【イベント】 |
会期:5/27~30日
会場:ATLANTA(Georgia World Congress Center)
- CONTENTS -
大作の続編が目白押し“Electronic Arts”
個性的なゲーム「GRIM FANDANGO」を開発中の“LucasArts”
勢いが違う! 元気いっぱい“Eidos Interactive”
数多くのゲームを雑多に展示“GT Interactive Software”
とにかく大きなElectronic Artsブース |
巨大なブースの中でももっとも大きな位置を占めていたのが、すでにブランドイメージを確立した“EA SPORTS”だ。ゴルフ、サッカー、野球、フットボールなどヒットシリーズを数多く持つEA SPORTSだが、今回はふたつの新作が目を引いた。ひとつはすでに発表されている「Tiger Woods 99」。タイトルからもわかるとおり、あのタイガー・ウッズ選手が全面的に協力して制作されているゴルフゲームだ。ウッズでゴルフができるわけだから、それだけで興奮モノだが、3Dグラフィックアクセラレータカードにも対応し、カメラをゴルフコースのどこにでもおけるようになるなど、グラフィックなどの質も向上させている。ちなみにインターネット対戦……と言うかトーナメントの実施も可能で、総勢200人までトーナメントに参加できるという。発売はこの秋を目指している。
もうひとつはEA SPORTS初のボクシングゲーム「Knockout Kings」。会場に設置されたリング上でゲーム大会が開かれるなど、EA SPORTSとしてもかなり力の入ったタイトルだ。Leon SpinksやLarry Holmesなど13人のボクサーを操ることができる。ヘビー級のド迫力バトルが期待できそうだが、選手の無表情さがちょっと不気味な感じ。画面写真を見た限りでは、ケガとかグラフィックに反映するようなので、表情とかももう少しつけてほしい気もする。こちらも発売はこの秋を予定している。
EAの中でもひときわ大きな位置を占めているのが、“Ultimaシリーズ”や“Wing Commandder”などの人気シリーズを発表してきたORIGIN SYSTEMだ。今回発表されたのは“Ultimaシリーズ”の最新作「Ultima : Ascension」だ。格段に進歩した3D世界を舞台にした剣と魔法の物語。実際にプレイしてもらえればわかるのだが、「Tomb Raider」をロール・プレイング・ゲームにしたと思えばイメージしやすいかもしれない。
今回の取材では、これまでUltimaの世界を作り続けてきたRichard A.Garriott氏にお話を伺う機会を得た。氏によれば今回の「Ultima」は本当の意味でのRPGを作り出したかったという。「『Final Fantasy』はストーリーを追っているだけでロール・プレイングじゃない。『Diablo』はアクション性が強すぎる。Might and Magicはストラテジー・ゲームといった方がしっくりくる。そうやって見渡すと本当の意味でのロール・プレイング・ゲームがないんだ。今回はそういった意味でもプレイすることでプレイヤーが成長するゲームが作りたかった」。
舞台となる世界はもちろん今はやりの3Dポリゴンだ。月の光など透過光の表現が美しく、雨も降れば嵐にもなる。日が昇り、沈み、風が吹けば看板が揺らぐのだ。氏によれば、これらのリアリズムにもかなり凝ったと言うこと。100人以上のキャラクターが登場し50人程度のキャラクターと会話を交わすことができる。かなり自由度の高いゲームで、デモプレイの時に何度も驚かされるたほど、数多くのことを実現できる。もちろん魔法の自由度も高い。いくつかの魔法を組み合わせることで、攻撃魔法にもなるし、防御魔法にもなる(例えば同じ炎の魔法でも、投げることもできれば、身にまとえば炎のコートとなり防御魔法となる)。ちなみに魔法のグラフィックがかなり派手で、本末転倒なのだが、このグラフィックを見るためだけに魔法を使いたくなるほどだ。
「完成はクリスマス頃になるので楽しみにしてほしい」ということで、順調に開発が進むことを祈りつつ「Ultima : Ascension」の完成を待ちたい。
