【ソフト】

★ ゲームソフトインプレッション ★

この季節、やっぱサッカーで燃え燃えでしょう!

サッカーゲーム特集


■ゲームの世界もサッカー三昧

 いよいよワールドカップ開幕。世間はサッカー一色に染まっているけれど、この巨大な波はゲームの世界にも大きく及んでいるようだ。この春発売されたサッカーのゲームが、いったいどれだけになるか数えてみるといい。パソコンとコンシューマ(家庭用ゲーム機)をあわせると、両手でも足りないほどのタイトルが登場しているはずだ。この春のゲームシーンを語るのに避けて通ることのできないこのジャンル。そこで、今回はWindows 95用ソフト「FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98」(エレクトロニック・アーツ)、「ワールドリーグサッカー」(東芝EMI)、「Ubiワールドサッカー」(ユービーアイソフト)の3本を紹介することにしよう。「サッカーのゲームなんてどれでもそう変わりはないだろう」と思われるかもしれないが、それぞれに特色があって、意外とあなどれない。まずはご一読のほどを。

 

■国際サッカー連盟公認の本格派サッカーゲーム
 ~「FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98」

FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98

FRTW
  • 発売メーカー:エレクトロニック・アーツ
  • 推定小売価格:7,800円
  • 対応OS:Windows 95
  • 発売日:発売中
  • 動作条件
  • 【動作環境】
     CPU : Pentium 100MHz以上(Pentium 166MHz以上推奨)
     RAM : 16MB以上
     HDD : 20MB以上(100MB以上推奨)
     CD-ROMドライブ : 4倍速以上
     DirectX 5.0以上
 数多くリリースされたサッカーゲームの中で、この春唯一FIFA(国際サッカー連盟)、JFA(日本サッカー協会)及びワールドカップ・フランス98の公認を受けたのが、この「FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98」。もちろん、ゲーム自体の方も公認の名に恥じない内容に仕上がっている。秋葉原をはじめとする各パソコンショップでもこぞってデモンストレーションが行なわれているので、ご覧になった方も多いことだろう。モーションキャプチャーを使用した選手のリアルな動きや、プレイ中に澱みなく続く実況中継、さまざまなカメラアングル、Microsoft Sidewinder Game Padに対応し、簡単な操作でさまざまなプレイを再現できる操作系に至るまで、実によく考えられ、作り込まれている。ラフプレイに対する観客のブーイングなどは、実際のスタジアムの熱気が伝わってくるようだ。こうした細かい部分にも配慮した演出の数々は、必ずプレイを盛り上げてくれることだろう。もちろん、公認ソフトなので選手の名前も実名。スタジアムも、世界16ヵ所の国際公認スタジアムを使用している。画面の美しさは特筆もので、横で見ているだけでも十二分に楽しいゲームだ。

 プレイモードは5つ。任意の2チームで1戦のみのエキシビジョンマッチを行なう「フレンドリーマッチ」、ワールドカップの地区予選から本戦までを忠実にシミュレートする「Road to World Cup 98」、全世界189のクラブチームから選んだ11のリーグでシーズンを戦う「リーグ」、それに「トレーニング」と「PKマッチ」だ。モデムやLANを介して、最大20人までが同時にプレイすることも可能(ただし日本語版はサポート対象外)なので、多人数での対戦プレイを楽しむこともできる。

 実況にはサッカージャーナリストの小谷泰介氏、解説には金田喜稔氏を迎えている。さすがに実際の実況とは勝手が違ったようで、多少棒読み的な部分もあるけれど、その内容の多彩さには驚かされる。また、ハーフタイムには前半のプレイを分析し、的確に解説を加えてくれるので、後半のプレイへの参考にすることができるはずだ。

 今回紹介している3本の中では最も使用ボタン数が多く、キーボードでのプレイは慣れが必要なのが唯一の欠点。前述のMicrosoft Sidewinder Game Padを使用すればキーボードを併用せずにすべての操作ができるので、快適なプレイには必須だ。

