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愛・地球博プレスプレビュー

【企業パビリオンA編】
超電導リニアの実物や観覧車パビリオンなど

会期:3月25日から

会場:愛知県名古屋東部丘陵
    (長久手会場/瀬戸会場)



 3月25日から9月25日までの期間、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)が愛知県長久手町、豊田市、瀬戸市で開催される。愛・地球博は、日本で開催される国際博覧会(総合博)としては'70年に開催された大阪万博以来、実に35年ぶりとなる博覧会であり、話題を集めている。

 3月25日からの正式開催の一週間前に、プレスや関係者向けにプレビューが行なわれたので、PC Watch読者が特に興味を持ちそうなパビリオンを中心にレポートしていくことにしたい。

 愛・地球博は、長久手会場と瀬戸会場という2つの会場で開催されているが、メインとなるのは長久手会場である。長久手会場には、世界各国のパビリオンと日本企業のパビリオンなどがあり、それぞれいくつかのゾーン(エリア)に分けて配置されている。

 企業パビリオンは、「企業パビリオンゾーンA」と「企業パビリオンゾーンB」に分かれているが、ここでは、北ゲートから入場すると、右側に位置する企業パビリオンゾーンAのパビリオンを紹介しよう。なお、企業パビリオンゾーンAにあるパビリオンは、「ワンダーサーカス電力館」(電気事業連合会)、「JR東海 超電導リニア館」(東海旅客鉄道株式会社)、「ワンダーホイール展・覧・車」(社団法人日本自動車工業会)、「三菱未来館@earth もしも月がなかったら」(三菱愛知万博綜合委員会)の4つだ。

●ワンダーサーカス電力館
 ~電車型ライドにのって、8つのシーンを巡る旅を体験

 ワンダーサーカス電力館は、「フク丸エクスプレス」と名付けられた電車型ライドに乗って、館内を回っていくタイプのパビリオンだ。こうしたアトラクションは、ディズニーランドなどでもお馴染みだが、コースの一部がガラス張りの回廊になっており、外の様子を眺められるようになっている。

 高さは地上15mほどでそれほど高いわけではないが、外を眺められるのはなかなか気持ちがいい。電車型ライドは、「万華鏡トンネル」、「銀河の駅」、「天空の駅」、「珊瑚の駅」、「ふくろうの駅」、「四季の駅」、「祭りの駅」、「明日への感動スマイル」と名付けられた8つのシーンを順に巡っていく。コースの全長は約300mで、約10分間の旅が楽しめる。

 パビリオン手前にある「水のサーカス広場」内には、最新のフィルム基板アモルファス太陽電池を使った太陽光発電システムや燃料電池、風力発電システムがあり、ウェイティングスペースの空調や水のパフォーマンスの電源として活用されている。

 また、パビリオンの外壁が、子供たちの絵で飾られているのもユニークだ。この絵は、「わたしたちの夢」、「地球の未来」をテーマに全国から募集されたもので、パビリオンの南面と西面あわせて30枚の絵が飾られている。

ワンダーサーカス電力館の外観。パビリオンの外壁が、全国から募集された子供たちの絵で飾られている 右側のウェイティングスペースの屋根には、曲面への適用が可能なフィルム基板アモルファス太陽電池が採用されている 電車型ライドのコースの一部が、ガラス張りの回廊になっており、外の様子を眺めることができる
前庭部分の水のサーカス広場には、7つの風車から構成される風力発電システムが設置されている 燃料電池、太陽光発電、風力発電の現在の発電量がリアルタイムに表示される 電車型ライド「フク丸エクスプレス」は、1編成が4両(21人乗り)で、全部で16編成ある
コースはアップダウンもわりと急で、途中で回転しながら進む ガラスの回廊部分の入り口の様子 ガラスの回廊から眺めた会場風景。高さ15mなので、それほど高いわけではないが、眺めはなかなかだ
右側を眺めると、隣にある「JR東海 超電導リニア館」や「ワンダーホイール展・覧・車」が見える 自然との共生を意識した「四季の駅」シーンの様子 日本各地の23の祭りが終結する「祭りの駅」シーンの様子

