西川和久の不定期コラム

USB Type-C 1本でつながるミニPC「GEEKOM IT13」、Panther Lake内蔵NPUでLLMも

GEEKOM IT13

 GEEKOMはCPUにCore Ultra 7 356H、メモリ32GB、SSD 1TB搭載のミニPC、「IT13」を販売中だ。外観はCore i9-13900H搭載モデルから変わってないが、実は中身は大きく変わっているのが特徴となる。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Core Ultra 7 356H/32GB/1TB搭載のミニPC!

 今回ご紹介するIT13は、サイズ約117×112×49.2mm、重量586.2gというコンパクトな筐体にCore Ultra 7 356H/32GB/1TBを搭載したミニPCだ。

 この基本スペックに加え、USB4 2基(USB PD入力対応)、HDMI 2基の映像出力を備えているのがちょっと面白いところ。SDカードスロット対応も嬉しいポイントだ。主な仕様は以下の通り。

GEEKOM「IT13」の仕様
プロセッサCore Ultra 7 356H(16コア16スレッド/Pコア4基+Eコア8基+LPEコア4基/最大4.7GHz/キャッシュ18MB/TDP 最大45W/最大50TOPSのNPU内包)
メモリDDR5 SO-DIMM 32GB(16GB×2)、最大128GB
ストレージ1TB(M.2 2280)、M.2 2280 PCIe 4.0x4 SSD(最大4TB)+M.2 2230 PCIe SSD(最大1TB)
OSWindows 11 Pro(25H2)
グラフィックスIntel Graphics/HDMI 2.1 2基、USB4 2基
ネットワーク2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
インターフェイスUSB4 2基、USB 3.2 Gen 2 4基、3.5mmジャック、SDカードスロット
サイズ/重量約117×112×49.2mm、586.2g
価格19万9,900円

 プロセッサはPanther Lake世代のCore Ultra 7 356H。16コア16スレッド、Pコア4基、Eコア8基、LPEコア4基。クロックは最大4.7GHz、キャッシュは18MB、TDP 最大45W。最大50TOPSのNPUを内包する。

 Panther Lakeは本連載初登場だと思うが、Intelの最新製造プロセス「Intel 18A」を導入、前世代(Lunar Lakeなど)に比べて電力効率やシングルスレッド性能が大きく向上している。高性能Pコアに「Cougar Cove」、高効率Eコアに「Darkmont」を採用。グラフィックス機能に新世代の「Xe3」アーキテクチャ、そして第5世代のNPUを内蔵し、最大50TOPSのAI演算性能(+FP8初対応)を実現……など、かなり手が入ったものとなる。

 メモリはDDR5 SO-DIMM 32GB。メモリスロットは2つあり、16GBモジュールが2基搭載され空きはない。最大128GBまで対応する。Lunar Lakeの最大の特徴だったパッケージ内メモリは廃止されている。おそらくコストが合わなかったのだろう。

 ストレージはM.2 2280 PCIe 4.0x4 SSD(最大4TB)と、M.2 2230 PCIe SSD(最大1TB)でスロットが2つ。前者に1TBを搭載する。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Graphics。外部出力用に、HDMI 2.1 2基とUSB4 2基を装備しているのは冒頭に書いた通り。

 OSはWindows 11 Pro。既に26H2がリリースされているものの、25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用して評価した。

 ネットワークは2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4。そのほかのインターフェイスは、USB4 2基、USB 3.2 Gen 2 4基、3.5mmジャック、SDカードスロット。

 本体サイズ約117×112×49.2mm、重量586.2gで価格は19万9,900円。ギリギリ20万円未満だが、去年(2025年)の同クラスと比較するとずいぶん高くなった印象を受ける。

前面。USB 3.2 Gen 2 2基、3.5mmジャック、電源ボタン。なお左側面にSDカードスロット、右側面にロックポートがある
背面。電源入力、USB4 2基、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、USB 3.2 Gen 2 2基、HDMI
裏面とiPhone 16 Pro。内容の割に結構コンパクトなのが分かる。中央あたりにVESAマウンタのネジ穴
付属品。ACアダプタ(サイズ約97×65×23mm、重量253g、出力120W)、VESAマウンタ、HDMIケーブル
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced
重量。実測で592g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB4があるのでType-Cケーブル1本で接続可能

 筐体はちょっとグリーンがかったメタリックな雰囲気でチープな感じはない。サイズもiPhone 16 Proとの比較からも分かるようにコンパクトだ。重量は実測で592g。

 USB4はUSB PD入力(100W)に対応しているため、ACアダプタなしでも、該当するモニターなどがあれば映像とともに給電もでき、本体だけ持ち運べば良い。

 前面は、USB 3.2 Gen 2 2基、3.5mmジャック、電源ボタン。また扉の写真から分かるように、左側面にSDカードスロット、写真からは見えないが右側面にロックポートがある。背面は電源入力、USB4 2基、HDMI、2.5Gigabit Ethernet、USB 3.2 Gen 2 2基、HDMIを配置。裏は4隅にゴム足、中央あたりにVESAマウンタ用のネジ穴がある。

 付属品はACアダプタ(サイズ約97×65×23mm、重量253g、出力120W)、VESAマウンタ、HDMIケーブル。BIOSは起動時[DEL]キーで表示する。

 内部へのアクセスは非常に簡単。裏のゴム足中央にあるネジを緩め(外せない)、ゴム足を持って引っ張ればパネルが外れ、メモリとストレージにアクセスできる。M.2 2230は、M.2 2280に垂直に配置され、一部M.2 2280の下に潜り込むようになっている。

