大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

シェア首位のFMV、でも「70点」――FCCL大隈社長が語る下期戦略

富士通クライアントコンピューティング(FCCL)代表取締役社長の大隈健史氏

 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の大隈健史社長は、「2026年度上期もコンシューマPC市場においてトップシェアを維持した。FMVは、PC業界をリードする立場でしっかりと日本のお客様に寄り添っていきたい」と切り出す。2025年度は3年連続で、店頭向けPC市場でシェアナンバーワンを獲得。さらに、Web販売を含む国内コンシューマPC市場全体でも、初めてナンバーワンシェアを獲得した。2026年度上期もその勢いを持続している。2026年10月には、2026年冬モデルを発表。「日本の暮らしから考える」という、FMVの新たな方針を打ち出した。2026年度下期に向けたFMVの事業戦略を追った。

2026年度上期は「70点」の意味

 大隈社長は、2025年度(2025年4月から2026年3月)の成果を次のように振り返る。

 「Windows 10のサポート終了を契機とした買い替え需要や、AI PCへの関心の高まりが追い風となり、2025年度は、FMVにとっても、好調な1年となった。店頭向けPC市場では、3年連続のシェアナンバーワンを獲得するとともに、Web販売を含む国内コンシューマPC市場全体でも、初めてナンバーワンシェアを獲得した。特に、軽量、高性能なモバイルノートの人気が高く、モバイルカテゴリにおける存在感をさらに高めた1年になった」とする。

コンシューマ向け市場シェアNo.1を達成

 コンシューマ市場におけるFMVのモバイルノートPCの販売台数は、2021年度比で約1.6倍(63%増)になったという。

 一方、2026年度(2026年4月から2027年3月)については、「買い替え需要の反動に加え、メモリやSSDをはじめとする部材価格の高騰もあり、市場環境は決して楽観できるものではない」としながら、「AIテクノロジーの急速な進化と普及により、私たちの暮らしや仕事、学びの中で、PCが果たす役割の重要性はこれまで以上に高まっている。

 FMVは、PC業界をリードする立場でしっかりと日本のお客様に寄り添っていきたい。むしろ、このような状況だからこそ、積極的にお客様に支持されるような明確な価値を持ったものを届け、市場全体を拡大したい」と述べた。

 だが、自らの経営については厳しく自己採点する。

 「2026年度上期(2026年4月から9月)を自己採点すると70点」と大隈社長。「2026年度上期も、コンシューマ市場において、シェアナンバーワンを維持し、需要が低迷する中でも、最低限として掲げた目標は達成している。しかし、2025年度上期と比較すると、売上高、利益などの指標は前年割れになっている。その点では、100点とはいえない。30点のマイナスはそこにある」とする。

 一方で、2026年5月に、従来から利用してきた富士通の社内システムをベースにした基幹システムを、レノボグループによる基幹システムへと刷新して、カットオーバー。「2年掛かりで進めてきたプロジェクトである。業務を止めることなく、パートナーやお客様にご迷惑をおかけすることなく、スムーズな移行ができた。社内事情ではあるが、これをクリアできたことは、経営として大きな成果の1つであった」と自己評価する。

部材高騰により、AI PCの普及には遅れが顕著に

 FCCLのコンシューマ向けPC事業の取り組みについて、富士通クライアントコンピューティング執行役員常務/コンシューマ事業本部長の髙嶋敏久氏は、「部材価格の高騰を背景に、PC本体価格の値上げが相次いでおり、それが需要にブレーキをかけている側面がある」と市場全体の動向を指摘しながらも、「FCCLがトップシェアを維持している背景には、FMVならではの付加価値を提供できている点がある。独自のアプリケーションを搭載したり、サービスを提供したりといったことが評価されているのではないか」と自己分析する。

富士通クライアントコンピューティング執行役員常務/コンシューマ事業本部長の髙嶋敏久氏

 だが、課題として挙げるのが、AI PCの販売比率が、当初想定したところにまで到達していないという点だ。

 高嶋執行役員常務は、「AI PCの魅力を伝えきれていない。お客様がAI PCの価値を感じ、腹落ちするような提案ができていないという反省がある」とする。

 先頃発表した2026年冬モデルでは、Intel、AMD、Qualcommを搭載した「FMV Note U」全機種で、Copilot+ PCを用意するなど、Copilot+ PCを大幅に拡充している。

