●最新週で50%を突破した15.4型ワイド BCNランキングの調査データから興味深い結果が出た。 9月25日~10月1日の最新週の集計において、ノートPC全体における15.4型ワイド液晶の販売比率が、52.1%に達し、初めて過半数を突破したのだ。 同様に、14.1型や12.1型などのワイド液晶モデルも注目を集めており、国内ノートPC市場は、ワイド液晶が主役という時代にいよいよ突入してきた。 BCNによると、2006年9月の15型帯に限定したノートPCにおけるワイド液晶(15.4型)の比率は63.1%。2006年2月から40%台で推移し、8月には42.9%だったものが、一気に過半数を突破した格好だ。 ノートPC全体における15.4型ワイドの比率も7月には29.2%、8月には31.0%だったものが、9月には45.7%と一気に拡大している。これに対して、15型の標準液晶搭載モデルは、8月の41.2%から、9月には26.7%に縮小しているのだ。 15.4型ワイドの販売拡大の動きは、週次データで見ると、さらに明らかだ。 ノートPC全体に占める15.4型ワイド液晶搭載モデルの比率は、7月には毎週20%台後半で推移していたものが、8月7日~8月13日の集計で30%台に突入。9月4日~10日の集計では42.0%と40%を突破。9月11~17日には45.2%、9月18~24日には49.2%に到達し、最新週では52.1%と過半数を突破した。この勢いを維持すれば、10月単月でも15.4型ワイドが、過半数になる可能性が強い。 ●秋冬モデルでラインアップが揃う これまで、ワイド液晶ノートPCの分野では、東芝、ソニーが圧倒的な強みを見せていた。 「北米市場では、すでにワイド液晶搭載のノートPCが標準となっており、4:3のノートPCはまったくといっていいほど売れない。北米で実績を持つメーカーが、日本国内向けでもワイド液晶で先行する形になった」(ソニー)という。 実際、夏までは、東芝の「dynabook AX」や「dynabook TX/860」、あるいは、ソニーの「VAIO type F」といった製品が15.4型ワイド市場を牽引してきた。
だが、8月から各社が発表した秋冬モデルでは、NECがワイド液晶を搭載した製品のラインアップを強化したほか、富士通も初めて15.4型ワイド液晶搭載モデルを市場に投入するなど、主要各社がワイド液晶モデルのラインアップを強化してきた。 「年末商戦向けの新製品のなかでは、新たにラインアップした15.4型ワイド液晶搭載の「FMV-BIBLO NF」シリーズを目玉商品に位置付ける。ヴィーナスホワイト(白)という男性にも、女性にも親しみやすいカラーを採用することで、当社が投入した秋冬モデルのなかでは、最も販売量が多くなると予想している」(富士通)と語る。 NECも、秋冬モデルで15.4型ワイド液晶搭載モデルのラインアップを、「LaVie Lアドバンストタイプ」にまで拡張。人気の「LaVie C」ともども、丸びを帯びた新デザインを採用することで、万人受けするデザインへと変更。それに伴い、ワイド液晶搭載モデルを、秋冬モデルの主軸に据えた。 NECも、富士通と同様に、「最も売れるモデルを15.4型ワイド液晶ノートと見込んでいる」(NECパーソナルプロダクツ)としており、やはり年末商戦のノートPCの主力はワイド液晶と位置付けた。
●ワイド液晶が売れるいくつかの要素 主要各社が、秋冬モデルでワイド液晶に力を注いだ理由はいくつかある。 1つは、ワイド液晶パネルの調達価格が下落し、標準液晶パネル搭載モデルとの価格差が縮まってきた点だ。 BCNによると、2005年10月の15.4型ワイド液晶搭載のノートPCの平均単価は、149,000円。これに対して、15型標準モデルの平均単価は133,000円と、16,000円もの差が開いていた。 だが、2006年4月以降、その価格差は3,000円前後で推移しており、以前ほどの価格差がなくなってきたのだ。 ここにきて、標準液晶搭載ノートPCの実売価格が大幅に下落したことで、9月は再び1万円以上の差がついているが、それでも、ワイド液晶ノートPCの平均単価は133,000円と、2005年10月の標準液晶搭載ノートPCと同じ価格帯にまで引き下げられている。 