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Android 5.0 Lollipopの主な仕様をおさらい

 Googleの次期モバイルOS「Android 5.0 Lollipop」は、11月上旬発売のNexus 6/9に搭載される。また、ほぼ同じタイミングで、現行のNexus 5や7向けにもアップデートが予定されており、すでにアプリ開発者向けにプレビューイメージ(SDK)が公開されている。

 それに合わせGoogleは、Android史上最大のアップデートと謳う同OSの主立った機能や仕様をブログにまとめているので、ここに紹介する。ユーザーにとっては、新たな体験が利用可能になるアップデートだが、Android向けにアプリを提供している開発者は、新OS公開までに各種修正が必要になることもあるだろう。

 英文となるが、各項目の詳細情報は、ブログから辿ることができる。

ユーザー体験

マテリアルデザイン

 Android 5.0では「マテリアルデザイン」と呼ばれるデザインが採用。マルチデバイスを想定しており、大型タブレットからスマートウォッチまで、デバイスの画面サイズに合わせてレスポンシブに変化し、デバイスごとに最適な表示を行なう。見た目だけでなく、アニメーションや、インタラクションについても、共通化を図る。

マテリアルデザイン

通知の拡張

 ロック画面の通知が拡張され、ロック解除することなく、コンテンツ、更新、アクションなどを確認できる。「ヘッドアップ通知」が新たに実装され、優先度の高い通知は、他のアプリの前面にウインドウ表示されるようになる。

例えば電話の着信など優先度の高い通知は、最前面に出せる

履歴機能の拡張

 アプリの履歴画面では、これまで1アプリ1タスクのみが表示されていたが、1アプリで複数のタスクを扱えるようになる。例えば、Webブラウザで複数のタブを開いている場合、履歴画面のサムネールをフリップしてタブを選んだり、チャットアプリのサムネールをフリップして、表示したい過去のチャットに直接飛んだりできるようになる。

性能

Android Runtime(ART)

 Android 4.4では、実行エンジンとしてDalvikのほかにARTがサポートされたが、Android 5.0では、ARTのみのサポートになる。ARTは、AOT(Ahead-of-Time)方式でコンパイル変換し、ガーベッジコレクションの効率が改善されたほか、開発/デバッグ機能も強化されている。多くの場合、アプリのコードは変更せずとも、性能が向上するという。

64bit対応

 64bit対応によりアドレス空間が広がり、特定のコンピュート作業では性能が向上する。Javaで書かれたアプリは、修正することなく64bit環境で動作するようになる。

Project Volta

 新しいツールとAPIにより、よりバッテリ効率の高いアプリを開発できるようになる。SDKに収録されている「Battery Historian」ツールにより、電力イベントを可視化でき、アプリのバッテリ消費量を把握できる。「JobScheduler」APIにより、バッテリ消費量を抑えるべく、デバイスがアイドルである、あるいは固定料金回線、充電器に繋がっているといった条件に応じて、バックグラウンドタスクの実行状況を変更できる。

WebViewの更新

 WebViewで、WebRTC、WebAudio、WebGLがサポート。また、カスタムエレメンツ、シャドウDOM、HTMLインポート、テンプレートなど、Web Components仕様の全てにネイティブ対応。WebViewはシステムと統合され、定期的にGoogle Play経由で更新される。

職場向け

管理されたプロビジョニングとアプリの統合ビュー

 従業員が、1つの端末を私用にも仕事にも使えるよう、フレームワークが拡張され、私用/仕事用の両方のアプリで、アプリ、通知、履歴ビューを統合して閲覧できる。プロファイルオーナーAPIを使うと、職場において、管理者が仕事プロファイルを作成、管理し、新しい管理されたプロビジョニングプロセスの一部として管理できるようになる。

管理されたアプリはカギマークが付く

メディア

カメラ能力の拡張

 新しいカメラAPIにより、画像の記録およびプロセシングが拡張され、非圧縮YUVで、800万画素の動画を30fpsで記録可能に。また、RAWイメージで記録したり、露出時間、ISO感度、フレーム間隔などのパラメータをフレームごとに制御できる。

オーディオの拡張

 サウンドアーキテクチャが拡張され、OpenSLにおけるより低遅延な入力、マルチチャンネルミキシングの追加、USBデジタルオーディオモードがサポート。

接続性

BLE Peripheralモード

 Bluetooth Low Energy Peripheralモードが追加。このモードを利用してアプリは、近くの端末に自身の存在をブロードキャストできる。

マルチネットワーク

 アプリが、固定料金・従量課金のネットワークを動的に選んで接続できるように。また、アプリがインターネット接続回線の再評価をプラットフォームに要求できる。これにより、特定のネットワークが暫定的に重い時、アプリがより良い回線への接続を指示できる。

(若杉 紀彦)