●いつも持ち歩くPCの条件 CPUコアを4つ載せた強力なデスクトップPCもいいけれど、PCを文房具やコミュニケーションツールとして使おうとすると、いつでもPCを持ち歩きたくなる。 PC Watchの筆者の中には、常に強力なノートを持ち歩くために、常に車輪付きのキャスターバッグを転がしている強者が多いのだが、ここでは混雑時の電車通勤でも他人に迷惑をかけず持ち歩けるショルダーバッグに入ることを前提に、この冬が旬の製品を考えてみよう。 ただし、一般的なB5モバイルノートまで範囲を広げると、夏に掲載された本田雅一氏の「2007年夏のモバイルPC購入ガイド」からの差分はまだ少ない。 そこで今回は、本当に常時持ち歩ける(または、その気になる)超軽量のノートPCをピックアップしてみた。主な設定条件は次のとおりだ。
1)2007年中(できれば後半)に発売されたモデルであること 1は、そこそこ使い続けるという前提で、できるだけ新しい物を買いたい。2007年の年末に買おうというのだから、できれば夏のボーナス時期以降に発売になった製品を選びたいところだ。2007年に出た製品でも、ボディの基本形が2006年以前の製品ははずしてある。 2は、私自身の体験として、これぐらいが常時持ち歩ける限界だと思うからだ。過去の経験からすると、1.2kgだと常時携帯が苦しくなり毎日の通勤がなんとかこなせる程度、1.5kg近くなると週末にしか自宅に持ち帰らなくなってしまう。 3は、PDAやWindows Mobileを搭載したスマートフォンではなく、フルPCを持ち歩く最大の理由がWindows XP/Vistaのアプリケーションを使いたいからだ。では、CPUはどのあたりが下限かといえば、まぁ、Intel A110ぐらいは最低ほしい。液晶解像度は1,024×768ドット(XGA)を基準にしたアプリケーションが多いので、できればこれぐらいほしい。Webを見ることを考えると、せめて横方向だけでも1,024ドットほしいところだ。メモリはWindows XPなら512MBでも我慢できなくはないが、できれば1GBほしい。Windows Vistaなら最低1GB、できれば2GBほしい。モバイルノートPCの場合、GPUが独立しておらず、メインメモリの一部をビデオ用に使うことが多いので、それも忘れないようにしたい。 4は、長い会議や、電車とバスを乗り継ぐ通勤経路中にバッテリのことが忘れていられる時間ということで設定。 5は、一応、キーボードの上に手を置いてタッチタイプできる下限ということで設定。もちろん、両手で本体を支えながら、両手の親指のみでキー打つ“HP打ち”するから、そんなにいらないというご意見もあろうが、普通のPCとして使うからには、このあたりが下限だと思う。 6は、携帯電話系の高速化によって、必要度が下がったという声もあるが、オフィス内での移動の際などにないと不便に感じる。 ●1kgを切るノートPCカタログ では、個別の製品にあたってみよう。なお、各製品の仕様は店頭販売モデルを基にしている。各製品とも、直販サイトではカスタマイズ可能になっている部分も多いので、この仕様はだいたいの目安ととらえてほしい。基本的に上限の仕様を求めると、直販モデルを買わねばならないと思って間違いはない。 この分野の製品は、大きく2つの流れがある。1つは、ペンによる操作を考慮したタッチパネル液晶を搭載したタイプ、もう1つは通常のノートPCを小さくしたタイプだ。まず、ペンタッチタイプから紹介しよう。
■富士通 FMV BIBLO LOOX U X/V
形態でいえば、コンバーチブル型のタブレットPCに近い。 さきほど挙げた条件の中では、液晶解像度が縦方向に足らず、バッテリ駆動時間がやや短い。外寸は大きくなってしまうが、オプションの大容量バッテリを使用することで、駆動時間は約7.7時間まで伸びる。 キーボードはキーピッチは確保されているが、特殊な配置になっているので、写真で配置を確認されたい。特に、カーソルキーがFnキーと同時押しなので、「Change Key」などのキー配置変更ユーティリティを使用することをお勧めしたい。
□製品情報 ■工人舎 SH8KP12A/SH8WP12A
ミニノートPCに特化した工人舎の製品。UMPCを基にした構成や、コンバーチブル型のタブレットPC型の筐体、ワンセグチューナの搭載などLOOX Uとの共通点が多い。 先ほど上げた条件の中では、縦方向の液晶解像度とバッテリ駆動時間がやや足りないのも共通だ。 液晶は7型のワイド液晶を搭載しており、ボディが大きくなった分、キーボードやHDD容量に余裕がある。キーボードは通常の配置に近く、ピッチは15.9mm。重量はかろうじて1kgを切っている。 SH8KP12AとSH8WP12Aの違いはボディカラーのみ。また、上位機種として32GBのSSD搭載機種が用意されており、ランダムアクセス速度の向上やバッテリ駆動時間の延長などの利点がある。 直販モデルでは、オプションのセットモデルなど、選択肢が広がっている。
