【イベント】 |
- CONTENTS -
Dreamcast用Windows CE開発者特別インタビュー
SEGA OF AMERICAはPowerVR信者を獲得できたのか?
一番小さいブースで公開された、一番大きな期待作
変わり種デバイス続々
各ブースで開催されたゲーム大会
●Dreamcast用Windows CE開発者特別インタビュー
DirectX及びWindows CEについて答えてくれたMicrosoftのGregory D.Swedberg氏、James M.Spahn氏、John Jordan氏(左から) |
会場でお話を聞くことができたのは、Microsoft本社のコンスーマー・プラットフォームズ部門に籍を置くGregory D.Swedberg氏とJohn Jordan氏、そして日本のMicrosoftでWindows CEのプロダクト・マネジャーを勤めるJames M.Spahn氏だ。
開発コードネーム「Katana」で知られるDreamcast、OSであるWindows CEにも「Dragon」という開発コードネームが付けられており通常のWindows CEと区別するために以下の文中ではすべてDragonと呼ぶことにする。
Dragonの開発は約2年前に始まり、ゲーム機用のOSとしてまずコンパクトなこと、そして高速なことを目指して作成された。通常のWindows CEの場合OSサイズは数十MBであるのに対して、DragonはWindows CE+DirectXを含んだ形でわずか1.2MBとなっている。DreamcastのCPUである日立SH-4に最適化され、すべてアセンブラで開発されたとのこと。しかも、ハンドチューニング(人間の手作業での最適化)も行なわれており、開発期間の大部分の時間をこのためにかけたとのことだった。もちろんDirectXもSH-4およびDreamcastに採用されたグラフィックスチップであるNECのPowerVR2用にチューニングされており、さまざまなタイトルを高速に実行することができるようになっている。
ゼガ入魂の次世代機“Dreamcast” |
モジュール化することによってグラフィックスライブラリにセガから提供される“Ninjaライブラリ”だけでなく、各ソフトハウスのノウハウの詰まった独自のグラフィックスライブラリを使えるようなっている。そのため、各ソフトハウスの特色を活かしたゲームを開発することが可能だ。また、これらのOS部分は高密度CD-ROMからロードされるようになっているので、ユーザーが意識することなくOSのアップデートやDirectXのアップデートにも対応することができるようになっている。
この他にDragonに含まれる機能としては、ゲーム中のチャットなどに使用される日本語変換エンジン、ソフトウェアキーボードやムービー部分に使われるMPEG1コーデック、テレビ用TrueTypeフォントなどだ。気になる開発環境だが、SH-4用のコンパイラを搭載したVisual C++がMicrosoftから提供され、開発OSとしてはWindows NT SP3以降が推奨とされている。これによりDreamcast用のタイトルはWindows 95/98とクロスプラットフォーム開発が可能になり、ソフトハウスにとってはPC用のゲームとDreamcastの同時開発ができることになる。もちろんDreamcastタイトルのデバッグにPCを使うこともできるので、各タイトルの開発費の削減も可能になるとのことだ。
コンシューマ機とはいえ、その内容はPCともいえるDreamcast、PCユーザーにとっても要注目の製品といえる。
□米Microsoftのホームページ
http://www.microsoft.com/
□セガ・エンタープライゼスがWindows CEを採用した件についてのニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/info/releases/0521sega.htm
□MicrosoftのサイトにあるDreamcast用OSの詳細を解説したページ
http://www.microsoft.com/windowsce/dreamcast/default.htm
□関連記事
【5/21】セガ、Windows CEをベースとした新世代ゲーム機「Dreamcast」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980521/sega.htm
●SEGA OF AMERICAはPowerVR信者を獲得できたのか?
・ISDN ・28.8kbps |
□SEGA OF AMERICAのホームページ
http://www.sega.com/
□PowerVRのホームページ
http://www.powervr.com/
新作について詳しく説明してくれた Peter Molyneux氏 |
E3でLIONHEAD STUDIOSのために用意されたブースはたったの1コマ。中にふたつのソファーがあるだけの簡素なものだ。彼は開口一番「去年から9ヶ月の間、新作にかかりっきりだったんだ。それでも今回お見せできるのは全くのプロトタイプで、グラフィックはゲームボーイ程度のものだ(笑)。コンセプトだけを見てみてほしいんだ」なるほど、画面上にディスプレイされたゲーム画面の背景は、まだワイヤーフレームのままだ。そしてMolyneux氏はこう続けた。「今回の新作ゲーム『Black and White』は、他のゲームにはない非常にユニークなゲームなんだ。僕にとっても野心的なゲームだしね」
「Black and White」とはどんなゲームなのか? ゲームの舞台となるのはかなり大きな島だ。そこには1,000人以上の人がいくつかの村に別れて住み、生活を営んでいる。それぞれの村の間に争いはなく平和そのもの。一種の理想郷とも言える(左下写真参照)。
プレイヤーはその島に万能の魔法使いとしてやってくる。そして、住人の崇拝パワーを元に、どんどん強力な魔法を覚え、使い、そして世界を変えていくことになる。もしプレイヤーが邪悪な行動を使ってばかりいると、世界も邪悪になっていくし、逆によい魔法ばかりを使っていると、ディズニーランドのような世界になってしまうと言う。「プレイヤー次第で良くも悪くもなる。だからタイトルが『Black and White』なんだ」
