レビュー
写真で見る「HP Stream 11」
~税込みでも3万円を切る“新ネットブック”
(2014/12/18 06:00)
日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は、税別直販価格で25,800円という低価格を実現した11.6型クラムシェルノートPC「HP Stream 11」を発売した。
Streamシリーズは、タブレットに用いられる技術をクラムシェルに転用し、パーツ数を減らすことで低価格化を実現したモデル。7月のMicrosoftのイベントにおいて199ドルという低価格で投入されることが明らかとなり、国内でも注目を集めた。
日本HPは10月に、Streamシリーズで14型となる「HP Stream 14」を国内で投入したが、本製品はその姉妹モデルとなる。ローカルのストレージ容量が32GBと少ないのがStreamシリーズの特徴で、100GBのOneDriveの2年間利用権、そして全世界のWi-Fiスポットを利用できるiPassが付属する(Stream 14はなし)など、オンラインストレージを含むクラウドサービスの利用を前提としている。
低価格ながらそこそこの質感を実現しているのもStreamシリーズの特徴である。遠目から見ると、鮮やかなブルーの色からややオモチャっぽいチープな印象を受けるのだが、実際に手にしてみるとそれほど悪くない。天板や底面カバーはラメが入っており、指紋が付きにくい細かい梨地で好感が持てる。パームレストもImprint技術を採用し、ドットパターン+ブルーのグラデーションで個性がある仕上がりだ。
唯一、液晶の枠とキートップはプラスチックそのものといった感じだが、画面に集中してしまえば気にならないだろう。むしろ気になるのは画面の明るさで、今どきの機種にしては、輝度を最大にしても暗い印象を受ける。加えて、視野角もそれほど高くない。1万円台のタブレットでもIPS液晶採用モデルが増える中、もう一頑張り欲しかったところだ。
一方で、そのほかのユーザーインターフェイスはしっかりしている。まずはキーボード。低価格なノートPCではキータッチを諦めざる得ないことも多いのだが、本製品はストロークが確保されており、剛性も高いため押下時のたわみもなく、しっかりしたクリック感が得られる。キーピッチも実測約18.75mmで余裕がある。タッチパッドはボタン一体型だが、ツルッとした感触で長時間なぞっても指先が疲れず、ポインタの反応も良い。
音についても、このクラスにしてはかなり頑張っている方で、筐体の共鳴をうまく使ってボリューム/低音ともにある程度確保されている。ファンレスのため騒音とは無縁で、音楽を楽しむのにはぴったりだ。しかもファンレスだからと言って動作中に熱くなることはなく、ベンチマーク中はキーボード右端にある程度熱を感じるものの、パームレストは熱とは無縁で非常に快適である。
参考としてベンチマークの結果を掲載する。筆者は今回から、ベンチマークソフトをPCMark 7からPCMark 8に切り替えることにした。今回は機材貸し出し時間の都合上、HomeとCreativeスイート(いずれもOpenCLを利用したAccelerated)のみを実施する。また、バッテリ駆動時間の計測もBBenchから、より現代的なPCMark 8のHomeへと変更する。輝度設定は50%。
比較用としてデタッチャブルの「HP Pavilion 11 x2」(Pentium N3510搭載)、タブレットの「HP ElitePad G1000」(Atom Z3795搭載)の結果を掲載する。比較機種ではPCMark 8を実施していないのだが、ファイナルファンタジーXI オフィシャルベンチマーク3やSiSoftware Sandraの結果から分かる通り、ほぼCPUのコア数やクロックに準じた結果となっている。PCMark 8実行中にクロックの挙動を追ってみても速度低下が一切なく、ファンレスながら長時間駆動にも耐える設計となっている。バッテリも6時間19分動作し、必要にして十分である。
本製品は、PC上級者という視点から見ると、64bit OSを搭載しているのにもかかわらずメモリが2GBしかない点や、高解像度化/広視野角化が進むスマートフォンの時代に1,366×768ドット表示対応TN液晶という点が購入のネックになる。だが近年タブレットの躍進でネットブックが市場から駆逐され、「ネットブックの後継が欲しい」というユーザーの選択肢がなくなったのも確かだ。本製品はそのユーザー層のニーズに応えられるのではないだろうか。
一方でPC初心者、特に学生向けの1台目としては結構フィットする。HDDではないので少し荒っぽく扱えるし、ファンがないので図書館のような場所でも使える。ちょっとした動画や音楽の再生や調べ物には便利だ。来る将来に備えてPCに慣れておくのに使うのも悪くはない。SDカードスロットもあるので、デジカメで撮影した写真の閲覧やアップロードにも使える。とりあえず日常でやろうとすることは一通りできそうだ。
そういった意味では、個性に合わせて選べるよう多くのカラーバリエーションを用意していただきたかったところではあるのだが、それは次期に期待することにしよう。とりあえず価格面でタブレットと並び、ユーザーの選択肢を増やしたことは大いに評価したい。
Stream 11 | Pavilion 11x2 | HP ElitePad G1000 | |
---|---|---|---|
CPU | Celeron N2830 | Pentium N3510 | Atom Z3795 |
メモリ | 2GB | 4GB | 4GB |
ストレージ | 32GB eMMC | 128GB SSD | 128GB eMMC |
OS | Windows 8.1 | Windows 8 | Windows 8.1 |
PCMark8 | |||
Home accelerated | 1082 | - | - |
Web Browsing-JunglePin | 0.527s | - | - |
Web Browsing-Amazonia | 0.169s | - | - |
Writing | 8.56s | - | - |
Photo Editing v2 | 2.993s | - | - |
Video Chatv2/Video Chat playback 1 v2 | 20fps | - | - |
Video Chat v2/Video Chat encoding v2 | 578.3ms | - | - |
Casual Gaming | 6.6fps | - | - |
Benchmark duration | 1h8min27s | - | - |
Creative Accelerated | 1027 | - | - |
Web Browsing-JunglePin | 0.518s | - | - |
Web Browsing-Amazonia | 0.167s | - | - |
Video Group Chat v2/Video Group Chat playback 1 v2 | 30fps | - | - |
Video Group Chat v2/Video Group Chat playback 2 v2 | 30fps | - | - |
Video Group Chat v2/Video Group Chat playback 3 v2 | 30fps | - | - |
Video Chat v2/Video Chat encoding v2 | 472ms | - | - |
Photo Editing v2 | 2.579s | - | - |
Batch Photo Editing v2 | 151.8s | - | - |
Video Editing part 1v2 | 51.6s | - | - |
Video Editing part21v2 | 210.9s | - | - |
Mainstream Gaming part 1 | 1.3fps | - | - |
Mainstream Gaming part 2 | 0.6fps | - | - |
Video To Go part 1 | 15.1s | - | - |
Video To Go part 2 | 24.4s | - | - |
Music To Go | 54s | - | - |
Benchmark duration | 2h33min59s | - | - |
Home実行時のバッテリ駆動時間 | 6時間19分45秒 | - | - |
ファイナルファンタジーXIオフィシャルベンチマーク3 | |||
Low | 4970 | 4072 | 4435 |
High | 3212 | 2537 | 3069 |
Sisoftware Sandra | |||
Dhrystone | 14.82GIPS | 23.5GIPS | 26.08GIPS |
Whetstone | 8.25GFLOPS | 12.77GFLOPS | 18GFLOPS |
Graphics Rendering Float | 44.91Mpixel/sec | 43.16 Mpixel/sec | 45Mpixel/sec |
Graphics Rendering Double | 8.47Mpixel./sec | 8.07 Mpixel/sec | 8.48Mpixel/sec |