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NEDO、愛・地球博におけるロボットの安全基準を公開

愛・地球博 NEDOパビリオンの外観予定図

1月31日開催



 NEDO技術開発機構(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)は1月31日、愛・地球博におけるロボット運用の安全性に関する考え方についての記者説明会を実施した。

 NEDOでは2010年の実用化を目指し、平成16年度から2カ年事業で「次世代ロボット実用化プロジェクト」を推進している。これらは3月25日から開催される「愛・地球博」で実証運用とデモ運用を行なう予定だ。だがロボット運用における安全性に関する社会的ルールは未整備のままである。

次世代ロボットプロジェクト 愛・地球博運用会場図 「ロボットステーション」。次世代ロボットプロジェクトのメンテナンス拠点であり、ロボットと参加者のふれあいの場所として使われる

 そこでNEDOはロボットの展示運用の安全性ガイドライン作成を社団法人日本ロボット工業会に委託し、「愛知万博のロボット安全性ガイドライン調査専門委員会」のもとで検討を行なってきた。

杉本 旭 北九州市立大学教授

 今回の記者会見で、杉本旭委員長(北九州市立大学教授)は、まず「事故は絶対に防げない」と述べた。予測できないアクシデントは常に起こる可能性がある。だが、事前に予見可能な事故をなくすことはできる。今はむしろ事故の責任そのものよりも、事前の危険可能性予見の責任を求める時代だという。「それがリスクという考え方であり、世界の常識だ」と述べた。

 杉本教授は、日本は責任をとかく曖昧にしがちであり、また、技術者が責任を負う仕組みを作らないと語る。次世代ロボットは2025年に8兆円の市場が見込まれているが、責任の所在をはっきりしないとサービス用ロボットの産業化はできないという。

 そこで愛知万博では技術側に厳しい考え方を求めたという。その基本的考え方は「States of the arts」、すなわち「開発者・設計者の説明責任」だ。技術側は、機械のどこが危険であるか、危険性はどのくらいなのか説明する義務を負う。そしてリスク低減のために、その時代の最善を尽くす。これが国際規格ISO12100の基本になっており、説明責任と技術的最善を果たしていれば、そこから先はアクシデントだと見なされるのだという。

States of the artsの原則 安全に関する日本の現状
安全に関する米国の現状 国際標準になりつつあるヨーロッパの考え方

 杉本教授は、日本はこれまで事故をなくすことに一生懸命だったため、世界のスタンダードから外れてきたと強調し、以下のように語った。

 「日本は事後責任だったため、技術を海外に売る上でも損をしてきた。日本は安全性について力説する。ヨーロッパは危険性について力説し、使用上の注意を促す。事前に問題を整理している。日本は技術力、ニーズもある。だが競争力がない。それは安全に対する考え方がないからだ。つまり、これだけのリスクがあります、ですがベネフィットはこれだけあります、だからこんなふうに注意して使ってください、という形じゃないとサービスロボットは売れない」(杉本教授)

 つまり、技術側は、安全性を高める、リスク低減のために危険性をできるだけ減らすための本質安全設計を行なう。だがリスクはゼロにならない。これを「残留リスク」というが、そこはセンサーや、運用するスタッフがカバーする。それでも事故が起こってしまった場合は、不可抗力のアクシデントと見なすというわけだ。

愛・地球博におけるNEDO実用化ロボットプロジェクトの考え方

 なお、愛・地球博にはNEDO以外にもトヨタなどがロボットを披露する予定だが、今回の安全基準はNEDOの実用化プロジェクトに対してのみ検討されたもので、他メーカーに対しては適用されない。

 また、今回の安全基準が次世代サービスロボットのスタンダードになるのかという記者からの質問に対し、杉本教授は「サービスロボット全体をカバーするような安全基準は作れないだろう。さまざまなものがあるので個別対応でないと無理」と述べた。

各社の実際の取り組み。記者会見では資料配付のみで、各社の具体的説明はなかった。なお、実際のロボットもまだ未完成だという

 愛・地球博では、半年間運用される実用ロボットだけではなく、6月9日から12日間、「2020年人とロボットが暮らす街“モリゾー・キッコロメッセ”」でもさまざまな大学や企業、研究期間が開発したロボット65種類による集中的なデモンストレーションが行なわれる。

井上博允プロジェクトリーダー

 調査委員会顧問の井上博允プロジェクトリーダーは、「ロボット自体を見てもらうというよりも、さまざまなシーンのなかでロボットがどのように人間と共存しているか、ロボットと人が共存する『社会のプロトタイプ』を見てもらいたい」と語った。

 技術側は事前の責任を可能な限り減少させなければならないし、また、危険性をどこまで減らしても使い方を誤れば事故は発生する。つまるところ、社会がロボット技術のリスクを受容できるかどうかは、ロボットがどれだけの有効性を発揮できるのか次第だ。そこが今後のサービス用ロボット産業の大きな課題である。愛・地球博はその実証の場所でもある。


□NEDOのホームページ
http://www.nedo.go.jp/
□2005年日本国際博覧会
http://www.expo2005.or.jp/
□関連記事
【2004年6月17日】NEDO、愛知万博に100体のロボットを投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0617/nedo.htm
【2004年6月4日】NEDO、次世代ロボットの委託・助成先を決定、愛知万博で公開へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0604/nedo.htm

(2005年2月1日)

[Reported by 森山和道]

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