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愛・地球博プレスプレビュー

【日本ゾーン編】
世界初の360度全天球型映像システムや
超巨大万華鏡など

会期:3月25日から

会場:愛知県名古屋東部丘陵
    (長久手会場/瀬戸会場)



 グローバルループに囲まれたセンターゾーンの隣にあるのが、日本ゾーンだ。このゾーンには、長久手日本館や名古屋市パビリオンなど、政府や地方自治体が出展しているパビリオンが存在する。

●長久手日本館
 ~時代を代表する展示や360度全天球型映像システム

 長久手日本館は、竹製ケージで覆われたパビリオンだ。この繭のような形をした竹製ケージは、日光を遮る役割を果たしており、建物の温度上昇を防ぐことができる。また、壁面も緑化されているなど、建物全体に新しい環境技術が採用されている。

 長久手日本館の展示は、3つのゾーンと地球の部屋から構成されている。ゾーン1のテーマは、「人類共通の危機/失われだした人と自然のつながり」だ。約200枚のスクリーンに、映像を映し出すことによって、自然の秩序の崩壊が表現されている。

 ゾーン2のテーマは、「日本の経験/日本人は生活と自然をどのようにつなげてきたか」であり、1945~2000年を6つの時代に分け、時代ごとに日本の風景イラストや家電品などの実物展示が行なわれている。ワープロやPC、雑誌など、懐かしい商品が展示されており、「あ、あれうちにあった」などと指をさす観客も多かった。

 長久手日本館の目玉が、直径12.8mの球形スクリーンを利用した、世界初の360度全天球型映像システム「地球の部屋」である。周囲や頭上はもちろん、足の下にまで映像が広がるという、これまでにない映像体験を楽しめる。アニメ「Zガンダム」に出てくる全周囲モニター(リニアシート)のような感じといえば、わかってもらえるだろうか。映写される映像の内容は、時期によって変わるようだが、ぐるぐる回るシーンなどではちょっとめまいを感じた。映写時間は2分30秒ほどだが、3D酔いしやすい人は注意してほしい。

 ゾーン3では、「つなぎ直そう。人と自然/21世紀の大切な『つながり』」をテーマに、紙管によって表現された森や、医療や食品加工、農水業などでの利用が期待されるナノバブル水槽などが展示されている。

長久手日本館の外観。外壁を覆う繭の形をしたケージは、竹を編んでできている 竹製ケージによって建物にあたる日射量を低減し、省エネルギーに貢献している ケージの支柱も全て竹でできている
壁面も緑化されており、熱負荷を低減している。使われているプラスチックは、土に還る生分解性プラスチックだ ゾーン1では、約200枚のスクリーンによって、自然の秩序の崩壊が表現されている ゾーン2では、「日本の経験/日本人は生活と自然をどのようにつなげてきたか」をテーマに、1945~2000年を6つの時代に分け、時代ごとに日本の風景イラストや家電品などの実物展示が行なわれている
高度経済成長によって環境問題が深刻化した'61~'70年 '61~'70年を代表する商品の展示。40代以上の方には懐かしい製品ばかりだろう 円高不況からバブル崩壊までの'81~'90年
'81~'90年を代表する商品の展示。ファミリーコンピュータやPC-9801VMなど、このあたりはまだ記憶に新しい 「どこでもニッポンカン」に使われているハイブリッド情報端末「愛・MATEブルー」。ミューチップリーダを搭載 日本館の館内には、ミューチップが内蔵されたアクリル板がいろんな場所に置かれている
世界最大規模の大型裸眼立体ディスプレイ。50型立体ディスプレイを12台使用している 世界初の360度全天球型映像を実現した「地球の部屋」。直径は地球の100万分の1(12.8m) 地球の部屋の床は、両側がガラス張りになっており、床を通して足下に広がる映像を見ることができる
ゾーン3では、「つなぎ直そう。人と自然/21世紀の大切な『つながり』」をテーマに、林立する紙管によって森林空間を演出している。森の1日を15分に凝縮し、流れる時間をドラマチックに再現する 直径200nm以下の超極微細な泡を発生、安定化させるナノバブル技術によって、通常は一緒に泳げない淡水魚(鯉や金魚)と海水魚(鯛やかわはぎ)が、1つの水槽の中に共存している

●長久手愛知県館
 ~5,300年前の人類が登場するステージショー

 長久手愛知県館では、「地球タイヘン大講演会」と題されたステージショーが1日約20回行なわれる。地球タイヘン大講演会では、地球温暖化を憂う老博士「江古野博士」や5,300年前の人類「アイスマン」が登場し、本物の火や水を使った驚きの仕掛けで、深刻な地球環境問題を感動的に伝えてくれる。スーパー歌舞伎を手がけた演出家が演出しているだけあって、宙づりシーンやアクロバティックなシーンにも目が離せない。

