富士通「FMV-BIBLO LOOX U50WN」
〜タッチパネル採用の580gミニPC



富士通
「FMV-BIBLO LOOX U50WN」

 Intelが提唱するUMPCプラットフォーム「Intel Ultra Mobile Platform 2007」に準拠する、富士通の「FMV-BIBLO LOOX U50WN」(以下LOOX U)。タッチパネルを利用したコンバーチブルスタイルを実現しながら、重量約580gと非常に軽量かつコンパクトなボディを実現している。


●Intel Ultra Mobile Platform 2007を採用

 LOOX Uは、6月にビジネス向けとして一足早く発売された超小型モバイルPC「LIFEBOOK U」を一般ユーザー向けとして発売したもの。2007年4月に北京で開催されたIntel Developer Forum Beijing 2007で発表されたUMPCプラットフォーム「Intel Ultra Mobile Platform 2007」(UMP 2007)を採用する超小型ノートである。UMP 2007の基本仕様は以下の通りだが、LOOX Uの基本スペックも当然この仕様に沿っている。

・Intel Ultra Mobile Platform 2007の仕様
 CPU:Intel A100またはA110
 チップセット:Intel 945GU Express
 サウスブリッジ:ICH7U
 メモリ:DDR2-400 最大1GB

 LOOX Uに搭載されるCPUはIntel A110で、動作クロックは800MHz。チップセットもUMP 2007の仕様どおり、Intel 945GU Express+ICH7Uを採用する。メインメモリはDDR2-400を512MBまたは1GB、HDDは30GBまたは40GB搭載可能。LOOX Uは富士通の直販サイト「富士通WEB MART」のみで販売されるWeb限定モデルだが、メインメモリ容量およびHDD容量は購入時に自由に設定可能。メインメモリはオンボード搭載のみで増設用のメモリスロットは用意されないため、できれば購入時に最大となる1GBを指定したい。HDDは1.8インチ/5mm厚のドライブを採用。HDDは本体底面のカバーを外せばすぐに取り出せるが、1.8インチHDDは入手性があまり良くないことに加え、5mm厚の1.8インチHDDは現時点では40GBが最大容量となるため、こちらも購入時に最大容量となる40GBドライブを指定しておきたい。

 ネットワーク機能は、Ethernetを標準搭載するものの、本体にLANコネクタは用意されておらず、利用時には変換アダプタまたはポートリプリケータの接続が必須となる。またIEEE 802.11a/b/g無線LANはオプション扱いとなっており、標準搭載ではない。使い勝手を考えると無線LAN機能の搭載はほぼ必須となるため、購入時に必ず選択するべきだろう。

 本体サイズは、171×133×26.5〜32mm(幅×奥行き×高さ)と、非常にコンパクト。DVDのパッケージを2枚重ね横幅を2cmほど短くしたような感覚だ。また、重量は約580gとこちらも非常に軽量。本体サイズが小さいこともあるためか、手に持っても驚くような軽さを感じることはなかったが、もちろん携帯性に関して文句の付け所はない。バッグの中に入れて気楽に持ち歩けるサイズかつ重量であると言っていいだろう。ちなみにこの数値は標準の内蔵バッテリパックを搭載してのもの。大容量の内蔵バッテリパック(L)搭載時には、奥行きが21mm大きくなり、重量も約110gほど重くなる。内蔵バッテリパック(L)搭載時の重量の実測値は700gであった。

 バッテリ駆動時間は、内蔵バッテリパックで4時間、内蔵バッテリパック(L)で8時間となる。長時間持ち歩いて活用するというのであれば、多少サイズと重量が犠牲になるとしても、内蔵バッテリパック(L)の選択がおすすめだ。

富士通 FMV-BIBLO LOOX U50WN 本体上部 フットプリントは171×133mm(幅×奥行き/バッテリ除く)。DVDパッケージよりやや幅が短いほどのサイズしかない
底面 正面 左側面
背面 右側面 底面のカバーを外すと、無線LANカードとHDDが見える。無線LANはオプション扱いだ
HDDは5mm厚の1.8インチドライブを搭載。30GBまたは40GBを選択できる EthernetおよびミニD-Sub15ピンは、変換アダプタまたはオプションのポートリプリケータを接続することで利用可能となる 変換アダプタは本体前面コネクタに接続して利用する
内蔵バッテリパック(L)。容量は5,200mAhで約8時間の連続駆動が可能だが、本体後部に大きくはみ出す 付属のACアダプタは非常にコンパクトで持ち運びも苦にならない

