レビュー

レノボ「YOGA Tablet 2 Pro」(海外版)

〜13.3型プロジェクタ、ウーファー内蔵のタブレット

 先だってのロンドンからのレポートおよび、日本国内での発表ニュースなどでお伝えした通り、レノボは「YOGA Tablet」シリーズを一新。そのうちの1機種が13.3型という大きな画面のほか、サブウーファーやプロジェクタを内蔵する他に類を見ないAndroidタブレット「YOGA Tablet 2 Pro」だ。ロンドンでの発表会で、参加した報道陣にこの製品が配布されたので、レビューをお届けする。

 なお、今回レビューするのは海外版。現地滞在時間が短かったことと、国内でも11月中旬の発売が決定しており、詳細なレビューは国内版で予定していることもあり、本稿では写真を中心に簡易レポートとさせて頂く。

 海外版と国内版のハードウェア上の違いは1点で、海外版にはLTEモデルが用意されること。配布されたのもこのモデルだったので、ロンドン滞在中に現地キャリアのO2のSIMを挿してみたところ、LTEで通信ができた。残念ながら国内版はWi-Fiのみとなるが、10.1および8型のYOGA Tablet 2については、国内でもLTE版が12月中旬以降に予定されている。

 まず、ハードウェアを見てみよう。まず外観で目立つのは、13.3型というサイズ。ベゼルがやや幅広で、YOGA Tablet独特のシリンダー状グリップ部の存在により、縦横の寸法は筆者が普段利用している13.3型モバイルノートPCの「VAIO Pro 13」よりもやや大きいほど。実際のサイズは333×223×3.6〜12.6mm(幅×奥行き×高さ)。重量も950gと、キーボードがないながらも、タッチ対応VAIO Pro 13の約1,060gに迫る勢い。

VAIO Pro 13よりも一回り大きい
海外版にはLTEモデルもある

 ただし、この大きさや重さは、本製品の使い方を考えると、マイナスポイントにはならない。というのも、本製品は、家庭内や、旅行先などで、液晶あるいはプロジェクタによる大画面や、ステレオスピーカーを活用して動画を観たり、複数人で写真を閲覧したりできるといのがウリだからだ。スマートフォンなどのように毎日持ち運ぶのではなく、極端な言い方をすると、スマートTVをいろいろなところへ持ち出せる感覚というのが近いかも知れない。

 解像度は2,560×1,440ドットとフルHDを超える精細なもの。このほかの主な仕様は、Atom Z3745(1.33GHzクアッドコア)、メモリ2GB、ストレージ32GB、Android 4.4を搭載。CPUは最新のBay Trail-Tで、GPUコアはCoreシリーズと同じIntel HD Graphicsアーキテクチャとなる。

 インターフェイスは、IEEE 802.11a/b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、前面160万/背面800万画素カメラ、microSDカードスロット、Micro USB、音声入出力、加速度センサー、光センサー、デジタルコンパス、GPS/GLONASSを装備する(検証機はMicro SIMスロットも)。価格は59,500円前後(税別)の見込み。

 YOGA Tablet伝統のシリンダー状グリップは、縦位置で製品を持つ際に、しっかりと把持できる。電子書籍を読んだりする際に好適なスタイルだが、本製品については、重量が重いため、電車で移動中に電子書籍や新聞を読むというのには向かない。しかし、この部分にはほかにも多くの特徴が備わっている。

 1つはスタンド。従来モデルにもあったが、収納式のスタンドは、背面カメラ横のボタンを押すと開き、本体を45〜90度くらいの角度にして自立させることができる。本製品は重いため、卓上で使うことが必然的に多くなり、その点で標準のスタンドがあると、大変使いやすくなる。さらに、YOGA Tablet 2シリーズは、このスタンドが170度まで開くようになり、中心の穴をフックなどに引っかけて壁掛けしたりできるようになった。しまう時に壁に掛けてもいいし、キッチンでタブレットを吊るしておいて、レシピを参照したりと、こちらもいろいろ使い出があるだろう。

 もう1つの特徴は、ステレオスピーカー。本体の大きさを活用し、タブレット製品では数が少ないステレオスピーカーを前面向きに内蔵している。また、こちらはシリンダーよりちょっと上の位置になるが、背面にサブウーファーも搭載。そしていずれもJBL製だ。出力は8Wあるため、屋外での視聴にも十分耐えられる。実際、いくつか音楽や動画を再生してみたが、音量は大きく、サブウーファーによって厚みもある。若干、ギターの音などはこもった感じもあるが、モバイル製品としては十分な性能を備えていると言って良い。

