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前回に続いて、TechEd 98の目玉であるWindows NT 5.0についてご紹介しよう。
たとえば、クライアントからWindows NT 5.0のサーバーにログオンするときは、Active Directoryに格納されたアカウント経由でKDC(Key Distribution Center)にアクセスし、TGT(Ticket Granting Ticket)と呼ばれるキーを入手する。クライアントではTGTとユーザーのパスワードのマッチングを行ない、認証を実行するという方式だ。
一方のSmartCard認証は、ICを内蔵したカードを利用した認証方式。
Kerberosと同様にKDCからTGTキーを入手し、ICカードの情報とマッチングして、認証を実行する方式。
この2つの方式では、ネットワークに流れるデータはTGTとよばれるキーのみ。実際の認証パスワードはクライアント側でTGTキーとのマッチングが行なわれるため、パスワード情報はネットワークには流れないので安全な認証方式だといえる。ちなみに、クライアントからWindows NT 4.0のサーバーにネットワーク経由でログオンするときには、パスワードの情報はネットワーク上に流れる。
Extensible Authentication Protcol(EAP)は従来のPPPを拡張したプロトコル。詳しい内容についてはあまり説明はなかったが、L2TPのサポート、SmartCardやワンタイムパスワード、パブリックキーなどを使った認証などが実現される予定だ。
Internet Protcol Security(IPSEC)はパケット単位でデータを暗号化する技術。インターネットで利用されているプロトコル(IP:Internet Protcol)はプロトコルレベルでは、セキュリティについて何ら考慮されていない。つまり、ネットワーク経路上ではIPパケットの傍受が可能だ。
IPSECはプロトコルレベルでデータを暗号化するための技術。IPSECではIPを拡張したプロトコルで、IPのプロトコル構造(IPヘッダ、データ)などに加え、あらたにIPSECのヘッダ(ハッシュや暗号化の情報など)を付加し、さらにデータをDES、3DESなどの暗号化アルゴリズムで暗号化して伝送するためのものだ。つまり、IPSECを利用したIPパケットは、ネットワーク経路上で傍受したとしてもまったく意味不明なものとなる。
ここまでは、主にネットワーク上のセキュリティについてのトピックだが、Windows NT 5.0ではファイルの暗号化技術もOSに取り込まれる。暗号化のテクノロジについては、詳しい解説はなかったが、メカニズムから察するに公開鍵暗号化方式が採用されているようだ。
暗号化は、ファイルのプロパティで簡単に実行できるようになっている。暗号化するときにはそのデータを複号するユーザーを指定できるようになっていて、このときに、ランダムな公開鍵を生成してデータを暗号化する仕組み。なお、ユーザーが暗号化されているファイルを開こうとすると、OSで自動的にデータが複号されるようになっている。正しいユーザーがファイルを開けばファイル内のデータを参照でき、複号が許可されないユーザーが開こうとすると、エラーが表示される。つまり、Windows NT 5.0のファイル暗号化は、ファイルシステムレベルで実装されているわけだ。また、リカバリーエージェント(通常は管理者)は暗号化されたすべてのファイルを複号して参照することができるようになっている。
アプリケーションでは、同時に複数の言語を利用することができるようになる。たとえば、ワードやライトなどのワードプロセッサで、日本語と韓国語の両方のコードセットを利用した入力や表示が可能になる。
さらに、OSそのものが多言語に対応することによって、1つのバイナリでいくつもの言語に対応することになる。つまり、わざわざその言語に対応したOSをインストールすることなく言語の切り換えができるようになる。言語の切り換えを行なうと、ユーザインターフェイスもすべてその言語になるような仕組みになっていて、TechEd 98では実際に英語版のNT 5.0を利用し、日本語環境への切り換えを行なっていた。英語環境ではメニューやスタートメニューの表示などがすべて英語なのに対して、日本語環境に切り換えるとこうしたユーザーインターフェイスがすべて日本語表示になる。ただし、こうした切り換えができるのは、おそらくOS自身のみでアプリケーションなどでは別途対応する必要があるハズだ。
さらに、新しいハードウェアへの対応では、OnNow、PnP、ACPIやDVD、IEEE-1394、USB、複数ディスプレイの対応、さらにDirectX 6.0などに対応する予定だ。
□Microsoft TechEd 98 Yokohamaホームページ
http://teched.msn.or.jp/
('98/8/3)
[Reported by 広野忠敏]