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元麻布春男の週刊PCホットライン

光学式マウスの新製品をテスト


●光学式マウスの新製品をテスト

 8月上旬、このコラムでマウスを取り上げたが、それから1カ月半足らずの間にマウスの新製品を2つ入手した。いずれも、発表会や説明会でもらったもので、まだ店頭には並んでいない。1つはMicrosoftのWheelMouse Optical、もう1つはロジクールのiFeel Mouseである。いずれもマウスボールを持たない、完全光学式のマウスだ。

WheelMouse Optical iFeel Mouse

 専用マウスパッドのいらない完全光学式マウスを広めたマイクロソフトは、この秋マウス製品のリニューアルを行なう。全製品に共通するのは、付属ソフトウェアのバージョンアップ(IntelliPoint Ver 3.2)によるWindows Meへの対応だが、光学式マウスにはさらに光学センサであるインテリアイの更新が含まれる。インテリアイは、机やマウスパッドの表面に反射するLEDの映像をスキャンすることで位置情報を取得するが、新しいインテリアイでは、このスキャン回数がこれまでの毎秒1,500回から毎秒2,000回へと高められた。

IntelliPoint 3.2ソフトウェアで見たWheelMouse Optical

 この新型インテリアイを搭載して、新しく発売されるのがWheelMouse Opticalだ。上位からIntelliMouse Explorer、IntelliMouse Opticalの次に位置付けられるローエンドモデルであり、これまで発売されていたIntelliMouse with Optical Technologyの後継モデル、ということになる。上位モデルとの最大の違いはマウスボタンの数で、IntelliMouse ExplorerとIntelliMouse Opticalが5ボタンなのに対し、WheelMouse OpticalはIntelliMouse with Optical Technologyと同じ3ボタンだ(いずれもホイールボタン含む)。

 同じボタン数のWheelMouse OpticalとIntelliMouse with Optical Technologyの違いはマウスの形状にある。IntelliMouse with Optical Technologyが、いわゆるナスビ形マウスであるのに対し、WheelMouse OpticalはIntelliMouse Opticalに近い、左右対称デザインをとる。今回のモデルチェンジで、ついにナスビ形マウスはマイクロソフトのマウスラインナップから姿を消すことになった(IntelliMouse Explorerは左右非対称の右手用だが、ナスビ形ではない)。


 WheelMouse Opticalの使用感だが、ある意味価格相応というところだろうか。手元にIntelliMouse Opticalがなく、最上位のIntelliMouse Explorerとの比較になってしまうのだが、カチッとしたクリック感のExplorerと比べると、WheelMouse Opticalのマウスボタンはクリック感がパコパコした感じだ。もちろん、実用上問題があるわけではないのだが、そう言ってしまうとマウスやキーボードのような入力デバイスは何でも同じになってしまう。このパコパコしたマウスボタンの方が好きだという人もいるのかもしれないが、筆者にはちょっと安っぽく感じられた。なお、マウス本体の大きさはExplorerより一回り小さい。

Feel Mouseの振動や振動による発音をカスタマイズするツール(Immersion Desktop)。常駐させると、システムの終了に若干時間がかかるようになった

 もう一方のiFeel Mouseは、その名前の通り、振動によるフィードバック機能を備えたホイール付きの3ボタンマウス。上位モデルとして4ボタンのiFeel MouseManも用意されている。

 ただし、振動といっても、いわゆるフォースフィードバックのような強烈なもの? ではない(米Logitechには、ゲーム用にWingMan Force Feedback Mouseという製品が別にあるが)。たとえばWebブラウザを利用している際に、クリッカブルなテキストやボタンの上にマウスポインタがのると、振動でそれを教える、という比較的ジェントルなものだ(効果としてはほかに、振動のピッチを変えることで5種類以上の音を発音するということも可能。付属のツールでカスタマイズできる)。

 こうした効果が、どれくらい普段のPCユースに役立つかはよく分からないが、ユニークな機能であることは確かだろう。


 iFeel MouseとiFeel MouseManの違いは、iFeel Mouseが小型でマウスをつまむように持つタイプであるのに対し、iFeel MouseManは大ぶりで手のひらをべったりと乗せるタイプであることだ。筆者はどちらかというと、前者のタイプが好きなのだが、後者が好きな人も多いことだろう。なお、マウスボタンのクリック感は比較的シャープで、WheelMouse Opticalより良いと思うが、マウスホイールの動作(正確にはホイール自体の動作ではなく、ホイールを動作させた場合に生じるアプリケーションウィンドウのスクロール)はマイクロソフト製マウスの方が滑らかだと思う。