 ちなみに、本製品のスタンドは、シリンダーが下になるスタンドモードと、上下逆にしてシリンダーを奥に向けるチルトモードの2スタイルで利用できる。チルトモードでは、スピーカーの左右が逆になるが、この際、音の出方もちゃんと逆になり、右側の音は右側から聞こえるのを確認できた。このほか、ドルビーデジタルプラスもプリインストールされており、サラウンドをオンにすると、スピーカーに囲まれたような感覚を味わえる。なお、サブウーファーは設定でオフにもできる。

背面
スタンドの中央にあるのがサブウーファーと背面カメラ。左上のボタンを押すとスタンドが開く
スタンドは170度開くので、逆さにして壁掛けでも使える
通常はこれくらいの角度で利用
スタンドを開けると、microSDカードスロットと、海外モデルではMicro SIMスロットもある
スピーカーと併せてJBLのカナル型イヤフォンも付属
海外モデルのACアダプタ。出力は1.8A

 最大の特徴は、DLPのピコプロジェクタを内蔵している点だ。これにより、2mくらいの距離で50型の映像を投影できる。プロジェクタのオン/オフは、Androidの設定か、プロジェクタそばのハードウェアボタンで行なう。基本的には、液晶に表示されたそのままが投影されるが、「プロジェクター」アプリ利用時は、液晶上は写真や動画、文書などをコンテンツをウインドウ表示し、プロジェクタにはそれらをフルスクリーン表示できる。プロジェクタの解像度は480p。

 液晶と違い、プロジェクタの画面は回転できないので、プロジェクタ利用時、本体はチルトモードにする。上下の角度がうまく合わないと、台形にゆがんでしまうが、これは自動でも手動でも補正できる。自動補正を試してみたところ、かなり良い精度で補正できた。焦点については、プロジェクタそばのハードウェアスライダーで調整する。スライダーは遊びが少ないというか、ほんの少し動かしただけで、そこそこ焦点が変化するので、バシッと合わせるのは、ちょっと慣れがいると感じた。

 ちなみに、プロジェクタ利用時は、消費電力を抑えるため、液晶は輝度が落ち、画面を触らないと、デフォルトでは15秒でオフになる。それでも、プロジェクタの消費電力はかなり大きいようで、バッテリ駆動時間は3分の1程度になる。個人的にはプロジェクタは使いどころが難しい気もするが、とりあえず映画1本をバッテリだけでも大画面で観られるということに、大きな魅力を見いだす人もいるだろう。

シリンダー右端にDLPピコプロジェクタを内蔵。その右にあるのがプロジェクタのハードウェアボタン
背面のこのスライダーで焦点を合わせる
プロジェクタ利用時はこのようにチルトモードにする
通常、映像はこのように台形に歪むが、自動補正機能でかなりまっすぐにできる
プロジェクタの設定。右上のソフトウェアボタンでもオン/オフできる
台形補正は手動でもできる
明るさも調整可能
以下は、ユーザーガイド画面

 ソフトウェア面では、高解像度の大画面を活かしたマルチウインドウ機能を搭載。ホームボタンなどが並ぶ画面下部の左端にあるアイコンをタップすると、マルチモードに対応したアプリのアイコンが表示。アイコンをタップすると、それらのアプリがウインドウモードで表示される。ウインドウはサイズや位置を自由に変更できるので、何かを参照しながら作業する時に便利だ。ウインドウは3つまで同時に開ける。

 マルチウインドウに対応するアプリは、メール、ギャラリー、メッセージ、Chrome、ファイル・ブラウザー、電卓、ビデオ、UC Browser HDで、これ以外のアプリをウインドウ表示することはできない。ただし、マルチウインドウ・ホワイトリストには載っていないが、プロジェクターアプリだけは、同様にウインドウ表示できる。

画面左下のアイコンをタップすると、マルチウインドウ対応アプリのアイコンが表示
ギャラリーアプリを起動したところ。これが標準のサイズだが、位置やサイズは枠をドラッグすると変更可能
最小サイズにしたところ
最大サイズにしたところ
右上の矢印アイコンをタップするとフルスクリーンにもできる
ウインドウは最大3つまで開ける
プロジェクターアプリは、写真をスライドショーにしたり、コンテンツの上にスケッチもできるので、プレゼンにも好適
このアプリも、設定でマルチウインドウにできる。この時、プロジェクタにはアプリの画面だけを表示することもできる
マルチウインドウを最小化すると、Windowsのタスクバーのようにアイコンが画面下部に並ぶ