 「Copilot+ PCの品揃えの拡充に加えて、FMVが提供するアプリケーションを通じて、AIのメリットをアピールする必要がある」と語る。

 プロンプトに慣れていなかったり、AIを使うのが不安だったりという人でも、簡単にAIを活用することができる独自のAIサービス「FMV AI Plus+」のほか、2026年冬モデルでは、取り込んだ写真や動画をAIが自動で整理する「Reclip」、オンライン授業や会議の画面を自動で保存するAIキャプチャーアプリ「Quick Capture」といったNPUに対応したFMVアプリをアップデートし、PCに標準搭載。具体的な用途提案とともに、他社との差別化につなげている。今後も、FMVならではのAIアプリを増やしていく考えだ。

NPU対応ソフトの投入

 富士通クライアントコンピューティング執行役員常務/COOの栗田克彦氏は、「AI PCは、選択肢を用意して、これを使ってくださいというだけでは購入してもらえないと考えている。一般的にAI PCは、価格が高いが、その価格に見合った価値を提案できるかが鍵である」とし、「FMVは、AI PCの広い選択肢を提案するだけでなく、具体的な使い方や安心に利用できる環境も提供する。さらにAIは日々進化していく。その動きを捉えながら、ユーザーがAIを活用して創造する活動をサポートしていく」とした。

富士通クライアントコンピューティング執行役員常務/COOの栗田克彦氏

 FCCLが提供する「ふくまろ」も、AIサービスの1つと位置づけることができる。

 「ふくまろは、自然言語での対話だけでなく、PCを使って何ができるかといったことも問い合わせることが可能だ。親しみやすいインターフェイスで使用してもらうことができるAIサービスである」とし、「ハードウェアでも、ソフトウェアでも、AIでも、人に寄り添うのがFMVの基本戦略になる。ふくまろは、その象徴になる」と述べた。

モバイルノートを3本柱で展開。Snapdragon X搭載モデルも継続的に提案

FCCLが発表した2026年冬モデル

 FCCLでは、2025年1月に、若年層を対象にしたモバイルノートPC「FMV Note C」を新たに投入。2026年冬モデルでも、「FMV Note C」を進化させている。

 高嶋執行役員常務は、「FMV Note Cがターゲットとしているのは、10代後半から20代の若年層。狙ったターゲットにおいては実績が出ている。その点では合格点に達している」としながらも、「ここは、もともとFMVが弱い市場である。発売当初は、学生向けという訴求をしたが、それ以外の若い人たちにも最適なPCに仕上がっているにも関わらず、そこが訴求しきれていなかった。

 新たなFMV Note Cでは、美しさと使いやすさを両立しており、学生には限定しない形で、選んでいただけるPCとして提案する。FMVのモバイルノートの提案は、軽さを徹底的に追求するFMV Note Uと、デザインに優れたFMV Note C、価格が手頃で、安心して長く使えるFMV Note Mという3つの柱で訴求していくことになる」とした。

 2026年1月からは、FCCL初となるSnapdragon Xシリーズを搭載した「FMV Note U」を発売し、2026年冬モデルでも、Snapdragon X搭載のFMV Note Uをラインアップしている。

 高嶋執行役員常務は、「想定した目標には到達していないが、毎月のように右肩上がりになってきている。Snapdragonに対しては、アプリケーションの互換性の課題などが指摘されてきたが、それらの課題が解決されていることが徐々に浸透してきた。Snapdragonが持つ優位性を、しっかりと訴求していく」と述べる。

 量販店店頭での購入よりも、同社公式サイトなど、ネットでの購入比率が高く、Snapdragonが持つメリットを正しく理解していたり、技術的に詳しいユーザーの購入が先行していたりといった傾向があるようだ。

 「モバイルノートに求められる軽量化と薄さ、長時間バッテリ駆動という要素を高い次元で実現することができるのがSnapdragonであり、今後も継続的に力を注いでいく」という。

 そして、16型の「FMV Note A」については、「最も幅広い層に利用されているモデル」と位置づけており、正常進化を遂げている。

 主要家電量販店を対象にした調査によると、15.0型以上のノートPCの購入者において、光学ドライブ搭載モデルを選択する比率は68.3%に達しているという。長年に渡って、ディスクメディアを使い続けているユーザーが多数いるというわけだ。光学ドライブは過去と現在をつなぐ重要な機能とし、FMV Note Aに搭載。さらに、2026年冬モデルでは、FMV Note Aの全モデルをCopilot+ PCとしている。

