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■西川和久の不定期コラム■
Eee PC 1000H-X速攻レビュー
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昨今、ネットブック真っ盛りだ。様子見していた国内メーカーからも続々と発表され、今年一大ブームとなっている。そんな中、ネットブックの火付け役でもあるASUSから10月25日にEee PC 1000H-Xが発売された。10.2型の液晶パネルやHDD搭載など、同社としてはこれまで国内モデルには無かった仕様の製品となる。
筆者は、すでにEee PC 901-Xを持っているだけに、その違いなど興味津々。さっそく比較も含めた速攻レビューをお届けする。
Text by Kazuhisa Nishikawa
●ご対面!
パッケージは後述するEee PC 901-X用の高さだけ変わったもので、デザインなどは全て同じ。付属品もサイズが違うものもあると言う以外は同じ構成だ。ただ重量が増えている分、持った時に少しズッシリした感じとなる。届いたのはご覧のようにファインエボニー・モデル。色はこの他にパールホワイトもある。箱を開けると上に本体、下に付属品が入る梱包となっている。
キーピッチは17mm。これなら普通にタイピングできる。キータッチも安っぽい感じはしない。筆者としては合格点だ
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右側、奥から電源入力、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0×2、SDカードスロット
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左側、奥からロックポート、Ethernet、USB 2.0、マイクジャック、ヘッドホンジャック
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付属品は、ソフトケース、ACアダプタ、電源ケーブル、バッテリ、マウス、サポートDVD、マニュアルなど
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7.4v 6,600mAhのバッテリ。6セルだ。バッテリ駆動は6.9時間
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HDDやメモリへのアクセスは非常に簡単。ネジを2本外すだけ。HDDはSeagate Momentus 5400.4 (2.5inch, SATA, 5400rpm)が使われていた
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その他、手前の裏にステレオスピーカ、液晶パネルの上中央に内蔵カメラ、液晶パネルの下にマイク、4つのインスタントキー(うち2つはユーザー定義可能)、ステータスインジケータは、電源/バッテリ/HDDアクセス/無線LANなどを配置している。液晶パネルはマットで映り込みは少なく見易い。ボディに関しては、さすがに高級感は無いが、チープな感じも無くしっかりした作りだ。ただこの色は指紋が気になるかも知れない。
●Eee PC 1000H-Xの特徴
Eee PC 1000H-Xは、ある意味「特徴が無いのが特徴」となる。ご存知のように、ネットブックはいろいろな制約があり、各社とも違いを出すのが難しくなっている。この1000H-Xは、その制約の最大部分で構成したもので、ここまでくるとネットブックと言うよりAtomプロセッサを搭載した安価な普通のノートPCと表現した方が正しいかも知れない。ネットや音楽、写真、動画の再生など、一般的な趣味の範囲、もしくはOffice的なアプリケーションを中心に使うのであれば(個人差はあるだろうが)ストレス無く使うことができ、容量的な問題も無い。概要は下記の通りだ。
- OS: Windows XP Home Edition SP3
- CPU: AtomプロセッサN270(1.6GHz)
- メモリ:1GB(最大2GB)
- HDD: 160GB(2.5インチ/SATA/5,400rpm)*
- 液晶パネル: 10.2型*ワイドTFT(WSVGA/1,024×600ドット)
- キーボード: 86キー日本語キーボード、キーピッチ17mm*
- チップセット: Intel 945GSE/ICH7M
- ビデオ: チップセット内蔵グラフィックス(最大2,048×1,536ドット)
- USB 2.0×3、ミニD-Sub15ピン、マイク入力、ヘッドホン出力、SD(SDHC)カードスロット
- Ethernet、IEEE 802.11b/g/n(ドラフト準拠)、Bluetooth 2.0+EDR
- 130万画素Webカメラ
- サイズ/重量: 266mm×191.2mm×28.5mm/1.45kg*
- バッテリ駆動時間:約6.9時間(JEITA)
- 購入価格: 59,800円(ヨドバシカメラ)
*従来モデルと違う点
最近、量販店ではネットブックのコーナーがあり、多くのマシンが並んでいるものの、ほぼ全て液晶が8.9型のモデル。この1000H-Xの出荷により、8.9型 vs 10.2型で実際触って確かめることができる。ユーザーにとっては良い状況になりそうだ。
●Eee PC 901-Xとの比較
今回の1000H-XとEee PC 901-Xの大きな違いは、8.9型の液晶パネル、キーピッチ15.5mm、ディスクが4GB+8GBのSSD、この3点と、これらの違いからサイズ(225×175.5×22.7mm(幅×奥行き×高さ))、重量(1.1kg)、バッテリ駆動時間(8.3時間)が異なる。
まず、4GB+8GBのディスク構成はかなり厄介。ちょっとアプリケーションをインストールするとあっという間に4GBがパンパンになる。不要なファイルを消したり、本来Cドライブにしか置けないファイルをシンボリックリンクを使ってDドライブへ逃がしたり……いろいろ細工してやっと何とかなっている。またSSDは読込は速いのだが書込みが遅く、その関係(キャッシュなどの書込み)でブラウザの表示がモッサリする。メインメモリの一部をRAMディスクに割当て、キャッシュなどをRAMディスクへ振り、高速化を図るなどの工夫も必要だ。いずれにしてもPC初心者にはお勧めできない環境だ。
キーボードは打てなくはないものの、やはり普段の速度は出ない。1000H-Xの方が圧倒的に打ちやすい。8.9型と10.2型で同じ解像度の液晶は、これは正直、筆者の年代になって来ると後者の方が見やすい。10.2型なら1つ上の解像度(1,280×800ドット)を望む声も多いが、これについてはどちらでも良いだろう。
参考までに、同じAtom N270を搭載したマシン、3台のHDBenchの結果を掲載した。HDD/SSDの差はともかく、同じチップセットでもメモリやディスプレイの差が出ている。ただ体感的にはIntel D945GCLFを使ったPCが最も速く感じる。
液晶パネルとキーピッチの違いからご覧のようにそれなりにサイズが違う。普通のノートPCとミニノートPCといった感じだ