2つめの理由は、地上デジタル放送対応モデルの増加により、ワイド画面のメリットが明確に訴えられるようになったことだ。現在、コンシューマ向けノートPCでは、地上デジタル放送の対応は重要な機能の1つと位置付けられており、地デジ+ワイド液晶の組み合わせは、当然の選択肢となっている。同様に、DVDの映画をフルサイズで閲覧できるというメリットもあり、次世代DVDドライブ搭載機種の発売も、ワイド液晶の価値はさらに高めているといえよう。 3つめは、2007年1月の出荷を控えている「Windows Vista」において、ワイド液晶のメリットが享受できる点だ。
Vistaでは、操作性をあげるために、「Windowsサイドバー」機能を備えており、Windows Vistaのデスクトップ上の片側にこれが表示される。 マイクロソフトでも、「Windowsサイドバーはワイドスクリーンモニタに最も適している機能」としており、ワイド画面の右側スペースにWindowsサイドバーを置くという使い方が標準となりそうだ。 すでに2006年夏から、Windows Vista Readyとなる「Windows Vista Premium Ready PC」、「Windows Vista Capable PC」が発売されており、Vistaを視野に入れた仕様も、ユーザーの購入条件の中に含まれている。 もちろん、Webを2画面表示するといった使い方や、複数のアプリケーションを立ち上げた場合にもワイド液晶ならば見やすいなどのメリットもある。 最近では、講演やセミナー、会議で使用されるPowerPointの資料も、ワイド画面で表示するケースが増えている。10月3日にCEATECの基調講演に登場した東芝・西田厚聰氏社長のプレゼンテーションの資料は、すべてワイド画面のものとなっており、ノートPCのワイド液晶化で先鞭をつけた東芝の面目躍如といった様子だった。 また、ThinkPad生みの親といわれるレノボ・ジャパンの内藤在正副社長も、2006年5月からワイド液晶の「ThinkPad Z60」シリーズを使用しており、「意外にも持ち運びにも便利。アプリケーションの使用でも画面が広く使いやすい。ワイド液晶の利用が今後は増えるだろう」としていた。 レノボの製品戦略のなかでも、ワイド液晶モデルは重要なものとなりそうだ。
●一部には慎重な姿勢のメーカーも だが、すべてのメーカーがワイド液晶に流れているわけではない。
モバイルノートとして人気を博している「Let'snote」を発売しているパナソニック(松下電器産業)では、ワイド液晶には慎重な姿勢を見せており、年末商戦向けの新製品でもワイド液晶モデルの投入を見送っている。 同社では、「Let'snoteの主要ユーザーである企業ユーザーを対象に調査を行なった結果、現時点では、それほど多くの企業で、ワイド液晶を必要としていないことがわかった。理由は、重量が重くなること、既存アプリケーションの利用には不便を感じていないことなどが理由」と語る。 Let'snoteの場合、軽量化やモバイル性が重要な差別化ポイントとなっており、重量を引き上げることに直結するワイド液晶の搭載には慎重にならざるを得ないという事情も見逃せないだろう。 だが、「いつでも、ワイド液晶モデルを投入する準備はしており、ワイド液晶モデルをやらないというわけではない。必要があれば投入していく考えはある」(パナソニック)との姿勢は崩していない。 いずれにしろ、ワイド型液晶搭載のノートPCは、いよいよノートPCの主役となった。 そして、今後も、ワイド液晶搭載ノートPCが主流になっていくのは間違いない。そして、各社のノートPC戦略も、15.4ワイド液晶搭載モデルを中心に展開していくことになるだろう。 それに向けたノートPCの大きな転換が、先週、見られたわけであり、もう少し絞り込むならば、9月30日、そして、10月1日の土日の2日間が、その転換のタイミングだったといっていいではないだろうか。 □BCNランキングのホームページ (2006年10月6日) [Text by 大河原克行]
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