特集
押し入れに溜まった古いPCや家電、どうやって処分してますか?
~申し込み不要/完全無料で処分できる「おくるだけ」を利用してみた
(2015/12/1 06:00)
本誌読者なら御存知の方も多いだろうが、2003年10月に改正施行された、通称「パソコンリサイクル法」により、家庭用PCの回収と再資源化(リサイクル)がPCメーカーに義務付けられた。これによって、PCを粗大ゴミや不燃ゴミとして処分することができなくなり、きちんと再資源化できる方法で処分しなくてはならなくなった。なお、ここでいうPCとは、デスクトップPC、ノートブックPC、ディスプレイ、ディスプレイ一体型PCを指す。
2003年10月以降に発売されたPCには、「PCリサイクルマーク」が貼られており、このPCリサイクルマークが貼られたPCなら、不要になった際の回収・リサイクルにユーザーが追加費用を負担する必要がなく(PC購入時の代金にリサイクル料金が含まれている)、PCメーカーに連絡して必要な手続きを行なうことで、無料で廃棄できるのだが、PCリサイクルマークが貼られていない古いPCやディスプレイの場合は、回収・リサイクル費用をユーザーが負担することになる。その金額は、ノートPC、デスクトップPC、液晶一体型PC、液晶ディスプレイなら1台につき3,240円、CRTディスプレイ一体型PCやCRTディスプレイなら1台につき4,320円となる。引っ越しや大掃除などで、古いPCやディスプレイなどをまとめて処分しようとすると、結構大きな負担となってしまうのだ。
また、PCリサイクルマークが貼られたPCであっても、PCメーカー経由で処分する場合は、Webサイトや電話でメーカーに連絡→着払い発送伝票が送られてくる→その発送伝票を利用してPCをメーカーに送付という手順が必要になり、手間と時間がかかる。
文字通りおくるだけの、簡単リサイクルサービス「おくるだけ」
夫婦共にライターをやっている筆者宅では、仕事道具であるPCを定期的に買い替えているため、不要になったPCが増えてしまい、処分に困っていた。その多くは、PCリサイクルマークが貼られているのだが、メーカーが複数にまたがっており、それぞれのメーカーで手続きをするのは面倒で、つい二の足を踏んでしまっていたのだ。さすがに数が増えてきて、置く場所にも困るようになってきたので、古いPCをまとめて処分できるサービスを探していたところ、株式会社いっとくが運営する「おくるだけ」というサービスを見つけた。
PCを無料で処分できるサービスはほかにもあるが、「おくるだけ」は、その名の通り、事前申し込みが一切不要で、ノートPCやデスクトップPC、液晶ディスプレイなどをそのままゆうパックの着払いで送るだけで、処分できることが特徴だ。おくるだけのWebサイトは、イラストや写真が多用されており、デザインもシンプルで洗練されており見やすい。
おくるだけでは、取り扱い品を「送料無料で処分できるもの」、「処分できるもの」、「処分できないもの」の3つに分類している。まず、送料無料で処分できるものは、「ノートPC」、「デスクトップPC」、「液晶モニター」であり、それぞれ年式や型は不問、動作していなくても問題はない。なお、ノートPCやデスクトップについては、HDD以外の内蔵パーツがない場合や外観状態に破損があった場合は、対象外となる。液晶モニターについても、外観状態に破損がある場合は、対象外となる。
処分できるものは、送料はこちら持ちだが、処分やリサイクル費用はいらないというもので、「PCパーツ」、「デジタルカメラ」、「スマートフォン・タブレット・PDA」、「ネットワーク機器」、「プリンタ・スキャナ」、「入力装置」、「ソフトウェア類」、「サーバー」、「液晶テレビ」、「ワープロ」、「エアコン・室外機」、「ビデオデッキ」、「ミニコンポ・ラジカセ」、「ステレオ・音響機器」、「ミシン」、「携帯電話・PHS」、「カーナビ・カーオーディオ」、「ゲーム機」、「ポータブルオーディオ」と幅広い。なお、これらは全て年式やメーカー・型番などは不問で、故障の有無も問わない。さらに、ここに挙げたもの以外でも、処分可能なものはあるとのことなので、処分できるか分からないものは、電話あるいはメール、Webサイトから問い合わせるといいだろう。
そして最後が、処分できないものだ。処分できないものは比較シンプルで、「ブラウン管モニタ」、「ブラウン管テレビ」、「木製製品」、「ガラス製品」、「冷蔵庫」、「洗濯機」となっている。PCに関しても、ブラウン管(CRT)方式の一体型PCは処分できない。
梱包方法や送付方法も丁寧に解説
