レビュー
PLEXTORの最新SSD「M6S」と「M6M」をベンチマーク
~3台のRAID 0で最大1,500MB/sec
(2014/4/16 06:00)
Philips & Lite-On Digital Solutionsは、PLEXTORブランドの最新SSD「M6」シリーズの2.5インチモデル「M6S」シリーズと、mSATAモデル「M6M」シリーズを発売した。
価格はオープンプライスで、M6Sの実売価格(税別)は、128GBモデルが10,680円前後、256GBモデルが18,580円前後。一方M6Mは、64GBモデルが7,280円前後、128GBモデルが11,800円前後、256GBが20,780円前後となっている。
いずれも512GBモデルも用意されているが、発売が5月予定となっている。今回、アユートの協力により、512GBを除くすべてのモデルでテストする機会を得たので、簡単な試用レポートとベンチマーク結果を紹介する。
シンプルなパッケージ
M6Sは「M5S」シリーズの後継モデルで、PLEXTORブランドのラインナップの中ではメインストリーム向けとされている。世代は違うが上位の「M5P」では、3.5インチ変換アダプタや環境移行ソフトのシリアルが付属していたが、M6Sはそれらが一切付属しておらず、マニュアルのみとなっている。
ただしケースはM5Sの9.5mm厚から7mm厚互換(実際は6.8mmとされる)となったことで、薄型ノートPCに搭載されるHDDとの互換性が高まり、運用可能範囲は広まったと言える。もっとも、9.5mm厚のノートに装着したい場合や、3.5インチベイに搭載したい場合は、別途変換マウンタなどを用意する必要があるためやや不便なのも事実だ。
一方、M6Mはもっと小型のブリスターパッケージに入っており、こちらはネジしか付属しない。こちらは特に説明は不要だろう。
搭載されるコントローラは、“サーバーグレード”を謳うMarvell製の「88SS9188」。フラッシュメモリは東芝の19nm Toggle NANDを採用。長期間の利用でも速度低下を抑える独自技術「True Speed Technology」や、2mW未満の待機モードであるDevSleepをサポートするのも特徴だ。
搭載されるNANDフラッシュのチップも容量やモデルによって異なる。M6Sの方はネジが封印されていたため今回分解しなかったが、基板が露出しているM6Mのチップを確認すると、64GBモデルが「TH58TEG7DDKBA4C」、128GBモデルが「TH58TEG8DDKBA8C」、256GBモデルが「TH58TEG9DDKBA8H」であった。
このためシーケンシャルリード性能は共通だが、ライト性能などに違いがある。特に大容量モデルでは速度が高くなっている。今回使用するモデルのスペックを下表にまとめたので、参考にされたい。
PX-64M6M | PX-128M6S | PX-128M6M | PX-256M6S | PX-256M6M | |
---|---|---|---|---|---|
ストレージ容量 | 64GB | 128GB | 256GB | ||
キャッシュ容量 | 128MB | 256MB | 512MB | ||
シーケンシャルリード | 520MB/sec | ||||
シーケンシャルライト | 160MB/sec | 300MB/sec | 340MB/sec | 420MB/sec | 440MB/sec |
ランダムリード | 73,000IOPS | 88,000IOPS | 90,000IOPS | 94,000IOPS | |
ランダムライト | 42,000IOPS | 75,000IOPS | 76,000IOPS | 80,000IOPS |
公称値通りの性能を発揮
それでは実際にベンチマークに移りたい。今回のテスト環境は、CPUがCore i7-4770K(3.5GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ8GB(DDR3-1600)、Intel Z87 Expressチップセット(ASRock Z87 OC Formula)、システム用ドライブが30GB SSD、OSがWindows 8.1(Update済み、64bit)などである。ベンチマークは「CrystalDiskMark」と、「ATTO Disk Benchmark」の2種類。
Z87 OC FormulaにはmSATAのスロットが用意されていないので、今回はProjectMのmSATA→SATA変換アダプタ「PM-MSATA257」を利用し、マザーボードの通常のSATAポートに接続してテストを行なった。なお接続したSATAポートはいずれもZ87チップセットネイティブのもの。
まずはCrystalDiskMarkだが、M6Mの64GBモデル以外は公称値の520MB/secにこそ届かないが、ほぼ期待通りの結果であった。64GB→128GB→256GBと大容量になるに連れ、ライトが高性能になっていくのも、スペック通りである。
一方公称値に近い数字が出やすいATTO Disk Benchmarkでは、概ね公称値を超える結果が得られた。参考までに以前テストしたCrucialの「M550」(512GBモデル)の結果も掲載しておくが、M6シリーズは4KB以下のサイズの読み書きもM550より高速であり、実際の作業においても快適そうである。
RAID 0でさらに性能向上
今回はM6Sの128GBモデルと256GBモデルを2台ずつお借りしたので、チップセットの機能を使いハードウェアRAID 0構成も組んでテストしてみた。
その結果、CrystalDiskMarkではややボトルネックが見られたものの、ATTO Disk Benchmarkでは両モデルともに1,000MB/sec以上の数字を達成できた。書き込みでも880MB/secを超えるのは、なかなか圧巻だろう。
さらに、M6Mの256GBモデルも加えて、256GB×3台の構成でRAID 0を組んでみたところ、こちらはCrystalDiskMarkでも1,000MB/sec超え、ATTO Disk Benchmarkでは実に1,500MB/secを超えるスループットを確認できた。
4KB前後の小さいファイルの読み書きでは、RAID 0構成のメリットがあまり見受けられないが、大容量の動画を連続してエンコード/デコード/編集するような作業では、大いに威力を発揮するだろう。
高性能なスタンダード、対抗馬はM550
以上のように、M6シリーズはほぼスペック通りの性能を発揮してくれた。付属品が少ないのはややデメリットだが、性能面では不安となる要素もなく、スタンダードのSSDとしては優等生だろう。
最大のライバルは、間違いなくラインナップ/性能/価格すべてにおいて拮抗するCrucialのM550シリーズだろう。ランダム性能ではM6にやや分がある印象で、この辺りはコントローラやNANDフラッシュの違い、ファームウェアのチューニングの違いが見て取れる。どちらを選ぶかはユーザーの好みと言ったところだ。