●JR東海 超電導リニア館
 ~迫力のハイビジョン3Dシアターと実車の展示

 JR東海 超電導リニア館は、日本が世界に誇る最先端技術「超電導リニア」を紹介するパビリオンだ。超電導リニア館の展示は、「超電導リニア3Dシアター」、「リニア車両の実物展示」、「超電導ラボ」の3つに分かれており、それぞれ入り口が異なる。

 超電導リニア3Dシアターは、山梨のリニア実験線でのリニア走行実験の様子をハイビジョン3D映像で体感できるというものだ。液晶3Dメガネをかけてスクリーンを見ると、時速500km以上で走る超電導リニアの車両がまるで目の前にあるかのように感じられる。一部CGを利用しているところもあるが、ほとんどは実写映像である。映像も美しく、リニア実験線に乗ってみたいという気持ちがさらに強くなった(以前、山梨のリニア実験線の試乗体験会に何度か応募したことがあるが、全部落選した)。鉄道ファンには特にお勧めだ。なお、超電導リニア館のプロモーションビデオがWebサイトで公開されているので、興味がある人は見てみてはいかがだろうか。

 超電導リニア車両「MLX01-1」の実物展示も目玉の1つだ。この車両は、実際に山梨のリニア実験線で走っていたもので、2003年12月2日に、鉄道の有人走行による世界最高速時速581kmを記録した車両である。車両の内部にも入れるようになっている。なお、愛・地球博といえば、国内初のリニアモーターカー「リニモ」も話題を集めているが、リニモは常電導リニアであり、ここで展示されている超電導リニアとは少々仕組みが異なる(リニアモーターカーとしての基本原理は同じだが)。

 技術的には、当然超電導のほうが高度なのだが、まだ超電導リニアの実用化は実現されていない(上海で実用化されているリニアも、常電導方式)。

 超電導ラボでは、超電導の仕組みや超電導現象の不思議さを、実験や展示によってわかりやすく説明してくれる。代表的な超伝導現象であるピン止め効果の実験や超電導磁石による宇宙船模型の発射実演、超電導リニア模型の走行など、子供から大人まで楽しめるように工夫されている。また、歴代の超電導リニアの実験車に使われていた超電導磁石の展示や、超電導リニアに関する技術的な説明パネルもあるので、超電導リニアの仕組みをより詳しく知ることができる。

JR東海 超電導リニア館の外観。山梨のリニア実験線で実際に走っているリニア車両が目をひく 超電導リニア車両「MLX01-1」の外観。車両長は28m プレショーエリアでは、鉄道の誕生から超電導リニアにいたる鉄道の歴史や技術開発などを約7分間にまとめた映像を見ることができる
3Dシアターでは、約800型の大型スクリーンを利用して、ハイビジョン3D映像が楽しめる。リニア車両が浮上する瞬間や頭上を通過するシーンなど、多彩なアングルで迫力のある走行を体感できる。映像は約12分間 超電導リニア車両の先頭車「MLX01-1」は、ダブルカスプ形状と呼ばれる独特の形状をしている MLX01の実験に使われている推進コイル(右側)と浮上・案内コイル(左側)の模型
MLX01の内部の様子。展示されている車両では、座席が通路の片側にしか配置されていないが、実際には座席が両側に配置されている MLX01のドアは、横ではなく上に開く仕組みだ 超電導ラボでは、超電導の仕組みや超伝導現象の不思議さをわかりやすく紹介してくれる
超電導現象の1つ「ピン止め効果」の実験。磁石が浮上して、そのまま固定されている 台を傾けたり、上から手で抑えても、磁石は浮いたままである 高温超電導磁石を発射装置に使った、宇宙船模型の発射実演。超電導磁石の反発力により、宇宙船模型が勢いよく発射される
【動画】実際に宇宙船模型が発射される様子 宇宙船模型の発射実演に使われている高温超電導磁石 中央のスクリーンでは、説明の映像が上映されている
'77年4月に完成した宮崎実験線発の実験車「ML-500」の説明パネル。ML-500は無人機であった ML-500の実験に用いられた浮上用地上コイル ML-500の実験に用いられた推進・案内用地上コイル
ML-500に搭載されていた超電導磁石 '87年3月に完成し、宮崎実験線に導入された「MLU002」の説明パネル。定員44人の有人走行が可能 MLU002の実験に用いられた推進用地上コイル
MLU002に搭載されていた超電導磁石 約1/50スケールの超電導リニア模型。レールの両側にコイルがずらりと並んでいる 【動画】超電導リニア模型が実際に浮上して走行する様子