開幕レポートでも書いたが、映画監督スティーブン・スピルバーグが出資したことでも知られるゲーム会社DreamWorks Interactiveの「Trespasser」が大人気。わずか2台しかないデモ機に人が群がっていた。
動きがリアルなことは前回のレポートでも述べたとおりだが、例えば恐竜がいて、それに銃を発射したとする。銃弾が恐竜に当たると恐竜の体が衝撃でゆがむのだが、それが妙にリアルなのだ。あまりにリアルなため目を背けてしまうほどだ。とにかく待ち遠しいこのゲーム。完成は秋とのこと。
昨年EAに参画したMaxisもEAブースでSimCityシリーズの最新作「SimCity3000」を展示。かなり前から制作中の同タイトルだが、現在完成度が95%ということで、完成までもう少しかかるようだ。
今回の強化点は、グラフィックス及びサウンド。ビルなどの建築物のグラフィックスが新しくなっており、金門橋など有名な建物も収録されている。ちなみに日本語版用に特殊な建造物の収録も考慮中だという。また、大きな特徴として今回はユーザーが新しく建物を造ることができるのだ。エディタは同梱され形はもちろんテクスチャもユーザーが用意した物を貼り付けることができる。そして作り上げたビルをユーザー間で交換することも当然できるわけだ。
インターフェイスもかなりブラッシュアップされ、前作「SimCity2000」より色々なことができるが、操作はより簡略化したという。発売は秋で、発売時はマルチプレイヤーゲームをフィーチャーしないが、後々パッチをあてることで実現できるようにするとのこと。
このほかにも昨年大ヒットした「Moto Racer」の続編「Moto Racer 2」や、グラフィックの進歩でよりリアリティが増したシリーズ最新作「Need For Speed III:Hot Pursuit」。ゲームクリエイターとして有名なSid Meier氏の最新作として注目を集める「Sid Meier's Alpha Centauri」など挙げればきりがないほど新作が展示され、かなり濃い内容のブースとなっていた。
●個性的なゲーム「GRIM FANDANGO」を開発中の“LucasArts”
LucasArtsはいつもながら小さな部屋で、関係者にのみ新作を展示していた。
入り口に一番近いところで展示していたのが不思議なグラフィックで人目を引いていた「GRIM FANDANGO」だ。システム的にはオーソドックスなタイプのアドベンチャーゲームだが、制作したのが名作の誉れ高い「Day of the Tentacle」や「Full Throttle」を作ったチームなのだ。前述の作品はどれもブラックな笑いを基調としながらも高い演出力で“見せる”アドベンチャーゲームとして一時代を築いてきた。
LucasArtsと言えば“STARWARS”や“インディ・ジョーンズ”といった映画のゲーム化が思い浮かぶが、今回も数多く出展されていた。注目なのはインディ・ジョーンズを題材とした「INDIANA JONES AND THE INFERNAL MACHINE」と、STARWARSを題材とした「STAR WARS ROGUE SQUADRON」の2作品だ。
このほかにもSTARWARSの貴重なデータを数多く収録したデータベース「STAR WARS BEHIND THE MAGIC」などが制作中だ。
今回ストーリーは主人公が死者の国を旅する物語ということで、グラフィックはご覧の通りガイコツだらけ。骨と言えばコンシューマで「mr.BONES」と言うゲームがあったが、愛嬌のあるグラフィックはこちらのほうに軍配が上がる。アドベンチャーゲームと言うことで、やはり日本語化されるかどうかが気になるポイントだが、是非マイクロマウスには日本語化の英断を下していただきたい。もうほとんど完成しており、まもなくリリースされる予定。
「INDIANA JONES AND THE INFERNAL MACHINE」は、まさにTome Raiderタイプのアクションアドベンチャーゲーム。確かにイメージ的にはこちらの映画がTomb Raiderの手本になっているといえないこともないので、LucasArtsの演出力を考えればそれなりに面白い物に仕上がるだろう。