ゴム足中央にあるネジを緩めれば簡単にパネルが外れる
メモリスロットにはSO-DIMM 16GB×2。M.2 2280には1TBのSSD装着済み

 ノイズは筐体に耳を近づけると聞こえる範囲。通常の設置場所なら特に問題はない。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると裏のスリットからちょっと暖かい風が出る程度だ。

バランスの良い1台

 初期起動時、特にプリインストールなどのアプリはなく、Windows 11 Pro(25H2)標準のまま。構成が構成なだけにストレスなく使用できる。

 1TB SSDは「KINGSTON OM8TAP41024K1-A00」。仕様によると最大リード6,100MB/s、最大ライト5,300MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられ、空きは881GB。

 2.5GbEはIntel Ethernet Controller I226-V(ただし、サイトではRTL8125BG-CGの表記)、Wi-FiはIntel Wi-Fi 7 BE200 320MHz、BluetoothもIntel製だ。デバイスマネージャーにはNPUの項目も見える。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro(25H2)標準
デバイスマネージャー/主要なデバイス。1TB SSDは「KINGSTON OM8TAP41024K1-A00」。2.5GbEはIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはIntel Wi-Fi 7 BE200 320MHz、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられている
Intel Graphics Software

 ベンチマークテストは、PCMark 10、3DMark、Cinebench 2026、CrystalDiskMarkを使用した。Core Ultra 7 356H、16GB x2の32GB、SSDが「KINGSTON OM8TAP41024K1-A00」の構成としては一般的な値ではないだろうか。通常用途なら十分(以上)の性能といえよう。Xe3アーキテクチャが効いているのか?iGPUを主に使う項目のスコアも(iGPUとしては)いい感じだ。

PCMark 10 v2.3.2912
PCMark 10 8,639
Essentials10,674
App Start-up Score9,955
Video Conferencing Score9,080
Web Browsing Score13,455
Productivity16,219
Spreadsheets Score18,085
Writing Score14,547
Digital Content Creation10,109
Photo Editing Score16,219
Rendering and Visualization Score8,875
Video Editing Score7,177
3DMark v2.32.8897
Time Spy3,252
Fire Strike Ultra1,615
Fire Strike Extreme3,073
Fire Strike6,259
Sky Diver25,028
Cloud Gate32,952
Ice Storm Extreme157,735
Ice Storm195,763
Cinebench 2026
CPUMulti Thread4,009
CPU Single Thread485
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6151.891 MB/s [   5866.9 IOPS] <  1362.46 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  4972.611 MB/s [   4742.3 IOPS] <   210.70 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   746.932 MB/s [ 182356.4 IOPS] <   169.87 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    65.311 MB/s [  15945.1 IOPS] <    62.59 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  5331.775 MB/s [   5084.8 IOPS] <  1569.84 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  4958.823 MB/s [   4729.1 IOPS] <   211.24 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   649.165 MB/s [ 158487.5 IOPS] <   200.10 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   196.518 MB/s [  47978.0 IOPS] <    20.75 us>

 NPUの最大50TOPSがどのような感じなのかを試すため、筆者の編集担当が「onw — 俺のNPUがこんなに動くわけない」というNPUでLLMを動かすツールを作成したので、このPCで試してみた。インストール方法は簡単!管理者モードでターミナルを開き、

irm https://huggingface.co/ryugyosoft/onw/resolve/main/install.ps1 | iex

 途中でPythonをインストールするか、と聞かれるのでY。たったこれだけ。後は自動だ。

 インストールが終わると開くonwウィンドウの「モデル」タブでモデルを選び「ダウンロード」。今回はQwen3.5-9B (NF4)を使用した。

onwウィンドウ / チャット。Qwen3.5-9B (NF4)、10tok/s。NPUもしっかり動いていた

 その後「サーバー」タブで「ロード」。初回だけNPU向けのコンパイルに10から30分ほどかかる(2回目以降は約20秒)。「動作中」になったら、「チャット」を押すとブラウザのチャット画面が開く。ほかのアプリからのエンドポイントはhttp://localhost:8000/v1と、OpenAI API互換だ。

 動くといってもQwen3.5-9B (NF4)で10tok/s。チャットでもちょっと遅い感じだ。それでもNPUだけで汎用のLLMが動くのは面白い。興味のある方はぜひ試してほしい。

 余談になるが、一通り評価した後で26H2をインストールした。見た目的な大きな違いはタスクバーを下以外に置けるようになったこと。フルHD(1,920×1,080ドット)など縦が狭い解像度ではこんな感じでタスクバーを横に置けば、気持ち使い勝手が改善されるだろう。

26H2でタスクバーが下以外に置けるようになった

 ただ残念なのは「タスクバーを自動的に隠す」は下のみ有効、上左右ではできないことだ。技術的にできないとは思えないので、なぜこの仕様なのか知りたいところ。


 以上のようにGEEKOM IT13は、サイズ約117×112×49.2mm、重量586.2gのコンパクトな筐体にPanther LakeのCore Ultra 7 356H/32GB/1TBを詰め込んだミニPCだ。HDMIとUSB4が2つずつあるのもポイントが高い。

 円安そしてメモリ高騰により価格は去年から随分上がってしまったものの、Panther Lake、そしてインターフェイス系も含め、インテルCPU搭載のミニPCがほしいユーザーにお勧めできる1台といえよう。