ニュース

Kimi K3.1 Proの重み公開、無償で商用利用も原則可能

 予告通り、約3兆パラメータ級の大規模モデルの重みが公開された。Moonshot AIは11月5日(中国時間)、10月23日に発表したAIモデル「Kimi K3.1 Pro」のオープンウェイト(モデルの重み)を、独自ライセンスのもとでHugging Faceに公開した。ライセンスは「Kimi K3.1-Pro License」となっている。

 Kimi K3.1 Proは、コーディングや3D制作、金融リサーチといったエージェント用途に向けたLLM。7月に発表した「Kimi K3」をベースに、より大規模な計算資源を投じて事後学習を施した。アーキテクチャはMoE(Mixture of Experts)で、総パラメータ数は2.8T(2兆8,000億)、アクティブパラメータ数は104B(1,040億)。コンテキストウィンドウは100万トークンで、テキストと画像を入力できる。

 推論エンジンにはvLLM、SGLang、TokenSpeedを推奨している。モデル自体は10月23日から、Kimi.aiとモバイルアプリ、デスクトップアプリ「Kimi Work」、コーディングツール「Kimi Code」、Kimi APIで提供されている。

 K3からは、フルアテンション層を、従来のGated MLAからより効率的なロングコンテキストモデリングが可能なGated DeepSeek Sparse Attention(Gated DSA)に置き換えた。

 ベンチマークでは、実際のターミナル作業でコーディングエージェントを評価する「Terminal-Bench 4.0」で65.7%を記録した。「GPT-6 Astra」(58.2%)を上回った一方、「Claude Opus 5.5」(66.4%)にはわずかに届かなかった。また、大規模な強化学習により、長期コーディングの能力も高めた。

 3D回りの強さを売りとしており、Unity、Unreal Engine、Godotなどのゲームエンジンと連携可能。フロントエンドのページやインタラクティブなThree.jsのシーン、3Dのアセットなどを制作できる。空間推論も得意とする。マルチビューのレンダリング画像からCADコードを生成して3D形状を再構築する「BenchCAD」では、ツール使用時に92.7%を記録した。Opus 5.5(96.2%)やGPT-6 Astra(95.9%)には届かなかった。

 オープンウェイトでの公開にあたり、サイバー攻撃に悪用され得る能力を意図的に抑えたことも特徴だ。中間学習と強化学習の両段階からサイバー関連のデータを特定して除去しており、脆弱性の発見と攻撃コードの作成を問う社内ベンチマーク「xdev-bench-hard」では、除去を行なわなかったチェックポイントの90.5%に対し、最終版は81.0%にとどまった。同社は、少なくとも3カ月前から公開されている最先端の商用モデルよりも、攻撃面のサイバー能力は低いとしている。

 なお、独自ライセンス形態であるKimi K3.1-Pro Licenseの要件だが、利用・複製・改変・再配布・販売や、ファインチューニング、派生モデルの作成が無償で認められており、商用利用も原則可能。ただし、本人または関連会社がAPIなどを通じて第三者にモデルの推論やファインチューニングを提供する「Model as a Service」事業を営み、かつ関連会社を合わせた総収入が任意の連続12カ月で2,000万ドル(約31億6,000万円、1ドル=約158円換算)を超える場合は、商用目的で利用する前にMoonshot AIと別途契約を結ぶ必要がある。

 また、月間アクティブユーザーが1億人を超えるか、月間収入が2,000万ドル(約31億6,000万円)を超える商用製品・サービスでは、ユーザーインターフェイス上に「Kimi K3.1-Pro」と目立つように表示しなければならない。これらの条件は、第三者に提供しない社内利用や、同社の公式製品・認定推論パートナー経由での利用には適用されない。