●IntelliMouse Explorerは中指派にはなじまない

 さて、ここからは今回の新製品の話からちょっと外れるが、実は筆者の手にはIntelliMouse Explorerが今一つなじまない。その最大の理由は、筆者がホイールを中指で操作する癖を持つことにある。この癖は、(ホイールではない)3ボタンマウスを使っていたことからくるものだろう(不思議なのは3ボタンマウスでは左ボタンは人差し指、中央ボタンは中指、右ボタンは薬指だったのに、ホイール式のマウスではホイールと右ボタンを中指で操作し、薬指を使わなくなったことだ)。

 中指でホイールを扱う中指派? にとって、Explorerの大きさは中途半端。というより、中指の先をホイールに乗せると、Explorerの左側面部前ボタン(デフォルトでブラウザの「進む」が割り当てられる)に親指が届かない。人差し指をホイールに乗せると手に馴染む感じはするのだが、癖というのは困ったもので、いつのまにかホイールの上には中指がきている。同じ理由でナスビ形のホイールマウスもあまりシックリとこなかった。

 それに対しiFeel MouseMan(に限らず、現在のMouseManシリーズ)もIntelliMouse Explorerと同じ、手のひらをべったりと乗せるタイプだが、iFeel MouseManとは大きく異なる。それは、マウスの形状が中指派と人差し指派のどちらにも、あまり違和感がないようにできていることだ(その代わりIntelliMouse Explorerの左側面部前ボタンに該当するボタンがない)。

 長年にわたり3ボタンマウスを供給していたロジクールだから、中指派を見捨てないで欲しいと思うのだが、人差し指派にしてみると、使えるマウスボタンが1つ多い分だけマイクロソフトの方が良い、ということになるのかもしれない。筆者は前に述べた通り、手のひらをべったり乗せるタイプより、つまむ方(つまりiFeel Mouseやボール式のWheelMouseなど小型のマウス)が好きなのだが、この原稿を書きながら、IntelliMouse Opticalを1度試してみる必要があるのではないか、と思うようになった。機会があれば、使ってみたいと思う。


●SmartVison Pro for USBの動作状況について

 前々回、取り上げたSmartVison Pro for USBだが、読者の方からいくつか質問が寄せられた。それに簡単に答えてみたいと思う。

 1つは、長時間連続動作させた場合、SmartVision Pro for USBの動作が不良になるというものだが、筆者の環境では半日以上つけっぱなし(TV画面を表示しっぱなし、つまり常時ハードディスクに書き込みしている状態)にしておいても、特に問題は見られなかった。また9時間以上TVを表示させた後、そのまま録画予約をしてみたが、録画予約は問題なく実行された。

 ただし1つだけ、SmartVision Pro for USB(含むソフトウェア)をインストール及び常駐させる前と後で変ったことがある。それは、システムがハードディスクへのサスペンド(ハイバネーション)をしなくなったことだ。筆者がスタート時にSmartVison/EPGを自動常駐させる設定にしていたことと関係があるのかわからないが、すべてのアプリケーションを終了させ、しばらくシステムを放置しても、画面出力を停止しハードディスクのスピンドルを停止させる状態まではいくものの、ハイバネーションは行なわなくなった(SmartVision Pro for USBがUSBポートに接続されていてもいなくても。できれば、SmartVision Pro for USBが接続されていない場合や電源オフの時は、ハイバネーションしてくれると良いのだが)。

 ハイバネーションしては、予約録画ができなくなってしまうから当然かもしれないが、インストール前は自動的にハイバネーションしていたことは確かだ。この質問を寄せられた方は、モジュールの熱暴走について心配されておられたが、筆者はどちらかというとパワーマネージメント関係(特にシステムBIOS)が怪しい印象を受けた(障害の状態を見ていないので、何とも言えないのだが)。なお、筆者のテスト環境は、前回のHiFDでいう評価システム3(IntelのD815EEAマザーボードを用いたもの)である。

 もう1つの質問は、SmartVision Pro for USBの字幕放送対応に関するもの。質問と答え(一部未テスト)は次の通り。

1. 字幕放送の表示は自動的に更新されるか
 YES

2. TV映像に重ね合わせて字幕表示可能か
 YES(別ウィンドウも可)

3. 外部入力に対しても文字/字幕データをデコードするか
 不明(未テスト)

4. HDDに録画した映像の文字/字幕データをデコードするか
 NO

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【9月11日】マイクロソフト、新型“Intellieye”搭載の3ボタン光学式マウス
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【9月7日】ロジクール、フォースフィードバックマウス「iFeel」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000907/logitech.htm
【8月 2日】元麻布春男の週刊PCホットライン
MSとLogitechを行き来するマウス遍歴
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【9月 6日】元麻布春男の週刊PCホットライン
USB TVチューナ/MPEG-2キャプチャボックス「SmartVision Pro USB」を試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000906/hot107.htm

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(2000年9月20日)

[Text by 元麻布春男]


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