12月8日にソフトバンクから東芝のスマートフォン「X01T」が発売された。これは、国産機種ではじめてWindows Mobile 6(WM6) Professional Editionを搭載した携帯端末だ。X01Tは、海外では「G900」として発売されている。 WM6は、すでにウィルコムの「Advanced/W-Zero3[es]」に搭載されているが、それはClassic Editionである。Professinal Editionが対応可能なのは、GSMやW-CDMAなどの3G携帯電話方式のみで、PHSには対応していないため、シャープが電話機能などを実装している。しかし、X01Tは、電話アプリケーションなどもWindows Mobileに含まれるものが搭載されている。 東芝は、以前Windows CE搭載のPDA「Genio」シリーズを発売していたが、後継製品がなく実質的な撤退状態だった。X01Tは、携帯電話ブランドながらWindows Mobile市場へ再参入という形になる。 今回はファーストインプレッションとし、後日詳細なレポートをお届けする(残念ながら、携帯電話なので分解はなしである)。 ソフトバンクモバイルのサイトに発売予告が出たので、事前に予約という形で申し込んでおいた。購入先はソフトバンクモバイルのオンラインショップだ。機種変更だが、2年以上、ソフトバンクから携帯電話を購入していない(ノキアジャパンのE61を使っていたため)ので、割引率は高かったが、それでも価格は54,600円だった。 筆者は11月末に予約を行ない、12月6日に在庫確保のメールが届いた。いろいろあって少し迷ったが、ついつい本申込みを行なってしまった。購入時に指定した通り、12月8日午前中には、X01Tが到着した。都内の量販店で購入する場合と違いポイントなどが使えないものの、並んだり何回も店に行くような手間はなく、手続きはスムーズだった。ただし、ソフトバンクのオンラインショップは代金引換のみなので、あらかじめ代金を手元に用意しておく必要がある。
●パッケージ/同梱物 箱は、白地にグレーでソフトバンクモバイルのロゴ(横の2本線)が大きく入り、文字が黒で、地味だが、品は悪くない。マニュアルやCD-ROMも同じデザインで、統一性はある。 箱に同梱されているのは、ACアダプタ、USBケーブル、CD-ROM、取扱説明書(1冊)、バッテリ、イヤフォンマイクケーブル、ステレオヘッドフォンなどである。
ACアダプタは先がUSBのミニB端子となっている。X01T自体は、USB端子を使って充電を行なう。このため、X01TはPCなどからのUSB充電も可能だ。また、ACアダプタは、AC側が折りたためるようになっている。 イヤフォンマイクは、ステレオヘッドフォン端子が出ており、その先に付属のステレオヘッドフォン以外も接続できる。筆者は、こういうタイプのヘッドフォンは耳が痛くなるので使わないので、手持ちのものを接続できるのはありがたい。なお、X01T側は、平形端子ではなく、4極の丸いフォンジャック(細い2.5mm径のタイプ)を使っている。 付属のCD-ROMには、シンクロソフトに「ActiveSync Ver.4.5」とVista専用の「Windows Mobile Device Center 6.1」、辞書ソフト(X01T用)と、東芝オリジナルソフトなどが収録されている。オリジナルソフトはX01TをPCの認証デバイスとする「Goldkey」と、X01T側からPCを操作する「Telport」の2つ。CDに収録されているのはPC側のソフトウェアだ。X01Tで使う辞書ソフトがCDに入っているのは、本体フラッシュメモリには、辞書ファイルが入らないからである。X01Tで初期段階でユーザーが利用可能な30MB程度しかない。このため、辞書はminiSDカードに保存する必要がある。 CD内には、オンラインマニュアルは存在しないが、ソフトバンクモバイルのユーザーなら、「My SoftBankページ」に登録すれば、ログイン後ダウンロードが可能だ。内容は、主要な機能を簡単に表記した携帯電話スタイルのマニュアルで、マイクロソフトがOEM向けに作成したWM6用のマニュアルとは異なっている。 ●スライド式キーボード+3型WVGA液晶 X01Tは、3型のWVGA液晶(800×480ドット)を搭載し、スライド機構によりフルキーボードを内蔵している。構造としては、シャープの「W-ZERO3」やHTCニッポンの「X01HT」(ソフトバンク)、「HTCz」(NTTドコモ)などと同じである。特に「Hermes」をベースにしたX01HT、HTCzとは形状がよく似ているが、純粋な東芝製だという。外観上の大きな違いは、液晶解像度とキーボードだ。HTCのHermesは、液晶解像度がQVGA(320×240)に対して、X01TはWVGAになっている。 また、Hermesでは、フルキーボードの上部にソフトキーが配置されていたため、キーボード上下方向が狭く、またソフトキーも液晶の端に指がかかって押しにくかった。しかし、X01Tではソフトキーがフルキーの左右に配置され、キーボードの縦方向のピッチが増え、また、ソフトキーも押しやすくなった。キートップは丸くカーブを描いており、指先の感触でキーを探すことも可能で、少し慣れるとタッチタイピングに近い操作ができそうだ(もっとも、筆者は土曜日に入手したばかりなのでまだ慣れてないが)。 X01Tのほうがわずかに縦が長い関係もあって、キーはHermesよりも1列多い。しかし、キーピッチはほとんと変わらない。日本語入力時によく使うマイナスやコントロールキーも独立したものがあり、入力時にストレスはそれほど感じない。 筆者が購入したのは黒で、素材はプラスティックなどのようだが、全体塗装はつや消しで高級感がある。また、スライド機構もしっかりしており、がたつきもない。 電源スイッチは本体上部にあり、ナビーションキーの配置などからして、通常は縦位置、キーボード使用時は横位置で使うことが想定されている。ただ、画面の表示方向を変えるボタンはない。画面切り替えを自分で行ないたい場合は、ボタン割り当てを設定する必要があるだろう。 液晶はWVGAだが、長辺が横になる方向が通常の状態(メモリの配置と表示が一致していて上から下へ描画)で、縦表示の場合は書き換えが左から右に行なわれていく。 本体背面には、197万画素のカメラがある。マクロ機能やQRコード認識機能はないようだが、LEDライトが装備されていてかなり明るい。また、本体正面には、TVコール(テレビ電話)用の32万画素のサブカメラが配置されている。
●スペック
X01Tは、CPUにMarvell PXA270 520MHzを採用した。メモリはRAM 128MB、ROM(フラッシュ)128MBを搭載。フラッシュメモリは32MB空きがあり、ここにユーザーデータやプログラムを保存できる。miniSDカードスロットを備えているので、追加アプリケーションなどはminiSDカードにインストールすればよいだろう。だが、動作しないアプリケーションやminiSDカードの抜き差しが発生する場合もあるので、できればアプリケーションはminiカードではなく本体に入れたいところだ。しかも、予定表などのデータはminiSDカードへ移動できないので、本体側の空き容量が32MBというのはちょっと少ない。 このほか、IEEE 802.11b/g無線LAN、Bluetooth Ver.2.0+EDRを搭載しており、また、IrMC 1.2のIrDAも装備している。 電話機能は、W-CDMA(EU圏ではUMTS:Universal Mobile Telecommunications Systemという)とGSMに対応。GSMはトライバンドで、米国の1,900MHz帯に対応している。待ち受け時間は、最大380時間(W-CDMA時)で、約15日相当だ。普通の携帯電話と比べて特に短いわけではない。なお、USIMカードを入れなくともX01Tの操作は可能だったが、miniSDカードは認識されなかった。
【表】スペック
●悪くはなさそうだが とりあえずざっとさわった感じだが、液晶が3型のWVGAのため、Advanced/W-ZERO3[es]と同じく画面が少し小さいように思える。設定で標準テキストサイズなどは変更可能だが、同じ解像度で4型クラスの液晶を使うイー・モバイルの「EM・ONEα」やNokiaの「N800」と比較すると、たとえば地図画像などのビットマップになった文字が読みにくい感じがある。しかし、液晶サイズは、そのまま本体サイズに影響するため、たとえばEM・ONEαのように大きな液晶は、ポケットに入れるなどして常に持ち歩く携帯電話としてはどうかという感じもある。このあたりも含めて、後日詳細なレポートをお届けしたい。
□東芝のホームページ (2007年12月10日) [Text by Shinji Shioda]
【PC Watchホームページ】
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