本命登場!? RIVA TNT2 Ultra搭載カードの実力は |
RIVA TNT2 Ultraは、RIVA TNT2の高クロック動作バージョンだ。動作クロック以外の仕様はどちらも全く同じだが、RIVA TNT2 Ultraのほうが高いクロックで動作するため、描画パフォーマンスも高くなるというわけである。先に登場したRIVA TNT2は、デフォルトではコアの動作クロックが125MHz、メモリの動作クロックが150MHzとなっているのに対して、RIVA TNT2 Ultraではコアの動作クロックが150MHz、メモリの動作クロックが183MHzとなっている。
ただ、この数字はNVIDIAが公式に発表しているものではない。実際、RIVA TNT2を搭載するビデオカードでも、メーカーによってはデフォルトよりも高い動作クロックに設定されて発売されているものも多数ある。そのため、RIVA TNT2 Ultraでも同様のことが考えられるが、現在発売されているRIVA TNT2 Ultra搭載ビデオカードに関しては、どれもデフォルトの動作クロック設定はコア150MHz/メモリ183MHzとなっているようだ。
●SPECTRA 5400 Premium Edition
カノープス SPECTRA 5400 Premium Edition SSEやDFSなど独自の高画質化技術が取り入れられている |
ちなみに、RIVA TNT2を搭載する下位モデルSPECTRA 5400も同時に発売されている。
●AGP-V3800 Deluxe
ASUS AGP-V3800 Deluxe TV出力、ビデオキャプチャ機能が搭載されるほか、3Dグラスが付属する | 付属の3Dグラス 前面にはASUSのロゴが入る |
●3D Blaster TNT2 Ultra 32MB AGP
クリエイティブメディア 3D Blaster TNT2 Ultra 32MB AGP 低価格が魅力のRIVA TNT2 Ultra搭載ビデオカード |
ちなみに、Unifiedドライバをダウンロードするためには、カードのシリアルナンバーを入力する必要があるが、6月3日現在では、3D Blaster RIVA TNT2 Ultraのシリアルナンバーを入れても番号が違うと言われてはじかれてしまい、ダウンロードできないので注意(シリアルナンバーの登録が間に合っていないのだろう。Graphics Blaster RIVA TNTのシリアルナンバーなら大丈夫のようだ)。
1.2D描画パフォーマンス
2D描画パフォーマンス測定には、Ziff-Davis,IncのWinBench 99 Version1.1に含まれるBusiness Graphics WinMark 99とHigh-End Graphics WinMark 99を利用した。これらのベンチマークテストでは、ワープロや表計算、フォトレタッチソフトなど実在するアプリケーションの描画コードを再現することで、総合的な2D描画パフォーマンスを測定できる。解像度は1,024×768ドットで、16bitカラーモードと32bitカラーモードにおいて測定した。
SPECTRA 5400 PE | AGP-V3800 Deluxe | 3D Blaster RIVA TNT2 | Voodoo3 3000 | Viper V770 | |
---|---|---|---|---|---|
Business Graphics WinMark 99/16 | 183 | 187 | 185 | 182 | 185 |
High-End Graphics WinMark 99/16 | 525 | 532 | 526 | 528 | 522 |
Business Graphics WinMark 99/32 | 178 | 184 | 181 | 179 | 178 |
High-End Graphics WinMark 99/32 | 522 | 527 | 518 | 517 | 515 |
結果を見ると、今回用意した3製品ともに完全に横並びとなっている。また、RIVA TNT2およびVoodoo3搭載カードと比較してもほとんど変わらない。2D描画パフォーマンスに関しては、最近登場したビデオカードであればほとんど差がないといっていいだろう。
2.Direct3Dパフォーマンス
Direct3Dは、今やWindows対応ゲームの3D APIとしてほぼ標準の地位を獲得しつつある。そこで、Direct3D環境での総合的な3D描画パフォーマンスを、FutureMarkの3DMark99 Maxを利用して測定してみることにしよう。今回は、Savage4の時と同様に、解像度は800×600ドット、1,024×768ドット、1,280×1,024ドットの3種類で、それぞれについて16bitカラーモードと32bitカラーモードで測定した。
SPECTRA 5400 PE | AGP-V3800 Deluxe | 3D Blaster RIVA TNT2 | Voodoo3 3000 | Viper V770 | |
---|---|---|---|---|---|
800x600ドット16bit | 4,954 | 4,925 | 4,889 | 5,002 | 4,808 |
800x600ドット32bit | 4,831 | 4,780 | 4,797 | d/s | 3,978 |
1,024x768ドット16bit | 4,499 | 4,496 | 4,471 | 4,631 | 4,083 |
1,024x768ドット32bit | 4,061 | 4,015 | 3,886 | d/s | 2,802 |
1,280x1,024ドット16bit | 3,113 | 3,091 | 3,085 | 3,314 | 2,463 |
1,280x1,024ドット32bit | 2,306 | 2,265 | 2,256 | d/s | 1,610 |
結果を見ると、こちらも今回用意した3製品の間に大きな差は見られなかった。Voodoo3 3000の結果にはやや劣るものの、その差はほとんどなく、体感できるほどではない。Direct3D環境ではRIVA TNT2 Ultra搭載カードとVoodoo3 3000のパフォーマンスはほぼ横並びと考えていいだろう。
3.3Dゲーム(Direct3D,Glide対応)のパフォーマンス
次に、実際にDirect3DおよびGlideに対応する3Dゲームを用意し、そのゲームに用意されているフレームレート計測機能を利用してパフォーマンスを測定してみよう。利用したゲームは、これまで同様Direct3D/Glide両方の3D APIをサポートしたTurok2:Seeds of Evilである。
