★ ゲームソフトインプレッション ★

女性冒険家ララの新たなる挑戦、シリーズ第3弾

トゥームレイダー3
アドベンチャー・オブ・ララ・クロフト


TombRaider III

  • ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 発売メーカー:
    アイドス・インタラクティブ株式会社
    (製作会社:CORE DESIGN
  • 価格:7,800円(日本語インストールガイド付英語版)
    7,800円(日本語版)
  • 対応OS:Windows 95/98
  • 発売日:11月27日(日本語インストールガイド付英語版)
    12月18日(日本語版)
 
【ゲームの内容】
     3Dで作り上げられた遺跡や基地を探索し、謎を解いていくアクションアドベンチャー。「Quake」などの1人称視点ではなく、ゲーム画面に主人公の姿が登場する3人称視点を採用している。主人公の女性冒険家ララ・クロフト(レイラ)は海外では人気も高く、車のコマーシャルにまで登場している。
【動作環境】
  • CPU:Pentium 133MHz以上(166MHz以上推奨)
  • RAM:32MB以上
  • グラフィック:3Dfx社製のチップ搭載ビデオカード対応
  • CD-ROM:4倍速CD-ROM以上
  • DirextX5.0

アイドス・インタラクティブ株式会社のホームページ
http://www.eidos.co.jp/index-hi.html
「トゥームレイダー3」のページ
http://www.eidos.co.jp/keytitle/index.html
米Eidos Interactiveのホームページ(英文)
http://www.eidos.com/
「Tomb Raider」のページ(英文)
http://www.tombraider.com/
「Tomb Raider III」の英語版デモ[7.4MB]
http://www.eidosinteractive.com/tombraiderdemos.html

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●再度かえってきた女性冒険家、ララ・クロフト

 今年も「トゥームレイダー」の季節がやってきた。一昨年、自分の中で大ブレイクし、寝てもさめてもプレイし続けた「トゥーム~」は全世界で300万本を越えるヒット作となり、主人公の女性冒険家ララ・クロフトは、今やマリオやソニックと並ぶ人気キャラクターだ。先日、自動車のCFに彼女が採用されたというニュースが、このPC Watchでも報じられたので、ご覧になった方もおられることだろう。ちなみに、彼女はこれまで「レイラ・クロフト」と呼ばれてきたが、メーカーからの正式なリリースにより「ララ・クロフト」と表記が統一された。また、タイトルの「Tomb Raider」は「トゥームレイダー」。これまでもPC版の日本語表記はこの通りだったけれど、コンシューマ版の「トゥームレイダース」と混同しがちなので注意したい。まあ、細かい部分の話ではあるのだけれど。

Tomb Raider3_1 Tomb Raider3_2 Tomb Raider3_3

●謎解きとアクションの融合

 ご存じない方のために、軽くこのゲームについて触れておこう。「トゥームレイダー」は3Dのアクションゲームだ。プレーヤーは主人公のララを操作し、失われた秘宝を求めて世界をまたにかけた大冒険を体験できる。冒険の舞台となるのは密林深くに忘れ去られた古代遺跡や、氷に覆われた高山の上に位置する寺院、あるいは、海底深くに眠る沈没船などさまざまだ。もちろん探索が一筋縄でいくはずもなく、ララの行く手には数々のトラップや獰猛な野生動物、時にはロストワールドの住人である恐竜たちや、もっともタチの悪い相手である“人間”を相手にしなければならないこともある。2丁拳銃を武器にこれらの敵と戦い、トラップをかいくぐり、崩れる足場を飛び越え、水中を泳ぎ、謎を解き明かしていく。前々回のレビューで紹介した「SiN」と同じ3Dアクションではあるが、あちらが“アクションシューティング”であるのとは対照的に、こちらは“アクションアドベンチャー”と呼ぶのが一番しっくりくる、そんなゲームだ。

 人気ゲームの例に漏れず、このゲームに続編が登場したのが去年のこと。「トゥームレイダー2」は、新たに“よじ登る”というアクションやボートやスノーモービルなどの乗り物といった要素の追加と、大幅にパワーアップした3Dグラフィックエンジンを搭載し、3Dグラフィックカードにも対応して登場。その画面の美しさと、ゲームの難解さでプレイヤーをうならせた。こと難易度の高さに関しては相当なもので、前作をクリアしていても1面でつまずくこともしばしば。クリア方法はわかってもアクション面でのハードルが高く、途中で挫折したプレーヤーも多いと聞く。蛇足ながら、コンシューマ版は難易度に関して変更が加えられ、多少プレイしやすくなっている。もしも悔しい思いをしている方がおられるなら、こちらで再挑戦してみてはいかがだろう?