□エレクトロニック・アーツ株式会社のホームページ
http://www.japan.ea.com/
□FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98のホームページ(和文)
http://www.japan.ea.com/archive/rtwc/findex.html
□Electronic Artsのホームページ(英文)
http://www.ea.com/
□FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98のホームページ(英文)
http://www.easports.com/99/wc98/index.html
□FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98デモ版ダウンロードサイト(和文)
http://www.japan.ea.com/archive/rtwc/dwnld.html
 


■高速な3Dエンジンを搭載したアクションゲーム
 ~「ワールドリーグサッカー」

ワールドリーグサッカー

WLS
  • 発売メーカー:MUGENDAI SOFTWARE(東芝EMIココナッツジャパンエンターテイメント)(制作:Gremlin Interactive
  • 推定小売価格:7,800円
  • 対応OS:Windows 95
  • 発売日:発売中
  • 動作条件
  • 【動作環境】
     CPU : Pentium 75MHz以上(Pentium 133MHz以上推奨)
     RAM : 16MB(32MB以上推奨)
     HDD : 75MB以上(フルインストール時、約420MB以上)
     解像度 : 640×480ドット(256色以上表示)
     DirectX 5.0以上
 どこかで見たような画面構成のゲームだと思っていたら、開発はGremlin Interactive社。そう「Actua Soccer」なのだ。海外では「Actua Soccer 2」のタイトルで発売されているこのソフト、最大のポイントは高速な3Dエンジンだろう。選手の動きにあわせてカメラ位置がぐりぐり動く(設定は変更可能)にもかかわらず、多少ポテンシャルの落ちるマシンでもかなり快適にプレイすることができるし、雨や雪が降る様子も画面上で表現される。さらに、雪の時には選手の足跡まで残るという凝りようだ。

 また、今回は実況放送も追加されている。残念ながら実況はすべて英語だけれど、雰囲気は十分に味わうことができるし、プレイに専念できるという意味ではこちらの方がいいかもしれない。

 秀逸なのがリプレイ画面。ゴールを決めたときのリプレイは多くのゲームが採用しているけれど、カメラアングルの多彩さ(しかもさまざまなアングルからくり返し見せてくれる)や、ゲーム終了後のハイライトリプレイ、ボールの軌跡を見せてくれたりと、徹底的に凝った作りになっている。

 プレイモードは6つで、それぞれ「フレンドリー」「リーグ」「カップ(トーナメント戦)」「プラクティス」「マルチプレイヤー」「シナリオモード」。シナリオモードを搭載しているのは3本の中ではこれだけで、さまざまな状況で危機に立たされた味方チームを勝利に導くことが求められる。

 ただし、戦略的なサッカーを楽しむには多少不向きで、ゴール付近までボールを運んで即シュート、という展開になりやすい。CPUも、ペナルティエリアに入るやすぐにシュートをうつことが多く、プレイが単調になりやすい。チームのフォーメーションや戦術スタイルなども設定できるようにはなっているが、その違いをプレイ中に体感しづらいのが残念なところだ。スピーディゆえに粗っぽく、3Dエンジンの優秀さが逆にアダになったという印象を受けた。ただし、アクションゲームとしてのサッカーとしてとらえた場合にはかなり快適にプレイすることができるので、この辺りはどちらを好むかという問題になりそうだ。

□東芝EMIのホームページ
http://www.toshiba-emi.co.jp/
□東芝EMIのCD-ROM関連プロダクトのページ
http://www.toshiba-emi.co.jp/hiscore/index_j.htm
□「ワールドリーグサッカー」の製品情報(東芝EMI)
http://www.toshiba-emi.co.jp/hiscore/index/pc/others/soccer.htm
□ココナッツジャパンエンターテイメントのホームページ
http://www.coconuts.co.jp/
□Gremlin Interactiveのホームページ(英文)
http://www.gremlin.co.uk/
□「Actua Soccer 2」の製品情報(英文)
http://www.gremlin.co.uk/games/actuasoccer2/news.html
 


