Advancedは、W-OAM対応のWillcom SIMが標準となり、すでにウィルコムとの契約がある場合には、機種変更となる。このため筆者も機種変更を行なった。 一般に、機種変更は、ウィルコムの登録センターへの手続きが必要で、これに1時間程度がかかる。前回のW-ZERO3のとき、販売初日にセンターの処理が過負荷となり、店頭では、2~3時間待たさるような状況となった。 今回は、新規販売については、予約しておくと、事前に手続きが終了しており、店頭ですぐに受け取れるような状態になっていて、センター手続きで待たされるのは筆者のような機種変更ユーザーのみとなっていたので、販売は前回に比べるとスムーズになっていた。 予約時に、センターは11時から処理を開始するので11時以降に来て欲しいとのことで、11時少し前に行ったが、待ち時間は1時間で済んだ。まあ、最初のW-ZERO3の販売では、Webサーバーがダウン、前回は、センターが過負荷といった感じで、人気商品ゆえのトラブルが販売初日にあっただけに、今回は、きちんと準備されたという感じだ。
●シルバーになった筐体 今回の製品では、カラーバリエーションはなく、銀色(プラチナシルバー)のみ。以前にウィルコムに聞いた話では、黒は男性用で、女性向けには白を用意したとのことだったが、今回の色は、男女兼用ということらしい。esと同じく、テンキーを持つ縦長の筐体だが、液晶部分が大きくなっていて、正面のテンキー部分はキーが2つ減っている。減ったのは、左右のソフトキーで、従来は、一番外側にあった。このキーはあると便利なのだが、画面上のタップでも代用は可能だし、設定で一番上にあるWindowsキーとOKキーをソフトキーとして使うことができる。 このとき、WindowsキーとOKキーは長押しになるが、長押しタイミングを3段階で変更できるので、ソフトキーにしてもそれほど使い勝手は悪くなかった。
従来のesとの違いとしては、メモリカードスロットがminiSD対応からmicroSD対応になったこと、スタイラスホルダがなくなったことなどがある。esでは、本体上部にスタイラスを格納するところがあったが、今回のAdvancedはスタイラスを内蔵できない。その代わり、小さなスタイラスが付いており、これを本体に取り付けたストラップなどに付けて持ち運ぶ。 しかし、筆者の場合、これまで使っていた大半のPDAやスマートフォンがスタイラスを内蔵していたため、無意識に手がスタイラスを取り出そうとしてしまう。デザイン上しかたがなかったのかもしれないが、ちょっと残念なところだ。 色やデザインは上品な感じだし、スライド機構も含めて筐体は、以前のesよりも曲線を多用していて少し洗練された感じがする。また、W-SIMやmicroSDスロットなどのフタ類も本体ときれいに一体化していてぴったりと閉じる。 持った感じは、esよりもしっくりとくる感じがある。esは手に持つと、少し大きすぎる印象があったが、今回のAdvancedはそういう感じはしない。
●パッケージ内容
・マニュアル2冊 マニュアルは、購入直後に読む簡単なものと、内蔵ソフトウェアまでを解説した詳細なものの2冊。ACアダプタは、今回Advancedの電源コネクタが変更になったために専用のものとなった。esに付属していたものとほとんど同じ大きさだが、若干厚みが増えた。プラグ部分は同じように折りたたみ可能なもの。 付属CDには、Activesync(Ver.4.5.0)やWindows Vista用のWindows Mobile デバイスセンター(Ver.6.1)、マニュアルPDFファイル(本体付属の印刷版とは少し構成などが違う)などのほか、Outlook 2007の体験版が含まれている。 esまでは、伸縮性のある布製のケースが付属していたが、今回の製品にはケースが付属しない。本体にキズをつけたくなければ、市販のケースなどを用意する必要がある。今までのところサードパーティからのアナウンスは少ないが、いずれ多数出てくるだろう。
