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パソコンで大空を自由に飛びまわろう!

フライトシミュレーター特集


■大空を飛びたい! そんな夢をかなえる「フライトシミュレーター」

 常に安定した人気を維持し続けている定番ゲームジャンルのひとつにフライトシミュレーターがある。古来より人間が求めてきた「空を飛びたい」という欲求。その夢は、20世紀に入り飛行機という形でかなえられた。しかし、残念ながら飛行機は誰にでも飛ばせるというものではなく、誰もが自由に空を飛ぶことができる時代は、いまだ現実のものにはなっていない。そんな中で、少しでもその夢に近づきたいと思う心が生み出したのが、このフライトシミュレーターというジャンル。最初は単色の、ワイヤーフレームのみで背景や空港を表現していたこのジャンルも、コンピュータのハード、ソフトの両面の飛躍的な進歩によって、いまでは画面も操縦感覚も、驚くほどリアルになってきている。

 フライトシミュレーターには、大きく分けて2種類が存在する。ひとつは、戦闘機を操縦し、敵との戦いを繰り広げるタイプ。対空・対地の装備を設定したり、僚機への指令を出したりと、ミッションの遂行のためにさまざまな要素が絡んでくる。一瞬の判断ミスが、即ゲームオーバーへとつながる緊迫感あふれる、メリハリの効いたタイプだ。

 そして、もうひとつが今回紹介する、セスナなど自家用航空機を操縦して、自由に空を飛ぶことのできるタイプだ。たいていの場合、特に目的が設定されているわけではなく、空港から空港へ、自由に飛んでいくことができる。実在の土地をデータ化したものが多く、なじみ深い土地を空から眺めることができるのも大きな特徴だ。

 こうしたフライトシミュレーターは毎年数本以上がリリースされているが、数年に一度くらいの周期で話題作が集中する“当たり年”とよべる時期がある。今年もそのひとつに数えることができるようで、年明けのこの時期から「Microsoft Flight Simulator 98 日本語版(以下FS98)」「SIERRA PRO PILOT(英語版/日本語フライトマニュアル付き)」「Flight Unlimited 2」の3本が登場している。そこで、今回はこの3本のフライトシミュレーターにスポットをあててみることにしよう。いずれも実在の機体や土地データを使用した、良質なフライトシミュレーターだ。

 

■ネットを通じて友達と遊覧飛行を楽しめる
 ~「Microsoft Flight Simulator 98 日本語版」

Microsoft Flight Simulator 98 日本語版

MSFS98
  • 発売メーカー:マイクロソフト
  • 推定小売価格:10,800円
  • 対応OS:Windows 95/NT Workstation 4.0
  • 発売日:発売中
  • 動作条件
  • 【動作環境】
     CPU : Pentium 90MHz以上
     RAM : 32MB以上推奨
     HDD : 150MB以上
     解像度 : 640×480(800×600以上推奨)、256色以上表示
     CD-ROMドライブ : 倍速以上(4倍速以上推奨)
     SideWinder Force Feedback Pro対応
 最初のMS-DOSバージョンが登場してから早くも15年。フライトファンにとっては定番とも呼べる「Microsoft Flight Simulator」の最新版。英語版は昨年発売され、国内でも話題になった。ただ、操縦方法のチュートリアルやオンラインヘルプの表示、無線の音声メッセージなどがすべて英語で、完全に理解し、楽しむにはそれなりの英語力が必要とされていたので、今回の日本語版の登場を心待ちにしていた方も多いのではないだろうか。

 この「FS98」を前作までと比較したとき、最も際立った特徴は使用できる機体の中にヘリコプターが追加されたことだろう。飛行機とはまったく操縦形態の異なるヘリの採用は革新的。数年前に、ヘリを扱ったゲーム「SimCopter」がMaxisから登場し話題になったが、あちらはゲーム性を重視した作りになっていて、本格的なフライトシミュレーターとしてのヘリコプターは、これが初めてと言っても過言ではないはずだ。ほかにも「セスナ スカイレーン182S」「リアジェット45」の、あわせて3機種が追加されている。

 もうひとつの特色が「マルチプレイヤーモード」の存在。これはインターネットやLANなどを利用し、複数のプレイヤーが同時にフライトを楽しむことができるものだ。おまけにこのソフトには独自のチャット機能も付いているので、友だちと会話をしながらのフライトというのも楽しいだろう。この機能は、今回紹介する3本の中では「FS98」のみの対応となっている。

 その他、世界各国の3,000を越える空港データの収録や「SideWinder Force Feedback Pro」への対応による振動やテンションの再現など、プレイヤーの期待を裏切ることのない完成度の高さは、定番ソフトの最新作にふさわしい仕上がりになっているということができるだろう。

□株式会社マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/default.asp
□マイクロソフト ゲーム関連プロダクツのページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
□Microsoft Flight Simulator 98のホームページ(和文)
http://www.microsoft.com/japan/games/fsim/
□Microsoft Flight Simulator 98のホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/games/fsim/fs98.htm
□米Microsoftのゲーム関連のダウンロードサイト(英文)
http://www.microsoft.com/games/download.htm
 


■初心者も安心、操縦方法を教えてくれる
 ~「SIERRA PRO PILOT」

SIERRA PRO PILOT
(英語版/日本語フライトマニュアル付き)

PRO PILOT
  • 発売メーカー:パイオニアLDC(制作:Sierra On-Line)
  • 推定小売価格:7,800円
  • 対応OS:Windows 95(PC/AT互換機のみ)
  • 発売日:発売中
  • 動作条件
  • 【動作環境】
     CPU : Pentium 200MHz以上推奨
     RAM : 32MB以上推奨
     HDD : 31MB以上
     解像度 : 640×480ドット(256色以上表示)
     CD-ROMドライブ : 4倍速以上
 かつて、その「Microsoft Flight Simulator」の開発を手掛けていたのが、米国サブロジック社。同社の20年近いフライトシミュレーター技術の蓄積と、数多くのフライトシミュレーターをリリースして高い評価を得ているシエラ・オンライン社の共同開発によって生まれたのが「SIERRA PRO PILOT」。Cessna社とBeechcraft社の機体5機種のコクピットを、両社の協力によって完全に再現したほか、双発機の2機種では左右のエンジンを別々にコントロールする「ダブルスロットル」も再現。実機同様の操縦感覚を味わうことができる。

 また、米国での航空機免許取得基準に基づいて制作されたトレーニングモードは「自家用」「事業用」について、段階を踏みながら30以上のミッションを体験できる。日本国内では免許取得基準に違いがあるので、そのまま教則用に利用するというわけにはいかないけれど、操縦の基礎からじっくりと学ぶことができるので、初心者でも安心して始めることができるだろう。

 こちらも、収録された空港の数は3,000と「FS98」に負けないデータ量を誇っている。また、地表に貼られたテクスチャの細かさや地形のデコボコの表現など、ビジュアル面に重点を置いているのも大きな特徴。天候の変化も、雨の多少や雷の表現など細かい部分まで配慮されている。操縦感覚のリアルさとあいまって、本格的な飛行体験ができる。

□シエラ・パイオニアのホームページ
http://www.sierrapioneer.com/sierrapioneer/index.html
□「SIERRA PRO PILOT」の製品情報(和文)
http://www.sierrapioneer.com/sierrapioneer/lineup/propilot.html
□Sierra On-Lineのホームページ(英文)
http://www.sierra.com/
□「SIERRA PRO PILOT」の製品情報(英文)
http://www.sierra.com/titles/pilot/cindex.html
 


■3Dfx対応で、滑らかな3D映像を実現
 ~「Flight Unlimited 2」

Flight Unlimited 2
(英語版/日本語フライトマニュアル付き)

Flight Unlimited 2
  • 発売メーカー:エレクトロニック・アーツ(制作:Looking Glass)
  • 推定小売価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95(PC/AT互換機のみ)
  • 発売日:発売中
  • 動作条件
  • 【動作環境】
     CPU : Pentium 200MHz以上推奨
     RAM : 16MB以上推奨
     HDD : 250MB以上
     CD-ROMドライブ : 倍速以上
 実写映像を取り込み、テクスチャとして地表データに張り込んだ「Flight Unlimited 2」は、発表当時その画面の美しさで多くのファンを獲得することに成功、数多くの賞を得たフライトシミュレーターだ。その続編である「Flight Unlimited 2」は、まさに「ファン待望の」作品ということができるだろう。

 本作でも、その画面の美しさは健在。さすがに地表近くでは画面も粗くなってしまうけれど、一度上空に上がれば、目を見張るばかりの光景が広がる。飛行エリアはアメリカ西海岸地区に限定されているが、この画面を見れば納得できるというものだ。このところ流行の3Dfxにも対応し、3D描画もいたってスムーズ。画面解像度を落とせばそれなりのマシンでも快適なプレイは可能だけれど、できれば3Dfx対応ボードを装着して画面の美しさを堪能してほしい。もちろん、画面が美しいだけではなく、フライトシミュレーターとしての完成度も高い。夜間の放射現象による上昇気流や山地での乱気流もシミュレートされているなど、さまざまな条件下でのフライトを体験できるようになっている。

 「Flight Unlimited 2」のもうひとつの特徴が、使用できる機体のユニークなこと。バロン58やトレーナー172といった定番機のほかに、P-51Dムスタングやビーバーなどの個性的な機体を選択することができる。水上離着陸のできるビーバー用に、水上着陸ミッションが用意されているなど、ミッションも多彩。空母や、混雑した空港への着陸のミッションもあり、これらがいかに難しいかを身をもって知ることができるだろう。全体的には、リアルな操縦感覚はそのままに、少しだけゲーム寄りにシフトしたフライトシミュレーターという印象を受けた。

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.ea.com/eav/
□「Flight Unlimited II」の製品情報(和文)
http://www.ea.com/eav/archive/fu2/
□Looking Glassのホームページ(英文)
http://www.lglass.com/index.html
□「Flight Unlimited II」の製品情報(英文)
http://www.lglass.com/f2/index.html
 


■ジョイスティックは必携

 それぞれに特徴をもつ3本のフライトシミュレーター。一見、同じように見えても、プレイしてみると違いが見えてくる。あとはプレイヤーのマシン環境や、ソフトに何を求めるかを選択基準に、購入するタイトルを決定するといいだろう。インターネットで複数のプレイヤーと楽しみたいなら「Microsoft Flight Simulator 98 日本語版」操縦方法を基礎から学びたいなら「SIERRA PRO PILOT」3Dfxボードを持っているなら「Flight Unlimited 2」といった具合に。  いずれのソフトもキーボードでの操作は可能だけれど、できれば快適にプレイするためにジョイスティックは用意しておきたい。操縦幹の微妙な操作を再現するにはキーボードでは限界があるし、せっかくリアル指向のフライトシミュレーターをプレイするのだから、操作系にもこだわらないと楽しさを理解するのは難しいのではないだろうか。趣味が昂じてスロットルやラダーペダルまで購入してしまう猛者も多いこの世界だけれど、とりあえずはジョイスティック1本あれば十分。大空を我が物にする楽しさを、一度味わってみてはいかがだろう。


(Text by 山城 宏)


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