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アドビが月刊ムーと対決!? お台場で超常現象イベント開催
~信じるか信じないかは……アドビ次第
(2014/12/2 06:00)
11月27日、東京お台場の東京カルチャーカルチャーにて、“ジャンクの花園プレゼンツ Adobe vs 月刊ムー 超常現象徹底解明スペシャル~信じるか信じないかはアドビ次第~”というイベントが開催された。
出版社であれば、多かれ少なかれアドビ製品を利用しており、その点でムー誌もそのお世話になっているだろう。とは言え、超常現象をテーマとしたイベントにアドビが自ら参加するとは、いったいどういう趣旨なのか? 招待を受けての正規の取材だが、ほぼ個人的な興味本位で、このイベントに参加してきた。
ムー編集長がアドビロゴを読み取ると……?
イベントにまず登場したのは、ナスカの地上絵の刺繍が入ったスカジャン“ナスカジャン”を羽織ったムー編集長の三上丈晴氏。ヘブライ語での乾杯の音頭を取ると、「月刊ムーの名称はムー大陸に由来。幾何学的にシンプルなそのロゴは、創刊当時のイラストレーターがインスピレーションで作った物だが、魔術的な雰囲気もある。三角形はピラミッドを彷彿とさせるし、ムーとは中国語で“目”の意味もあり、目と言えばフリーメイソン。ここお台場には自由の女神像があるが、(独立100周年を記念し)アメリカに、フランス人(の募金)によって贈られたというのは大嘘。ニューヨークに自由の女神像が建てられた当初、その銘板には、フランスのフリーメイソンのグランドロッジ(本部)からニューヨークのグランドロッジに贈られたことがはっきり記されていた。ただし、その銘板は、今では撤去されてしまった。陰謀によって。アドビロゴにも、そういった雰囲気をふつふつと感じる。このロゴを90度回転させると、ムーのロゴそっくりになる。ITの革命はシリコンバレーで作られたが、その背後にはカバリスト(神秘主義思想を持つユダヤ教徒)がいた。シリコンバレーにはユダヤ人も多いが、カバリストは彼らの師匠であり、魔術師でもある。また、(ロゴになっている)“A”の文字は、ギリシャ~ローマ時代には、三角形の上を書いて、横棒を入れるのではなく、V字の線を入れていた。フリーメイソンもそのように書くし、またこの模様はフリーメイソンのシンボルであるコンパスと直角定規そのものである。さらに、過去のPhotoshopのアイコンを見ると、目をモチーフにしており、これもそのままフリーメイソンのシンボル。もはや、フリーメイソンとアドビの関係性は言い逃れできない」と挨拶。
のっけから長広舌である。
三上氏のバリトンボイスには妙な説得力があるのだが、それを“信じるか信じないかはアドビ次第”というイベントなので、信憑性はさておき、三上氏に続いて登壇した、アドビマーケティング本部デジタルメディアマネージャーの岩本崇氏の話に移りたい。
岩本氏は、先だって発売になったiPad用ペン+定規である「Ink & Slide」を紹介した。タッチペンである「Ink」は静電容量式でありながら、ペン先が細く、2,000段階以上の筆圧検知に対応するのが特徴。「Slide」は、iPadの上に置いて、直線だけでなく、三角形や雲形などの曲線も描ける一風変わったデジタル定規。アドビが満を持して投入する初のハードウェアだけあって、特色がある。
そんなInk & Slideを使って、ムーの三上氏が得た未確認生物の目撃情報を元に、岩本氏のほか、コヤマシゲト氏、スーパーログ氏、マミヤ狂四郎氏の3名がイラストを即興で描き起こすセッションが開始された。
第一のテーマは“巨人”。マンガ「進撃の巨人」の流行もあり、ホットなテーマとも言えるが、巨人の実物を見たことある人はかなりの少数派であろう。しかし、三上氏によると、過去、地球には3.6m級、7.6m級、10m超級の3種類の巨人が存在しており、その証拠もわんさかあるのだという。
三上氏曰く、3.6m級と7.6m級の巨人はかつて南米におり、文明も持ち、その装飾品や遺骨が入った棺がみつかっているという。ただし、博物館などに収蔵され、一般の目に触れないように隠されているのだとか。また、3.6m級の巨人については、旧約聖書にも言及があるほか、手足には6本ずつ指があり、そこから時間の60分や、角度の360度といった60進法が編み出されたのだという論文もあると主張。
そして10m超級。その痕跡は化石でしか見つかっていない。というのも、10m級の巨人は恐竜の時代に生きており、恐竜と巨人の足跡が同じ場所から見つかったのだという。10mの巨人も巨大だが、恐竜はさらに巨大で、最大で40m級にもなる。ちなみに、この40mの恐竜がかつていたというのは、ナショナルジオグラフィックからの情報なので信憑性は非常に高いという。
現在、巨人はおろか恐竜も地球上には存在しない。では、なぜ昔はそれらの巨大生物が存在し得たのかというと、当時の地球は重力が小さかったからだという。
記者の理解では、重力の大きさは、物体の質量と密度に依存する。恐竜が跋扈した時代から現代までの数千万年で、地球の質量や密度が著しく変化したというのは寡聞にして聞いたことがない。さらに余談となるが、数億年前の地球は、今より酸素濃度が高く、昆虫が巨大化し、動物ほどのサイズにまで育つ時代というのはあった。それはさておき、とにかく恐竜の時代は重力が小さかったので、生物は縦に伸びることができ、キリンほどの大きさの翼竜も空を飛べたらしいのだ。
というわけで、4名が描いたイラストが下記のもの。最初に披露したマミヤ氏が、ジャイアント馬場を基準にしたものを描いたため、残りの人も次々と乗っかっていってしまった。悪ノリである。ちなみに、岩本氏はアドビの中でも最も絵心がない人物の一人という。
