特集

独特の“両手親指Fnキー”を搭載したコンパクトキーボード、ダイヤテック「Majestouch MINILA」を試す

Majestouch MINILA
2月27日 発売

価格:オープンプライス

 ダイヤテックは、Cherry MXスイッチを採用するFILCOブランドのキーボード「Majestouch MINILA」を2月27日に発売する。ゴジラの子供である“ミニラ”に由来したであろうことが容易に想像できる製品名から連想できるとおり、省スペース/コンパクトタイプのキーボードだ。

 キー数に制約が生まれるために、いくつかのキーをFnキーとの組み合わせで機能させることになるが、そのFnキーを親指で押しやすい位置に、しかも両手分となる2個搭載したことが、本製品の大きな特徴となっている。

 今回、販売元のダイヤテックより日本語配列の黒軸モデル(型番:FFKB68ML/NB)と、英語配列の茶軸モデル(型番:FFKB67M/EB)を借用することができた。筆者は普段から日本語キーボードを使っているので、前者を中心に1週間ほど仕事に利用してみた印象をまとめてみたい。機能などよりも使い勝手が重要な製品なので、主観が強くなることはご了承いただきたい。

幅297mmのコンパクトなキーボード

 まずは全体的な印象から触れていきたい。まず本体の外観だが、テンキーレスで独立したカーソルキーを含めて、幅297mmに収めたコンパクトな製品となる。幅297mmというとちょうどA4用紙の長辺と同じなので、イメージしやすいかも知れない。

 奥行きは124mm。独立したファンクションキーを持たない5段配列となる。本体奥側にPCとのインターフェイスとなるMini USBと、マウスなどを接続できるUSB A端子を搭載しており、124mmという本体サイズ以上に奥行きの設置スペースが必要になる点には注意が必要だ。付属のMini USBケーブルを使った場合は40~50mm程度は余分に奥行きを確保する必要があった。

 キーボード右奥にはCapsLockとScrollLockの各インジケータを装備。奥方向を除く3辺の外装は約5mmに抑えられている。重量は680gで、コンパクトな製品ではあるが重みがある。そのため、キー入力時も安定しており好印象を受けた。

Majestouch MINILAの日本語配列版
Majestouch MINILAの英語配列版
日本語配列、英語配列ともにファンクションキーのない5段レイアウト。いずれも独立したWindowsキーとカーソルキーを持つのが特徴的
本体後部にPCと接続するためのMini USBと、マウスなどを接続して利用するパススルーのUSBポートを備える
キーボード右奥にCapsLockとScrollLockのインジケータ

 キータッチは、良くも悪くもCherry MXのメカニカルスイッチだ。軸は好みがあるので敢えて言及はしない。ただ、本製品やや全高が高い。また、スタンドを立てた時の角度もかなり緩やかなので、大局的な印象としてパームレストを使わずに本製品を用いると、手首から指先までの落差がやや大きく感じられた。この辺りは少々独特な感覚があるので、その点を考慮して軸選びをした方がいいかも知れない。

 今回は茶軸と黒軸の2モデルを比べたのみの感想だが、黒軸は手首から指先までの角度もあってストロークが黒軸のイメージよりも長い印象を受ける。それに比べると、軽いタッチでスイッチする茶軸の方が打ちやすく感じた。

 ちなみにキーストロークは4±0.5mmで、キーピッチは19mm。キーサイズは周辺部までほぼ一定で、単なる文字入力だけであれば、一般的なキーボードと遜色なく操作できる。

 なお、特に仕様表などに記載がないので、念のためキーの同時入力数をMicrosoftのKeyboard Ghosting Demonstrationで確認してみると6キーロールオーバーとなり、この点は一般的なUSB接続キーボードの仕様になっている。

借用したモデルは日本語配列が黒軸版。本稿ではこちらを中心にしている
英語版は茶軸版を借用している
スタンド使用時/非使用時の比較。スタンドを立てても、角度はかなり緩い印象

DIPスイッチで、一部キーのキーカスタマイズが可能

 本体裏面には6個のDIPスイッチを装備。これのオン/オフにより、キーボードのカスタマイズが可能だ。カスタマイズの内容は配列によって異なる。デフォルトは全てオフで、オンにすると日本語配列の場合は下記のようになる。

