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パシフィックネット、IT資産管理サービスを無償提供

~年内にはIT産業の調査データの提供も開始

P-Bridgeのポータル画面。今後、IT産業の調査データなども掲載するという

 株式会社パシフィックネットは、10月1日から、企業・官公庁のIT機器の廃棄および処分に伴う作業を効率化する新たなWebサービス「P-Bridge」を無償で提供する。

パシフィックネット 経営企画室長兼SI推進部長の大江正巳取締役

 パシフィックネットは、これまでに約1万社の企業、官公庁、自治体、学校、病院などから、不要になったIT機器の処分業務を受託している企業だ。今回のサービスは、同社と取引のあるユーザーに対してはもちろん、今後処分業務を委託したい企業などに対しても無償で提供することになる。また、SIerを始めとするパシフィックネットのパートナー企業向けにも同サービスを無償で提供し、SIerのサービスメニューの拡充や新規顧客獲得にも活かせるようにする考えだ。

 IT機器の処分業務は、処分リストの作成や回収手配、現物との突き合わせや差異の解消、処分までの保管、処分の確認や処分後の機器探索に至るまでのほとんどを手作業で行なっているのが現状で、企業にとっては効率性の改善が課題となっていた。

 パシフィックネット 経営企画室長兼SI推進部長の大江正巳取締役は、「入口のIT化は進んでいても、処分や保管といった出口に関してはIT化が進んでいないのが実状。Windows XPからの移行の際にもIT資産管理に苦労した企業が多かったが、今後も、スマートフォンやタブレットの普及によって、1人2台持ちの利用が増加したり、BYODの需要も増加すると見られ、IT資産管理は重要な課題になる。今後の課題解決に向けて、IT資産管理サービスを無償で提供することで、顧客との接点をより強固なものにしたい」とする。

 「P-Bridge」では、パシフィックネットと受託先のユーザー企業が、IT資産に関するデータを共有することで、機器処分リストの作成が不要となり、リストと実物件との誤差突き合わせ作業が容易になるほか、データ消去完了の報告受領までのリードタイムの短縮化が図れるという。また、処分履歴やデータ消去証明書の一元管理により、トレーサビリティ(追跡可能性)が向上し、データ管理の高度化、セキュリティレベルの向上に繋げられるのも特徴だ。

 処分機器リストの作成や加工の手間を削減できるだけでなく、処分業務プロセスの情報共有を可能にできる。また、P-Bridge内の伝達・共有機能を活用した情報共有の一元化により、パシフィックネットやSIerなどの営業担当者とのメールや電話などによる伝達、確認作業をWeb上で確認。そのほか、処分履歴の一元管理、報告書や証明書のペーパーレスによるエビデンスの管理が可能になる。

 「昨年(2013年)秋から基本設計を開始、今年(2014年)1月から開発をスタート。7月からは数千人規模の企業を含む6社を対象に試験運用を行なってきた。その結果、ユーザーの業務負担の軽減、リードタイム短縮、トレーサビリティの強化を図ることができ、よりセキュアで効率的な資産処分が可能との成果があがっている。IT部門では、資産管理や処分に関わる単純業務を削減でき、戦略的業務にシフトできるというメリットもある。試験運用を通じて出された改善要望なども10月からのサービス開始時には反映していく」(大江取締役)としている。

 これまで同社では回収したPCのデータ消去証明書を製本して提供するといったサービスを標準で提供していたが、ユーザー企業の間では閲覧回数が少ないにも関わらず、保管場所に困るといった声も出ており、今回のP-Bridgeのサービス開始とともに、デジタルデータによるデータ消去証明書提供および管理も開始する。

 さらに、IT資産管理ツールでトップシェアを占めるLanScope Catとのデータ連携も実現。また、P-BridgeではCSVでのデータ取り込みも可能としており、シームレスなPCライフサイクル全体の管理も実現している。

 P-Bridgeの名称の“P”はパシフィックネットを意味し、“Bridge”は、顧客のITをパシフィックネットと繋ぐこと、IT資産管理と繋ぐこと、ライフサイクルマネジメントをアナログからITに繋げることなどを意味しているという。

 同社では、ユーザーの声を反映し、継続的にP-Bridgeのバージョンアップを行なっていく考えであるほか、「年内をめどに、IT産業に関する調査データなどをポータルサイトに随時掲載し、情報システム部門などがより効果的に利用できるソリューションプラットフォームに発展させたい」(大江取締役)という。

 P-Bridgeのサービスの問い合わせは、パシフィックネットのWebサイトを通じて行なえる。

P-BridgeによるIT資産管理画面
シリアルナンバーやスペックなどの細かい情報も管理
回収依頼をサイト上から行なう。日付も指定も簡単にできる
ユーザー企業とのやりとりは一元化して表示できる
パシフィックネットのサイトからP-Bridgeに関する問い合わせが可能になる

 同社では、「取り引き実績がある1万社の企業全てに利用してもらうことを狙うとともに、さらなる取引先拡大のツールとしての活用、パートナーの事業拡大のツールとしての利用、さらには、これまで当社と取り引き実績がある企業へのサービス強化により、企業シェアの拡大といった、量と質の両面から成果があると考えている」(大江取締役)としている。

 パシフィックネットは、PC、タブレット、サーバーなどのIT機器の買取や回収、再生サービスを行なっている唯一の東証マザーズ上場企業で、上場企業の約30%が同社の買取、回収、データ消去サービスを利用。リース物件やレンタル物件などの間接的なサービスを含めると、50%以上の上場企業が同社のサービスをなんらかの形で利用しているという。また、国内全県でのPC引き取り回収が可能な唯一の企業だという。

 2013年度実績で約80万台のIT機器の処分サービスを行なっており、事業系PCの再生市場においては、17.3%のシェアを持つ。

(大河原 克行)