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SLIをサポートしたNVIDIAの「nForce4」チップセット




●SLI対応マザーボードのターゲット価格は200ドル

nForce4
 NVIDIAは、Athlon 64/Athlon 64 FX/Sempronプラットフォーム向けのPCI Express世代のMCP「nForce4(CK8-04)」ファミリを発表した。NVIDIAのマルチGPUアーキテクチャ「NVIDIA SLI(Scalable Link Interface)」をサポート。第2世代のSATAである3GbpsのSATA-2を実装するほか、ハードウェアベースのネットワークセキュリティ機能などを搭載する。nForce3同様の、ワンチップソリューションで、ノースブリッジ機能とサウスブリッジ機能を統合した「MCP(Media & Communications Processor)」となっている。

 nForce4ファミリは、3製品でスタートする。ハイエンドの「nForce4 SLI」と、エンスージアスト向けの「nForce4 Ultra」、そしてメインストリーム/バリュー向けの「nForce4」の3ラインだ。3製品はそれぞれターゲットの価格帯と機能が異なる。

 nForce4ファミリのうち、最上位のnForce4 SLIだけがSLIをサポートする。SLIサポートマザーボードのターゲットは200ドル以上。つまり、SLIが提供されるのは、プレミアム価格の最上位ボードとなる。

 nForce4 Ultraは、SLIサポート以外の機能はnForce4 SLIと同じ。つまり、フルスペックの非SLIマザーボード向けということになる。ターゲットのマザーボード価格帯は100〜150ドルで、これも比較的高付加価値ボード向けだ。nForce4 SLI/Ultraの両チップセットは、Athlon 64 FXとAthlon 64をサポートする。

 nForce4は機能削減版で、SLIとSATA-2とネットワークセキュリティ機能が省かれている。つまり、nForce4のPCI Express以外の目玉機能の3つが全て省かれたバージョンがnForce4だ。ただし、その他の機能は上級のnForce4と同等となる。ターゲット価格帯は55〜80ドルで、メインストリームからバリュー価格帯のボード向けという位置づけとなる。ターゲットはAthlon 64とSempronだ。

nForce4ファミリ機能一覧
  nForce4 SLInForce4 UltranForce4
サポートCPU Athlon 64 FX /Athlon 64Athlon 64 FX /Athlon 64Athlon 64 /Sempron
マザーボード価格 200ドル以上100〜150ドル55〜80ドル
PCI Expressレーン数20レーン20レーン20レーン
 構成可変固定x16/x1固定x16/x1
NVIDIA SLI 
HyperTransport 1GHz1GHz1GHz
USB 2.0ポート数101010
ストレージSATA3/1.5Gbps3/1.5Gbps1.5Gbps
 SATAドライブキャパシティ444
 PATAドライブキャパシティ444
 RAID 0,1,0+1
ネットワークActive Armor
 ネイティブGbE
 NVIDIA Firewall 2.0
nTuneAuto performance tuning
 Safe State Recovery
 GPU Overclock

●PCI Expressの構成を切り替えてSLIサポートを実現

 nForce4の最大のポイントは、NVIDIA SLIのサポートだ。従来、NVIDIA SLIのサポートは、ワークステーション用の高価なチップセットベースのソリューションしかなかった。しかし、nForce4の登場により、コンシューマ向けの比較的廉価なボードでSLIがサポートされるようになる。

 nForce4ファミリには20レーンのPCI Expressが実装されており、最上位のnForce4 SLIでは、各レーンのコンフィギュレーションを変更できるようになっている。つまり、PCI Express x16とx1の組み合わせだけでなく、2基のx8とx1といった構成が可能だ。そのため、複数のPCI Expressグラフィックスカードを接続できる。また、nForce4には、SLIをサポートする専用ロジックも実装されており、nForce4 SLIではイネーブルにされている。

 SLI対応のnForce4 SLIマザーボード上には、物理形状はPCI Express x16のスロットが2基並んでいる。シングルGPUで使うノーマルモードでは、プライマリのPCI ExpressスロットにだけPCI Expressグラフィックスカードを装着する。2つのGPUを使うSLIモードでは、2つのスロットにそれぞれSLI対応のNVIDIAのPCI Expressグラフィックスカードを装着する。

 NVIDIAのOng Tze Lin氏(Technical Marketing Manager, Asia-Pacific)によると、ノーマルモードとSLIモードの切り替えは、スイッチの役目を果たす「コンフィギュレーションカード」の装着方向を変えることで実現するという。具体的には、2基のPCI Express x16スロットの間にコネクタがあり、そこにコンフィギュレーションカードが挿入されている。このカードを、ノーマルモード方向で挿した状態では、プライマリのPCI Express x16スロットだけがグラフィックス用として利用できる。この場合、チップセットとGPU間は16レーン、つまり、PCI Express x16で接続されている。