製品情報 http://www.kohjinsha.com/models/sh/sh8kp12/index.html 関連記事 【9月5日】工人舎、SSD搭載超小型PCのCPUを強化 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0905/kohjinsha.htm 次の2機種は、一般的なノートPCタイプになる。 ■パナソニック Let'snote R7
通常のノートPCをそのまま小さくした形で、丸いポインティングデバイスなどの操作もシリーズ共通だ。キーボードピッチも17mmを確保している。 R7になってから、76cm落下実験実施、キーボードの完全防滴化などタフさを増している。また、R7から冷却ファンが搭載されたことで常に安定したパフォーマンスが得られるようになった。一方で、ファンレスの静粛さを懐かしむ声もある。 直販サイト限定モデルとして「プレミアムエディション」が用意される。Turbo Memoryの搭載、CPU/HDDの強化、Let'snoteのイメージを覆す「ジェットブラック」の筐体色など、尖った仕様の製品だ。
製品情報 http://panasonic.jp/pc/products/r7b/index.html 関連記事 【10月19日】【山田】ファンがついたLet'snoteが得たもの、失ったもの http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1019/config182.htm 【9月27日】パナソニック、「Let'snote」全モデルでSanta Rosa搭載 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0927/pana1.htm
■東芝 dynabook SS RX1/T7A
最軽量のSSD搭載モデルは、光学ドライブを搭載し、製品付属の標準バッテリ装着時でも968gと1kgを切る。光学ドライブ搭載のHDDモデルでも1,090gという軽量さ。1kgを切るモデルの中では、唯一の12.1型ワイド液晶を搭載する。解像度は1,280×800ドットとXGAを越える。キーボードにも余裕があり、ピッチは19mm確保されている。 メモリは店頭販売用のHDDモデル「T7A」では1GBだが、オンボード512MB、スロット512MBで搭載されており、空スロットがない。メモリ増設時にはモジュールの差し替えが必要となる。店頭モデルではSSDモデルのみオンボードで1GBを搭載している。なお、直販モデルでは、U7600(1.20GHz)搭載モデル、HDD搭載ながら2GBのモデルや120GB HDDモデルも用意されている。
製品情報 ●PCは仕事の道具か ここに挙げた製品以外では、やや基本設計は古いもののソニー「VAIO type U」や、わずかに1kgを越えるNEC「LaVie J」の1スピンドルモデル(LJ700/JH)なども、候補に入るだろう。
また、CPUパワーや液晶解像度にこだわらないというのであれば、超小型のOQO「Model2(OQO2)」、10万円以下からある工人舎「SA1F00」などの異色の製品もある。各自の好みと用途を勘案して選んでいただきたい。
電車で通勤していると、一番多いのが携帯電話でメールを読み書きしている人、次がニンテンドーDSやPSPを操作している人で、PCを使っている人が一時よりは減ったと感じる。以前はPCが必要だった、メールを読み書きするとか、動画を見るとかいう用途だけなら、すでにPCは必須ではなくなっているのだ。極端なことを言えば、いまのモバイルPCは、オフィス以外の場所で“仕事”をするための道具になってしまったのかもしれない。しかし、まだPCでなければできないという用途もあるし、これで終わりだと思っていても、新しい用途を開発してきたのがPCの世界だった。 イー・モバイルなどの固定費用で常時使える高速回線が使えるようになった今こそ、PCを持ち歩くことで、新しい用途や楽しみがみつかることを期待したい。
□関連記事 (2007年12月12日) [Reported by date@impress.co.jp]
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