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Silicon Power、製品製造工場や本社ショールームを公開

 台湾Silicon Powerは、2014年5月から7月の期間で募集を行なったキャンペーン当選者を対象とする台湾旅行の開催に合わせ、製品製造工場や本社ショールームを公開した。

 今回公開された製造工場は、台北市の西に位置する新北市汐止区にある「Silicon Power汐止工場」だ。汐止工場では、USBメモリやポータブルHDDなどの製品を製造している。

 外観は、一般的に想像するような工場の雰囲気ではなく、オフィスビルに近い。ただ、その内部は空調設備なども含めて精密機器の製造に適した構造となっている。全8フロアある工場ビルのうち、Silicon Powerは3フロアを利用して製品の製造を行なっている。各フロアの規模はそれほど大きなものではなく、製造を行なっている部屋も学校の教室を4部屋ほど合わせた程度の広さだったが、製造しているのがUSBメモリなどの小さな製品が中心のため、手狭ということはないようだ。1日あたりの製造数は、USBメモリ製品が約50,000個、ポータブルHDD製品が約5,000個という。

Silicon Power汐止工場。外観は普通のオフィスビルといった雰囲気
6階や7階など、全3フロアを使って製品の製造を行なっている

 工場内は、多くが日本製の最新工作機械によって自動化されており、作業員の数は比較的少ないという印象。ただ、一部組み立て工程や検品工程は自動化されておらず、人の手で作業が行なわれていた。例えば、USBメモリ製品では、基板に対する各種チップの装着は全て自動化されているが、外装への基板装着は作業員が手作業で行なっていた。

 また、製造過程で必要となる検品作業は、コネクタ接続なども必要となるため、こちらも手作業で行なわれている。なお、手作業での組み立て製造ラインは3ライン用意され、それぞれ異なる製品が製造されていた。検品作業については、基板へのチップ装着後の光学検査、製品組み立て途中での2回の全品通電検査、そして梱包前にランダムでクオリティ検査が行なわれているという。最終的なランダム検査終了後、各製品のパッケージ梱包を経て工場から製品が出荷されることになる。

製品製造は日本製の最新工作機械を利用してほぼ自動化されている
工作機械を利用して、USBメモリの基盤に各種チップやUSBコネクタを装着していく
こちらは、基板にチップやコネクタを装着する装置
基板にチップなどを装着した状態。この時点では、まだはんだ付けは行なわれていない
この装置の中でチップなどがはんだ付けされる
はんだ付けが完了した状態
はんだ付けの完了後に、光学検査により部品装着の状態をチェック
部品の装着状態は目視でも確認される
光学検査終了後、通電検査を実施。ここでの通電検査は全製品が対象
このように、全ての製造製品を接続して決められた検査が行なわれる
全品検査終了後に、作業員による手作業での組み立てが行なわれる。組み立てラインは3ラインあり、それぞれ異なる製品を組み立てている
USBメモリ製品の内部基板を外装に装着していく
手作業で内部基板を外装に入れていく
日本でも発売されているUSB 2.0/Micro USB 2.0対応のUSBメモリ「Mobile X20」シリーズの完成品
こちらはポータブルHDDの組み立てライン
内蔵HDDに耐衝撃素材を装着している
完成品。高さ122cmの自然落下に耐える耐衝撃性やIPX4の防水性能を備える「Armor A60」シリーズ。
組み立て後に、再度全品を対象とする通電検査が行なわれる
全ての製品をUSBに接続してチェック。ここも手作業により検査が行なわれる
こちらでは、製品梱包前のランダム抜き取り検査を行なっている
MIL-STD-105e準拠のランダム検査を実施しているという。こちらも手作業での検査となっている
こちらで、レーザーで製品に各種刻印が施される
ポータブルHDD製品のパッケージング。こちらは手作業で行なわれている
パッケージにビニール包装を施す
パッケージ完成品
こちらはUSBメモリやmicroSDカードなどのパッケージングを行なう装置
USBメモリなどの製品はパッケージングも自動化されており、作業員はパッケージングが完成した製品を集めるだけ
完成した製品はこちらに集められて梱包
梱包された製品がここから出荷される

 Silicon Power本社は、台北市内の内湖地区に位置している。この本社にはショールームが併設されており、現行製品を中心にSilicon Powerが製造販売している製品や、Silicon Powerの歩み、受賞した各種アワードのトロフィーなどが展示されている。

 ショールームに展示されている製品で目立っていたのは、同社の主要製品であるUSBメモリや、SDカードなどのメモリカード製品だが、近年はポータブルHDDなどの外付けストレージ製品も精力的に新製品を送り出しており、多くの製品を展示。また、同社のPC用メモリモジュールは、比較的安価な価格で販売される例が多いこともあり日本でも比較的高い人気を誇っているが、もちろんそれらも多数展示されていた。なお、DDR4メモリモジュールについては、2015年第1四半期頃に投入予定とのことだ。

 ところで、展示品の中に日本市場向けに特化した日本語パッケージがいくつか存在した。Silicon Powerの全世界での売上のうち、日本市場が占める割合は15~20%ほどだというが、その数字以上に日本市場に対して戦略的に取り組んでいるという。Silicon Powerの歩みを記した年表を見ると、設立は2003年と比較的若い会社だが、日本支社は2006年と非常に早い段階で設立されている。また、Silicon Powerの製品パッケージは基本的に多国語仕様となっており、販売地域ごとに異なるパッケージを採用する例はほとんどないという。こういった点からも日本市場を重要視していることがよく分かる。

 今回、日本での同社製品購入者を対象とした台湾旅行プレゼントキャンペーンを実施したのも、その姿勢の表れと言える。そして、このキャンペーンによって、同社製品を含む台湾製品の品質の高さや、台湾の観光地としての魅力を知ってもらえると嬉しいと、Silicon Power社長のPerry Yuan氏は語っていた。なお、同社の台湾旅行プレゼントキャンペーンは、2014年12月末までを期間として第2弾が実施中。興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。

本社ショールームでは、USBメモリやSDカード、外付けHDDなどSilicon Powerの現行製品を多数展示
Silicon Powerの歩みを記した年表。設立は2003年で、日本支社は2006年に設立されている
各種アワードの受賞トロフィーも多数展示
同社主力製品であるUSBメモリは非常に多くのバリエーションがある
USBメモリはUSB 3.0対応製品が主流に
PC向けメモリモジュール。DDR4製品の投入は2015年第1四半期になるとのこと
MIL-STD-810F準拠の耐衝撃性を備えるポータブルHDD「Armor」シリーズ
CFやSDカードなどのメモリカード製品も多数ラインナップしている
日本市場向けの3.5インチ外付けHDDのパッケージ。日本以外では多言語の同一パッケージを採用するが、日本向けにはTV録画対応などもアピール
こちらは日本市場向けのUSBメモリ製品のダミーカード。特定市場だけのデザインを用意するのは同社にとって異例とのこと
Silicon Power社長のPerry Yuan氏。キャンペーンに応募して、同社を含めた台湾製品の品質の高さや、台湾の魅力を知ってもらえると嬉しいとコメント

【お詫びと訂正】初出時、日本市場向けUSBメモリの写真について、パッケージと記載しておりましたが、正しくは陳列用のダミーカードとなります。お詫びして訂正いたします。

(平澤 寿康)