発売中 価格:52,800~64,800円 ASUSTeKのネットブック「Eee PC」シリーズの中で、日本向け初のHDD搭載モデルとして昨年10月末に発売された「Eee PC 1000H-X」に続き、「Eee PC 1002HA」が登場。またそれに合わせ、薄型ボディが特徴のEee PC S101にも、HDD搭載モデル「Eee PC S101H」が追加された。今回は、この最新2機種を紹介しよう。 ●Eee PC 1002HAでは薄型・軽量化を実現 ではまず、Eee PC 1002HA(以下1002HA)から見ていこう。Eee PC 1000H-Xは、初期Eee PCである「Eee PC 4G-X」や「Eee PC 901-X」のデザインを踏襲しつつ、液晶画面の大型化やHDDの搭載を実現したモデルであった。それに対し、1002HAは、1000H-Xと同じ2008年11月末に発売された「Eee PC S101」(以下S101)に近いデザインへと変更されている。例えば、従来モデルでは円柱形に近いバッテリ形状に合わせたヒンジ部付近の曲線的なデザインが特徴だったが、バッテリが底面搭載型へと変更され、直線的でシャープなデザインへと変更されている。 また、本体の厚さが、従来モデルの28.5~38mmから27.6~27.8mmへと、かなり薄型化されている。本体重量も約1.45kgから約1.25kg(実測値では1,241g)と200gほど軽量化されている。従来モデルは、10型ワイド液晶と160GB HDDを搭載する使いやすさが特徴だったが、本体が分厚くやや重かったこともあり、ネットブックとしての魅力が少々失われていたのも事実。しかし、1002HAでは薄型化と軽量化が実現されたことで、モバイルノートとしての魅力が大きく向上している。 また、本体カラーにメタルグレーおよびダークブルーと、落ち着いた色合いが採用されるとともに、ヘアライン仕上げが施されたことで、見た目のイメージも一新され、これまでのEee PCシリーズにはない高級感が感じられるようになった。個人的には、S101で採用されている光沢感が強くラメ入りの塗装よりも、1002HAのヘアライン仕上げの方が好印象で、今後はこちらを広く採用してもらいたいと感じる。 ●Eee PC S101Hは、HDD搭載の代わりに本体が厚くなった 次にEee PC S101H(以下S101H)だ。こちらは、10.2型液晶搭載かつ薄型ボディで人気の高いS101をベースに、160GB HDDを搭載したモデルだ。本体デザインは、天板の光沢感が強くラメ入りの塗装や、ヒンジ部にスワロフスキー製のクリスタルガラスが埋め込まれている点なども含め、S101がほぼそのまま踏襲されている。 しかし、HDDを搭載するために、本体底面部分の形状が変更されるとともに、本体の厚さが若干増えている。S101では厚さが18~25mmだったのが、S101Hでは25~27.5mmと、最大7mmほど厚くなっている。加えて、前方から後方にかけて均一に近い厚さとなっており、S101の非常に薄いというイメージがほぼなくなっている。構造的には、キーボードから下のボディ部分を、2.5インチHDDを収納できるよう厚くしたといった感じだ。それでも、Eee PC 4G-X系列のデザインのボディと比較すると十分薄い。 また、本体重量も増加している。これは、HDDを搭載していることを考えると仕方のない部分ではある。それでも、従来モデルの約1.06kgから約1.1kg(実測値では1,164g)と増加の幅は少ない。HDDを搭載しながら重量増が少ないという点には理由があるが、それは後ほど説明する。
●基本スペックに違いはほとんどない 1002HAおよびS101Hは、異なる系列のモデルのため、本体デザインは異なっているものの、スペック面にはほとんど差が見られない。 液晶は1002HAが10型、S101Hが10.2型と発表されているが、実際には全く同じ大きさだ。表示解像度はどちらも1,024×600ドット。側面や背面に用意されているポート類も同じ。また、基本スペックも、CPUがAtom N270、チップセットがIntel 945GSE Express+ICH7M、メインメモリが標準1GB、160GBのHDDと10GBのWebストレージ、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、OSがWindows XP Home Edition SP3と全く同じだ。 さらに、キーボードおよびポインティングデバイスも全く同じものだ。キーボードは、双方ともS101に搭載されていたものと同じで、キーピッチが約17.5mmとゆったりしており、非常に扱いやすい。また、ポインティングデバイスも面積が広く、スムーズなカーソル操作が可能だ。 唯一異なる点は、液晶上部に取り付けられているWebカメラの解像度(1002HAが130万画素、S101Hが30万画素)ぐらいで、基本的にスペックに違いは無いと考えていい。