ここで彼が邪悪な魔法を試しに使ってくれた。「魔法の実験をしてみよう。実験場にブタを連れてきて、魔法をかけてモンスターにすることができるんだ。さらに大きくする事もできるし、このモンスターに人を食べることを教えれば延々と人を食べ続けるんだ(右下写真参照)」ちょっぴり悪趣味な気もするが、これまでの彼のゲームにも、こういったブラックな部分が存在する。「ボールを出して村人に与えてみよう。そうすると村人達はサッカーを覚えるし、村同士で対抗戦も始めるよ。同じようにフラフープなんてのも覚えるんだ」とまぁ、信じられないほど自由度が高いゲームなのだ。
村ごとに覚えられる特殊な魔法があるほか、魔法同士の組み合わせ次第では数百以上の魔法が存在するという。さらに魔法のかけ方が変わっている。一部の魔法は、マウスを動かすことでかけるのだ。早く動かすとより強い魔法がかけることができたり、これまでにないインターフェイスが採用されている。さらにプレイヤー同士で、魔法で作り出したモンスターを戦わせることもできると言う。
以前、Molyneux氏はインタビューで「僕は魔法使いになりたかったんだ」とおっしゃっていたことがある。「今回のゲームはまさにそういうことなんだ。一応、島を制覇するという目標を達成するなどの区切りはあるけど、終わりのないゲームとも言える。ずっと長く楽しんで欲しいゲームなんだ。僕は長い間ゲームクリエイターとしてやってきたけど、そのキャリアの中でベストの作品だと思う。日本のより多くの人にぜひ遊んで欲しいね」と楽しそうに語ってくれた。このゲームはコンピュータでしかできないゲームとして、これまでにない楽しさを提供してくれそうだ。完成は来年ということで、まだかなりの時間を要すると思われるが、完成を楽しみに待ちたいと思う。
美しい島が舞台。この島をどうするかはあなた次第…… | 魔法でこんなに大きな魔人を作り上げることもできる |
シートがエアコンプレッサでグリグリ動くForce Feedback機能対応シート |
ひとつはZYKON社の「JOYRIDER PRO」。見た目は特に代わり映えのしないハンドル型のゲームデバイスだ。向かって右側にジョイスティックのようなものがくっついているのが気になるが、その程度だろう。ところがこれが変形するのだ。まずカーレースゲームを遊ぶ時はハンドルタイプのまま遊ぶ。そしてフライトシミュレーターを遊ぶ時はハンドルの上の部分をカチャッと取り除いちゃうのだ。さらに、さらに、ハンドルの横の部分をクルッと回すと、アラ不思議。バイクのハンドルになるのだ。現在はForce Feedback機能に対応していないが次バージョンでは対応する予定だという。また、日本でも販売したいとのことなので、お店で見かけることになるかも。
Force Feedback機能の元祖とも言えるI-FORCE社。ここのブースはForce Feedback機能を搭載したゲームデバイスのオンパレードだ。今回は、ジョイスティックの他にハンドルタイプのゲームデバイスが2種類展示されていた。そして昨年の秋のCOMDEXでも展示されていたというForce Feedback機能搭載マウス「FEEL it MOUSE」も展示されていた。
これまでI-FORCE社のForce Feedback機能とMicrosoftのForce Feedback機能は互換性がなかったが、次バージョンのDirectXでは共通モジュール化される予定なので、I-FORCEとしては販売拡大の良い機会となるだろう。
インテルが、ゲームのデモプレイに使っていたのがCyberspace社の「Rock 'N' Ride」。エアコンプレッサでゲームに合わせて動き回る装置でかなりデカイ。Force Feedback機能なんかも付いていて、けっこうグイグイ動いて面白そうなのだが、日本の住宅事情を考えると、ちょっと非現実的かも。お値段は499ドル。
このほかではコンピュータでLEGOのおもちゃを制御する「LEGO MINDSTORMS」が来場者の興味を引いていた。レールの上を行ったり来たりするロボットから、カメラを積んで写真を撮るものまで各種取りそろえられている。けっこうメカ好きには堪えられない内容だ。おもちゃと言えばHASBROが出展していたキーボードの上に置いて使う知育玩具というか入力装置も面白い。画面のCD-ROMソフトと連動しており、入力装置にセットしてある鋸をひけば画面上の木を切ることができる。金槌をたたけばくぎを打つことができるなど、子供用としてはなかなかよくできている。実際にこういったものは危なくて子供に与えられないから、安全なコンピュータを使って扱い方を学習するのは良いことだろう。
●各ブースで開催されたゲーム大会
E3というのはトレードショウなので、基本的には商いの場なのだが、同時にお祭りという側面も持っている。そういう意味合いもあってあちこちでゲーム大会が開催されていた。DOWANGOのブースでは「Quake II」の対戦が行なわれ、PCのゲームではないが、CAPCOMブースでも「ストリートファイター」の対戦が開催されていた。
この他、目立ったところでは、SEGA OF AMERICAのPowerVRのコーナーで「FORSAKEN」の大会が随時行なわれ盛況だった。
□The Electronic Entertainment Expoのホームページ
('98/6/23)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]
http://www.e3expo.com/
□関連記事
【5/28】E3レポート Vol.1 : 開幕前から競い合うコンシューマーメーカー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980528/e3_1.htm
【5/29】E3レポート Vol.2 : ヒットゲームの続編が数多く登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980529/e3_2.htm
【6/22】E3レポート Vol.3 : 大手ディベロッパーが期待の続編を多数展示
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980622/e3_3.htm
【PC Watchホームページ】
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp