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WinHEC 2000レポート

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AMD ブライアン・ロングマイヤー氏インタビュー
ThunderbirdとDuronは同時リリース

4月25日~27日 開催(現地時間)
会場:New Orleans Morial Convention Center

 初日のレポートではAMDがThunderbirdの実物や「Corvette(コルベット)」といった新しいCPUコードネームを追加したことをお伝えした。このレポートではAMDのCPUを担当しているコンピュテーションプロダクトグループ(CPG)ディビジョンプランニングマネージャのブライアン・ロングマイヤー氏のインタビューをお伝えする(このインタビューは4月25日(現地時間)に行なわれたもので、Duronの発表前であったため、Duronの名前はSpitfireのままとなっている)。


●ThunderbirdとDuron(Spitfire)は同時リリースになる!

Q:Mustangのモバイル向けの名称をCorvetteに変更したのはなぜですか?
A:それは名前を巡って混乱があったからです。Mustangをモバイル向けとして受け取られてしまう場合があり、サーバー/ワークステーション向けのMustangとごっちゃにされてしまったのです。このため、モバイル向けはCorvetteに統一することにしたのです。

Q:Spitfireの詳細について語っていただけませんか? L1キャッシュやL2キャッシュのサイズはどうなっていますか?
A:残念ながら現時点ではお話しすることはできません。数週間の内に次のミーティングを開催する予定になっています。そこではSpitfireの詳細を明らかにすることができると思います。その時を楽しみにしてください。

Q:Socket Aのピン数は何ピンですか
A:462ピンです。

Q:今回配布された資料ではSlot AのThunderbirdとSpitfireのタイミングは一緒になっています。しかし、4月5日に開催されたW.J.サンダース会長の記者会見時の資料ではSpitfireが若干後になっているロードマップが配布されました。このように、Slot AおよびSocket AのThunderbirdやSpitfireは前後して出荷されるのでしょうか? あるいは同時ですか?
A:現時点ではSlot A、Socket Aの両方のThunderbird、Spitfire共に同時にアナウンスが行なわれ、同時に出荷されます。ただ、実際の出荷でどちらが先にでてくるかは、OEMメーカーや販売チャネルの需要次第なので、前後してくることはあると思います。サンダース会長の資料でSocket Aの部分が破線になっているのは、そうした意味があるのです。

Duron(Spitfire)700MHzのデモ Socket A版Thunderird 4月5日のサンダース会長記者会見時のAMDのロードマップ
Q:現状のAthlonとThunderbirdの価格差は存在するのでしょうか?
A:現時点ではお話できません


●SpitfireがK6-2の価格帯に到達するのはクリスマスシーズン頃

Q:Spitfireの統合型チップセットはどうでしょう。10万円以下の低価格PCでSpitfireが採用されるためには統合型チップセットは不可欠だと思われます。しかし、現時点ではAthlon向け統合型チップセットは存在しておりません。これをどう解消されるおつもりですか?
A:Socket Aのインフラストラクチャーとなるべき最初のチップセットはVIA Technologiesが計画しているApollo KZ133とAMD-750チップセットです。当初はこの2つのチップセットと組み合わせて出荷されるでしょう。この後登場するのがVIA TechnologiesのApollo KM133、Silicon Integrated SystemsのSiS730という2つの統合型チップセットです。これらのグラフィックスを統合した統合型チップセットは今年の後半に登場する予定です。それらはクリスマス商戦前には製品として登場し、その頃までにはSpitfireがそのクラスに普及していくものと考えています。

Q:それではSpitfireは当初はメインストリームを狙っていくということですか?
A:いいえ、Spitfireは999ドル以下のバリューPC向けのCPUです。ただ、当初はご指摘のように統合型チップセットではなく、スタンドアロンのチップセットと組み合わせて利用するので、プラットフォームという観点から見ればバリューPCの中でも、上の方の価格帯に投入されることになると思います。ただ、既に述べたようにクリスマスシーズンには、統合型チップセットが出揃い、より低価格帯に浸透していくものと考えています。2001年にはK6-2の製品群がSpitfireで置き換えられていくと考えています。

Q:現時点ではK6-2の最高クロックは550MHzです。これをさらに上げていくことは考えていますか?
A:現時点では特に発表することはありませんが、1つだけ言えるのは我々は現在のデスクトップ用K6-2のクロックを上げていくことを継続していくという事です。


●Timnaは3チップ構成、Duron+SiS730なら2チップ構成

Q:AMD-760ではLDT(*)はサポートされていないそうですが、LDTはいつサポートされるのでしょうか?
A:おっしゃるとおりAMD-760チップセットではLDTはサポートされていません。LDTがサポートされるのは2001年で、当初はAthlonのインフラストラクチャでサポートされることになります。それに引き続き、SledgeHammerでサポートされることになります。

Q:最近では複数チップの統合はトレンドの1つになっています。IntelはTimnaを、VIAはMatthewをと、各社は統合型CPUを計画しています。統合型CPUに関してはどのようにお考えですか?
A:もちろん、我々も技術革新に常に興味を払っています。既に我々のパートナーであるVIA TechnologiesやSiSと一緒に、EV6バスをサポートした統合型チップセットを作っております。

 統合型CPUに関してですが、非常に難しい質問です。ただ、1つだけ言わせてもらえば、その統合型CPUは一体いくつのチップで構成されているのかということです。現在いわゆる統合型CPUと言われているものは、CPU、グラフィックス、ノースブリッジを1つにしたものです。つまり、その統合型CPU+サウスブリッジという2チップ構成です。SiSが我々のSpitfire用に計画しているSiS730はノースブリッジの機能とサウスブリッジの機能を1チップにしたものです。我々のSpitfireとSiS730を組み合わせて利用すれば、これだけで2チップのソリューションではないですか? それに対して、TimnaはCPU、サウスブリッジ、そしてMTH(Memory Translator Hub)という3チップ構成です。これが、我々の2チップ構成と比べてどちらがいいかは、市場が判断してくれるものだと考えております。


 今回のインタビューで最も興味深い発言は、ThunderbirdとDuron(Spitfire)の発表のタイミングが同時であると明言したことだろう。これにより、既にThunderbird、Duron(Spitfire)のリリース時期が内部的に確定したという可能性が高く、あとはいつになるのかということだけが焦点になってきたと言える。また、Spitfireの統合型チップセットに対するコメントも興味深い。ロングマイヤー氏は「統合型チップセットは今年後半のリリースで、出揃うのはクリスマスシーズン」と発言しており、さらにVIA、SiSがまだ発表していないApollo PM133、SiS730という製品名も明らかにしている。このことにより、少なくとも年末まではDuron(Spitfire)はK6-2を置き換えるものではなく、K6-2とAthlonの中間に位置づけられるCPUであるということが明らかになった。言い換えれば、同じバリューセグメントのCPUでありながらも、Duron(Spitfire)はK6-2に比べてやや高価格帯のPCに搭載されるものとなると言えるだろう。

(*)LDT:ピン当たり1.6GB/秒の高速バスでノースブリッジチップと各種I/Oチップ(サウスブリッジやIEEE-1394コントローラなど)間、あるいはノースブリッジチップ間を結ぶシステムバスアーキテクチャ

□WinHEC 2000のホームページ(英文)
http://www.microsoft.com/winhec/

(2000年4月28日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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