●底面の構造や内部の基板も全く同じ 次に底面の構造だ。こちらもスペック面同様、双方とも全く同じとなっている。前方左側にリチウムポリマーバッテリが取り付けられ、その右には2.5インチHDDが搭載されている。また、バッテリ上部にはメインメモリ用のSO-DIMMスロットにアクセスするフタが用意されている。底面を見ただけでは、どっちがどっちだかわからない。それもそのはずで、底面はボディを含めて双方全く同じパーツが利用されているのだ。 S101では本体底面前方に、両端まで届くほどの大型リチウムポリマーバッテリが搭載されていたが、1002HAおよびS101Hでは、HDDの搭載に伴って、やや幅の狭いリチウムポリマーバッテリが採用されている。S101Hが、HDDを搭載しながら大きな重量増になっていないのはこのためだ。なお、バッテリ容量は従来の4,900mAhから4,100mAhへとそれほど大きな減少とはなっていないが、HDDを搭載しているために駆動時間はS101の約6時間から約4時間へと大きく短縮している。 ちなみに1002HAのバッテリ駆動時間は約4.1時間となっている。スペック面がほとんど同じなので、差がない。 バッテリスロットの右のフタを外すと、内蔵されている2.5インチHDDに簡単にアクセスできる。搭載されているHDDは、厚さ9.5mmの2.5インチHDDで、接続インターフェイスはSATAだ。HDDはラバークッションで覆われており、ある程度の耐衝撃性が確保されている。これだけ簡単にHDDにアクセスできるなら、換装も容易だ。
基本スペックや本体の構造などにほとんど違いのない両機種だが、内蔵されている基板も全く同じものであった。この基板は、S101の基板からSSD用のMini PCI Expressコネクタを省き、HDD接続用ケーブルを接続するコネクタを取り付けたもの。同じパーツを多用するのは、コストダウンを実現するためだろう。とはいえ、ここまで同じだと、わざわざ機種を分ける意味があるのか、少々疑問に思えてくる。
●軽量さで選ぶならS101H、デザインで選ぶなら1002HA では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類。比較用として、Eee PC S101およびEee PC 901-Xの結果も加えてある。 結果を見ると一目瞭然だが、ディスクまわりの結果以外は、完全に横並びとなっている。各機種の基本スペックの違いが、HDDを搭載するかSSDを搭載するかだけなので、それも当然の結果だろう。ちなみに、HDDとSSDの違いは、さすがに読み出し速度ではSSDが勝っているが、その差はそれほど大きなものではなく、逆に書き込み速度ではHDDが勝っており、実際に使う上では、HDDの方が快適に利用できる場面が多そうだ。もちろん、容量面でもかなりの余裕があり、残り容量を気にせず気楽に使えるという意味でも、HDDの搭載は嬉しい。
ただし、HDDの搭載によってバッテリ駆動時間は当然短くなる。ただ、従来より行なっているのと同じように、液晶輝度を最大に設定し、無線LANおよびBluetoothも動作させた状態で、動画ファイル(WMV9/ビットレート1,156kbps/640×480ドット)をWindows Media Player 11で連続再生させてバッテリ駆動時間を計測してみたところ、S101H、1002HAとも約2時間であった。S101の2時間40分弱からは短くなっているが、HDDを搭載し、さらにバッテリ容量も減っていることを考えると、がんばっているという印象が強い。液晶輝度を落とし、無線機能を切ったり省電力機能を有効にすれば、3時間は余裕で持つと思われるため、HDDを搭載したとはいえ、満足できるバッテリ駆動時間が確保されていると考えていいだろう。
今回、1002HAとS101Hの2機種を取り上げたが、見た目のデザインが異なってはいるものの、仕様面は全くといっていいほど同じで、先述したように、モデルを分けて展開する意味もあまりないと感じるほどだ。ただ、価格は1002HAの52,800円に対し、S101Hは64,800円とかなりの開きがある。S101Hは、S101の高級路線を引き継いでいることもあって、この値付けになっているのだろう。ほとんど同じ仕様で12,000円の価格差があるとなると、S101Hよりも1002HAの方が魅力が大きいのは間違いない。 あえて差をあげるとすると、本体重量だろう。S101Hのほうが1002HAよりも80gほど軽い。そのため、軽さを追求したいならS101Hだろう。とはいえ、80gの違いはほぼ無視できる範囲とも言える。 趣味もあるため一概には決められないが、デザイン的にもシンプルな1002HAの方が好印象。個人的には、安価に購入できる1002HAを断然お勧めしたい。 □関連記事 (2009年2月13日) [Reported by 平澤寿康]
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