多和田新也のニューアイテム診断室

Athlon 64用PCI Express対応チップセット「nForce4」




 Athlon 64 4000+やWinchesterコアの製品が登場するなど、このところ活発な動きが目立つAMD関連。そんななか、10月19日にNVIDIAから「nForce4」シリーズが発表された。Athlon 64向けとしては初めてとなるPCI Express対応のチップセットであり、さらにNVIDIA SLIに対応することでも注目を集める本製品を検証していきたい。

●ハードウェアによるファイアウォール機能「ActiveArmor」を装備

 「nForce4」シリーズの概要については、すでにニュース記事後藤氏のコラムに詳しいので、ここではリファレンスボードからnForce4の特徴を掴んでいきたい。

【写真1】NVIDIAのnForce4 Ultraを搭載したリファレンスマザーボード

 今回使用したのは、「nForce4 Ultra」のリファレンスボードである(写真1)。nForce4 Ultraの仕様ではPCI Express x16×1、PCI Express x1×3のレーン構成となるが、本ボードではPCI Express x1が2基用意される格好になっている(写真2)。また、PCI Express x16への電源供給のためだと思われるが、電源コネクタが24ピンへとなっている点も特徴だ(写真3)。

 背面パネルはとくに目立ったところはない(写真4)。8chサウンドを搭載しないのでアナログサウンド入出力端子が3つとなっているのが目立つところだろうか。

 このほか、マザーボード上に「NEW_CARD」と記されたコネクタがあるのが面白い(写真5)。このコネクタがどういった役割を持つかは正確な情報がないのだが、NEW CARDの名前からするとPCカードの後継となるExpress Cardのアダプタを接続するためのポートと想像することができる。

 さて、nForce4の上位モデルには「ActiveArmor」と名付けられたハードウェアによるセキュリティエンジンが搭載されており、この設定はWindows上から行なえる(画面1、2)。ポートまたはアプリケーション単位でパケットフィルタの設定を行なうなどの機能を持つ。また、このNVIDIAが提供するファイアウォール機能を使うか、Windows XPが持つファイルウォール機能を使うかを明示的に切り替えることも可能となっている。

【写真2】PCI Expressはx16×1、x1×2の構成 【写真3】電源は20ピンではなく、24ピンとなっている
【写真4】背面パネル。マザーボードベンダーから出される搭載製品では、8chサウンドやIEEE 1394などが実装されるものもあるだろう 【写真5】NEW_CARDと名付けられた端子。Express Cardのアダプタを接続するためのコネクタか?

【画面1】ファイアウォールの設定はMedium/Highなどプリセットされたものに加え、Custom設定も可能。細かい設定はメニューの「Wizards」や「Advanced Configuration」から行なえる 【画面2】こちらはActiveArmorの設定画面。ActiveArmorの有効/無効の切り替えなどを行なう 【画面3】NV FirewallとWindows Firewallのどちらを使用するかも指定できる

●安定して高いパフォーマンスを発揮

 それでは、nForce4のパフォーマンスを見ていくことにしたい。環境は表に示すとおり、今回はnForce3 Ultra、K8T800 Proの各チップセットを搭載したマザーボードを比較対象として用意した(写真6、7)。なお、今回nForce4に関してはβ版のドライバを使用している。

【表】テスト環境
チップセット nForce 4 Ultra nForce 3 Ultra K8T800 Pro
マザーボード NVIDIAリファレンスボード MSI K8N Neo2 Platinum ASUSTeK A8V Deluxe
CPU Athlon 64 3800+
メモリ PC3200 DDR SDRAM 1GB(512MB×2/CL=3)
ビデオカード NVIDIA GeForce 6800 GT(256MB/PCI Express x16) NVIDIA GeForce 6800 GT(256MB/AGP)
ビデオドライバ ForceWare 61.77
HDD WesternDigital WD Raptor WD360GD×2(RAID0)
RAIDコントローラ チップセット内蔵 Promise Technology「PDC20378」
OS Windows XP Professional(ServicePack2/DirectX 9.0c)

【写真6】nForce3 Ultraを搭載するMSIの「K8N Neo2 Platinum」 【写真7】K8T800 Proを搭載するASUSTeKの「A8V Deluxe」

●CPU性能

 それではテスト結果を順に紹介していこう。まずは「Sandra 2004 SP2b」の「CPU Arithmetic Benchmark」と「CPU Multi-Media Benchmark」である(グラフ1)。ここは、ご覧のとおり誤差程度の小さな差しか付いていないが、本テストは各CPUの純粋な演算性能を見るためのテストであり、チップセットによる大きな差が出ないのは当然といえる。

 もう1つ、CPUテストとして「PCMark04」の「CPU Test」(グラフ2)を実施しているが、こちらもあまり大きな差は見られない。ただし、メモリやストレージの性能が多少は影響するDivX、WMVのエンコードテストでは差が見られ、ややnForce4が優勢な結果が出ている。

【グラフ1】Sandra 2004 SP2b 【グラフ2】PCMark04(CPU Test)

●メモリ性能

 続いてメモリアクセス速度を見ていきたい。テストはSandra2004 SP2bの「Cache & Memory Benchmark」を実施し、グラフ3に全結果、グラフ4に一部結果を抜粋している。グラフ3はほぼ線が重なった。つまり、各チップセット間で大きな差があるとはいえないわけだが、実メモリのアクセスがメインとなる大きなサイズのブロック転送では線が分かれている。3本の線がはっきり見えるほどではないので、グラフ4から詳細を見ていきたい。

 グラフ4に示した4〜512KBのサイズを転送した結果は、L1またはL2キャッシュで処理できる範囲で、ここはnForce勢がやや優勢といった傾向が見られるが、差は大したものではない。

 問題は実メモリを使用する256MBのテスト結果で、ここはnForce4がダントツの結果を出しているのだ。誤差とはいえないほど大きな差であり、これが今後行なうアプリケーションテストにも大きく影響するのは間違いない。

 しかし、ご存知のとおりAthlon 64ではメモリコントローラをCPUに内蔵するアーキテクチャとなっているため、ここで見られる差はチップセットの差というよりは、BIOSを含めたマザーボード設計の差と見るほうが正解だろう。その点を加味しても、安定動作することが絶対条件であるリファレンスマザーでこのパフォーマンスなのだから、実際の製品にはある程度期待して良さそうだ。

【グラフ3】Sandra 2004 SP2b(Cache & Memory Benchmark) 【グラフ4】Sandra 2004 SP2b(Cache & Memory Benchmark)

●アプリケーション性能

 それでは、次にアプリケーションを利用したベンチマークの結果を見ていくことにする。使用するのは「SYSmark 2004」(グラフ5)、「Winstone2004」(グラフ6)、「TMPGEnc 3.0 XPress」(グラフ7)である

 SYSmark2004のCommunicationテストを除いては、nForce4がほかを引き離す結果となっているのが印象的な結果である。メモリ帯域幅が大きく効を奏した可能性が高い。nForce3も、キャッシュ性能の引き出し具合で、K8T800 Proに対してアドバンテージを持っていたあたりが、実際のアプリケーションを使ったベンチマークで影響しているのだろう。

 本連載の前々回で行なったAthlon 64 4000+のテストでは、評価キットの環境に合わせるべくK8T800 Proをベースに環境を作ったが、nForce4搭載マザーを使えば、さらにパフォーマンスを引き出せそうな雰囲気である。

【グラフ5】SYSmark2004 【グラフ6】Winstone 2004
【グラフ7】TMPGEnc 3.0 XPress

●3D性能

 最後に3Dベンチマークの結果を紹介しておきたい。テストは「Unreal Tournament 2003」(グラフ8)、「Unreal Tournament 2004」(グラフ9)、「DOOM3」(グラフ10)、「3DMark05」(グラフ11)、「3DMark03」(グラフ12)、「AquaMark3」(グラフ13)、「FINAL FANTASY Official Benchmark 2」(グラフ14)だ。

 Unreal Tournament 2004、DOOM3、FINAL FANTASY Official Benchmark 2などで、nForce4が大きく他を引き離した結果となっているが、これらのテストはビデオカードの性能のほかにCPUのパフォーマンスも影響するテストなので、先のアプリケーションテストに近い結果が出たものと思われる。

 一方で、同じようにCPUの影響が大きいUnreal Tournament 2003のbotmachでは大きな性能差が出なかったり、3DMark05のようにほかに大きく劣る結果となったテストもある。今回の全テストを通してみても、ここまで比較対象に劣る結果が出たのは3DMark05のみであり、原因ははっきりしないが気には留めておきたいデータである。

【グラフ8】Unreal Tournament 2003 【グラフ9】Unreal Tournament 2004
【グラフ10】DOOM3 【グラフ11】3DMark05
【グラフ12】3DMark03 Build340 【グラフ13】AquaMark3(Average FPS)
【グラフ14】FINAL FANTASY Official Benchmark 2

●パフォーマンスでは1ランク上。付加機能の魅力も大きい

 以上のとおり、nForce4のリファレンスボードをテストしてきた。あくまで今回の評価マザーボードの、という注意書きは付くが、パフォーマンスでは一歩リードしている印象である。

 また、nForce4はパフォーマンス以外でも機能面の充実が大きい。PCI Expressについては、まだまだこれからという印象はあるが、VIAからもPCI Express対応チップセットのは「K8T890」が予定されており、AGP/PCIからの移行はどんどん進むだろう。

 さらに、今回は通常のシリアルATA RAIDを構築してのテストだったが、3Gbps転送に対応したシリアルATA IIに対応している点。ファイアウォール機能をハードウェアで制御できることでCPUへの負荷が減る点など、今回のテストでは時間の都合上、評価を割愛しているが、これらも他のチップセットにないメリットだ。

 これらの機能は面白いアプローチであり、Athlon 64用に限らず、今後のチップセットの方向性の1つとしてトレンドになっていくかも知れない。

□関連記事
【10月20日】NVIDIA、PCI Express対応Athlon 64用チップセット「nForce4」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1020/nvidia.htm
【10月20日】【海外】SLIをサポートしたNVIDIAの「nForce4」チップセット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1020/kaigai127.htm
【10月19日】ついに4000+へ到達した「Athlon 64 4000+」と「Athlon 64 FX-55」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1019/tawada32.htm

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(2004年10月29日)

[Text by 多和田新也]


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