発売中 価格:139,980円~ デルの「Studio XPS 16」は、16型ワイド液晶搭載のAVノートPCだ。デルのコンシューマ向けノートPCブランドは、「Inspiron」シリーズ、「Studio」シリーズ、「XPS」シリーズの3つがあるが、今回登場したStudio XPSシリーズは、プレミアムブランドの「XPS」シリーズの流れを汲む製品であり、洗練されたデザインと充実したマルチメディア機能が魅力の製品だ。Studio XPSシリーズは、16型ワイド液晶を搭載したStudio XPS 16と13.3型ワイド液晶を搭載したStudio XPS 13の2モデルがあるが、まずは、サイズの大きなStudio XPS 16をレビューする。なお、今回試用したのは試作機であり、細部の仕上げやパフォーマンスなどは製品と異なる可能性があることに注意してほしい。 ●本革を採用するなど質感にこだわったボディ デルの最近のノートPCは、StudioシリーズやXPSシリーズ、Inspiron Miniシリーズなど、デザイン面での評価も高いが、Studio XPSシリーズのボディも、洗練されており美しい。ボディカラーはオブシディアン・ブラックと呼ばれる光沢のある黒のみで、カラーバリエーションは用意されていない。天板の一部に、アルミニウムシルバーと本革が使われており、高級感を演出している。本革はヒンジ部分に使われており、手で持ったときにもしっくり馴染む。また、左右のヒンジ部分やACアダプタのコネクタなどにLEDが内蔵されており、通電時に点灯するのも美しい。
●DDR3メモリを最大8GB搭載できるなど高いスペックを誇る Studio XPS 16は、BTOメニューが充実しており、CPUやメモリ、HDD、光学ドライブなどのスペックを自由にカスタマイズできる。今回の試用機は、CPUとしてBTOメニューの中で最上位のCore 2 Duo T9600(2.80GHz)を搭載し、メモリとしてDDR3メモリを4GB実装していた。CPUは、Core 2 Duo T9400やCore 2 Duo P8600、Core 2 Duo P8400に変更することも可能だ。 チップセットは、グラフィックス非統合のIntel PM45 Expressで、GPUとしてATI Mobility Radeon HD 3670を搭載する。Mobility Radeon HD 3670は、DirextX 10.1対応の高性能GPUであり、HD動画の再生支援機能も備えている。メモリスロットとして、DDR3対応SO-DIMMスロットを2基搭載しており、メモリは最大8GBまで搭載できる。もちろん、4GB以上のメモリを活かすには64bit版OSが必要になるが、OSも、Windows Vista Home Premium SP1 32bit版/64bit版、Windows Vista Ultimate SP 32bit版/64bit版から選べる。 HDD容量は、160GB/250GB/320GB/500GBから選択でき、回転数は160GBと500GBが5,400rpmで、250GBと320GBがより高速な7,200rpmとなっている。また、HDDの代わりに128GBのSSDを搭載できることも特徴だ。ソニーや東芝などのモバイルノートPCでは、SSDを選択できる製品も増えてきているが、いわゆるフルサイズノートPCで、最初からSSDを搭載できる製品はまだ珍しい。容量は少なくなり、価格も高くなるが、操作レスポンスを重視するのならSSDをお勧めする。試用機には、250GBのHDDが搭載されていた。 光学ドライブには、スロットインタイプのドライブが採用されており、DVDスーパーマルチドライブまたはBD-ROM/DVDコンボドライブの選択が可能だ。なお、BD-ROM/DVDコンボドライブは、Blu-ray Discは読み出しのみ対応で、書き込みはできない。
●アスペクト比16:9のフルHD対応液晶を選択可能 液晶は16型ワイドで、解像度1,366×768ドットのWXGA液晶と1,920×1,080ドットのフルHD液晶を選択できる。ともにアスペクト比は16:9で、映画のDVDタイトルやBDタイトルなど、アスペクト比16:9で記録されている映像を黒帯無しでフルスクリーン表示可能だ。WXGA液晶は、バックライトに白色LEDを採用しているが、フルHD液晶はバックライトにRGB LEDを採用しており、表示可能な色域がNTSC比100%に広がっている。試用機には、フルHD液晶が搭載されていたが、発色は鮮やかでコントラストも高く、表示品位は優秀であった。液晶表面と額縁部分が同じ光沢パネルで覆われており、液晶面がフラットになっているのもデザイン的に美しい。液晶上部には、200万画素のWebカメラが搭載されており、ビデオチャットなどはもちろん、顔認証によるログオンなども可能だ。Webカメラの左右には、アレイマイクが搭載されている。
●DisplayPortやeSATA端子を搭載するなどインターフェイスが充実 Studio XPS 16は、本体のサイズが大きいため、キーボードにも余裕がある。キーピッチは約19mmで、もちろん全てのキーピッチが均等である。キー配列も標準的だが、Enterキーが一番右端ではなく、その右側にPgUpキーやPgDnキーが配置されているのは、好みが分かれるところだろう。キーボードの両側にはステレオスピーカーが搭載されており、底面にはサブウーファーが搭載されているので、迫力のあるサウンドが楽しめる。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを採用。キーボードとタッチパッドの周囲、クリックボタンに白色LEDが内蔵されているので、点灯させることで暗い場所でも快適に利用できるようになる。 また、キーボード右上に、タッチ式のマルチメディアボタンを搭載していることも特徴だ。マルチメディアボタンで、CD/DVDの再生操作や音量調整などが可能なほか、無線LAN機能のON/OFFも行なえる。マルチメディアボタンにも白色LEDが搭載されており、美しく点灯する。 インターフェイスが充実していることも魅力だ。USB 2.0×3やIEEE 1394をはじめ、HDMIやDisplayPortにも対応する。HDMI対応ノートPCは少しずつ増えてきているが、DisplayPort対応ノートPCはまだ珍しい。DisplayPortは、次世代ディスプレイインターフェイスとして今後の普及が期待されているインターフェイスであり、いち早く対応してきたことは評価できる。さらに、USB 2.0ポートのうち1つは、eSATA端子と兼用になっているほか、PCの電源オフ時にも電源が供給されるPowerShare USBとなっている。また、ラインアウト(ヘッドホン)端子が2つ用意されているので、ヘッドホンを2つ繋いで、2人で一緒に音楽を聴いたり、DVD/BDなどを楽しむことが可能だ。 カードスロットとしては、ExpressCard/54スロットと8-in-1メディアカードリーダを搭載。8-in-1メディアカードリーダでは、メモリースティック、メモリースティックPRO、SDメモリーカード、SDHCメモリカード、SDIOカード、MMC、xD-Picture Cardの読み書きが行なえる。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/ドラフトn対応無線LAN機能のほか、BTOでBluetooth 2.0+EDRの追加が可能である。
バッテリは6セルの標準バッテリと9セルの大容量バッテリが用意されている。バッテリ駆動時間は未公表だが、本製品の重量は2.91kgであり、基本的にモバイル向けではないので、バッテリ駆動時間はそう重視する必要はないだろう。ACアダプタも新型になり、薄くて底面積が広い独特の形状になっている。
●ベンチマークの結果は非常に優秀 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark Vantage 1.0.0.0」と「PCMark05(Build 1.2.0)」、「3DMark06(Build 1.1.0)」、「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマーク」、「モンスターハンターフロンティアオンラインベンチマーク」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」だ。また、Windowsエクスペリエンスインデックスも計測した。比較対照用に、パナソニック「Let'snote F8」とソニー「VAIO type T VGN-TT90S」、レノボ「ThinkPad X61 Tablet」の結果もあわせて掲載している。 結果は下の表にまとめたとおりで、Studio XPS 16は、高速CPUと高性能GPUを搭載しているため、全てのテストにおいて優秀な結果を出している。特に3D描画性能は、統合型チップセット搭載ノートPCに比べて、5倍以上も高いスコアであり、最新の3Dゲームも十分プレイできるだろう。
●性能とデザインの両方を重視する人にお勧め Studio XPS 16は、美しいボディと高い性能が魅力のAVノートであり、3D描画性能も高いので、幅広い用途に対応できる。BTOによって、スペックの柔軟なカスタマイズが可能なこともウリだ。最小構成で139,980円という価格もリーズナブルであり、デスクトップPC代わりとして使う高性能なノートPCが欲しいが、デザインにもこだわりたいという人には、特にお勧めしたい。 □デルのホームページ (2009年2月23日) [Reported by 石井英男]
【PC Watchホームページ】
|