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三菱、航空機から地上への大容量データ伝送に成功

~災害時の迅速な救援活動に期待

通信システムの概要図

 三菱電機株式会社と株式会社パスコは22日、航空機に搭載した40GHz帯のミリ波データリンク装置から、地上に大容量データを送信する実証実験が成功したと発表した。

 実験は600mまたは3,000mの高度を時速約200kmで飛行するミリ波送信機搭載航空機と、地上のミリ波受信機器間で行なわれ、大容量の画像/映像データを伝送し、地上での受信/再生を試みた。

 送受信装置には機械駆動部を排除した小型軽量の2次元フェーズド・アレイレーダー(APAA: Active Phased Array Antenna)が用いられた。APAAは位相変換素子が配置されたレーダーのことで、アンテナを回転させずに任意の方向にレーダー波を送信、任意の方向からレーダー波を受信できる。

 今回の装置はAPAAが上空から送られたミリ波を高速でサーチし、航空機が通信エリアに入ると瞬時に捕捉して自動追尾する。なお、通信範囲は地上装置の位置から高度600mで半径600m、高度3,000mで半径3,000mになる。

 実証実験では、高度600m飛行時(4.2度/sec)に安定して通信ができることを確認。地上装置周辺を航空機が旋回することで、大容量データを伝送する通信時間を確保した。地上装置を頂点として仰角±45度の範囲で通信可能とした場合に、高度600mで航空機が直進通過した時のデータ容量の理論値は240MBで、高度3,000m時(0.8度/sec)では1,200MBになると言う。

 本実験の成果により、通常は空撮後に着陸してから行なわれるデータ伝送が、飛行状態のまま行なえるという可能性を実証。災害時における被災状況確認のための地上画像の伝送や、放送機関による4Kおよび8Kといった映像の伝送に役立ち、迅速な救援活動が期待できるとしている。

 実験は2015年3月27日(天気は快晴)に、大阪府八尾市にある八尾空港の周辺上空と空港駐車場付近で行なわれた。

(中村 真司)