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熊本大、てんかん発作を心電図を元に8分前に予知できる技術を開発

~発作が起こる前に安全を確保できるウェアラブル予知デバイスを実現

開発中のウェアラブル発作予知システムのイメージ

 熊本大学は4日、脳の病気であるてんかん発作を、脳波ではなく心電図をもとにした「心拍変動」の値から高精度で予知することに成功したと発表した。

 てんかんは全人口の約1%が罹患する脳の慢性的な疾患で、脳の神経細胞に突然発生する激しい電気的興奮により、発作を起こす。患者の7割は抗てんかん薬で発作を抑制できるが、中には薬が効きにくい難治性てんかんもある。

 このたび、熊本大学大学院先導機構・大学院自然科学研究科の山川俊貴テニュアトラック助教は、京都大学 大学院情報学研究科の藤原幸一助教、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の宮島美穂助教らとの共同研究により、多変量統計的プロセス管理(MSPC)という工学的手法で、心拍数の揺らぎを解析。従来の変動解析手法による分析では、平常時と発作前の差が分かりにくく、個人差も大きいため、偽陽性(誤報)が多かった。一方、心電図をMSPCによって解析したところ、91%という高い精度で発作を予知できたほか、発作が起こる約8分前に予知できることが分かった。

 偽陽性頻度も1時間に0.7回と低く、心電図を利用することから、この技術を応用し、心臓のそばに取り付けるウェアラブル予知デバイスの開発が期待され、これにより、発作が起こる前に安全を確保する対策を患者自身ができるようになるとしている。

(若杉 紀彦)