おくるだけのWebサイトでは、製品の梱包方法や送付方法も丁寧に解説されている。ノートPCなどを送る場合、製品が入っていた元箱は不要だが、製品をエアパッキンや古新聞などの梱包材で包み、ダンボール箱の底から緩衝材→製品→緩衝材→製品といったように、緩衝材で製品をサンドイッチする形で詰めていく。空いたスペースには、PC以外の関連製品を入れて送れるほか、ゲーム機やミシンなど、前述した処分できるものを一緒に入れても、送料は無料で送れるのでお得だ。
ただし、どんな大きな箱でも送れるわけではなく、ゆうパックの160サイズ(箱の3辺の合計が160cm以下)で、重量は30kg以下となる。160サイズに入らない場合は、箱を複数に分ければよい。それぞれの箱に「送料無料で処分できるもの」が1つ以上含まれていれば、何個口でも利用できる。沖縄県からの発送は送料無料の対象外となる(処分は無料なので、送料のみユーザーが負担)。なお、送料無料で送る場合は、ゆうパックの着払いのみが対象となり、他の配送業者を利用することはできない。
適当な梱包材やダンボール箱がない場合は、ヤマト運輸の「パソコン宅急便」を使うか、直接八王子市の店舗へ持ち込めばよい。ただし、パソコン宅急便を使う場合は、送料と梱包材の料金が必要になる。
HDDなどのデータ消去も無料で行なってくれる
PCをリサイクルに出すときに、一番気になるのが、HDDなどに記録されているデータが流出してしまわないかということだが、おくるだけでは、HDDなどの記憶媒体のデータは、全て完全に消去してからリサイクルを行なうことになっているので安心だ。データの消去は、「物理破壊」か「ソフトウェア消去」のどちらかで行なわれるが(媒体の状況に応じて適した方法を選択)、それでも不安だという人は、あらかじめ自分でディスク消去ツールを使って中身を消すか、物理的にHDDなどを取り外してから送ればよい。
実際に6台のノートPCと不要なミシンを無料で送ってみた
このように「おくるだけ」は、申し込みが不要で、直接ゆうパックの着払いで送りつけるだけで処分できるので、非常に手軽だ。そこで、不要なノートPCが増えて困っていた筆者も、早速利用してみることにした。今回、おくるだけの送料無料サービスを利用して処分した製品は、ソニーの「バイオノートTR」、「VAIO type C」、パナソニックの「Let'snote Y7」、「Let'snote Y8」、レノボの「Lenovo 300 V100」、エプソンダイレクトの「EdiCube S」の6台である。2.5インチHDDを採用している5製品については、送る前にHDDを外したが、1.8インチHDDを搭載しているバイオノートTRは分解が面倒だったので、そのまま送ることにした。
手頃なダンボール箱やエアパッキン、古新聞も見つけたので、早速梱包を開始した。梱包といっても、エアパッキンなどで製品を包んでガムテープで留めるだけなので簡単だ。製品それぞれの梱包が終わったら、段ボール箱の中に緩衝材→製品→緩衝材→製品の順で詰めていく。
6台のノートPCをつめたら、箱の横にかなりの空きスペースができたので、不要になったブラザーのミシン「TE4-B222」も一緒に送ることにした。前述したように、ミシンは、処分できるものに分類されているが、ミシン単体では送料無料とはならず、送料は負担する必要がある。しかし、送料無料となるノートPCやデスクトップPCなどを送るついでに、一緒の箱に入れてしまえば送料無料で送れるのだ。ミシンを入れたら、ちょうど箱が一杯になったので、ガムテープでしっかりと封をする。重量は20kg近くになったが、30kgという制限にはまだまだ余裕がある。
最寄りの郵便局まで、折りたたみ式のキャリーカートを使って運び、窓口でゆうパックの着払い発送伝票をもらって送り先を記入すれば、処分作業は全て完了だ。数日後(筆者の場合は4日後に届いた)、送った荷物がきちんと先方に到着したことを通知する、ゆうパックのお届け通知が送付されてくる。このお届け通知以外に、おくるだけからの連絡はこないが、処分とリサイクルはしっかり行なわれているので、安心していただきたい。ちなみに、ゆうパックは自宅まで無料で集荷にきてくれるので、着払い伝票を持ってきてもらって自宅で記入しても構わない。
筆者は、今回初めてPCの無料処分サービスを利用したのだが、とても簡単かつ費用をかけずに処分ができて、非常にありがたかった。ミシンももう壊れて不要になったものであり、押し入れが片付いて妻にも喜ばれた。今後も不要なPCが数台たまったら、このサービスを利用していきたいと考えている。
取材協力:いっとく