 愛知県館の屋上には、「踊る指南鉄塔」と呼ばれるモニュメントが設置されている。この鉄塔には、宇宙ステーションなどに使われる先端技術が使われており、まるで生き物のように変わり続けていく。また、30分に1度、中央の提灯が上下に開いて、中から「唐子指南車」が登場する。指南車は、車がどちらの方向を向いても、常に人形が指さす方向が変わらないというものだ。この「唐子指南車」は、からくり人形製作の第一人者・九代目玉屋庄兵衛の手によるもので、山車からくりなどで親しまれる「唐子」が「指南車」をひきながら回転技や面変りなどのダイナミックな離れ業を披露してくれる。

長久手愛知県館の外観。こいの池に隣接している 中央には「あいち・おまつり広場」があり、日替わりでさまざまなイベントが開かれている メインとなる「地球タイヘン大講演会」のステージ。1回のショーは約20分間だ
地球タイヘン大講演会では、地球温暖化を憂う江古野守博士が登場する 地球温暖化について、図を使ってわかりやすく説明してくれる イタリア・チロルの氷河から発見された5,300年前の人類「アイスマン」が登場する
江古野博士がワイヤーで宙づりにされ、空を舞うシーンも 【動画】クライマックスではダンサーの女性が登場し、アクロバティックな演技が繰り広げられ
愛知県館の屋上に設置された「踊る指南鉄塔」。可変形状トラスの採用によって、生き物のように形を変える 先ほどとは鉄塔の形状が変わっていることが分かる 【動画】鉄塔が動く様子
30分に一度、中央の提灯が上下に開いて、唐子指南車が登場する 【動画】唐子指南車が動く様子。車の向きにかかわらず、指南車の上の人形が指さす方向は変わらない

●中部千年共生村
 ~中部9県の伝統技術や先端的な取り組みを展示

 中部千年共生村は、中部9県(富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県)が共同で出店するパビリオンだ。建物の外装には、中部9県で作られた和紙とインドネシア、マレーシア周辺に生息する「クリキュラ」という野蚕の繭「黄金の繭」が使われている。

 パビリオンに入ると、まず直径6mの水のドーム「ミズノバ」がある。この水のドームは中に入れるようになっており、中に入ると全身が清涼感で包まれる。水のドームはスクリーンにもなっており、映像が映し出されている。

 展示の中心となるのが、「千年アカデミアアリーナ」と名付けられたスペースだ。ここには、中部9県の伝統的な技術や先端的な取り組みが多数展示されている。一つ目ロボット「サイクロプス」や二足歩行ロボット「ながら-3」などもここに展示されている。その他、中部9県の伝統的な技や先端技術、食文化を実際に体験できるワークショップも随時開催されている。

中部千年共生村の外観。長久手愛知県館と隣接している 建物の外装には中部9県で作られた和紙とインドネシアの「黄金の繭」が使われている 直径6mの水のドーム「ミズノバ」。水をスクリーンとした映像ショーが行なわれる
試験管で茶の苗木を栽培する新技術。1本の芽を1年で約47,000本に増やすことが可能 人間と同じような構造の背骨と50本の筋肉を持つ「サイクロプス」。人間の動きを追いかけて頭を動かすことができる
2足歩行ロボット試作プロジェクトによって誕生した「ながら-3」。29自由度を持ち、ボールを使って人やロボットとパスやシュートが可能 森林作業支援ロボット「WOODY-1」

●名古屋市パビリオン 大地の塔
 ~巨大な万華鏡が見物

 名古屋市パビリオン 大地の塔は、建物全体が巨大な万華鏡になっており、中に入って上を見上げることで、刻々と変化し続ける光の表情を楽しむことができる。このあたりは文章で説明するよりも、下の動画を見てほしい。万華鏡を覗くのが好きな人なら、きっと感動するだろう。高さは約47mで、万博会場のランドマーク的な存在にもなっている。大地の塔は、世界最大の万華鏡としてギネスブックにも認定されている。

名古屋市パビリオン 大地の塔の外観。外壁には水が流れており、気候や時刻によって多彩な表情を見せる 外周には、市民が作った「切り絵灯籠」が設置されている 夕暮れになると、切り絵灯籠の灯りがともる。幻想的で美しい
風を動力とした音具。風車が回って、鉄琴や木琴を叩く仕組みだ ギネスブックにも認定された世界最大の万華鏡の内部に入ることができる
日中は太陽の光を利用するが、天候や時間によっては電球の光を利用する 【動画】万華鏡が動く様子。そのパターンは無限で、見てて飽きない

□愛・地球博のホームページ
http://www.expo2005.or.jp/jp/
□「愛・地球博」レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/link/expo.htm
□関連記事
【3月18日】愛・地球博が25日開幕。18日にプレスプレビューを開催(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050318/aichi.htm
【3月15日】日立、6km/hで動作する倒立2輪ロボット「EMIEW」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0315/hitachi.htm
【3月4日】二足歩行する恐竜型ロボット公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0304/nedo.htm
【2月23日】愛・地球博・日立グループ館プレス見学会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0223/hitachi.htm
【2月1日】NEDO、愛・地球博におけるロボットの安全基準を公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0201/nedo.htm
【2004年12月3日】トヨタ、「愛・地球博」ロボットショーを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1203/toyota.htm
【2004年6月17日】NEDO、愛知万博に100体のロボットを投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0617/nedo.htm

(2005年3月24日)

[Reported by 石井英男]

【PC Watchホームページ】


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