【お詫びと訂正】初出時に、サードパーティからのケース製品のアナウンスはないとしておりましたが、発表済みのものがあることが判明しましたので、表記を改めました。ご教示いただいた読者の方に感謝するとともに、お詫びして訂正させていただきます。 ●Windows Mobile 6.0 Classicを搭載 従来のesとの大きな違いは、Windows Mobile 6.0 Classicが搭載されていることだ。従来のW-ZERO3シリーズと同じく、マイクロソフトの提供する電話機能などがウィルコムのPHSで利用できず、独自に電話機能などを追加したため、エディションとしては、従来のPocket PCに相当するClassicとなっているようだが、基本的な機能としては、スマートフォン用のProfessionalと同じである。 これまでのWindows Mobileは、日本でPDA市場が縮小傾向にあったため、一部の内蔵ソフトウェアが省略されていた。しかし、今回のWindows Mobile 6では、メッセンジャー機能やリモートデスクトップクライアントなどがちゃんと付属している。そのほか独自ソフトとして、次のものが搭載されている。
・DicLand(電子辞書) とくに、辞書が付いたのは評価できる点だ。実際、スマートフォンを持ち歩くと、それとは別に電子辞書などを持ち歩くのは少し面倒である。ちょっとした英単語など、その場で調べることができるのは便利に感じる。
●進化したハードウェア Advancedは、esよりも小型になったが、スペック的には向上している。CPUは、esと同じくPXA270だが、クロック周波数は520MHzとesの416MHzに比べて100MHz近く上がった。フラッシュメモリは256MB、RAMも128MBに拡大された。また、内蔵バッテリも変更されている。サイズはほとんど同じだが、端子位置などが違い、容量は40mAh増えて1,540mAhとなっている。ただし、カタログスペック上は、esもAdvancedも待ち受け時間や充電時間などは変わらない。 液晶が800×480ドットで、Webサイトの表示などで、レイアウトを変更しなくても、横スクロールなく閲覧ができる。また、ソフトキーボードを出しても表示に余裕があり、以前のように狭いところで作業する必要がない。心持ち、esよりは発色がいいような気がするが、これは買ったばかりの新品だからかもしれない。
ハードウェア上の改良点として、今回から無線LANが内蔵された。従来もminiSDカードスロットを使うことで無線LANを使うことができたが、本体だけではファイル容量も足らず、miniSDカードスロットが使えなくなるのは、非常に悩ましいところだった。 筆者もこの点がネックになって、esは常用マシンから外さざるを得なかった。海外に行くと、まったく通信手段のないPDAになってしまうからだ。Advancedでようやくこの点は解決されたが、できればBluetoothが欲しいところだ。 今回、W-ZERO3シリーズとしては初めて、IrDAなどに対応した赤外線通信機能が付いた。IrDAと画像転送用のIrSSによる画像転送に対応している。 しかし、この機能がいまさら必要なのかという気がする。すでにノートPCなどではレガシーデバイスという感じだし、シャープのZaurusシリーズからの移行用とか、Bluetoothの代わり(名刺交換)ぐらいしか使い道が思いつかない。 細かいところだが、画面の縦横を切り替えるボタンも窪みの奥に配置されて間違って押さないように配慮されている。 ちょっと気になったのは、本体正面の円形のXcrawlと呼ばれるジョグ機能だ。スクロールさせているときに、ちょっとカクカクとした動きになったり、反応が遅れたりすることがある。CPUパワーの問題なのか、ジョグ機能の問題なのかははっきりしないが、もう少しスムーズな動きをして欲しいところだ。こうしたスクロール機構はもはや必須であり、スムーズでないと、ちょっとストレスを感じてしまう。 ファーストインプレッションとしては、Advanced/W-ZERO3[es]は、着実に進化しているという印象を受けた。次回は、内部構造も含めたレポートをお届けする。
□関連記事 (2007年7月20日) [Text by 塩田紳二]
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