法人向けPCは富士通との連携を強化

 一方、富士通ブランドの法人向けPCについては、FCCLが開発、生産を行ない、富士通の100%子会社である富士通パーソナルズを通じて、富士通の法人営業部門などが販売している。また、同じ富士通の100%子会社であるエフサステクノロジーズの商流も活用していくことになる。

 FCCLで法人事業を統括する栗田COOは、「法人向けPC市場は、2026年度に入ってから、前年度のWindows 10のサポート終了を前にした駆け込み需要の反動や、本体価格の上昇を背景にした買い控えが見られる一方で、本体価格が上昇する前に購入を急ぐといった動きも見られた。現在、使用しているPCの買い替えを先送りにするといった動きも出ている。企業によって判断がさまざまであり、FCCLは、富士通としっかりと対話をしながら、需要に応じたタイムリーな製品供給を心掛けたい」とする。

 また、法人向けのAI PCのラインアップも強化しており、企業の選択肢を広げているという。栗田COOは、「法人市場におけるAI PCのニーズに対応できるように製品を供給していく」と語る。

 さらに、法人向けPCにおいては、生産性の向上やセキュリティへの対応、ライフサイクル全体に渡る運用サポートおよび保守サービスの強化などにも取り組むことになりそうだ。

 「FCCLと富士通が一体化した組織のようにして動くことが大切。情報をタイムリーに共有し、一体感を持った法人向けPCビジネスを推進していく」と述べた。

FMVの新たなコンセプトは「日本の暮らしから考える」

 FCCLの大隈社長は、2026年度下期からの同社PC事業の新たな方針として、「日本のお客様の暮らしから考える」というキーワードを掲げた。

新たな方針

 「FMVは、PCから考えるのではなく、日本のお客様の暮らしから考える。だが、これは、お客様からアンケートをとって、お客様の声を集めるだけではない。毎日の使い方を捉え、住環境や移動手段、学び方や働き方を見つめて、その中から、まだ言葉になっていない不便を見つけて解決し、可能性を広げていくことを目指している」と定義する。

 FCCLは、9万人以上の顧客の声を集計するだけでなく、暮らしという観点からPCに対するニーズを分析しているという。日本の暮らしには、日本ならではの価値観があることを捉え、それらを理解することから、FMVの商品企画を開始していることを強調する。

 そして、「日本市場における顧客理解をもっと深めることが、FMVの基本戦略になる。FMVは、PC業界をリードする立場で、しっかりと日本のお客様に寄り添っていきたい」と語った。

 その一方で、大隈社長は、「モバイルカテゴリのPCが、一層存在感を高めている。この潮流は一過性のものではない。お客様の利用スタイルそのものの変化だと捉えている」と指摘。「FMVも、モバイルカテゴリでのラインアップをさらに拡充しながら、より幅広いニーズに応える商品展開を進めていく」とも述べた。

 FCCLは2026年冬モデルとして、14型ノートPCで世界最軽量となる約634gのFMV Note Uの新モデルをはじめ、FMV Note C、FMV Note M、FMV Note Aを発表。モバイルカテゴリを中心としてラインアップを強化した。さらに、日本の住環境やライフスタイルに合わせて開発した新たなアクセサリシリーズとして、「FMV Accessory」を発表。FMVブランドのキーボード、マウス、ディスプレイを投入してみせた。

FMVの冬モデル

 これらの新製品も、「日本の暮らしから考える」というコンセプトから生まれたものだという。

 大隈社長は、次のように語る。

 「日本人は、仕事の荷物を手に持ったり、背中に背負ったりして、細かな移動を繰り返すことが多い。そのため、毎日、PCを持ち歩く人にとって、数百gの違いは、単なる重量の差ではなく、毎日の負担の差、あるいは、1日の終わりに感じる疲労の差につながっている。また、日本の住環境やワークスペースは、必ずしも広いわけではない。そして、大学進学を機に自分専用のPCを持ち、本格的に使い始める学生が非常に多い。

 2026年冬モデルは、暮らしの中の気づきを拾い上げ、技術や設計によって具体的な価値へ変えていくことにこだわった。PCの利用環境をさらに快適にする新アクセサリ製品群と、学生のいまを知り、学びの未来を考える新たなプロジェクトとして、『Enter』も開始した」とする。

