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これがIntelの3GIO対応チップセットだ
~2003年のPCの姿が明らかに


●2003年後半には3GIO対応チップセットが登場する見込み

 Intelは2003年後半から3GIOを立ち上げる。IDFでは、3GIOのスペック策定の中心となっているIntelによるプレゼンテーションが行なわれた。具体的なスペックが明らかになったほか、PCI-SIGよりも積極的なスケジュールが示された。また、3GIOをインプリメントしたPCのシステム構成や、3GIOボードやスロット、ケーブルなどのメカニカルなプランも明らかになった。

 下がIntelが示した2003年後半のPCのブロック図だ。見ての通り、3GIOはチップセット間接続とチップセット-グラフィックスチップ間接続、チップセット-周辺デバイス接続と、広範囲に採用されている。Intelのチップセットは1年周期で更新され、毎年中盤にリリースされるのがパターンだ。2002年中盤リリース予定のチップセットが「Brookdale-G(ブルックデールG)」と「Tulloch(タラク)」、それに新ICHである「ICH4」。3GIOが2003年とすると、ここに示されたチップセットはその次の世代、つまり、ICH5世代ということになる。

 ちなみに、このチップセットで興味深いのはグラフィックスの接続がAGPではなく、3GIOになっている点。このグラフィックス用3GIOは、「Serial AGP」になる可能性もある。Intelは、IDFで、AGPの将来規格として3GIO Initiativeの活動の一環としてSerial AGPの規格を策定していることを明らかにしている。Serial AGPの策定は、まだ極めて初期の段階にあるという。

 このほか、細かいところで言うと、ATAもこの世代からSerial ATAになるようだ。Intelは、来年中盤のICH4では、Serial ATA統合の計画を持たないため、Serial ATAが本格的に立ち上がるのは、この2003年のチップセットが登場してからとなる。USB 2.0の方は、ICH4で統合されるので、このチップセットでUSB 2.0対応は2代目となる。

 次の図はサーバーの構成例。ここでは、ギガビットEthernetが3GIOで直接チップセットに接続されているほか、InfiniBandもチップセットに内蔵されている。こうしてみると、Intelの考える3GIOとInfiniBandの棲み分けがよくわかる。チップ間接続は3GIO、よりロングディスタンスの接続はInfiniBandとなる。


●PCI-SIGと食い違う3GIOのスケジュール

 2003年後半から3GIOを立ち上げるつもりのIntel。ここで気になるのは、このスケジュールが、明らかにPCI-SIGの説明よりも半年から1年早いことだ。PCI-SIGの説明では、3GIOはモバイルが2004年前半、デスクトップが2004年中盤となっていた。

 このスケジュールのずれが、何を示しているのかは、まだわからない。想像できるのは、PCI-SIGはソケットとボードのソリューションを中心に考えているため、控え目なスケジュールになっている可能性だ。Intelの方は、2003年中盤の時点で、もし3GIOのボードとスロットの規格が間に合わなくても、まずはチップ間接続だけのソリューションで3GIOをインプリメントしてくるだろう。その場合は、チップ間接続は3GIOだが、スロットはPCIオンリー(あるいはPCI-X)といった形でスタートするのではないだろうか。

 では、3GIOのボード/スロットはどんな形状になるのだろう。これについては、現在のドラフト案がIntelから示された。まず、下は3GIOが今回のプロモーションのために作ったポスター。このいちばん左端に描かれたボードが、3GIOボード案だ。このボードは、4対のリンクを束ねた4Xのものだ。この場合、信号ピン数はたった16本になる。3GIOはピン数が非常に少ないため、ボードのコネクタ部分も非常に狭くなっていることがよくわかる。グラフィックスにはこのタイプが使われるという。

 このほかに、1~2対のリンクの1Xと2X用のボード案も示された。こちらは、下の図のように、既存のPCIコネクタの横に追加で3GIOのコネクタがつく形状となる。PCIボードはPCIのコネクタだけを使い、3GIOボードは3GIOコネクタの部分にだけ信号線が配されるという形のようだ。つまり、同じスペースに、PCIボードと3GIOボードのどちらも挿せることになり、スペースの節約になる。

 それから、上のポスターで、3GIOボードの右に2つのボックスが並んでいる。これは、3GIOの拡張ベイで、よりスマートなデバイス接続を可能にするものだ。また、IDFでは、デスクトップでボックスを2つにわけて、その間を3GIOケーブルで接続する例も示された。ドライブ類やUSBポートなど、ユーザーの近くにあった方がいいものだけモニタ側に持ってくるという、IBMなどがトライしたデザインだ。同じ3GIOケーブルは、ノートPCとポートリプリケータ間の接続にも想定されている。IDFでは、具体的なコネクタ形状のドラフトも示された。

 Intelの示す3GIOの像はかなり具体的で、スケジュールも2世代後のチップセットからと早い。3GIOは思ったより早く来ることになりそうだ。


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(2001年8月31日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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