●ワンダーホイール展・覧・車
 ~50m級の観覧車に乗って物語を鑑賞、会場全景も楽しめる

 建物の一部から観覧車が突き出た、ユニークな外観のパビリオンが、「ワンダーホイール展・覧・車」である。

 大阪・梅田にあるHEP FIVEの観覧車も下のほうの一部が建物に隠れているが、ワンダーホイール展・覧・車では、ほぼ半分が建物に隠れており、観覧車に乗りながら、建物の内壁にある巨大スクリーンの映像を見るという趣向になっている。スクリーンの映像は、6つのシーンから構成されており、人と車と地球の関係をドラマ化したものとなっている。キャビンは4人乗りで、30台(1台は車いす共用)全てにエアコンが搭載されている。

 もちろん、建物から飛び出した部分からは、万博会場を俯瞰で眺めることができる。観覧車の直径は47m(地上高は約50m)であり、会場の大部分を一望できる。会場の広さを手っ取り早く把握したいという人にもお勧めだ。観覧車が一周するのにかかる時間は約8分。

 また、ポストショーエリアには、クルマのデザインを専門に学んでいる学生たちが創作した「夢のクルマ」の模型が10作品展示されている。

ワンダーホイール展・覧・車の外観。建物から観覧車が飛び出すというユニークな形状だ 観覧車の直径は47mで、地上高は約50mとなる プレショーでは、「モータリゼーションの歩み」が映像で紹介される。往時の東京モーターショーの映像なども、クルマ好きの人には懐かしく感じられるだろう
観覧車キャビンに乗り込むところ パビリオンの内壁には6つのスクリーンがあり、過去から現在、そして未来へとストーリーが展開していく これは6つめのスクリーン「夢・地球に生きる」の1場面
建物からキャビンが外に出ると、一気に展望が広がる 右側には、日本ゾーン(中央の塔が大地の塔)やグローバル・コモン6(オーストラリア館など)が見える。奥に見える白いドームはEXPOドームだ 正面に見えるのが、センターゾーン(グローバルハウスなど)だ。奥にはグローバル・ループの反対側も見える
この観覧車から見れば、長久手日本館の繭のような形もよくわかる 左側には、リニモの万博会場駅やワンダーサーカス電力館が見える 頂点付近で真下を眺めたところ。プレスプレビュー日なのでガラガラだが、本番では人で一杯になるかもしれない
ポストショーとして展示されている「夢のクルマ」のコンセプトモデルの模型。ユニークな発想のものが多い ソーラーミキサー(Solar Mixer)と名付けられたコンセプトモデル。植物のように空気を吸い、フィルターで汚れを取り除くことで、空気をきれいにしてくれるという。太陽電池で動くので、燃料は不要 ファンアバウト(funabout)と名付けられたコンセプトモデル。クルマに一緒に乗る人が主役となりドライブを楽しめるように、乗客席が一番前にあることが特徴
エックスフリー(X-Free)と名付けられたコンセプトモデル。タイヤに付けられた4つのハンドルを手足で制御し、クルマを操る。ドライバー自身の技術が重要となる、新しいモータースポーツで使われることを想定している アドゥー(adow)と名付けられたコンセプトモデル。モーターで水車を回し、透明なパイプに水が流れることでタイヤを回転させるという仕組みで、新しい癒しを提案する バランスボーラー(Balance Baller)と名付けられたコンセプトモデル。大きなボールを抱えるような姿勢で乗り、身体全体を使って運転する
メディカルタクシー(MEDICAL TAXI)と名付けられたコンセプトモデル。緊急時には救急車に変身できるタクシーというコンセプト レインボー(R@inbow)と名付けられたコンセプトモデル。家族全員でドライブに出かけ、楽しい思い出をみんなで作れる6人乗りオープンカー トゥーフォー(Two Four)と名付けられたコンセプトモデル。スピードが遅いときには4輪だが、高速時に車体が安定すると、隅のタイヤが浮き上がって、真ん中のタイヤで走行する
コロコロ(Koro Koro)と名付けられたコンセプトモデル。ボディや内装がプラモデルのようなハメコミ式になっているので、スイッチ一つで簡単に取り外しができる スウイング(Swing)と名付けられたコンセプトモデル。スノーボードやスケートボードのように、全身を使ってバランスをとりながら運転する

