元麻布春男の週刊PCホットライン

Windows XPで標準サポートされたDVD-RAM
~PD以来2つだったドライブレターが1つになった歴史的瞬間?


●格安DVD-RAMがアキバから消えたのはWindows XPのせい?

 まだ正式発売になっていないにもかかわらず、OEM版の流通が始まってしまったWindows XP。秋葉原では、すでにWindows XPのリリースは、既成事実になってしまったようだ。この事実上のリリースを受けて、デバイスなどの売れ行きにも変化が現れたような気がしているのは筆者だけだろうか。しばらく前まで良く目についていた、格安のバルク版DVD-RAMドライブを、このところサッパリ見かけない。以前は27,800円~29,800円程度で販売されていたように思うのだが、あらかた売れてしまったようだ。ひょっとすると、これもWindows XPでDVD-RAMドライブが標準サポートされた結果だろうか、などと考えたりもしている。

 だが、時を同じくして、発売されて間もないDVD-RAM/Rドライブの価格もジリジリと下がり続けている。特にサードパーティが販売するOEM製品の中には、4万円を割り込むものが現れ始めた。以前、この欄でも取り上げた純正パッケージ(LF-D321JD)とは、バンドルソフトウェアの構成なども異なるため、一概には言えないが、かなり身近に感じられるものになってきたのは確かだろう。しばらく前に流通していたバルク版ドライブに対して、1万円少々の上乗せで、DVD-Rへの書込みが可能になる(プレイステーション 2でも再生可能なオリジナルDVDが作成可能になる)のだから、考えようによっては悪くない。ここでは、Windows XP環境でのDVD-RAMドライブについて、何が変わったのか、取り上げてみたいと思う。

画面1
Windows 2000でのDVD-RAM/Rのドライブレターの見え方
 まず画面1は、Windows 2000環境下でDVD-RAMドライブがどのように見えるかを示したもの。以前にLF-D321JDを取り上げた時に掲載したものと同じだ。

 見れば分かる通り、DVD-RAMドライブは、物理的に1台のデバイスであるにもかかわらず、CD-ROM(E:)とリムーバブルディスク(F:)の2つの論理デバイスに見える。もちろん、Windows 2000は標準ではDVD-RAMドライブをサポートしていないため、デバイスドライバをインストールしなければ、DVD-RAMドライブは単なるDVD-ROMドライブにしか見えない。

 要するにDVD-RAMドライブは、1つのデバイスが2つのドライブレターを占有し、セットするメディアによってドライブレターが変わる、というややこしいデバイスだったわけだ。事情は書込みソフトとしてWriteDVD!が付属する東芝や日立製のDVD-RAMドライブでも、基本的に変わらない。

【お詫びと訂正】日立および同社製ドライブを試用した製品ではWindows XP以外の環境でもドライブレターは1つとなります。詳細につきましては、こちらをご覧ください。ご指摘をいただいた読者の皆様にお礼申し上げます。



●Windows XPではDVD-RAMをFAT32のみ標準サポート

 これがWindows XPでは次のように変わる。画面2はドライバなどの、追加ソフトウェアをなにもインストールしていない状態だが、DVD-RAMドライブは、ちゃんと1台のDVD-RAMドライブに見えている(ちなみにメディアがセットされるとアイコンは画面3のように変わる)。

画面2
画面3


画面4

 画面4はWindows XP標準のフォーマッタで、ファイルシステムとしてFAT32だけをサポートしていることを示したものだ。つまりWindows XPでは、DVD-RAMドライブは1台のデバイスとして正しく認識され、特にデバイスドライバなどを追加しなくても、問題なく使えるのである。

 また、この状態でも、ちゃんとライティングソフト、あるいはライティング機能付きのDVDオーサリングソフトをインストールすれば、DVD-RAM/RドライブでDVD-Rメディアへ書き込むことも可能だ。敢えてできないことを挙げれば、FAT32以外のファイルシステムでDVD-RAMを使うことである。Windows XPがFAT32でDVD-RAMをサポートした以上、PCデータのやり取りは、FAT32が標準のファイルシステムになるハズだ。しかし、PCデータ以外の用途で、ファイルシステムとしてUDF 2.0を必要とするアプリケーションがある。それがビデオレコーディング規格1.1だ。

 ビデオレコーディング規格1.1というのは、民生用のDVDレコーダー(パナソニックDMR-E20など)や、DVDカムコーダー(日立DZ-MV100など)などが採用する規格。DVD-RAMメディアに動画を記録するフォーマットである。数は少ないながら、この規格に準拠したDVD-RAMメディアの再生機能を備えたDVDプレーヤーも両社から発売されている(松下DVD-RP91、日立DV-RP100など)。

 Windows XPは、標準でUDF 2.01の読み出しをサポートしており、ビデオレコーディング規格1.1に準拠したメディアの読み出しができる(再生ができるかどうかは、DVDプレーヤーソフトがビデオレコーディング規格1.1に対応しているかどうかによる)。しかし、このままではUDF 2.0の読み出しはできても書込みができないため、PCでビデオの編集をすることができない、ということになってしまう。UDF 2.0の書込みをサポートしたデバイスドライバが必要になるわけだ。


●XP発売前に対応ドライバが公開。ビデオレコーディング記録も可能に

 悩ましいのは、ここでドライブに付属してきたWindows Me/2000対応のデバイスドライバをWindows XPにインストールしてしまうと、画面5のようにDVD-RAMドライブが、DVD-RAMドライブ(G:)と、光磁気ドライブ(H:)の2デバイスに見えるようになってしまうことだ。実際には、現時点でWindows XP上で動作するビデオレコーディング規格1.1対応のアプリケーションはないため(画面6)、無理にWindows Me/2000対応のデバイスドライバをインストールする必要もないのだが、ちょっとスッキリしないところであった。

画面5
画面6
LF-D321JDのWindows 2000用ドライバをインストール LF-D321JDに付属するDVD-MovieAlbumは、数少ないビデオレコーディング規格1.1準拠のアプリケーションだが、Windows XPでインストールしようとすると、この画面のような警告が表示される

 だが、Windows XPの正式発売前だというのに、松下電器はWindows XP対応のデバイスドライバのリリースを行なった。このアップデートされたドライバをインストールすると、あら不思議、Windows XP上でDVD-RAMドライブは再び1つのアイコンで示されるようになる(画面7)。PD以来、ずっと2つだったアイコンがようやく1つになった歴史的瞬間? である。画面8はフォーマッタの「フォーマット種別」オプションにFAT32に加え、UDF 1.5とUDF 2.0が加わったことを示したものだ。まだ、UDF 1.5やUDF 2.0を必要とするアプリケーションが揃っていないのが残念だが、とりあえずデバイスレベルでの準備は整ったように思う。

画面7
画面8
ドライブレターがひとつに
UDF 2.0もサポート


●互換性問題は残るが、XPでの使い勝手は大きく向上

 DVD-RAMのみならず、DVD-RW、DVD+RWと、書き換え可能なDVD規格は、乱立している印象が強い。その中でDVD-RAMは、この3種のうち、最も期待されていなかった? フシがあるが、Windows XPの登場により、かなり使い勝手が向上した。民生用DVDレコーダーのDMR-E20(愛称Dream)も売れているようだし、現在DVD-RAMにちょっとした追い風が吹いていることは間違いない(やはりOSが標準サポートする、ということの意義は大きいと言わざるを得ない)。

 確かに、3種の中で既存のDVD-ROMドライブやDVDプレーヤーとの互換性が最も低いのはDVD-RAMである。が、互換性をとろうとすれば、ソリューションはある。DVD-RAMに対応したDVDプレーヤーがあるのは上記した通りだし、DVD-RAMを読み出し可能なDVD-ROMドライブもリリースされている(日立GD-7500、松下SR-8587-B、東芝SD-M1612など)。これらのデバイスで固めてしまえば、自宅の中の閉じた環境で、1度見れば済む録画は何回も書き換えられるDVD-RAMで、人にデータや動画をあげる時、あるいは保存するデータは互換性の高いDVD-Rで、という使い分けも考えられる(そんなことを気にしないで済むくらい、メディアの価格が安くなれば良いのだが、現時点ではメディア価格の予想は難しい)。

 もちろん、このシナリオを成立させるには、ビデオレコーディング規格1.1準拠のPC用ライティング/オーサリングソフトウェアが欠かせない。幸い、DVD-Movie AlbumにもWindows XP対応の予定があるとのこと。対応版の一日も早いリリースを待ちたい。また、サードパーティ製のアプリケーションも待たれるところだ。

□関連記事
【Keyword】DVDビデオレコーディング規格
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991014/key94.htm#DVD_rec
【元麻布】【7月11日】発売が開始されたDVD-RAM/Rドライブ「LF-D321JD」を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010711/hot154.htm

バックナンバー

(2001年11月9日)

[Text by 元麻布春男]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.