■フットサルまで対応したオーソドックスなサッカーゲーム
 ~「Ubiワールドサッカー」

Ubiワールドサッカー

UWS
  • 発売メーカー:ユービーアイソフト
  • 推定小売価格:5,800円
  • 対応OS:Windows 95/NT 4.0
  • 発売日:発売中
  • 動作条件
  • 【動作環境】
     CPU : Pentium 60MHz以上
     RAM : 16MB以上
     HDD : 42MB以上
     解像度 : 640×480ドット(256色以上表示)
 3本の中では、最も操作の簡略化されたゲームがこの「Ubiワールドサッカー」だ。使用するボタンはわずかに7つ。そのうち4つは方向キーなので、実際には3つのキーしか使う必要がないので、キーボードでのプレイやゲームに不慣れな方でも気軽に楽しむことができることだろう。視点はサイドライン方向からの横視点。カメラの距離は3段階に変えることができる。俯瞰の3D視点ではあるけれど、画面自体はポリゴンを使用せず2Dで描かれているので、カメラの位置を変更することはできない。そのため画面のダイナミックさでは他のソフトに遅れを取っている感は否めないが、プレイする上では問題はないだろう。リプレイは充実していて、ゲーム終了時にはゴールのほかにオプション設定でファウルやコーナーキック、オフサイドなどもハイライトシーンとして鑑賞することができるようになっている。

 このゲームの大きな特徴は、オプション設定で屋内競技のフットサルがプレイできること。屋内なのでフィールドは狭く、チーム人数も少ない。また、ペナルティエリアもないし、周囲が壁なのでスローインやコーナーキック、ゴールキックなどの概念もない。アイスホッケーのように周囲の壁にバウンドさせての作戦を取ることができるなど、一見サッカーと同じように見えてもプレイ感覚はまったく異なっている。フットサルのゲームは普段なかなかお目にかかれないだけに、このソフトの存在は貴重だといえるだろう。

 プレイモードは「フレンドリー」「リーグ」「カップ」「トーナメント」「トレーニング」の5つ。「トーナメント」はCPUを交えず、3~8人のプレイヤーが参加してのトーナメント戦を行なう。それぞれのプレイモードでサッカーとフットサルをプレイできるので、実際のプレイモードは10ということになるだろう。気軽に楽しめる割には遊びがいのあるソフト、という感じだ。問題があるとすれば、ソフト自体は英語版なので、表記も実況も英語で行なわれること。もっとも、日本語のマニュアルはついているし、プレイ中は英語を読む必要もないので、そう大きな障害にはならないはずだ。

□ユービーアイソフトのホームページ
http://www.ubisoft.co.jp/
□「Ubiワールドサッカー」の製品情報(和文)
http://www.ubisoft.co.jp/actualite/jeux/foot/foot.html
□Ubi Softwareのホームページ(英文)
http://www.ubisoft.com/
 


■最新技術の応用でよりリアルなサッカーゲームへ

 以上、3本のソフトをプレイしてみた。それぞれに特色の異なるゲームなので一概に比較することはできないが、あえて選ぶなら、やはり「FIFA:ROAD TO WORLD CUP 98」が一歩抜きんでているというところだろう。ワールドカップの雰囲気をじっくりと味わいたいなら「FIFA~」スピーディなゲーム展開を求めるなら「ワールドリーグサッカー」気軽にプレイしたい、またはフットサルに興味があるなら「Ubiワールドサッカー」をチョイスするといいと思う。プレイに求められるマシンスペックも、この順に軽くなっていくので、ハイスペックなマシンなら「FIFA~」、ポテンシャルに自信がなければ「Ubi~」という風に選んでいくのもいいかもしれない。

 それにしてもゲームの世界は日進月歩。ある意味ではコンピュータ技術の最先端をいくゲームの世界だけれど、ついこの前までは実況を行なうソフトなんてごく一部だと思っていたのに、今では当たり前。3Dの技術も向上して、モーションキャプチャーで選手の動きもリアルだし、CPUのアルゴリズムも格段に向上している。ただボールを蹴るだけだったサッカーのゲームは、戦略性を重視し、チームのコンディションにも気を配る必要が出てきた。小学生のサッカーが高校生レベル、Jリーグ、ワールドカップへと成長するように、ゲームも大きな成長をとげていると言っても過言ではないだろう。


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp