイズされる

 このアプリはLG製ディスプレイでしか利用できないのだが、Windows 10には似たような機能が標準で搭載されている。Windows 10でも、Win+左右カーソルキーでアクティブなウインドウを画面の右半分あるいは左半分に表示できる。この状態で、Win+上下カーソルキーを押すと、ウインドウの高さが半分になるのだ。これを他のウインドウにも繰り返すことで、きれいに4分割できる。ちなみに、初期状態では、アプリを半分や四半分にスナップした時、そのほかの起動しているアプリの中から横に配置できるものの候補が表示されるが、これは設定→システム→マルチタスクでオフにできる。

 この機能は、Screen Splitと違って、どれかのウインドウサイズを変更しても、他のウインドウはそれに追随しないので、手で微調整する必要はあるが、フルHDまでいらないアプリのサイズを小さくすることで、5ウインドウや6ウインドウでも自由に環境を構築できる。

 なお、Screen Splitを起動している間も、Win+カーソルキーによるサイズ/位置変更は行なうことができる。また、Screen Split利用時も、OSのこの機能でウインドウのサイズを変更すると、そのウインドウがScreen Splitの制御から外れ、1つだけで自由なサイズに変更できるという裏技もある。

 さて、筆者は現在、仕事中は1つのアプリで4Kフルスクリーンを使うと言うことはほとんど行なっておらず、これらの機能を使い、4Kの画面を4分割表示の状態で常用している。瞬間最大風速的には6個前後のアプリを行き来するので、4分割では足りなくなる局面もあるが、多くの場合、4つあれば十分な作業ができる。これは非常に快適だ。実際は、ノートPC側にも4K液晶があるので、そちらにサイトのリアルタイムアクセス状況など、操作のいらないものを表示させているが、そちらは2〜3ウインドウあれば十分なので、ややもてあましているほどだ。

 解像度が上がったのはいいが、文字の見やすさはどうなのか? 前述の通り、今回はスケーリング設定は100%、つまりドットバイドットのみの使い勝手をお伝えしている。その前が24型のWUXGAだったので、大きさは一回りしか大きくなってないが、画素数は縦横それぞれ約2倍になった。頭からディスプレイまでの距離は約65cmで変わっていない。つまり、文字の見かけのサイズは4分の1近くまで小さくなるということだ。こう聞くと、ほぼ視認できないサイズなのではと思われるかもしれない。

 だが、実際に使ってみて、そこまで小さくなった気はしない。これは筆者の視力が1.5以上あるので、もともと小さい文字でも支障がないということもある。実際、そばを通りかかったスタッフに「文字小っさ!」と言われることもしばしばだ。だが、例えばChromeで文字サイズを標準の中にした状態で、特に顔を画面に寄せたりせずとも、十分全ての文字が認識できる。ざっくり表現すると、一回り小さくなったかな、という感じだ。

 実は、筆者も購入してから気付いたのだが、27型4Kというのは13.3型フルHDを4枚敷き詰めたのとほぼ同じサイズ/解像度になる。外付け液晶はノートPCよりも画面の距離が(人・環境にもよるが)15cm程度遠くなるので、見え方は小さくなるが、13.3型フルHDで問題なく文字が読めている人なら、27型4Kでも文字をきちんと認識できる。

 ただし、これはスケーリングについて扱う回で詳しく述べるが、原稿を書く秀丸は、フォントの表示サイズをそれまでの10.5ポイントから14ポイントした。10.5ポイントでも読めるのだが、さすがに快適とは言いがたく、目を凝らす必要があり、やや疲れる。職業上、筆者は秀丸を使ってテキストと長時間にらめっこしていることが多い。この企画は「4K修行僧」と銘打っているが、体にむち打ってまで4Kをスケーリング100%状態で利用することを貫くマゾヒスティックなものではない。ということで、ここは無理をせず文字サイズを少し大きくすることにした次第だ。

このように並べると分かる通り、27型4Kを4分割した画面は、13.3型フルHDとほぼ同じ大きさ・解像度となる

 もう1点、HDMIで4K液晶を使う際に気になるのが30Hz表示だ。本製品は前述の通りHDMI 2.0による60Hzに対応するが、それは出力側も対応していての話。今回購入したデルの「Inspiron 15 7000」にはDisplayPortがなく、HDMIはバージョン1.4aまでの対応だ。そのため、27MU67-Bに繋いだ際は30Hz表示となってしまう。

 これについては、最初はもたつきにも似たカクカク感を感じるが、数日使っていれば慣れるレベルだと言える。少なくとも筆者が業務で使うアプリにおいては、なんら問題を感じていない。もちろん、動画はソースが60pでも30pになるなど問題もある。この辺りについても、また別の機会にFreeSyncなどを含め、もう少し詳しく見ていくが、30Hz表示は、さほど心配しなくていいというのが率直な意見だ。

4K液晶はフルHD液晶4台に相当

 総合すると、27型4K液晶の見え方は、24型フルHDを4分の1近くに縮小したというより、13.3型フルHD液晶4枚を65cmくらいの距離に置いたものだと言うと、より多くの人が文字のサイズ感を把握しやすいのではないだろうか?

 そして、自分が普段使っているアプリには4Kもの解像度は不要だと考えている人でも、日常的に複数のウインドウを参照しながら作業しているのであれば、フルHD液晶を4枚置いたとことに相当する4K液晶は確実に生産性を上げられると言っていい。

 実際、先日のAppleのストリーミング発表会の際は、速報記事を上げるため、ブラウザ3つ(ストリーミング再生とAppleのプレスサイトの確認と記事のアップロード用に1つずつ)、OneNote、Twitter、Paint Shop Pro X6、エクスプローラー、秀丸を同時起動し、一部のウインドウは幅を狭めて6ウインドウを同時に見ながら作業していた。これは自宅だったため、27型は使わず15.6型のノートにて作業したのだが、これまではノートPC 2台体制だったものを1台に集約できた。

Appleの発表会の時はこのような画面体制で仕事をしていた

 もちろん1つのアプリで4Kフルスクリーン表示によって、恩恵を得るアプリもある。これはまた機を見て紹介したい。

27型4KディスプレイをフルHD×4として使った時の評価=4Kaiteki

(若杉 紀彦)