 その上で、「FMVの特徴は、MADE IN JAPANである。だが、これは島根富士通により、日本で作っているという製造国表示を意味しているものではない。企画開発から製造、販売、サポートに至るまで一貫した対応を日本国内で完結している。これによって、日本のお客様の声を、素早く製品へ反映していくことができる。これが、FMVのMADE IN JAPANである」と位置づけた。

 また、大隈社長は、「これまでの『富士通のFMV』ということから、より独立したブランドとして、『FMV』を認知してもらいたいと考えている。2026年度下期も、『FMV』が、日本に根ざしたクライアントコンピューティングブランドとして、日本のコンシューマユーザーに受け入れてもらえるように努力したい。今回発表した製品群は、その取り組みを加速するための武器になる」とした。

 栗田COOも、「2025年1月に、FMVのブランドリニューアルを実施してから、これまでアプローチができていなかったユーザー層にも積極的な訴求を開始している」と手応えを示す。

FMVマイスターを全国5,000人規模に

 FCCLでは、量販店などの社員を対象にしたFMVマイスター制度を、2026年2月からスタートしている。これもFMVの価値を、日本の顧客に届けるための施策の1つだ。オンライン受講を通じて、FMVに関する一定の知識やスキルを持った店員を認定しているという。

認定された店員が着用するFMVマイスターのバッジ

 高嶋執行役員常務は、「量販店などの社員の方々に、FMVをより深く知っていただき、お客様に、FMVの良さをご提案していただきたいと考えている。FMVマイスターがいる店舗では、FMVのシェアが高まっている。量販店からも好評で、すでに予定していた2,500人を超えており、当初計画から倍増させることになる」という。

 FMVの取扱店舗は全国約2,500店であり、1店舗1人のFMVマイスターの配置を目指していたが、2026年度内には5,000人にまで拡大することになる。FMVマイスターの認定者は、店頭でそれを示すバッジを着用しているのですぐ分かるだろう。

 富士通クライアントコンピューティングは、2月1日を、「FMVの日」とし、2026年1月に、これが日本記念日協会によって、正式に認定されたことを発表している。FMVブランドを、日本のコンシューマユーザーにとって、より身近で、価値ある存在へと進化させるための取り組みを加速する考えであり、来年(2027年)2月1日の「FMVの日」にあわせた活動にも注目が集まる。

2月1日をFMVの日に

一定数残るWindows 10ユーザーへの移行提案も

 ただ、FCCLの髙嶋執行役員常務が、懸念していることが1つある。

 それは、Windows 10以前のOSを利用しているユーザーが、依然として一定数いることだ。

 2025年10月のWindows 10のサポート終了から1年を経過しているが、FCCLの調査では、まだ移行が完了していないユーザーがかなりいるという。

 「Windows 10以前のOSを利用しているFMVユーザーには、画面上に、ポップアップを表示するなど、移行を促している。より安全な環境で利用してもらえるように引き続き訴求していきたい」とする。

 Windows 10のサポート終了以降、PCの価格上昇が顕著に見られており、移行に踏み出せないユーザーもいるだろう。ただ、昨今の相次ぐ情報漏洩の動きを見ても、脆弱性を持ったPCをインターネットに接続することの危険性は、直感的に分かるだろう。FCCLでは、こうしたユーザーに対する新たな環境への移行提案を進める考えだ。

PCを作って売る会社だけではないFCCL

 一方、富士通クライアントコンピューティングでは、エンゲージメント活動を積極化していることも示した。

 FCCLの栗田COOは、「FCCLは、PCを作って売る会社、だけではない」とし、「社員、家族、地域との接点を通じて、互いを知り、支え合い、新しい気づきが生まれる企業文化を育てている。社員全員が個性を発揮し、価値を高めることができる土壌を作ることが重要である。DE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を重視し、その実現に向けて、社内で3つのエンゲージメント活動を行なっている」と語る。

 1つ目は、社員同士をつなぐ活動となる「team KIZUNA」である。

 team KIZUNAは、2023年10月に活動を開始しており、2026年度は3期目に入っている。社員エンゲージメントの拡大、社員によるコミュニティ活動の支援、イベントの企画および運営、新しいつながりや発見の機会づくりを活動目的としており、現在、11の社内コミュニティが立ち上がっている。ゲームや英語学習、旅行のコミュニティのほか、サッカーJリーグの川崎フロンターレや、NPBの阪神タイガースのファンによるコミュニティなどがある。ランニングのコミュニティには、大隈社長も参加している。