1:WindowsキーとAppキーを無効化
2:CapsLockとCtrlキーを入れ替える
3:左Fnキーをスペースキーに変更
4:右Fnキーをスペースキーに変更
5:ESCキーのESCと「E/J(半角/全角)」の入力方法を入れ替え
6:右Shiftキーの右ShiftとDeleteキーの入力方法を入れ替え

 英語配列モデルの場合は、

1:WindowsキーとAppキーを無効化
2:CapsLockとCtrlキーを入れ替える
3:左Fnキーをスペースキーに変更
4:右Fnキーをスペースキーに変更
5:ESCキーのESCとチルダの入力方法を入れ替え
6:Backspaceキーと「|/\」キーを入れ替える

となる(数字はDIPスイッチの番号)。“入力方法を入れ替え”とは、デフォルトでFnキーと組み合わせたときの機能を、単独で押したときに動作するように入れ替えることだ。キーが入れ替わることに対して、交換用のキートップとキートップを交換するツールも付属している。

 これらのカスタマイズを利用するかどうかは、ユーザー個々の好みやキーの使用頻度などによると思うが、特に有用と思われたのはWindowsキーの無効化だ。また、日本語配列モデルではFnキーと右Shiftキーを押した場合にDeleteキーとして機能するようになっており、この優先順位を入れ替えられることを便利と思う人もいるかも知れない。ただ、使い方で判断が大きく分かれそうなポイントでもある。詳しくは後述する。

底面に6個のDIPスイッチを装備。この点に日本語配列と英語配列で違いはない
DIPスイッチによるカスタマイズ内容は日本語配列と英語配列で異なる。底面に貼られた説明シートは各国語共通だった
カスタマイズ時の交換用キートップと、交換用ツールを付属。左が日本語配列、右が英語配列のもの

右方向とも左方向ともコンビネーション操作をしやすい両手親指Fnキー

 さて、本製品の最大の目玉といえるのが、両手親指Fnキーの存在だ。スペースキーの両脇に備えている。

 省スペースキーボードの宿命ともいえるが、多くのキーを、このFnキーとの組み合わせによって入力することになる。この操作が必要になるのは、全ファンクションキーのほか、Insert/Delete/Home/End/PageUp/PageDown/PrintScreen/ScrollLock/Pauseが日英配列共通。日本語配列では全角/半角キーとアプリケーションキー、英語配列ではチルダキーもFnキーと組み合わせて操作する必要がなる。

 共通部分について、ファンクションキーは各数字キーに割り当てられる。Insertなどのキーは、デスクトップのキーボードに準じた配列になっているので、この感覚の習熟にそれほど苦労はないだろう。

 面白いところでは、E/D/S/Fキーにカーソルキーの上下左右が割り当てられている点。独立したカーソルキーを持っているので、試用中もついついそちらに手が伸びてしまって使いこなせなかったのだが、ホームポジションから大きく体勢を崩さすにカーソル操作ができるというメーカーの主張に納得はできる。

 そして、これらのキー入力を行なう上で、両手親指でFnキーを押せるということは確かに効果がある。例えば筆者は試用しているうちに、ファンクションキーのF1~F5と半角/全角キーを左Fnキー、F6以降や残りのキーを右手親指と組み合わせて入力するようになっていた。

 片側だけにしかFnキーがないと、どうしても両手での操作が増える。それも慣れれば無意識にできることはあるのだが、両手親指Fnキーは慣れると癖になる。誤解があるかも知れないので敢えて触れておくが、文字は普通のキーボードとほぼ同じ感覚(ファンクションキーによるかな/カナ/全角/半角変換などが少し戸惑う程度)で入力できる点で親指シフトとは全く異なる。むしろ、Altキーは左右にあるのに越したことはない、という考え方に近いかも知れない。