 このほか、この部分のスペースを活かして、9,600mAhという大容量バッテリを内蔵し、約15時間の駆動時間を実現している。

 いくつかのベンチマークも実行したので結果を掲載しておく。3DMarkは、同じAtom Z3745を搭載し、解像度は1,280×800ドットのASUS「MeMO Pad 7」(ME176C)に比べ、Physicsはほぼ同じだが、GraphicsはYOGA Tablet 2 Proの方が20%ほど高い結果が出た。AnTuTuは、項目によってばらつきが出たが、総合は両者ほぼ同じ数値。Mobile XPRTは、YOGA Tablet 2 Proの方が総合的に17%ほ良い性能を示した。MeMO Pad 7の結果は7月に計測したもの。チップは同じなので、この辺りの差はメモリ容量の違いに起因すると見られる。

ベンチマーク 項目 YOGA Tablet 2 Pro MeMO Pad 7
3DMark Score 15960 13374
Graphics 15534 12919
Physics 17654 17625
AnTuTu Score 33695 34109
マルチタスク 4902 6521
Dalvik 2398 3507
RAM演算能力 2688 2289
RAM速度 3221 2762
マルチスレッド整数演算 3071 2856
マルチスレッド浮動小数点演算 3716 4113
2Dグラフィックス 1643 1634
3Dグラフィックス 5849 8332
ストレージI/O 2550 1455
データベースI/O 650 640
Mobile XPRT Perfomance Tests 345 293
Apply Photo Effects 24.13s 27.41s
Create Photo Collages 11.49s 12.35s
Create Slideshow 22s 25s
Encrypt Personal Content 11.92s 19.06s
Detect Faces to Organaize Photos 8.09s 8.25s

 このほか、プリインストールアプリや設定画面を写真で紹介する。

音声プロファイル
電源ボタン長押しでも呼び出せる。屋外にすると最大音量になる
ドルビーデジタルプラスによるイコライジングやサラウンド機能を利用可能
サブウーファーはオフにもできる
ディスプレイの好感度をオンにすると、手袋をしていても画面をスワイプできるという説明だが、オンにして軍手で触っても操作できなかった
OS占有スペースが21GB近くあり、出荷時で空き容量が7GBしかない
データはレノボ独自のSYNCItアプリを使ってクラウドバックアップもできる
電源管理で、画面がオフの時任意のアプリを無効にできる
アプリごとのバッテリ消費割合
主要パーツごとのバッテリ消費割合
マルチウインドウはオフにもできる
タブレット情報
データバックアップアプリのSYNCIt。利用にはレノボアカウントを使う
デバイス間でデータを同期するSHAREit
ファイル・ブラウザー
ユーザーガイドアプリもあるが、内容はかなり簡易的
最前面に常駐させ、画面上にフリーハンドでメモなどを書けるスケッチパッド・ツール
ジャンルごとにゲームを紹介するGame Store

プロジェクタに価値を見いだせるか

 以上、機能面を中心に観てきた。短時間ながら使ってみて、YOGA Tablet 2 Proは、従来のタブレットやPCのどれとも違うもので、使い方や使われる場所は、液晶付きのポータブルBDプレーヤーなどに近いと感じた。その意味で本製品は、従来の製品と評価軸が大きく異なっており、どれかの製品と比べて、こちらの方が性能が優れているから選ぶというよりも、プロジェクタや高出力のスピーカーなどの独自仕様、そしてそれに伴う新たな使い方に魅力を感じるユーザーにとって唯一無二の製品になるのではないだろうか。

 といっても、性能が低いわけではなく、最新のフラグシップ製品に恥じない高い性能を持っているので、カジュアル用途から3Dゲームまで、普段使いでも満足できるに違いない。

 不満に思ったのは、ストレージが32GBある中、OS占有スペースが20.89GBもある点(アプリはこれとは別で700MB程度)。製品版では異なるかもしれないのだが、標準状態で空き容量が7GBというのは心許ないし、ユーザーが総容量から受け取るイメージからややかけ離れているだろう。そのほか、要望点としては、これにディスプレイ入力機能があったら、PCのセカンドディスプレイとしても使え、スタンドと相まって職場のデスクに置くのにもちょうど良いので、次のモデルではぜひ検討してもらいたい。ちなみに、HDMI出力はないがMiracastによるWi-Fi出力はできる。

 スタンド以外の筐体はプラスチック製だが、手触りが良く、滑りにくさにも一役買っていると思われる表面のテクスチャは、金属的で、質感は高い。買った人をがっかりさせない製品というのが、総合的な評価だ。

(若杉 紀彦)