「STAR WARS ROGUE SQUADRON」の方は昨年PCとニンテンドウ64で発売された「スター・ウォーズ 帝国の影」のゲーム前半部の面で登場したフライトシミュレーター部分を抜き出し強化したと考えればよいだろう。ただし舞台となる空間はこちらの方が遙かに広いという。選択できる機種も何機種か用意される。そして何より主人公が映画と同じ“ルーク・スカイウォーカー”なのだ。これまでゲームに登場し、主人公の前に現われることはあったが、プレイヤーが自分で操ることはなかった。今回は思う存分ルーク・スカイウォーかーになりきって帝国軍を撃破することができるのだ。
他のゲームにはないグラフィックで異彩を放っていた「GRIM FANDANGO」
INDIANA JONESを主人公にしたTome Raiderタイプのゲームを出展
STAR WARSを素材にしたリアルタイムシミュレーションゲーム
広大な空間を舞台にした3Dフライトシミュレーター
□LucasArtsのホームページ
http://www.lucasarts.com/menu.html
□E3で配布されたプレスキットと同内容のページ
http://www.lucasarts.com/dmk98/default.htm
●勢いが違う! 元気いっぱい“Eidos Interactive”
海外でのEidos人気は定着した感がある |
今回出展されていた中で来場者の注目を集めていたのは「Final Fantasy VII」となかなか完成しない「Daikatana」、そして大人気シリーズ最新作「Tomb Raider III」だ。
まず最初は「Final Fantasy VII」。アメリカではこういったタイプのゲームは敬遠されがちだった。ずいぶん古い話だが、「ドラゴンクエスト」も鳴り物入りで投入されたがいっこうにヒットしなかった経緯がある。今回の「Final Fantasy VII」も関心は薄いのでは……と勝手に思いこんでいたのだが、来場者の反応は良く多くの人がデモ機でゲームを楽しんでいた。当然のことだが、グラフィックもプレイステーション版に比べて圧倒的に美しく、アメリカにおけるPCゲームユーザー数の多さのことを考えれば、PC版の発売は当然の成り行きかもしれない。スクウェアはことあるごとに日本語版の発売はないと強調するが、是非検討していただきたい。
「Quake」タイプの3Dアクションシューティングゲームとして完成が心待ちにされてきた「Daikatana(大刀)」も、かなり完成度を上げたバージョンが出展されていた。このゲームを作っているのが、以前id Softwareで「Doom」や「Quake」を作ったJohn Romeroと言う人で、そういった意味でも期待作なわけだ。ただし、使っているエンジンが「Quake II」ということ。では本家との違いはと言うと敵キャラクターがAIを搭載しており、かなり個性的な攻撃をしてくるようだ。
そしてアメリカ、EC圏ではすでにマリオを越えるほどの人気を獲得しているゲームキャラクター“Lara Croft”の最新作「Tomb Raider III」が出品されていた。基本的なシステムは大きくは変わらないようだが、グラフィックはやはり向上している。例えば、池に飛び込むとそこには肉食魚(おそらくピラニア)が群がってくる。それに噛まれると水に血がにじむのだがその様子が細かく表現されているわけだ(ちょっとイヤだが)。もちろん透過光や陰の表現はさらに磨きがかけられている。そして今回は雨が降り、雪が降る場面も登場するという。
この他にも、第1作目発表当時からかなり完成度の高いゲームエンジンだったが、今回一から見直しており、さらに敵キャラクターはAIを搭載することでリアルな動きをするという。
Eidos Interactive、及びSONY COMPUTER ENTERTAINMENT AMERICA(Tomb Raiderシリーズは「~II」以降、コンシューマではPlayStationでしか発売しない契約になっている)は、Laraに頼りっきりと言ってもよい。SCEIが会場近くで開いていたパーティ会場にも大きなLaraの肖像画が掲げられていたし、EidosブースもLara一色だ。LaraがLiveで来場者の質問に答える(おそらくオンラインでモーションキャプチャーしたデータをLaraで動かしていたのだろう)などの粋なイベントも実施され人気を集めていた。
これ以外にも「Flight Unlimited」シリーズで有名なLOOKING GLASS STUDIOSの最新作「Thief:The Dark Project」や、精密なグラフィックがリアルな「Commandos:Behind Enemy Lines」などが出展されていた。