●三菱未来館@earth もしも月がなかったら
 ~月のない地球は8時間で自転し、時速300kmに達する超暴風が

 三菱未来館@earthは、IFXシアターと呼ばれる映像シアターをメインとするパビリオンである。IFXシアターは、六角形の形状をした巨大シアターで、壁や天井をミラーにすることで、無限の広がりを感じる迫力の映像が楽しめる。

 このIFXシアターで体験できるのが、米国メーン大学天文学・物理学教授ニール・F・カミンズ氏の著書「もしも月がなかったら」をベースにした、「地球環境と生命の奇跡」をテーマとするストーリーだ。

 いつも何気なく見上げている月だが、月が誕生したのは、奇跡的な偶然の産物なのだ。もし月が存在しない地球はどうなっていたのだろうか? 地球の自転が24時間で安定しているのも月のおかげであり、月が存在しない地球はわずか8時間で自転し、地上を時速300kmに達する超暴風が吹き荒れるという、全く別の世界になってしまう。もちろん、こうした過酷な環境下では、人類が誕生する可能性も限りなく低い。

三菱未来館@earthの外観 ウェイティングゾーンでは、ロボットアテンダント「wakamaru」が出迎え、館内の説明をしてくれる
プレショーでも、wakamaruが登場し、ムービーとあわせて月の重要性について説明する メインとなるIFXシアター。壁や天井がミラーになっており、無限の広がりを感じる迫力の映像が楽しめる

□愛・地球博のホームページ
http://www.expo2005.or.jp/jp/
□関連記事
【3月22日】【万博】【センターゾーン編】マンモスが見られるグローバルハウスなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0322/expo03.htm
【3月22日】【万博】【企業パビリオンB編】ロボットショー中心のトヨタグループ館など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0322/expo02.htm
【3月20日】愛・地球博プレスプレビュー開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0320/expo01.htm
【3月18日】愛・地球博が25日開幕。18日にプレスプレビューを開催
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050318/aichi.htm
【3月15日】日立、6km/hで動作する倒立2輪ロボット「EMIEW」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0315/hitachi.htm
【3月4日】二足歩行する恐竜型ロボット公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0304/nedo.htm
【2月23日】愛・地球博・日立グループ館プレス見学会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0223/hitachi.htm
【2月1日】NEDO、愛・地球博におけるロボットの安全基準を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0201/nedo.htm
【2004年12月3日】トヨタ、「愛・地球博」ロボットショーを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1203/toyota.htm
【2004年6月17日】NEDO、愛知万博に100体のロボットを投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0617/nedo.htm

(2005年3月23日)

[Reported by 石井英男]

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