 SLIモードにする場合には、「カードをひっくり返して装着する」(Lin氏)。これで、セカンダリのPCI Expressスロットがグラフィックス用として使えるようになる。その上で、両グラフィックスカードの間を接続する、SLIコネクタを装着する。

 Lin氏によると、2つのPCI Expressスロットのレーン構成は、2つのモードで変わるという。物理形状はどちらもPCI Express x16スロットだが、ノーマルモード時にはプライマリPCI Expressスロットはx16、セカンダリがx0の構成となる。つまり、セカンダリスロットは、PCI Expressの信号線は接続されないため利用できない。

 一方、SLIモード時にはどちらのPCI Expressスロットも、信号的には8レーン、x8での利用となるという。帯域は半分になるが、「バランスの取れた構成になる」とLin氏は言う。

【お詫びと訂正】PCI Expressのレーン構成について、一部誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

 この設計は、NVIDIAの以前の説明とは異なっている。以前の説明では、SLIサポートの場合のシステム構成は、プライマリはPCI Express x16で、セカンダリはx4またはx8で、データは基本的にはSLIコネクタを経由すると説明していた。実際、以前SLIのデモで使っていたIntelのワークステーション用チップセット「Intel E7525(Tumwater:タムウォータ)」のマザーボードでは、PCI Expressのレーン数はスロット毎に固定されていた。そのため、nForce4では、20レーンをx16とx4に切り分けて、x16をプライマリPCI Expressスロットに、x4をセカンダリスロットに使うと推測していた。

 しかし、この設計からすると、PCI Expressレーンがまだ空きがでるため、x1のスロットを複数搭載できることになる。また、この設計からすると、セカンダリGPUで処理するデータはPCI Expressを経由して転送することになる。このあたりは、もう少し情報が入らないと、詳しいことがわからない。ただし、ひとつ明確なことは、SLIは非常にフレキシブルなアーキテクチャであるため、NVIDIAはシステム構成でもさまざまな選択肢を持つということだ。

●SATA-2とハードウェアベースのセキュリティ機能

 SLIサポートがグラフィックスの目玉だとしたら、ストレージの目玉はSATA-2のサポートだ。nForce4は、3Gbpsの転送レートのSATA-2を4ポート備える。転送レートでは、従来のSATAの2倍速となる。SATA-2は、Intelチップセットでは2005年春のICH7からサポートの予定で、NVIDIAはトレンドを先取りしたことになる。

 また、NVIDIAのSATAはストレージコントローラを2系統持ち、それぞれに2ポートずつが接続された構成となっている。そのため、ストレージコントローラを1系統しか持たない構成に比べて、ドライブ当たりの帯域は2倍となる。

 ネットワーク機能の目玉は「ActiveArmor」ネットワークセキュリティエンジンだ。これは、ハードウェアベースのセキュリティ機能で、ファイアウォールのパケットフィルタリングを専用ハードウェアで実現する。そのため、ソフトウェアファイアウォールと比べて、CPUの占有率を大幅に下げることが可能になるという。

ActiveArmorによる処理とCPU負荷の違い

 NVIDIAは、初のPCI Expressチップセットに、NVIDIAらしい付加価値の高い機能を加えてきた。同社の高付加価値チップセット戦略は、まだ継続されているようだ。

 ただし、コストも払っている。それはダイサイズ(半導体本体の面積)で、パッケージ写真を見る限り、チップセットとしてはダイが大きい。ワンチップソリューションなので、ダイが多少大きくてもコスト面では利点があるが、不利な材料であることは間違いない。

 また、機能的にも凹凸がある。他のチップセットベンダーは、Intelの新内蔵オーディオ機能「High-Definition Audio」相当のオーディオ機能を同世代のチップセットでは搭載している。しかし、nForce4のオーディオ機能は旧来のままだ。

 NVIDIAは現在、ディスクリートチップセットに注力しており、ライバルATIがメインターゲットとしているグラフィックス統合チップセットへは力を注いでいない。nForce4の統合グラフィックス版も、現在の製品計画にはないとNVIDIAは説明する。これは、同社のディスクリートグラフィックスが揺れたことも影響しているのかもしれない。NVIDIAは、以前、GeForce FX 5200(NV34)ベースの統合チップセットを計画していたと言われている。この計画はキャンセルになったが、その背景にはNV34コアでは、2004〜2005年のチップセットとして十分な性能を達成できないという読みがあったのかもしれない。

 ただし、NVIDIAが完全に統合チップセットを諦めているとは思えない。おそらく、どこかの時点でNVIDIAが、再び統合チップセットを投入することになるだろう。市場規模としては、NVIDIAにとっても無視できないものであり、また、次世代Windows「Longhorn(ロングホーン)」で、高グラフィックス機能の統合チップセットが求められるようになる可能性があるからだ。

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【10月20日】NVIDIA、PCI Express対応Athlon 64用チップセット「nForce4」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1020/nvidia.htm

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(2004年10月20日)

[Reported by 後藤 弘茂(Hiroshige Goto)]


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