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★ ゲームソフトインプレッション ★

第5回「プレイステーション2」ソフトウェアレビュー

 3月末にリリースされた2本のプレイステーション2用ソフト。奇しくも3D格闘という同ジャンルに属する「DEAD OR ALIVE 2」と「鉄拳TAG TOURNAMENT」の2本は、ともに今のアーケードゲームを代表する格闘ゲームのタイトルでもあった。そこで、今回のレビューではこの2本を紹介しながら、両者の比較も行なってみることにしよう。ファンの方にとっては「何を今更」と思われる向きもあろうけれど、システム周りの再検証の意味もふまえ、ぜひともおつきあいいただきたい。

● DEAD OR ALIVE 2
● 鉄拳TAG TOURNAMENT


● DEAD OR ALIVE 2

  • ジャンル:対戦格闘ゲーム
  • 発売元:テクモ株式会社
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:プレイステーション2
  • 発売日:発売中


 前作はアーケードゲームからセガサターン版を経て、プレイステーションへとプラットフォームを移行していった作品。女性キャラの胸の揺れが激しく、そこにばかり目が行きがちだが、敵の攻撃を受け止めて投げる“ディフェンシブホールド”が比較的簡単に使えることから、初心者でも深い駆け引きが楽むことができ、ファンからは根強い人気を誇っていた格闘ゲームだ。そして、その続編となるこの「DEAD OR ALIVE 2」(以下「DOA2」)は昨年度のアミューズメントショーなどで人気投票の1位を獲得し、その地位を不動のものとした。アーケード版ではドリームキャストと互換性の高いNAOMI基板を使用し、また北米ではすでにドリームキャスト版が発売になっているが、国内ではPS2からのリリースとなっている。

 ゲームを起動すると、まず目につくのはやはりそのグラフィッククオリティの高さだろう。登場キャラクターの髪の毛1本1本の質感まで描き込まれた緻密なテクスチャや、背景の描写、吹雪や爆発の効果など、その表現力は筆舌に尽くしがたい。ステージには高低差ができ、窓や柵を突き破って下のステージに落ちていくシーンは圧巻。演出面でも十分に楽しませてくれる。オープニングやエンディング、ストーリーモードの中間デモなどには一切ムービーを使わず、リアルタイムポリゴンで構成されているので、もしも機会があれば店頭デモなどで動いている画面をご覧になってほしい。画面のクオリティに関しては、それだけで十分に納得していただけることと思う。


 さて、ゲーム自体に目を向けてみよう。操作系は十字キーと3ボタン。十字キーの方は前進、後退とジャンプ、しゃがみ。ボタンはパンチ、キックと、後述のフリーの3つだ。基本的には相手に近づいてパンチやキックのボタンを押せば攻撃という、シンプルな構成になっている。このとき、レバーとの組み合わせやボタンを押す順番で多彩な技を繰り出すことができるが、奇抜なレバー操作は多くないので、覚えてしまえば技を出すこと自体は難しくはないだろう。このゲームの場合、問題は第3のボタン、フリーの使い方が大きなポイントになる。このボタンは単体で防御に使用するほか、他のボタンやレバーと組み合わせることで投げや、画面に対して手前や奥への移動(フリーステップ)など多機能に使用できる。また、敵の攻撃を受け流したり、投げたりする“ホールド”にもこのボタンを使用するので、臨機応変な使い分けが求められる。冷静に操作しないと、防御するつもりがホールドになってしまい、相手の反撃を受けることも少なくない。このボタンをいかに使いこなせるようになるかが、上達へのカギになるといえるだろう。

 コンシューマ用「DEAD OR ALIVE」の楽しみの1つに、キャラクターのコスチュームの多さがあった。最初は2種類だけだがゲームをクリアするごとに新しい衣装が増え、キャラクターによっては10種類以上のコスチュームが選択できるようになり、これを揃えるのもプレイの楽しみのひとつになっていた。
 が、今回このPS2版では、現在個人的に確認した範囲で、多いキャラでも6種類、少ないと3種類にとどまっている。別の条件が必要なのかもしれないが、新コスチュームを登場させる条件も、前作に比べると厳しくなっていることも考えると、これはマイナス要因といえるだろう。全体的な難易度も確実に前作より高くなっているので、ある程度この種のゲームになれていないとコスチュームを増やしていくのは難しいのではないだろうか。このあたりには一考の余地があったのではないかと思うのだが。

