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写真で見る、握り心地を“極めた?”エレコム製マウス

~「L」と「M」の2サイズ展開

エレコム「EX-G」シリーズ

 エレコム株式会社は、「握り心地を極めた」と謳うマウス「EX-G」シリーズを発表した。いわゆる“エルゴノミクス(人間工学)に基づいたデザイン”の1種といっていい。全18種類のラインナップの中から、無線モデルのLサイズ、Mサイズを試す機会を得たので、写真を中心に紹介したい。

全18種類をラインナップ

 まずは簡単に製品の概要をまとめておく。本製品は有線/無線/Bluetooth(3種類)×カラーバリエーション(3種類)×サイズ違い(2種類)で合わせて18種類をラインナップする。カラーバリエーションはブラック、レッド、シルバーの3色。サイズはMとLの2種類だ。

 左右クリックおよび進む/戻るボタン、ホイール+中央ボタンを装備する標準的な5ボタンマウスで、スイッチにはオムロン製を採用。インターフェイスは有線/無線モデルがUSBで、無線モデルには専用のUSB無線アダプタを付属。Bluetoothモデルにはアダプタは付属せず、PC本体内蔵のBluetoothホストなどと接続。対応規格はBluetooth 3.0で、HIDクラスドライバをサポートする。

 BlueLEDを用いたセンサーを搭載し、分解能はMモデルが1,600カウント。Lサイズは800/1,600カウントをホイールの手前のスイッチで切り替えて使用する。

 無線モデルおよびBluetoothモデルの電源は、Mサイズが単4形乾電池×2、Lサイズが単3形乾電池×1。有線モデルはUSBバスパワーで使用可能だ。

 サイズはMモデルが70×110×40mm(幅×奥行き×高さ)、Lモデルが81×119×41.2mm(同)。重量は、無線/BluetoothのMモデルが約81g(電池含まず)、同Lモデルが約97g(同)、有線のMモデルが約102g(同)、Lモデルが約114g(同)。

 価格は、Bluetooth/Lモデルが5,313円、Bluetooth/Mモデルが4,956円、無線/Lモデルが5,134円、無線/Mモデルが4,777円、有線/Mモデルが3,171円、有線/Lモデルが3,528円となっている。

親指と薬指を置くスペースを明確にしたデザイン

 では実機を紹介する。製品のパッケージは吊り下げて陳列ができるタイプ。ボックス状のパッケージに比べると安っぽい印象を受けるのは否めない。実売3,000~5,000円程度のマウスなので仕方ないと思うべき部分なのだろう。

パッケージ
Lサイズ/ブラックモデル
Mサイズ/レッドモデル

 ただ、製品自体は価格以上の見映えがする。ここではLサイズのブラック、Mサイズのレッドを試用しているが、ブラックはツヤを抑えたマット風、レッドはほど良いツヤを出した塗装、とこだわりを感じる仕上げだ。マウスに限らずコストを重視した製品では、塗装をしてもプラスチックの質感がそのまま残ってしまうことが珍しくないが、本製品は塗装によって狙っているであろう質感を見て取ることができる。価格以上の見映えと感じた理由が1つだ。

 もう1つの理由は、やはり形状だ。単純に、普及価格帯のマウスにはシンメトリーに近いデザインが多いということもあるが、親指を置く部分がはっきりとせり出し、“ちょっと持ちやすくする”というレベルではないデザインになっている。

 ここは本製品の一番のポイントでもある。下はエレコムのWebサイトに掲載されているもので、“握り心地を極める”ためにフォーカスした筋骨を示している。先述の親指を置く部分は、1.の「基節骨」、2.の「母子内転筋/単母子内転筋」あたりになるが、このためのデザインが第一印象で受けたほかのマウスとの大きな違いだ。

 ちなみに、Lサイズ、Mサイズでは外観の雰囲気こそ似ているが、実際に持った感触はかなり異なる。後に掲載する真上からの写真を比較すると分かりやすいが、特に親指を置くスペースがかなり異なる。

 Lモデルはこの幅がかなり広い。普及価格帯のマウスでも、親指部分に窪みがある製品は少なくないが、本製品のLモデルは親指を「置く」感触をはっきり得られる。先の図でいうところの母子内転筋/単母子内転筋に当たる部分が独特の感触だ。

 一方、Mモデルは母子/単母子内転筋部分にLモデルのような触感はない。ただ、先の図でいう基節骨に当たる部分の凹みが深めで、親指がホールドされる感触があるのが印象的だ。

 親指部分で言えば、進む/戻るボタンの形状も押しやすいよう工夫しているという。だが、この形状は好きにはなれなかった。

 その理由の1つは、単純に大きいボタンは安っぽく感じてしまうことだ。エルゴノミクスのスマートなデザインに、取って付けたようなデザインになってしまっており、あまりに主張が強すぎる。

 もう1つの理由は、押しやす過ぎる点だ。中央に力が集まりやすい形状で、軽く押しただけで反応するのはいいのだが、思いも依らず押してしまうことが何度かあった。慣れるとかなり解消するのだが、過去に使ったマウスでここまで“うっかり押してしまう”ようなことはなかったので、もう少し意識して押すことを要求する設計でも良かったのではないかと思う。

 さて、先の図では、薬指部分にもフォーカスして設計されたことが触れられていた。図でいうと、3.の「中節骨」と4.の「中手骨」である。ここの形状は非常に分かりやすく、“薬指を添えられるスペース(段差)がある”のが特徴だ。

 多くのマウスでは、薬指は置き場がはっきりせず、マウスの角に引っかけるように置くか、小指の上に乗っかるような位置になっているかと思う。本製品には薬指の置き場所が明確になり、手に馴染む感覚がはっきり得られる。Lサイズの方が、このスペースの幅がやや広いが、(普段から小指の上に薬指を載せているせいか)Mサイズの方が個人的には好みだった。

 以上、簡単に本製品の印象を紹介した。小さなところでは、ホイールも平面部分が広く操作しやすい。また、筆者はマウスパッドを使わない派に所属しており、下記の写真に示す淡い茶色のテーブルの上で直にマウスを使っているが、追従性、反応などに不満は感じなかった。

 謳い文句の握り心地については、主観が入ってしまうが、安定してホールドができるマウスという印象を受けたのは確かで、ほかのマウスでは触れない部分が接触するという新鮮な感覚もあった。実売3,000~5,000円程度の製品としては見映えもまずまずで、普段使いのマウスとして実用性に優れている、というのが本製品に対する総合的な印象だ。

 以下、本製品の各部を写真で紹介する。

EX-Gシリーズ「Lモデル」
EX-Gシリーズ「Lモデル」
親指を置くスペースが広く、付け根の方までフィットする設計になっている
側面に1つ段差を設けることで薬指が落ち着く。この部分はラバーが使われている
EX-Gシリーズ「Mモデル」
EX-Gシリーズ「Mモデル」
親指部分はスペースは狭いが奥への凹みが深め。ホールド感は良いが、進む/戻るボタンに触れやすいのがネック
Lモデル同様にラバーが貼られた薬指スペースを設けている
このサイズのマウスだと、つまんで利用する人もいそうだが、それぞれの指を置く部分がはっきりして落ち着くのに変わりはない

(多和田 新也)