 ところで、先に共通の機能キーがデスクトップキーボードに準じた配列であることや、カーソルキーの割り当てがE/D/S/Fであることに触れた。実は最初に触ったとき、それぞれがキーボード中央に寄りすぎていて、入力時に窮屈な印象を受け、ミスタイプも多かった。ただ、使っているうちに気がついたのだが、これはおそらくカーソルキーの右端をFキー、機能キー群の左端をJキーに割り当てることで、ホームポジションの突起を利用して、Fnキーと組み合わせて利用するキーの位置を分かりやすくした設計なのだろう。実際、それに気がついてからは、Fnキーとの組み合わせ操作もタッチタイプが徐々にできるようになってきた。

 一方で、Fnキー自身に目印が欲しかったとも感じる。普段日本語キーボードを使っていると、スペースキーと両脇の変換と無変換キーは凸形状、その隣の左Altとカナキーは凹形状となる。本製品はスペースの両隣のFnキーは凸形状で、その左隣の無変換キーは凹形状。変換キーはなく、カナキーは凹形状で一般的なキーボードと同じだ。レイアウトは独特である一方、凹凸による形状的な感触はこれまでのキーボードと同じということで、Fnキー自体を無意識に間違いなく打てるようになるのに少々時間を要した。例えばFnキーにも突起を付けるなど、独特のキーらしい目印があると慣れやすいのではないだろうか。

 最後に、本製品を使っていて最もストレスを感じた部分を挙げておきたい。それはDeleteキーの扱いだ。ほとんどのキーボードはDeleteキーが右上寄りにあることが多い。本製品(日本語配列モデル)はFnキーとの組み合わせで機能するDeleteキーが2個用意されているが、いずれも下から2段目にある。Fnキーを押すという追加の動作に意識が集中して、さらに下方向へ意識を向ける必要があることになかなか慣れなかった。

 そこで、先述した右ShiftとDeleteのカスタマイズを試してみたのだが、Deleteキーの入力は無意識にできるのだが、今後は右Shiftキーが単独で機能しないことにストレスを感じてしまう。これは筆者の癖でもあるのだが、右下付近の記号を入力する際に右手小指で右Shiftキーを押すからだ。それらの記号入力が必要になったとき、文字入力中の思考がそこで止まってしまう。

 考えてみると、Deleteキーを押すときは、文字入力の流れから外れていることが多いので、Fnキーとの組み合わせでDeleteキーを機能させることをデフォルトにしたのは間違ってないのだろうとは思う。ただ、右上のBackSpaceキーもしくは「|/\」キー辺りでDeleteキーを利用できると、もう少し簡単に慣れられたのではないかと感じている。ちなみに英語配列モデルはDeleteキーを単独で持っている。

左が日本語配列、右が英語配列。Fnキーとの組み合わせで機能する内容は一部異なるものの、両手親指Fnキーや、ホームポジションを起点に機能を割り当てていることなどは共通している

 以上、1週間程度の短期間なので、十分に習熟したとは言えない状況ではあるが印象をまとめた。この記事も本製品を使って入力しているのだが、短期間でも慣れてくるとノートPCのキーボード並みのスピードでなら入力できるようになっており、もっと長期間使えば、ストレスを感じた部分も印象が変わってくるかもしれない。

 省スペースキーボードに習熟が必要なのは当然のことで、問題は習熟したあとにいかに高速(スムーズ)に入力できるかと、短期間で習熟できるに越したことはない、といったあたりがポイントになるだろう。Fnキーとの組み合わせで動作させるキー群をホームポジションで判断しやすいようにしていたり、Fnキーを両手に備えることは、こうしたポイントを満たす要素になると思う。特に両手親指Fnキーは“癖”になるという点で、このキーボードのファン(強く言えば信者)を生む可能性すら感じさせる。

 また、根本的なこととして、質感/タッチ感/入力方法などにこだわった、キー入力作業のメインに使えるようなコンパクトキーボードの選択肢が少ない現状がある。こうした製品の代表はPFUのHappy Hacking Keyboardなどになるだろう。本製品には、癖になる両手親指Fnキー、スイッチを好みで選べること、店頭予想価格は11,800円前後とこの手の製品としては安価であるなど、独特な魅力も持っており、コンパクトキーボード界の新星として同社の今後の製品展開などにも期待したい。

(多和田 新也)