 このゲームは基本的に1対1の戦いを続けていくタイプだけれど、最近流行の2対2のタッグを組むプレイモードも用意されている。マルチタップを使えば最大4人までのタッグプレイが可能なので、友人同士で協力/対戦プレイを楽しむことができる。片方のキャラが倒されても、パートナーの体力が残っていれば試合は続行されるので、逆転を狙うことも十分に可能。特定のキャラ同士によるタッグでのみ使用できる協力技などもあり、ゲームに花を添えている。もちろん、このモードを1人で遊ぶこともできるので、色々な組み合わせで多彩な技を極めていこう。全ての技のコマンドはマニュアルに記載されているし、練習用のモードも用意されているなど、家庭用ならではの要素も用意されている。ただ練習モードで前作にはあった、画面上にコマンドを表示することができなくなっているのは残念。

 前述のタッグモードや練習モードのほか、クリアまでの時間を競うタイムアタックや、勝ち抜き人数を競うサバイバルモードなど、おなじみのモードも搭載されている。難易度などもモードごとに設定することができるので、プレーヤーの好みに応じた楽しみ方ができるだろう。敷居が高くなっているため、残念ながら万人向きというわけにはいかないが、極めてクオリティの高い内容には仕上がっているので、このジャンルに興味のある方にはぜひ触れてみてほしいタイトルだ。


(C)TECMO,LTD.1996,1997,1998,1999,2000


● 鉄拳TAG TOURNAMENT

  • ジャンル:対戦格闘ゲーム
  • 発売元:株式会社ナムコ
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:プレイステーション2
  • 発売日:発売中


 「リッジレーサー」と並び、ナムコの看板タイトルとなった「鉄拳」シリーズ。こちらも、今回はタッグバトルがメインとなった。国内ではアーケードゲームを始め、早い時期からポリゴンを使用したゲームをリリースしてきたナムコの最新作が、この「鉄拳TAG TOURNAMENT」(以下「鉄拳TT」)というわけだ。オープニングやエンディングの一部ではムービーが使用されているが、これはPS2の能力を持ってしても表現は不可能だろうというクオリティのもの。ハードウェアの性能をよく把握し、可能なものはリアルタイムで、不可能なものはムービーで補うというスタンスは正しいと思う。

 操作系は、十字キーと5ボタン。十字キーで前進、後退とジャンプ、しゃがみ。また、防御は相手に対して後ろにキーを入れることで行なう。5つボタンのうち4つのボタンはそれぞれ左右の手足に対応していて、たとえば左右のパンチを順に押せばワンツーなど、ボタンを押す順序が重要なポイントとなる独自のスタイルをとっている。キャラクターもパンチ主体、キック主体などの特徴を持っていて、中には人間以外のキャラもいてバリエーションに富んでいる。この種の格闘ゲームの中では異彩を放っている感もあり、ファンにとってはその独自の世界観に惹かれるものが大きいようだ。

 「DOA2」とは逆に、こちらはタイトルの通りタッグバトルがメインになっている。試合中、どちらかのキャラが倒されると、そこでそのラウンドは負けになるので、ダメージが大きくなったらパートナーと交代する必要があるだろう。バックに控えているキャラは、ある程度のダメージは時間とともに回復するようになっているので、うまく交代していけば状況を逆転することも不可能ではない。こちらも、特定のキャラ同士がタッグを組んだときのみ使用できる技が存在するが、キャラの組み合わせやコマンドの詳細は明かされていない。数多くのキャラの組み合わせとコマンドを探すのは、一筋縄ではいかないと思うのだが……。各キャラの技は、マニュアルには一部しか記載されていない。ゲーム中ポーズをかけるとオンラインで全ての技リストを見ることができるが、これだけでは何となく不親切な気がする。このあたりは「DOA2」と好対照で、どちらがいいというものではないが、できればマニュアルとオンラインの両方で閲覧できるようにしてほしかった。

 ゲームは1ラウンドが2本先取で、合計8ラウンドを戦う。先述の体力回復などの要素もあり、1ラウンドには思ったよりも時間がかかる感じを受けた。実際には8ラウンドを戦っても10分弱程度なのだけれど、1回通してプレイするとそれなりに疲労感があるので、好みに応じて設定を変更し1本先取にしてもいいと思う。

 タイムアタックやサバイバルモードの搭載はもちろんだけれど、「鉄拳TT」にはオマケ的なモードがたくさんついている。前作にも“鉄拳ボール”というビーチバレーのようなルールのモードがあったが、今回のオマケモードも作りはかなり本格的。ナムコらしい遊び心のあるオマケということができるだろう。また、このほかにも様々なモードも用意されている。設定をイージーにしていてもゲームを進めることができるなど、ユーザーフレンドリーなシステムにも好感が持てた。ただ、ノーマル以上の難易度についてはかなり難しい感があり、難易度が固定されているタイムアタックやサバイバルモードでは初心者は苦労させられるだろう。特にタイムアタックは全ラウンドを勝ち進まなければ記録にならないので、ある程度の腕がないとプレイするだけムダということにもなりかねないので要注意。


(C)1994 1995 1996 1999 NAMCO LTD. ALL RIGHTS RESERVED


【総評】

 さて、それでは両者を比較してみよう。システム的に異なる部分もあるが、ゲームそのものの構成には近いものがあるので、以下のようなポイントに絞って比較してみたので参考にしていただきたい。

  DEAD OR ALIVE 2 鉄拳TAG TOURNAMENT
操作系 十字キー+3ボタン 十字キー+5ボタン
同時プレイ可能人数(※1) 4人 4人
アーケード(ストーリー) 1対1 タッグ
タイムアタック 1対1 タッグ
サバイバル 1対1 タッグ
タッグバトル タッグ
1 ON 1 1対1
チームバトル 1~5人 1~8人
登場キャラ数(判明している分) 12人 34人(初期20人)
ラウンド勝利条件(※2) 1本先取 2本先取
難易度設定 4段階(※3) 5段階
CPU体力ゲージ 6段階(※3)
VSハンディ 無段階(※4)
※1:マルチタップ使用時
※2:設定変更可能
※3:モードごとに設定可能
※4:体力を1%~150%まで1%きざみに変更可能

 また、ここからはあくまでも個人的な好みに基づいた評価になるが、難易度の面では「DOA2」、オマケ要素の豊富さでは「鉄拳TT」に軍配を上げたい。どちらも質の高いゲームなので、あとはキャラクターや操作性などと相談しながら、個人の好みで選んでいくしかないだろう。どちらも、以前紹介した「ストリートファイターEX3」に比べると難易度は高いが、コンティニューは無制限なので納得のいくまでプレイすることができるはずだ。パッドで複雑な技を出すのは難しいが、プレイステーション用のジョイスティックもそのまま使えるし、キー設定を変更してボタンの同時押しなどをフォローすればパッドでもある程度の技は使いこなせるようになるだろう。家庭用の3D格闘ゲームとしては、現在間違いなく最高峰に位置するこの2本。日本のアーケードゲームが培ってきたゲームの真骨頂を、ぜひ体験してほしい。

【筆者紹介】
  • 名前:山城 宏
  • プロフィール: 職業・もの書き。今回のレビュー用にプレイを重ねている中で、セーブデータが認識されなくなるトラブルに巻き込まれる。メモリカードを初期化することで回避したが、もちろんそこまでの蓄積は水の泡。おかげで普段の倍近いプレイを強いられ、原稿のアップが大幅に遅れ……というのが、今回の掲載遅延の言い訳。もちろん全部実話ではありますが。

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp