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MIT、空飛ぶ風力発電機を開発

「Buoyant Air Turbine」
5月15日(現地時間)発表

 昨日「空飛ぶ3Dプリンタ」を紹介したばかりだが、今度は米マサチューセッツ工科大学(MIT)が「空飛ぶ風力発電機」を15日付け(現地時間)で発表した。

 MITからスピンアウトしたAltaeros Energiesが開発したのは、世界初となる商用の空中型風力発電機で、「Buoyant Air Turbine」(BAT)と呼ばれる。ヘリウムを充満させた直径約10mの風洞型気球の中心に風車がある構造で、上空の風を受けてこれが回り、発電を行なう。1基あたりの発電能力は30KW。雨や雪が降っても稼働可能。すでにアラスカでの商用運用が決定している。

 一般的に、高度の高い場所は地上よりも風が強い。BATは、地上約300〜600mの高さでの運用が想定されており、この高さでは風力が塔型風力発電機の高さよりも5〜8倍強く、かつ風が吹いている時間も長い。これにより、同等サイズの一般的な塔型風力発電機よりも、2倍の電気を発電できるという。

 BATからは3本のケーブルが伸びており、これで地上と繋がっている。発電した電気は、このケーブルを通じて、地上に送電されるわけだが、このケーブルは長さが調節可能となっており、上空の状況に応じて、発電上最適な場所を割り出し、その位置に本体の高さを調節する。もちろん、上空より地上の方が風力が適切な場合があるが、その時は地上にまでBATを下ろしてくるし、台風などの場合も地上に待避する。この調整は全てコンピュータ制御による自動化が実現している。

 BATは既存の地上型風力発電機を完全に置き換えるものではない。塔の建設が難しい島や極地などのほか、工業地帯や軍の基地などでの運用を想定している。例えばアラスカの僻地の場合、発電にはガスおよびディーゼル発電機が用いられており、そのコストは1KWhあたり1ドルかかる。これに対し、BATを使うとおよそ18セントにまでコストを下げることができるという。また、災害などで停電した地域での活用も考えられている。

 発電以外にも、BATにWi-Fiの基地局を搭載することで、その場所でのWi-Fiのカバー範囲を既存の鉄塔などより6〜8倍に広げられるといった用途も検討されている。

(若杉 紀彦)