【お詫びと訂正】初出時にコヤマシゲト氏とスーパーログ氏のイラストが逆になっておりました。お詫びして訂正させていただきます。
第2の目撃情報は「チュパカブラ」。こちらは10mの巨人より知名度が高いと思われるが、これも南米での目撃が多い未確認生物(UMA)だ。この名前はスペイン語で、「吸う」(チュパ)と「山羊」(カブラ)という意味で、家畜などの血を吸う謎の吸血動物として知られている。
身体的な特徴としては、牙が鋭い、目が大きい、体毛がない、頭が大きい、身長は1mくらい、背中にたてがみのようなトゲがあり、脇の下あたりに翼があり、空を飛べるらしい。
「ん? 空を飛ぶ?」。
超常現象、オカルトの類いは基本的に信じないながらも、興味はあるのでたまにネットで情報を調べたりしている記者だが、チュパカブラが空を飛ぶとは初耳。とは言え、今課せられたお題は、三上氏の情報を元にイラストを描き起こすことなので、4氏はそれに忠実に筆を走らせた。結果が下記のイラストだ。
イベント当日、参考情報としてGoogleで「チュパカブラ」の画像検索の結果もスクリーンに表示されていた。その時は、空は飛べない雰囲気のものが上位を占めていたのだが、今回のこのイベントを機に様変わりするのかも知れないと思い、イベントから4日後に個人的に検索してみたが、ほぼ変わっていなかった。残念ながら、この点についての三上氏の影響はあまり波及しなかったようだ。
Photoshopを活用した第2部
休憩を挟んで、第2部からはアドビマーケティング本部デジタルイメージング製品担当グループリーダーでPhotoshop担当の栃谷宗央氏が登場した。
こちらのテーマは「Photoshop vs超常現象」。第1部の様子から「超常現象徹底解明」という点で、あまり期待してはいけない雰囲気が漂っている当イベントだが、第2部では、栃谷氏自らが第1部でも触れられたPhotoshopのロゴについての秘密を語った。
Photoshopではバージョン7まで、起動時に目をあしらったスプラッシュ画面が出ていたが、実はある操作を行なうと隠されたスプラッシュ画面を見ることができ、そこにはバージョン8以降も連綿と目が描かれているのである。バージョン11にあたるCS4では、ストーンヘンジが表示される。
このあたりにも、秘密結社との繋がりが垣間見えると思うか、ただの偶然と思うか? 三上氏に言わせると、この世はそうやって宗教や影の権力に支配されているらしい。我々が日々利用する、World Wide Webの省略である「www」は、ヘブライ語では数字の「666」を意味するのだとか。
さらに話は情報操作へと展開。あるタンカーが座礁し、海鳥が海岸に漂着した油にまみれて死んでしまったという写真は、湾岸戦争の際に起きた時に撮影されたにも関わらず、タンカー事故の写真として報道されたのだという。
一方、「ムーは“真実”が載っている世界唯一の雑誌」と三上氏は断言。ただし、「“事実”じゃないものもある」らしい。
そのように湾曲された写真の最たる例がNASAが撮影した人類初の月面着陸を収めたものだ。この写真には、本来写るはずの米国旗の影が写っていない。NASAが公開した写真は、実際に撮影したうちのごく一部で、公開されたものも、ゴミなどを除去するという名目で修正が加わっているそうだ。そこに疑惑の目が向けられたため、NASAはオリジナルを公開しようとしたのだが、なぜかオリジナルのフイルムはNASAの保管庫から紛失してしまっていたのだという。ちなみに、アポロ11号による月面着陸に疑惑を抱く人は少なくないが、NVIDIAは先日、GPUの技術を使って、その反証を行なった。興味のある人は、こちらも一読いただきたい。
さて、それを陰謀とみるかどうかはさておき、トークショーが進む中、栃谷氏は、MacBookのタッチパッド操作だけで、器用に影のない写真に、影を加えた。作業に要したのはものの数秒で、旗を自動選択し、それを横向きにして、黒く塗りつぶしただけ。
写真から何かをきれいに切り抜くのは手作業だと大変だが、最新のPhotoshopでは、大まかな範囲を指定をするだけできれいに切り抜いてくれる。また、切り抜くだけではなく、切り抜いた場所に、周囲の情報を参照して、うまい具合に補完してくれる機能もある。この機能を使えば、写真の中の人物を別の場所に移動させるのも簡単だ。
記者は普段非アドビ製写真編集ソフトを使っているのだが、この機能のために買ってもいいかもな、と思った。第2部が始まる前は、アドビの技術で心霊写真の合成を見破るとかそういうことを期待していたのだが、気付いた時には、それとは関係のないところで、まんまとアドビの口車に乗せられてしまっていた。
ちなみに、栃谷氏によると、Photoshopは、あるバージョンからお札の絵を表示できなくなったのだという。これは、偽札作成を防止するためのものだそうで、一般の人にはあまり関係のないことだが、機を見てひけらかすと、うけるかもしれない。
この後、第3部もあったのだが、「コラで振り返る2014年」と題された、商業誌には載せにくいPhotoshopを使った写真コラージュの披露会となってしまったので、紹介はばっさりと割愛させていただく。
3時間半の長きに渡るイベントだったが、その感想はと言うと、非常に楽しいものだった。三上氏の陰謀論は、もはや芸の域に達していると言っていい。よくできたエンターテイメントだ。そこにアドビという企業が乗っかってきたのも面白い。三上氏の発言を信じるか信じないかはアドビ次第と言うことにして、第2回があれば、是非また参加したい。