ところで、Creative Technologyが配布しているGlideラッパーUnifedだが、その構造上、描画パフォーマンスがDirect3Dモードでのパフォーマンスを上回ることはあり得ない。また、Glideのみに対応というゲームソフトはほとんどなくなったことを考えると、Unifiedにはあまり意味が見いだせないため、今回はテストはおこなっていない。
SPECTRA 5400 PE | AGP-V3800 Deluxe | 3D Blaster RIVA TNT2 | Voodoo3 3000 | Viper V770 | |
---|---|---|---|---|---|
800x600ドット16bit | 60.1 | 60 | 59.7 | 60.2 | 58 |
800x600ドット16bit/Glide | d/s | d/s | d/s | 73.7 | d/s |
800x600ドット32bit | 58.3 | 59.3 | 57.4 | d/s | 53.2 |
1,024x768ドット16bit | 58 | 59.1 | 57.2 | 57.9 | 54.5 |
1,024x768ドット16bit/Glide | d/s | d/s | d/s | 65.5 | d/s |
1,024x768ドット32bit | 54.3 | 54.3 | 53.3 | d/s | 38.9 |
1,280x1,024ドット16bit | 53.3 | 53.7 | 52.7 | 45.6 | 40.6 |
1,280x1,024ドット16bit/Glide | d/s | d/s | d/s | 45.9 | d/s |
Turok2 1,280x1,024ドット32bit | 36.3 | 35.4 | 34.4 | d/s | 20.6 |
結果を見ると、RIVA TNT2 Ultra搭載カードのパフォーマンスは、Direct3Dモードでは、800×600ドット16bitカラーモードおよび1,024×768ドット16bitカラーモードはVoodoo3 3000とほぼ同じ結果となっており、1,280×1,024ドット16bitカラーモードではVoodoo3 3000を大きく上回っている。これは、RIVA TNT2搭載カードの結果と同じ傾向であるが、全ての点でRIVA TNT2の結果を上回っており、Voodoo3 3000との差も小さくなっている。ただし、Voodoo3のGlideモードでのパフォーマンスにはまだ追いついていない。
ちなみに、RIVA TNT2 Ultra搭載カードの場合、32bitカラーモードでも全ての解像度で30fps以上という十分なフレームレートが出ている点は注目すべきポイントといえる。やはりRIVA TNT2 Ultra搭載カードは、高解像度・多色モード時において力を発揮するといっていいだろう。
4.OpenGL対応ゲーム
最後にOpenGL対応ゲーム、Quake IIを利用したベンチマークテストの結果だ。こちらももちろんRIVA TNT2搭載カードの結果を大きく上回っているものの、Voodoo3 3000の結果にはまだ届いていない。その差は縮まったものの、OpenGL対応ゲームにおいては、相変わらずVoodoo3優位という図式は変わっていない。
SPECTRA 5400 PE | AGP-V3800 Deluxe | 3D Blaster RIVA TNT2 | Voodoo3 3000 | Viper V770 | |
---|---|---|---|---|---|
800x600ドット16bit | 87.6 | 82.6 | 88.1 | 117.2 | 79.1 |
1,024x768ドット16bit | 62.6 | 53.3 | 63.5 | 82.1 | 51.9 |
1,152x864ドット16bit | 51.1 | 44.8 | 50.9 | 67.2 | 41.2 |
1,600X1,200ドット16bit | 26.8 | 24.7 | 27.1 | 35.2 | 21.6 |
【テスト環境】
マザーボード | ASUSTeK Computer P2B |
CPU | Pentium III 500MHz |
メモリ | 128MB(PC/100) |
ハードディスク | Quantum Fireball EX6.4A |
【テスト条件】
各テストでのドライバ設定は基本的にはデフォルト。Turok2とQuake IIに関しては
V-SYNCの設定は基本的にオフ。
WinBench99:基本的にデフォルト設定のまま
3DMark99 Max:Z-Buffer:16bit
FrameBuffer:Triple
SSE利用
Turok2:基本的にデフォルト設定のまま
Quake2:3dfxのカード以外はDefault OpenGLを選択し、3dfxは3dfx OpenGLを選択。それ以外はデフォルト設定。
また、高解像度や32bitカラーモードにおいても十分なパフォーマンスを示すという点にも注目すべきだ。今後より高解像度化・多色化していくと思われる3Dゲームをプレイするためにも、32bitカラーモードでの3Dレンダリングは不可欠であり、この点はVoodoo3にはない優位点である。
そして、今回は入手できなかったが、今後ダイアモンド・マルチメディア・システムズのViper V770 UltraやELSAのSynergy IIなど、まだまだ多数のベンダーからRIVA TNT2 Ultra搭載カードの発売が予定されており、Voodoo3にはない選択肢の豊富さも魅力のひとつ。現在はまだ初物ということもあってやや高めの価格設定となっているが、流通量が増えれば価格競争が起きるのは必至で、今後は価格の面でもこなれていくと思われる。そうなると、価格の面でもVoodoo3に十分対抗できるようになってくるだろう。
ただ、NVIDIA陣営もこれで安心してはいられない。7月にはVoodoo3の最速モデル、Voodoo3 3500が市場に投入されることが決まっている。そうなると、またもやVoodoo3 3500にパフォーマンスの点で引き離される可能性が高い。この先も3dfx vs NVIDIA陣営の戦いはまだまだ続きそうだ。
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[Text by 平澤 寿康@ユービック・コンピューティング]