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Windowsを最高のエージェント型AI環境に。OpenClawも導入しやすく
2026年10月8日 16:30
Windowsがエージェント型AIにとって最高の実行環境に変わると、Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏が打ち出した。Microsoftは10月7日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市内の会場で「Microsoft Windows & Surface Event」と題したイベントを行ない、新たなAI向けソリューション「Hybrid Intelligence」や、RTX Spark搭載新型ノート「Surface Laptop Ultra」を正式に発表した。
この発表会に登壇したナデラ氏は「1991年にx86プロセッサを利用したWin32を登場させたとき、この技術がPCだけでなくサーバーにも広がっていきコンピューティングの未来を変えていくという予感があり、実際にそうなった。今回我々が発表するフロンティア・エコシステムもそうなる可能性がある」と述べ、ITの世界を変えるものになっていくと強調した。
今回Microsoftは、フロンティアAIモデルをWindowsローカルで実行する環境として「Hybrid Intelligence」と総称するソリューションを紹介し、そのコアとなるMXC(Microsoft Execution Containers)の一般提供を10月15日に開始すると発表した。あわせて、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏をステージに迎え、WindowsのHybrid Intelligenceに関する対談を行なった。
WindowsはフロンティアAIモデルをよりよく活用できるプラットフォームに
発表会に登壇したナデラ氏は、「こうしてサンフランシスコでのイベントに登壇できてうれしい。というのも、私のキャリア初期のよい思い出の1つに、1991年にサンフランシスコで開催したPDC(筆者注: PDCはMicrosoftの年次イベントで、現在のBuildの前身にあたる)がある。そこで我々はWindowsに関して説明を行ないWin32に関してのビジョンを語った。
そのときに、x86プロセッサとWin32がPCだけでなくサーバーも含めてコンピューティングの未来を変えていくと確信していて、実際にそうなった。これからお話しするフロンティア・エコシステム(筆者注: フロンティアAIモデルを中心とした環境のこと)に関しても同様で、今後2年、5年、そして10年で姿を変えていくと考えている」と述べた。
ナデラ氏はそうしたフロンティア・エコシステムを実現するためには、「信頼」、「知性」、「人間の希望の実現」の3つが重要だと述べ、それらをWindowsの機能として実現するために、「Agent 365」、「Microsoft IQ」、「Copilot」に関してここ数年取り組んできたと説明。これらの要素をWindowsに組み込んでいくことで、Windowsを最高のエージェント型AI実行環境にすると強調した。
MXCの導入でOpenClawなどのセキュリティ制御がより簡単に
ナデラ氏の後を受けたMicrosoft Windows+Devices担当上席副社長のパヴァン・ダビュルリ氏は、「サティアが説明したように信頼、知性、エコシステムが持つ力を毎日10億人以上のユーザーに使われているWindows 11のデバイスに結びつけることは、我々にとって大きな機会だ。クライアントとクラウド、双方の力を組み合わせたHybrid Intelligenceを通じて、フロンティア・エコシステムを世界中の人々に届けることができるようになる」と述べ、MicrosoftにとってHybrid Intelligenceは、Windows 11をより便利で魅力的なものにしていくチャンスだと説明した。
その上で、そうしたHybrid Intelligenceを提供していくためには、エージェントを安全に実行できるセキュアな環境と、AIモデルがローカルでもクラウドでも実行できる環境、そしてユーザーが望むような処理を自動で実行できる環境が必要であると説明した。
ダビュルリ氏は、「現在のOSはアプリ中心の世界を前提に作られているが、エージェントはその前提を変えていく。エージェントは推論し、ツールを使って複雑な問題を解決して、自律的に処理を行なっていく。その可能性を引き出すにはOSに新しい基本機能が必要だ」と述べ、Microsoftが6月のBuildで構想を発表したMXC(Microsoft Execution Containers)の一般提供を10月15日に開始すると明らかにした。
MXCはこうしたAIエージェントをWindowsで実行する上で、コードレベルのサンドボックスとして動作する。このMXCにはガードレールの機能なども包含されており、エンタープライズや個人などが、このファイルにアクセスしてよい、このフォルダにはアクセスしてはいけないといった、セキュリティ設定をOSレベルで行なえる。
たとえば、エージェント型AIのハーネスとして注目を集める「OpenClaw」の場合だと、そうしたセキュリティや管理機能などがWindows OSのセキュリティ機能とは連携できず、ユーザーが1つ1つアプリケーションレベルで設定しなければいけなかった。このため、一般のユーザーには導入が難しく、普及が進まない要因になっていた。
しかし、MXCにOSが対応し、かつOpenClawのようなアプリケーションがMXCに対応すると、あらかじめOS側に設定されているセキュリティ設定に従って、OpenClawのようなAIエージェントが動作するようになる。そのため、ユーザーが意図しないファイルやフォルダへのアクセス制御といった面倒な設定は、OSレベルで一度行なうだけで済むことになる。