海外でもけっこう人気があった「Final Fantasy VII」 | 完成が遅れている「Daikatana」完成度の高いゲームに仕上がってきた | Tomb Raiderのスーパーヒロイン“Lara Croft”の露出度はかなり高かった | 話題作以外にもいろいろな佳作が出展されていた |
●数多くのゲームを雑多に展示“GT Interactive Software”
映画にもなる人気キャラクター“Duke”と記念撮影 |
今回のE3に合わせてついに発売された「Unreal」が、会場でも人気だった。「Unreal」はポスト「Quake」といわれ、独自の3Dグラフィックエンジンを搭載していることでも話題の商品だ。ここまで表現力がアップすると「Quake II」と比べても遜色なく、事実Unrealエンジンを使ったゲームがいくつか開発中なのだ。E3という場を考えれば、ここでのアピール具合によってはUnrealエンジンを採用するゲームが増えるわけだから、売り込みに力が入るわけだ。
そして、「Doom」エンジンを使った作品としては最大級のヒット作となった「Duke Nukem 3D」の続編として期待がかかる「Duke Nukem Forever」。主人公Dukeと記念撮影ができるなどかなり大きな場を割いていたわりには、大変残念なことに展示されていたのはビデオのみ。実はこれには理由があって、E3の後に公表されたのだが、これまではQuakeエンジンを使って制作が進められていたものがUnrealエンジンに切り替えられると言うのだ。もちろん一から作り直しにはならないと思うが、かなり後退したと言っても過言ではないだろう。ぜひ、今年中にはリリースしてほしいものだ。
日本でも大々的にコマーシャル展開することで認知度だけはアップしたゲーム「エイブ・ア・ゴーゴー」だが、海外ではそれなりに人気も高く、今回続編「Oddworld: Abe's Exoddus」が特別出展された。こちらもビデオのみの出展だが、開発は順調なようだ。
これがなかなか面白い。キャラクターの動きが前作以上に練り込んであり、見ていてかなり笑えるのだ。例えば仲間をゾロゾロと引き連れてステージ内を歩き回り、助けなければならないのだが、言うことを聞かないと感情にまかせて殴ることもできるわけだ。すると取っ組み合いの喧嘩になるのだが、それが他の仲間にも伝染し大乱闘になってしまうのだ。助けに来たのが大乱闘になるなんて……。この他にも、意志の疎通が図れない仲間に対してポンポンと肩をたたくと仲間になったりする。その仕草はかなりカワイイ。キャラクターデザインは前作を踏襲したものなので、相変わらず日本人向けではないグロテスクな物なのだが、ゲーム性は掛け値なしに高いものだ。ぜひ前作の売り上げに懲りず、続編も日本で発売していただきたい
この他では日本ではあまり話題に上らないが、本国アメリカでは昨年大ヒットを記録した狩猟ゲーム(3Dシューティング)「Deer Hunter」と、そのエンジンを使ったと思われるゲームがいくつか展示されていた。日本で数多くの釣りゲームが発売され、売れるように、アメリカでは狩猟をテーマにしたこのゲームがヒットしたのは、案外アメリカ人の土着的な何かに訴えかける物があったのかもしれない。
発売直後の超話題作「Unreal」 | 「Duke Nukem Forever」はビデオによる展示のみ | 「エイブ・ア・ゴーゴー」の続編。かなり笑える出来! | 昨年もっとも売れたゲームのひとつ「Deer Hunter」のエンジンを使った「Rocky Mountain Trophy Hunter」 |
□The Electronic Entertainment Expoのホームページ
http://www.e3expo.com/
□関連記事
【5/28】The Electronic Entertainment Expoが開幕
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980528/e3_1.htm
('98/6/22)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]