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まだEee PC 901-Xの元箱(上)が残っていたのでサイズ比較。幅と奥行きは同じなのだが、高さが違う。どちらにしても持って帰るのには問題ないサイズだ
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バッテリは1000H-X(黒)も901-X(白)も全く同じ仕様だ。8.3時間という駆動時間の違いは単に消費電力の差となる
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Eee PC 1000H-XのHDBench結果
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Eee PC 901-XのHDBench結果
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Intel D945GCLFを使ったPCのHDBench結果
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●使い勝手など
はじめてマシンを起動すると、いつものWindows XPの設定ウィザードがはじまる。起動直後のメモリ使用量は約200MB。縦が600ドットと少ないこともあり、タイトルバーの高さを低くしたり、内蔵グラフィックスがあまり速くないので、いろいろなアニメーションを停止さえすれば、結構快適に使える。またブラウザを使う時は全画面表示モードにして、出来るだけ行数を稼ぎたい。Bluetoothを使わないならOFFにした方がバッテリの持ちは良くなる、メモリが1GBもあるので仮想記憶はOFF……など、多少使いこなしのテクニックはあるのだが、これは一般的なノートPCにも当てはまることだ。
液晶ディスプレイは標準だと色温度が高め。画面のプロパティに、Intel Graphics Media Accelerator Driver for mobileのパネルがあるので、色補正を行なった方がいいだろう。暫定で赤の明るさを+10、緑の明るさを-10、青の明るさを-25とした。
バッテリに関しては、まだ使い出してから数時間なので、実際のところはわからない。ただ901-Xでは、ほぼカタログスペック通りに使えたので、この1000H-Xも6時間強は使えるのではないだろうか。なお、休止状態は標準ではOFFとなっている。
内蔵グラフィックスへメインメモリを割り当てるので若干メモリは減っているが、それでも普通に使うのなら十分な容量だ
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AtomプロセッサはハイパースレッディングやEMT64がONになっている。用途を考えると必要無いような気もするが、変わったCPUだ
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現時点では、MicrosoftとIntelからネットブック/ネットトップにはいろいろな制限がかけられている。裏を返せば、制限を外すともっと使えるPCになってしまうということだろう
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最大指を3本まで使うジェスチャーに対応している。ボタンが固めなのだが、このドライバのおかげでほとんど使わずに済む
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130万画素の内蔵Webカメラ。Skypeなどで使える
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ASUS Update。外部メディアなどを使わずにBIOSのアップデートが行なえる
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160GBを2つのドライブに分割してある |
無線LANやBluetoothに関してはWindows XPのモジュールがそのまま使われている。全体的には標準的な構成だ。また、「StarSuite 8」がバンドルされているものの、すでに「OpenOffice 3」が公開されているで後者を使った方がいいだろう。筆者的にはこれは不要なのではと思っている。
160GBのHDDは、Cドライブ80GB、Dドライブ68.9GBに分割されている(画面キャプチャ左)。もし筆者が設定するなら、Dドライブは100GB、Cドライブは残りを割り当て、更にMy DocumentsをDドライブに移動して初期設定とする。余談になるが、ノートPCの調子が悪いから見て欲しいと、友人が持ってきたところ、Cドライブは残り数GB、D:ドライブは全く未使用で40GBも空き。聞くとDドライブなどあったことすら知らなかったという。写真や音楽データは全てMy Documents=Cドライブの該当箇所へ入っていた。PCが一般化することによって、このような話は十分考えられる。特にネットブック/ネットトップなどが狙っているユーザー層だと、こういった配慮も必要ではないだろうか。
Eee PC 901-X(カスタマイズして遊ぶ楽しみはあるものの)とは違い、Eee PC 1000H-Xは、普通に使えるノートPCで価格も手頃。万人にお勧めできる。もちろん上級者なら、160GBも容量があれば、いろいろなOS(EMT64/ONなので64bit OSもOK)をインストールして楽しんだり、標準的なSATAインターフェースの2.5inch HDDが付いているためSSD化も簡単だ。
●総論
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筆者の場合、決め手はキーボードか!? |
海外ではかなり早いタイミングで1000Hの情報は流れていたこともあり、実のところ筆者はEee PC 901-Xではなく、このEee PC 1000H-Xが欲しかったのだ。ただ、出荷の順番が逆になってしまい、我慢できずに7月の発売日に901-Xをゲットしてしまったと言う経緯がある。
そして改めて比較したところ、やはりキーボードの差が大きい。これならストレス無く原稿も書ける。今後もいろいろなネットブックが出てくるが、購入するならキーピッチは17mmのものを狙いたいと思う。ネットブック選びには、モバイル性や重量、価格などいろいろな要素があるが、筆者の場合、液晶とキーボードが選択の基準になりそうだ。
□関連記事
【10月21日】ASUSTeK、6.9時間駆動の10型ネットブック「Eee PC 1000H-X」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/1021/asustek.htm
ネットブック/UMPCリンク集(ASUSTeK)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/umpc.htm#asus
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(2008年10月27日)
[Reported by 西川和久]
PC Watch編集部
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