●約14mmピッチのキーボードを搭載

 非常にコンパクトな本体サイズを実現する上で最も大きな影響を受けるのがキーボードだろう。LOOX Uには、キーピッチが約14mmと、本体サイズを考えると比較的大型のキーボードが搭載されている。また、アルファベットキーについては、一般的なキーボードと同じQWERTY配列となっている。

 ただし、キーの数は56と、一般的なキーボードよりも大幅に少なくなっている。そのため、半数以上のキーに[Fn]キーとの併用による機能が割り当てられている。しかも全てのファンクションキーに加え、[\]やTab、カーソルキーなど、比較的使用頻度の高いキーも[Fn]キーとの併用だ。それ以外にも特殊な配列も多くあり、一般的なノートPCのキーボードと同等の感覚で利用できるというわけにはいかない。

 もちろん、キーをもっと小さくすれば、フルキーボードを実現することも不可能ではないだろう。ただ、いくらフルキーボードであっても、キーが小さくなればなるほど入力は難しくなる。確かにLOOX Uのキーボードは[Fn]キーとの併用が多いという欠点はある。しかし、キーピッチが約14mmと本体サイズを考えると比較的大型のキーを採用することによって、少なくとも、文章を入力する場合にはそれほど大きなストレスを感じない。やや窮屈で慣れは必要だが、タッチタイプも不可能ではないキーボードを実現している点は評価すべきだろう。また、暗い場所でのキー操作を考慮し、キーボードライトが標準で搭載されている点も見逃せない部分だ。

 ポインティングデバイスは、スティックタイプのスティックポイントを搭載する。スティックはキーボード中央ではなくキーボード右上に、またクリックボタンはキーボード左上に配置されている。これは、液晶ディスプレイを回転させてピュアタブレットスタイルで利用する場合を考慮してのものだ。ポインティングデバイス自体の使い勝手は、一般的なスティックタイプとほぼ変わらない。また、スティック部分は押し込むことで左クリック相当として利用できるようになっているため、片手のみでの操作も軽快だ。ただ、液晶画面の小ささと解像度の高さから、細かな操作はやや難しいように感じた。デスク上で利用するなら、外付けのマウスを接続した方がより軽快な操作が行なえるだろう。

キーボードは約13mmピッチとサイズの割には大きく、慣れればタッチタイプも可能。ただしキー数が少なく配列も無理が多い ファンクションキーや[\]キー、カーソルキーなど主要キーの多くが[Fn]キーとの併用となっている(キートップ青の刻印) キーボードライトも標準搭載。暗い場所でも快適に利用できる
スティックタイプのスティックポイントをキーボード右上に搭載。押し込むと左クリック相当の動作も行えるため片手での操作も軽快だ クリックボタンはキーボード左上に配置されている

●コンバーチブルスタイルの5.6型タッチパネル液晶を搭載

 液晶ディスプレイは、1,024×600ドット表示対応の5.6型TFTスーパーファイン液晶を搭載する。パネル前面にはタッチパネルが配置されており、タブレットPCとしても利用可能。パネル部分は180度回転するコンバーチブル型となっており、通常のノートPCとしてはもちろん、ピュアタブレットスタイルでの利用も可能。回転ヒンジは、大型液晶搭載のコンバーチブル型タブレットPCと比較するとやや軽い印象だが、液晶パネルが小型かつ軽量ということもあり、ぐらつきを感じることはほとんどない。

 タッチパネル付き液晶は、視認性が若干犠牲になっている場合があるが、LOOX Uでは視認性の低下はほとんど感じない。LEDバックライトを採用することによる輝度の高さもあってか、表面にタッチパネルが配置されていることはほとんど感じない。また、一般的なLOOXシリーズ同様、表面は光沢のあるグレア処理が施されており、発色も鮮やかで映像や画像の表示クオリティも十分満足できる。

 ただし、サイズの割に解像度が高いため、アイコンの文字などかなり小さくなってしまう。液晶パネルのドットピッチは0.120mmと、12.1型XGA(1,024×768ドット)液晶のドットピッチ(0.24mm)の半分しかない。つまり、表示される文字の大きさは、12.1型XGA液晶での文字の大きさの約1/4ほどになるため、文字の視認性はやや厳しいように感じる。とはいえ、大型液晶を採用するとこの本体サイズは実現できず、解像度を下げると使い勝手が下がってしまう。もともと超小型PCではサイズを要因とする仕様面の割り切りが不可欠だが、やや視認性が悪くなるとはいえ、十分な解像度の液晶パネルを搭載して使い勝手を優先している点は好感が持てる。

 タッチパネルの使い勝手は、最近増えているタッチパネル採用のタブレットPC同様、特に問題を感じることはない。付属のペンでの操作はもちろん、指を使っての操作も全く問題がなく、搭載されているスティックタイプのポインティングデバイスを利用するよりも軽快な操作が可能なように感じた。ただし、表示されるアイコンや文字が小さいため、指での操作時には指の腹でタッチするのではなく、ツメの先でタッチするような感覚で操作する必要がある。

液晶ディスプレイは、1,024×600ドット表示対応の5.6型TFTスーパーファイン液晶を搭載 表面にタッチパネルが配置されているものの、輝度が高く発色も鮮やか。ただしドットピッチが小さく文字の視認性はやや厳しい 液晶パネルは180度回転でき、ピュアタブレットスタイルでも利用可能
液晶パネル右には指紋認証センサーが用意されている 液晶パネル右上にタッチペンが収納されている タッチペンは延ばして利用可能。もう少し太く長ければもっと扱いやすいように思う

●ポート類は必要最小限

 本体に用意されているコネクタや拡張スロット類は、必要最小限にとどめられている。

 まず、USB 2.0ポートは本体右側面に1ポートのみを用意。また、本体右側面にはCFカードスロットが、本体右側面にはSDカードスロットがそれぞれ用意されている。以上が本体に用意されている主なコネクタおよび拡張スロット類となる。EthernetやミニD-Sub15ピンは、本体前面の専用コネクタに変換ケーブルまたはポートリプリケータを接続することで初めて利用可能となる(ポートリプリケータ接続時にはUSB 2.0ポート×4も利用可能となる)。

 ただ、拡張性が充実していないとしても、実際に利用する上でそれが大きな欠点になるということはないだろう。もともとLOOX Uはメインで利用するマシンではなく、気楽に持ち歩いて外出先で利用するサブマシンとしての利用が中心であり、本体の拡張性がやや乏しくてもそれほど不満は感じない。加えて、ポートリプリケータを利用すれば、Ethernetや外部ディスプレイの利用はもちろん、USB 2.0ポートの拡張によりキーボードやマウス、光学式ドライブなども同時に接続して利用可能となるため、デスクでの利用時にも特に大きな問題にはならないと考えていいだろう。

本体右側面には、CFカードスロット、電源スイッチ、USB 2.0×1が配置されている CFカードスロットはダミーカードで保護するタイプだ
本体左側面には、ACコネクタやSDカードスロット、音量調節ダイヤル、マイク/ヘッドフォン端子が配置されている 無線LANのON/OFFスイッチも左側面に用意されている

●LOOX Uは“Origami”準拠ではない

 UMPCのプラットフォームには、LOOX Uが採用しているUMP 2007だけでなく、Microsoftが提唱する「Ultra Mobile PC」(コードネーム「Origami」)もおなじみだ。双方のUMPCプラットフォームの仕様は非常に似通っており、特にハードウェアに関する仕様はほとんど同じものと言ってもいいほどだ。しかし、Ultra Mobile PCでは、OSとして「Windows XP Tablet PC Edition 2005」を採用し、さらに独自のUIを実現する「Microsoft Touch Pack」のインストールが必須となる。それに対しLOOX UにプリインストールされているOSは、Windows XP Professionalで、当然Microsoft Touch Packもインストールされていない。つまり、Origami準拠ではないというわけだ。

 もちろん、キーボードやポインティングデバイスが搭載され一般のノートPCとほぼ同等の使い方が可能であることを考えても、Origami準拠でないことが特に大きな問題になるというわけではない。ただ、Microsoft Touch Packが搭載されていれば、ピュアタブレットスタイルで利用する場合の操作性が向上するという利点があるため少々残念なのも事実。もともと直販専用モデルとなっていることもあるので、できればOSとしてWindows XP Tablet PC Edition 2005+Microsoft Touch Packの選択もできるようになるとありがたい。

●スペックより携帯性を重視する人におすすめ

 では、いつものようにベンチマークテストの結果を見ていこう。OSがWindows XP Professionalであるという点に加え、UMP 2007準拠のため一般的なノートPCよりも若干スペックが低くなっている点などを考慮し、利用したソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と「3DMark05(Bulid 1.3.0)」の2種類のみとした。

 結果だが、PCMark05ではGraphic関連のテストが正常に動作せず、PCMark ScoreとGraphic Scoreが計測不可能だったが、それ以外の結果からも、やはりややパフォーマンスが低いということが判断できる。また、3DMark05の結果も同様。もともと描画はチップセット内蔵のGMA 950が利用されているということで3D描画能力がほとんど期待できないことはわかっていたが、それでもやはりかなり低い結果であると言わざるを得ない。ただ、これはLOOX UがUMP 2007準拠のハードウェアスペックであるという時点で容易に想像できることでもある。そういった意味では、ベンチマークテストの結果が多少低いとしても、特に気にする必要はないだろう。また、このスペックだからこそ、OSとしてWindows VistaではなくWindows XPが選択されているのだろう。

 LOOX Uは、圧倒的に小さく軽いボディや、液晶パネルにタッチパネルを配置することでノートPCとしてもタブレットPCとしても使えるコンバーチブルスタイルなど、スペック面ではなく機能面に特徴があるマシンだ。用途も、動作の重いアプリケーションをバリバリ使うというものではないため、当然要求されるマシンスペックも低くなるし、メールの送受信やOffice系ソフトの利用、Webアクセスなどといった作業であれば十分快適だ。そういった意味では、スペック面はそれほど気にしなくてもいいはず。LOOX Uのような超小型ノートに高スペックを求める方が間違っていると言った方がいいかもしれない。

 液晶ディスプレイの小ささからくる文字の視認性の悪さや、比較的発熱が多くボディ底面がかなり熱を持つ点、手に持って使うときに底面の排気口に右手が来るため熱が直接手に当たったり排気口を手で塞いでしまう可能性があること、空冷ファンが比較的うるさいことなど少々気になる部分もある。しかし、タッチスクリーン搭載でペンや指で操作ができる点や、小さくキー数が少ないもののタッチタイプも可能なキーボード、そしてなにより非常に小さく軽いボディなどは、他のノートPCにはない大きな魅力。小さく軽く、常に持ち歩いても全く苦にならない携帯性重視のノートPCを探している人におすすめしたい。

【表】ベンチマーク結果
富士通LOOX U
CPUIntel A110 800MHz
ビデオIntel GMA 950
(Intel 945GU Express内蔵)
メモリPC2-3200 DDR2 SDRAM 1GB
OSWindows XP Professional SP2
PCMark05 (Build 1.2.0)
PCMark ScoreN/A
CPU Score1191
Memory Score1436
Graphics ScoreN/A
HDD Score2263
3DMark05 (Build 1.3.0)
3DMark Score206
CPU Score1251

□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□製品情報
http://www.fmworld.net/product/hard/pcpm0704/biblo_loox/lu/
【6月27日】【笠原】富士通「LOOX U」開発者インタビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0627/ubiq191.htm
【6月20日】【本田】富士通「LOOX U」開発者インタビュー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0620/mobile383.htm
【6月12日】富士通、5.6型ワイド液晶搭載超小型PC「LOOX U」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0612/fujitsu.htm
【5月16日】富士通、重量約580gの超小型PC「LIFEBOOK U」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0516/fujitsu.htm

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(2007年8月3日)

[Reported by 平澤寿康]


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