 栗田COOは、「社員同士が交流できる機会が欲しいという要望があり、それをきっかけに生まれた活動である。約25人の社員がteam KIZUNAの運営に携わっている。毎年12月には、team KIZUNAが主催するYear End Partyを開催して、社員が参加。本社だけでなく、島根富士通や台湾、ドイツ、R&Dセンター、全国16カ所の営業拠点からもオンラインで参加できるようにしているほか、夕方から開催するため、託児所も用意して、小さい子どもがいる社員も参加しやすいように配慮している」という。

 ちなみに、Year End Partyなどでの記念撮影では、両手を斜め上に掲げた「V」のポーズをするのが定番だ。FMVの「V」からとったポーズである。

 2025年度には、神奈川県藤沢の海岸でFamily Dayを開催し、約130人の社員および家族が参加。ゲーム「マリオカート」を使用した「1st FCCL CUP」を各拠点を結んで開催したほか、写真や動画、AI生成などの作品を競う「Creator Contest」、社員による「川柳コンテスト」も実施した。

 「team KIZUNAが開催した大型イベントはこれまでに7回に達し、延べ2,400人が参加した。参加後の満足度は5点満点中4.4点となり、高い成果が生まれている。『普段話せない社員と交流できた』、『他部署とのつながりが生まれた』という声もあった」と、活動の成果に手応えを示した。

 2つ目が、社員の声や想いを届ける「FMV MAGAZINE」だ。2024年7月から、月刊で配信している社内報で、誌面を通じて、経営層から現場社員まで、多様な声や取り組みを届け、社員一人ひとりが、会社や仲間を身近に感じられることを狙っている。

FMV MAGAZINE

 具体的には、経営層と社員が少人数で集まり、仕事以外にも話題を広げて対話する「Cafe企画」、各部門の役割や業務内容を紹介し、社内の業務理解を深める「FCCLの歩き方」、社員やチームの取り組みに焦点をあて、現場の声を紹介するインタビュー企画の「くるま座」などがある。「Cafe企画への参加者からは、5点満点中4.6点という高い満足度を得ている。サイコロトークにより、人柄や考え方にも触れられる点が好評である」という。

 そして、3つ目が地域社会とつながる「地域貢献活動」だ。

 本社があるJR鹿島田駅近辺を月1回、午前8時から清掃する「アサカツ」、寄付活動などを通じて、環境保全と資源循環に貢献する「フードドライブ」や「ブックキフ」、スポーツを通じた共生社会の実現を目指す「アンプティサッカー」への参加のほか、神奈川県川崎市や島根県出雲市の「ふるさと納税」に、FMVパソコンや純正周辺機器を提供している。

地域貢献活動

 FCCLのエンゲージメントスコアは、2024年度の66から2025年度には70に上昇。2026年度には85に高める計画だ。そして、2030年度には95を目指している。

 栗田COOは、「これらのエンゲージメント活動を通じて、社員同士の接点を増やし、お互いを尊重し、個性豊かな社員が平等に参加できる環境を実現している。継続して改善を行なうことが、これらの活動では重要である。事業活動だけでなく、社員が力を発揮できる環境を作ることが、FCCLの事業成長を下支えしている」と語る。

 振り返ってみると、2025年1月に発売したFMV Note Cは、20歳代を中心とした若手社員で構成した「FMV From Zero Project」によって開発するという異例の手法が取られた。ターゲットを明確にし、従来の常識にとらわれない発想で生まれたPCであった。

 「ボトムアップで作り上げたPCであり、個性豊かな社員が、現場で考えたものを製品化できた。具体的には言えないが、いまも同様の活動は続けている。同じようなプロジェクトがあれば参加してみたいという若い社員の声もある。社員が力を発揮できる環境があるからこそ、新たな製品が生まれることになる」(栗田COO)とする。

 こうした新たなプロジェクトの成果が見られるのは、2年から3年に1回というペースになりそうだが、それがFMVの進化を促進することになるのは明らかだ。

 FCCL全体が、積極的なエンゲージメント活動や、若手によるプロジェクト活動を通じて、新たなものに挑戦しやすい風土へと変わっているというわけだ。

 そうした風土から、今後、どんな製品やサービスが生まれてくるのかが楽しみである。