●2作目よりも下げられた難易度

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 そして、今年も「トゥームレイダー」の季節がやってきた。と、冒頭に戻るわけだ。今回のララの冒険は、インドにあるインファダ遺跡から始まる。実は、これに先立って流れるオープニングムービーでは、はるか古代に落下した隕石を調査するために南極で発掘を行っている調査隊の様子が描かれている。雪をダイナマイトで吹き飛ばすと、巨大なクレーターとともに姿を現したモアイ像たち。赤道付近にあるイースター島と、この南極との間にどのような関係があるというのだろう? そして、そこで発見されたビーグル号の船員の遺体と、彼のものと思われるメモには何が記されているのだろう? なにより、ララのいるインドの遺跡と、この南極の間には、どんな秘密が隠されているというのだろう? 今はまだ、全てが謎に包まれている。

 さて、さっそくゲームを始めてみると、ララがいるのは急斜面の頂上。ここからこの斜面を滑り降りていくのだけれど、斜面の所どころにはクイが突き出している。そのままここに激突すれば即死間違いなし。タイミング良く飛び越えないと、即ゲームオーバーだ。また、斜面の左の方に張り出しがあって、体力回復用の救急箱があるのだけれど、うっかり取りに行くと死角にあった岩が転がり落ちてきてつぶされてしまう。もちろんゲームオーバー。うむ、今回もそう簡単にはクリアさせてくれないようだ。もともと「死んで覚えろ」的な性格のゲームなので、この程度でめげていてはいけない。わかってしまえば、こんなトラップは楽にクリアできるのだから。

 今回も、グラフィックの美しさは特筆に値する。最初の斜面を降りると、すぐそばにある底なし沼。その表面が不気味に波うっていたり、さらに奥に進んだところにある川の水面のきらめきや、水中を泳ぐ魚の群の表現など、思わず目を奪われてしまう。十分に速いマシンと3Dグラフィックカードが搭載されていれば、高解像度でもスムーズにプレイできるので、ぜひとも体験してみていただきたい。ちなみに、筆者の環境では1,024×768でも快適にプレイできている。普段、640×480の画面に見慣れていると、この表現力の違いは感動以外のなにものでもない。

 しばらくプレイしてみて気づいたのは「今回、難しさのベクトルが違う」ということ。上でも書いたが「2」の時は「クリア方法がわかっていても解けない」という、アクション面での難易度の高さが際だっていて“アクションアドベンチャー”というよりも“アドベンチャー要素のあるアクションゲーム”といった感が強かった。が、今回はむしろ「解き方を見つけるのが難しい」という、どちらかというと「1」の頃のイメージに作品が戻っているように思う。アクションの厳しい場面もあるにはあるが、「2」のレベルから思えばかなり難易度は下がっているといえる。筆者のように「ヌルい」ゲーマーにとっては、これでも多少難しいけれど、やっていけば決してクリア不可能なゲームではない。まだ全部をクリアしたわけではないけれど、そんな気がした。


●地域選択でより自由に冒険できる

 この「3」で新たに採用しているシステムとして、地域の選択がある。ゲームは必ずインドから始まり、いくつかのステージをクリアしていくのだけれど、このエリアをクリアすると、その先はプレイヤーが自由に選択できるようになるのだ。選べるのは「ロンドン」「南太平洋の島」「ネバダ」の3つ。全てのエリアは複数のステージから構成されているので、全体ではかなりのボリュームになる。そして、この全てをクリアすると、最終ステージの南極へと冒険の舞台は移される。インドのクリア直前でセーブしておけば自由に地域を選べるので、行き詰まったら戻ってみるのもいいだろう。プレイヤーなりの楽しみ方ができる、自由度の高いシステムだといえる。  ところで、この「ネバダ」。プレイを進めていくと“AREA51”というステージに行き当たる。エリア51といえば、映画「インデペンデンス・デイ」にも登場したUFOの研究施設。以前から実在の機関だという噂がまことしやかに囁かれてはいるが、その所在も、実在するのかどうかもわからない、謎の存在だ。なぜここに、ララが侵入することになるのだろう? 以前から恐竜は登場していたけれど、ついに宇宙人も!? まあ、これに関してはプレイしてみてからのお楽しみ、ということにしておこう。