今回Microsoftは、MXC対応版のOpenClawのWindowsネイティブアプリケーションが提供されると明らかにしている。これまでのOpenClawとは異なり、セキュリティ関連の設定がMXCの設定だけで済むため、格段に設定や導入が容易になる。これによりWindows環境でエージェント型AIの導入が加速的に進む可能性がある。
CoDもプレイ可能に。マグネット式USB-C採用の「Surface Laptop Ultra」
会見の後半では、Surface Laptop Ultraに関する詳細が発表された。価格などに関してはすでに速報記事で説明しているので、そちらもあわせてご覧いただきたい。
この中でMicrosoftは、ゲームタイトルの対応として「Call of Duty」が2027年にRTX Sparkに対応すると発表したほか、Surface Laptop UltraのUSB Type-Cポートの1つが「マグネット式USB-C」と同社が呼称する、マグネットによる着脱機能をもったUSB Type-C端子であると明かした。このマグネット式USB-Cに対応したケーブルとして「Microsoft Surface USB-C マグネット コネクトケーブル」も11月13日に発売予定で、日本での価格は9,240円となっている。
NVIDIAフアンCEO「RTX SparkはPCを根本から作り替えるためのSoC」
Surface Laptop Ultraの発表後には、Surface Laptop UltraのSoC「RTX Spark」を提供するNVIDIAから、CEOのジェンスン・フアン氏がステージに招かれ、Microsoftのナデラ氏との対談も行なわれた。
フアン氏は「NVIDIAはWindowsがあったからこそ生まれた会社だ。1992年の終わり、Windows 3.1の時代に、私はPCではなくワークステーションを使っていて、チップの設計をしていた。私と共同創業者たちは3Dグラフィックスを備えたPCならゲームもできるし、ワークステーションとしても使えるのではないかと考えて、1993年にNVIDIAを創業し、その2年後にWindows 95が登場した。
そして、DirectXが登場し、GPUの世界を大きく変えた。Direct3Dによって、アプリケーションがGPUを簡単に利用できるようになった。そしてDirectX 8では、Microsoftと共同でプログラマブルシェーダーを定義し、それが進化してCUDAへとつながっている。Windowsがなければ、GeForceもなかったし、CUDAも生まれなかった。それがなければAIの著名な開発者たちがディープラーニングの計算環境を得ることがなかっただろう」と語った。
それに対してナデラ氏は「ジェンスンが話したことはまさにコンピューティングの歴史だ。ジェンスンとの話でよく覚えているのは、AzureでHPCのニーズを拡大するにはどうしたらいいかを話し合ったことだ。そのようにNVIDIAと一緒になってHPCに取り組んでいなければ、OpenAIに提供しているスーパーコンピュータはなかったかもしれない。
サム(筆者注: OpenAI CEOのサム・アルトマン氏)からAI用の計算リソースがあるかと聞かれたときに、私たちはあるかもしれないと答えることができたのは、そうした取り組みを行なってきたからだ。ジェンスンに敬意を表したいのは、そうしたアクセラレーテッド・コンピューティングの取り組みをずっと一貫して行なってきたことで、それが今につながっている」とし、NVIDIAとの取り組みが今のMicrosoftのAIインフラの拡大につながっていると強調した。
ナデラ氏は「MXCの実現にはジェンスンのチームとも協力して開発を行なってきた。MXCにはNVIDIAが提供しているOpenShellがネイティブで統合されており、Windowsのセッションそのものを隔離でき、かつ可視化も可能だ。エージェントがどのような活動を行なったかの追跡も可能だし、トークン利用量やどの段階で消費されているかを確認することができる」と述べ、今後のエージェント型AIをよりよく実行できるWindows環境を実現するための鍵がMXCであり、それにはNVIDIAも開発に協力しているのだと説明した。
フアン氏も「こうしたMXCは次世代ITの基礎になると思う。WindowsとDirectXがアプリケーションの開発を変えたように、MXCはエージェントの構築と展開を変えると考えている」と述べ、MXCがWindowsに搭載されることはエージェント型AIの普及にとって重要だという認識を明らかにした。
Surface Laptop Ultraに搭載されたRTX Sparkについて問われたフアン氏は「このプロジェクトにはのべ4,000人以上のエンジニアをつぎ込んで開発してきた。非常に大規模なプロジェクトで、PCを根本から作り直している。これまで、ゲーム用、ノートPC、ワークステーション、スーパーコンピュータ、クラウドなどに分散していたものを、1つのアーキテクチャに再統合した。AI革命の初めの頃にNVIDIAが提供していたDGX-1は1PFLOPSの性能をもち、価格は2億5,000万ドルで、重さは500ポンドだった。それが今ではノートPCに入っているのだ。
4年前にサティアと話した時に、これからはAIを開発する人、AIを使ってソフトウェアを開発する人が新しい世代として登場するという話をした。そうした人たちのために、PCを作り替える必要があると考えたのだ。そして、このRTX Sparkを作り、今やPC業界全体がこの取り組みに参加してくれている。これまでPCは人のための道具だったが、これからはその道具を使うパーソナルアシスタントのための道具にもなっていく」と述べ、NVIDIAがPC産業に革命を起こすためにRTX Sparkを設計し投入したのだと強調した。



















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