 ゲームシステムでは数々の変遷を見せてきた「トゥーム~」シリーズだけれど、その操作性はほとんど変わっていない。多少アクションが追加された程度で、前作から通してプレイしている方なら、違和感なくゲームに馴染むことができるはずだ。続編をプレイするユーザー層は、ほとんどの場合前作を気に入って「今回も」と思うのだから、ことアクション・ゲームにおいては、これは重要なことだ。今回は 這う、ダッシュ、モンキースイング等のアクションが追加されている。もちろん、ゲームパッドに対応しているので、キーボードでのプレイが厳しいと思われる方はこちらでプレイするようにするといい。コンシューマ機と同じ感覚で、それよりもずっと密度の高い画面を楽しむことができるだろう。

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 トレーニングモードについても触れておくことにしよう。これは「1」の時から一貫しているのだけれど、このゲームには練習用のステージがある。それは、ララの自宅。ここでは、屋内プールやさまざまなアスレチック施設を使って、さまざまなアクションの練習ができる。ジャンプの感覚や泳ぎの練習、よじ登りやロープアクション等々、本編で使用するアクションのほとんどは、ここでトレーニングできる。今回は射撃の練習もできるようになり、より実践に近い練習ができるようになった。とはいえ、所詮トレーニングはトレーニング。スイッチを押したら岩が転がってきた、なんてことはないし、凶暴な動物が襲いかかってくることはない。唯一、溺れてしまうとゲームオーバーだけれど、流れもなく、天井もないプールの中では、そんなこともまずないだろう。第一、ルートの決められたアスレチックコースをいくら練習しても、先に進むためのヒントすら見えない密林の中でどこまで役に立つかは疑問でしかない。ある程度アクションの感覚がつかめたら、あとは実践の中で覚えていくようにするべきだろう。

 シリーズを通してプレイしている方には、徐々に公開されていくララの家の様子も楽しめることと思う。「1」の頃には家の外にも出られず、中も荷物がゴロゴロしていて(引っ越したばかりだ、と彼女は言っていた)行けない場所も数多く存在していた。「2」になると家の中もだいぶ片づき、庭のアスレチックコースも使えるようになったほか、執事も雇ったようで、彼女の行く先々にお茶を持って追いかけてきた。そして、今回はこれまで行けなかった2階のもう一方の部屋にも行けるようになり、庭のアスレチックコースも拡張され……と、だいぶ変わってきている。それでもまだ行けない場所があるのだけれど、このあたりは次回作でさらに広がっていくのだろう。

 もはや世界的なヒロインとなったララ・クロフト。この、少し頬骨の張った、いかついおねーさんはしかし、世界レベルでみると「美人」であるらしい。「SiN」の時にも書いたけれど、この辺は日本人の感覚では理解しづらい部分だ。とはいえ、ゲームは大ヒット、CFにも登場し、映画化の話も進行中。そんな彼女を止められるのは、この地球上には誰もいないのかもしれない。

Tomb Raider III and Lara Croft (C) & TM Core Design Limited 1997, 1998. (C) & Published by Eidos Interactive Limited. All Rights Reserved. Tomb Raider Ⅲ (C) & (TM) 1998 Core Design Limited. (C) & Published by Eidos Interactive Limited. All Rights Reserved.

【筆者紹介】
  • 名前:山城 宏
  • プロフィール:   企画・著述業兼システムエンジニア。ゲーム制作のお手伝いもちょっとだけ。仕事を離れるとただのゲーム好き。今は「HEART OF DARKNESS」にメロメロな日々。一昨年「トゥームレイダー」を見たときと同じ、新鮮な感動がこのゲームにはあります。あと「マイト・アンド・マジックVI」。こちらも近日中に紹介予定なのでお楽しみに。
【総プレイ時間・ハード環境】
  • 総プレイ時間:約14時間
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Pentium II/400MHz、RAM 224MB、HDD 約20GB、CD-ROM 倍速DVD-ROM(20倍速 CD-ROM相当)、3D BLASTER Banshee(AGP 16MB)、SOUND BLASTER AWE64、IF-SEGA/ISA+セガサターンパッド、Windows95 OSR2.5+IE4(統合環境))

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